2000、9月7日(木)
中沼登山口の林道終点から見た
天竺山(右)、岩山(中央)
岩山の左側を登って行く
尿前沢(本沢)渡渉点
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金明水⇒1:52分⇒本沢⇒17分⇒林道終点⇒15分⇒中沼登山口
金明水⇒2:24分⇒中沼登山口
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12:28分  金明水出発
金明水直登コースは金明水の涌き水の場所から始まっている。涌き水の流れ込む沢沿いにルートが出来ている。ササがしっかりと刈り払ってあるので歩きやすくてマイナーな登山道のイメージは無い。沢が次第に太くなり沢の中にルートが入っている部分が多くなってきた。登山道脇の木の枝に赤いテープが下がっているのでこの辺は迷うことはない。
 まもなくルートが広い沢のなかに入る、地図で見ると天竺沢のようだ。少しの間この沢の中を歩くことになるが、沢の中の岩に赤ペンキで目印が有る、木の枝にテープもあるが見落さないようにして進んでいく。沢の底は岩盤が剥き出しになっていて滑りやすい、水の流れの浅い所を選んで歩く。鳥の鳴き声がする、水の流れがまだまだ少ないので水音に邪魔されること無く渓谷に響いている。
沢の左岸にトタンの切れ端が木の枝にくくりつけてあった。天竺沢コースと書いてある。直登コースは沢の右岸方向に出ていくはずだがもっと沢を下るのか?右岸に気をつけて歩いて行く。今まで歩いてきた登山道とは全く違った雰囲気がする。人が足を踏み入れない場所、整備されていないルート、そんな感じだ。
金明水避難小屋正面
金明水の涌き水
岩盤剥き出しの天竺沢の中を歩いていく
 両岸を気を付けて見ているが、テープや岩に書かれた赤ペンキのしるしが全く見当たらない。もう少し行けば印があるのか?一般向きではないコースと地図には載っているくらいだから案内標識が無くても不思議はない。そろそろ金明水を出てから30分になる、沢が広くなってきた、両岸の草むらが増水した沢の水に押し倒された後がある。大雨の後には川原から1mぐらいの高さの所まで水量が増えるようだ。いきなり鉄砲水が襲ってくることは無いだろうが、次第に沢が深くなっていくので少し不安になってきた。沢の勾配もきつくなり水溜りを飛び越えるのにも危険になってきた。全く目印が無い。どうも変だ、道に迷ったらしい。時間の余裕も無くなってきたので引き返そう。天竺沢コースと書いてあったと言うことは、沢下りのコースかも知れない、中沼に向かうコースとは違うだろう。金明水まで引き帰して来た道を帰ろう、今から戻れば6時には中沼口に着けるはずだ。急いで今来た沢を引き返す。
 天竺沢コースの標識まで戻った。ここから上流には、ルートの目印が所々にある。つまりこのあたりからルートは右岸に入るということか?よし、少し右岸を探してみよう。標識の直ぐ近くに枯れた沢が有る、背丈まで伸びた草をかきわけて進んでみると、登山道が有った。ルートを見つけた。すっかり諦めていたが以外にあっさりと見かった。草が伸びて目印のテープが隠れてしまっていたのだ。ルートはしっかりとしていて目印のテープもぶら下がっている。ここからは大丈夫だろう。
見事なオクトリカブト
13:15分  天竺沢から抜ける
 30分ほど道に迷って時間をロスしてしまった。登山道で道に迷ったのは始めてだが、沢のルートの怖さを実感してしまった。早めに戻って良かった。
 沢から出ると登りになった。地図を見ると、これから天竺山の南に鋭く立っている1090mの岩山の西側を巻いていくようだ。所々に枝からテープが下がっているので安心だ。まもなく岩山に続く尾根に出た。
13:32分  岩山?分岐着
