八幡平縦走路1
(松川温泉〜八瀬森山荘)
2001、10月13日「土」
 秋田県田沢湖町の鶴の湯温泉から大白森、曲崎山、大深岳を通り八幡平山頂まで続く長い縦走コースが有ります。全長約34kmのロングコースで大深岳から八幡平までは裏岩手連峰縦走路と重複しています。八幡平から大深岳までは尾根上のルートで素晴らしい展望がたのしめます。一方大深岳から鶴の湯温泉までの区間は主に深い原生林の中を歩く事になります。岩手県雫石町の山岳マップにはこのコースを「八幡平縦走路」と記載されていました。ルート上には避難小屋が3ヶ所あり縦走するには1〜2泊することになります。
今回歩いてみたのは松川温泉登山口から源太ヶ岳を経由して大深岳に登り、八幡平縦走路に入って鶴の湯温泉までの28 、2kmの区間です。その内八幡平縦走路の部分は鶴の湯から大深岳までの20、6kmになります。縦走路の南側は岩手県の葛根田川源流部、北側は秋田県の玉川源流部、そのちょうど分水嶺の上を歩いて行くことになります。
 登山道は十和田八幡平国立公園の中に有り、さらに県境と言う事も有って定期的に刈り払いなどの整備がなされていますが、刈り払い前の荒れた時期は顔だけ出してササ藪を泳いで行く、といった状態になる所もあります。


 朝起きてみると小雨が断続的に降って、西の空には虹が掛かっている。直ぐに天気は回復しそうもないが、回復してくると言う予報なので出かけよう。今回は八瀬森山荘に一泊の予定だが念のためテントも持って行くことにする。水は気温が下がっているので4、2リットル、装備の重量は18kg。

 東北道を松尾八幡平ICで下りて松川温泉峡雲荘駐車場に8時20分に到着。登山口は裏岩手周回コースと同じで、峡雲荘駐車場から少し樹海ラインを登った所に有る。西風と共に時折小雨が降ってくる。西の空は真っ黒だ、雨雲に覆われて山は全く見えない。
8:33分  峡雲荘駐車場出発
 合羽のズボンをはいて出発、紅葉は今が盛り、登山道に敷き詰められている真新しい落ち葉を踏みながら進む。連日の雨で登山道はぬかるんで小川のようになっている。木道の工事の計画があるのだろう、所々測量の目印が立っている。
9:35分  上倉沼着
9:50分  水場着
 ここからは急登が続く、登山道が小川になっていてチョロチョロと水が流れ落ちてくる。水を避けながら登って行く、今から靴に水が入ってしまったら大変だ。次第に木々が少なくなってきて両脇がササの壁になってきた、東を見ると岩手山の裾野が少しだけ雨雲の下から覗いている。
10:24分  大深山荘分岐着
 急斜面の草地に出た。登山道は掘れてしまって薄い表土の下から岩が剥き出しだ。リンドウはすっかり枯草色になってしまっている。
10:49分  源太ヶ岳着
 山頂は風が強い、雨は時々バラバラと降ってくる、視界は約30mといったところでガスの中だ。合羽の上も着込んで雨に備えて歩き出す。谷底から吹き上げてくる風が突風になって襲ってくる、稜線上のハイマツが大きくゆれている。よろめきながら進んでいく。
11:17分  大深岳着
 ここも風が強くて視界が悪い、急いで通り過ぎる。ここから500mほど下っていくと分岐が有る。そこが今回の縦走コースの入口になる。
11:30分  八瀬森分岐着
 登山道は幅が3mぐらいにササを刈り払ってある、これならずぶ濡れにならないで済みそうだ。左下がりの片斜面を進む、ササ原の中にオオシラビソの木々がまばらに生えている。そんな道がしばらく続いてから森の中に入る。どこまでも一定の勾配で下っていく、分岐から関東森までは標高差で330mほどあるが殆ど同じ勾配で一本調子で下っていく。
大深岳からルートを遠望する(2000年10月撮影)
葛根田大白森と秋田駒ケ岳 登山道は斜面の肩を通っている。
左下は葛根田川方面(2000年10月撮影)
11:47分  湿原1に着く
 関東森までの間に湿原は5ヶ所あるが最初の小さな湿原に着いた、直ぐに森の中に入る。
11:57分  湿原2に着く
 小さな湿原だ、直ぐに通過する。
12:00分  湿原3に着く
 広い湿原に出た、いくつかの池塘が見える。湿原の西端は小高くなっていて標高が1384m、晴れていれば、登山道を振り返って東側を眺めるとなだらかで広い尾根の上を歩いていることがわかる。原生林の上に大深岳、小畚山、三ツ石山が頭を出しているはずだ。今日は雨雲で全く展望が利かない、残念、、。森の中に入ってしまうと、位置感覚が判らなくなってしまう様な単調な道だ。
12:15分  急斜面の肩に出る
 左下がりの急斜面の肩に出た。左側は葛根田川の支流の沢に向かって落ち込み急斜面が一面笹原になっていて、笹原の下にも葛根田原生林が広がっている。右側はオオシラビソの原生林が続いている。正面になだらかな山頂が湿原になっているちょっと異様な感じの葛根田大白森が有り、その左手遥か遠方に秋田駒ケ岳が霞んで見えるはずだ。登山道は原生林と笹原の境目を通っている。刈り払いがしっかりしてあるので体にササが触ることはないので助かる。2〜300mほど進むと右手の森の中に入っていく。
12:27分  湿原4に着く
 小さな湿原にでた。湿原の道は至るところに水溜りが出来ていてまるでミズゴケの上を歩いているようだ。
12:39分  湿原5に着く
 まもなく広い湿原に着いた。新しい標柱が立っている標高1283m、昨年きた時はなかったので今年立てたようだ。ここからは登山道の正面に曲崎山が、そして山頂に通じる登山道も薄っすらと見えるはずだ。湿原は夏に来ればいろんな植物が楽しめるのだろうがもう晩秋、一面枯草色に変身してしまっている。
標高が下がってきて1230mぐらいからはダケカンバが混じってきた。標高1150mぐらいになるとオオシラビソが見えなくなって広葉樹の森になる。紅葉を楽しみながら歩いて行く。
13:22分  関東森着
標高1154、0m、大深岳から6、0km、松川温泉登山口から11、9km、八瀬森山荘まで1、3km
 全く平坦な所だ、登山道の通過点でしかないような所だが三角点が有る。直ぐ脇に新しい関東森の標柱が立っていた。天気は一向に回復の兆しがない、早く山荘に行って休もう。
13:50分  八瀬森山荘着
標高約1150m、松川温泉登山口から13、2km、鶴の湯温泉登山口から15、0km
 広い湿原、大場谷地に着いた。北に向ってなだらかに傾斜している。2ヶ月も前ならお花畑になっていたのだろうが一面の枯れ野原になってしまっている。湿原の東西の端に小川が流れている、この小川が水場のようだ水量は豊富だが生では飲めないだろう。
 小川をまたいで少し登った所に総二階建ての避難小屋が建っていた、まだ新しい。
今日は私が一番乗のようだ、1階の土間の中央には煙突に通じるフードが下がっているがストーブは無い。ガスコンロを置けるテーブルが有るだけだ。
湿原5から見た曲崎山
(2000年10月撮影)
大場谷地、林の中に山荘がある、
中央が登山道
八瀬森山荘正面
山荘二階、布団が有る
小屋の中は広い、定員が40人と地図に書いてあったがギュウギュウに詰めこんだら入れるだろう。何より嬉しいのはフトンが備え付けられていることだろう、10組ぐらいは有るようだ。これからの季節は助かる。
14:30分頃、鈴の音がしてきた、入ってきたのは一人、東京から高速バスを乗り継いで松川温泉口から登ってきた人だった。私の後から登って来たことになる。
 このコースは2回目、昨年は鶴の湯温泉口から登って八瀬森山荘一泊、2日目は八幡平まで歩いてバスに乗り東京に帰ったという。八幡平縦走路を一泊二日で走破したことになる。昨年はコースの刈り払いをしてなかったので背の低い私はササの上に顔だけ出して歩いたと言っている。今晩の泊りは二人だけのようだ。気温が下がってきた、室内で10℃、汗で湿っぽい体に冷気がしみ込んで来る。敷きフトンを敷きシュラフに入って布団を掛けて横になる、体にはカイロを4個貼ってみた。外からは風の音と時折屋根を叩く小雨の音だけが入ってくる。天候は回復してこない、18時に就寝する。
松川温泉登山口→2:44分→大深岳→2:33分→八瀬森山荘
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