森の中の尾根を進んでいくと、分岐に出た。ここは1090mの岩山の中腹で直進すると岩山に登る道、右に曲がると中沼登山口だ、岩山に登ってみたいが、時間に余裕を持たせたいので今回は止めておこう。標識に書いてある文字がはっきりしない。青かな?、青岩?、、ここから右のコースに入っていくと急な下り坂になった、岩山の西側から、南側に向かって下りながら巻いていく。雑木林の薄暗い中を足場に気をつけながら下りていく。南側に出た。ここは大きな岩が崩れ落ちたガレ場だ、上を見上げると、絶壁が迫っている。あそこから落ちてきた岩だ。ここだけ木が生えていないので空が見える。もうすっかり曇っている、青空は一欠けらも見えない。岩の上を渡るようにして歩く。岩に赤ペンキの印があるのでルートに迷うことは無い。30m程でまた森の中に入っていくが、枝にはテープが下がっていた。道がしっかりしている。とてもマイナーな登山道とは思えないほどだ、踏み固められて土が出ている、登山者が多いようだ。地図に一般的では無いと書いてあるがどういうことだろうか?こんなに整備されているとは思わなかった。
しっかりした登山道
岩山下のガレ場を進む
13:49分  冷気の場着
 森の中を進んでいくと、ちょっとしたくぼ地があった。大きな岩がゴロゴロしていて地面に隙間が開いている。くぼ地の真中にさしかかった時に、ひんやりとした空気が漂ってきた。体がぞくっとする。地面の隙間から風が出て来るわけではないが、窪地の底に冷たい空気が溜まっているようだ。窪地を抜けるまでの少しの空間だけだった。こんな場所が他にもあったが、やはり窪地で、大きな岩がゴロゴロしていて、隙間から冷気が染み出していた。地面の中はどうゆう構造になっているのだろう?地下水の通り道になっているのだろうか。
 次第に右側の斜面が沢に落ち込んで登山道が尾根の道になってきた。沢の水音が聞こえてきた。沢と平行に下っているようだ。森の中の道だが両側が下がっているので視界が効く。道は歩き易く踏み跡もしっかりしている。沢の水音が次第に大きくなってきた。尾根から次第に下がって右肩下がりの斜面になってきた。この辺りは見事なブナ林が広がっている、太いものは直径が1、5mほどは有りそうだ。ホウの木の大木もあった。水の音が大きくなってきた、沢のほとりの急斜面を下って川原に下りる。
ブナの大木が有った
14:20分  尿前沢(本沢)着
 川幅は結構広い。10mぐらいはある。大きな岩がゴロゴロしている、背丈ほどもある石に流木が引っかかっている。今日の水量は多くは無いが増水時はとても渡れないだろう、雨の後はこのコースは避けた方が無難だ。川原を下流に向かってルートが続いている。岩に赤ペンキで印がついているので安心だが、天竺沢のこともあるので右岸に気をつけて歩いて行く。数十メートル下って、右岸にテープが下がっている。今度は案内がしっかりしていて、迷いそうなところは無かった。ここで沢から出て登りになる。少し湿っぽくて薄暗い道を進んでいく、回りの木々にカラマツが混じるようになってきた。どうやら林道が近いようだ。登山道が広くなりカラマツが多くなってくる、植林したカラマツ林だ。古くなって荒れた林道の面影がはっきりとしてきた。地面は砂利道になりススキも見える。ぽっかりと広場に出た。
14:37分  林道終点着
 広場には車3台ぐらい置ける、焚き火の跡もある。ザックを下ろして座り込む。振返ってみると天竺山とその脇に立っていた岩山が見える。空は高曇りになっていて、天竺山の頂上にはちぎれ雲がかかり始めている。来た道を引き返していれば今ごろは姥石平に着いた頃だ、今ごろ姥石平は雲の中だろうか?
ここからは、林道を下っていくのでもう安心だ。下るといっても勾配は小さいので標高差はいくらでもない。少し進むとまた駐車場があった。約7台分のスペースがある。ここまでは車が来ているようだ。しかし林道脇の草木が繁っているので、こすって傷がつく恐れは大きい。中沼登山口の駐車場に止めて歩いた方がいいようだ。
14:52分  中沼駐車場着
 無事、中沼口登山口に着いた。登山道で道に迷ったのは始めてだった、これもいい経験になった。山頂での天気が良かったので写真も撮れたし、来年登る予定の南本内岳の姿とルートも確認できた。なによりも金明水避難小屋までの直登ルートを確認できたことが大きな収穫になった。帰りに「ひめかゆ温泉」に入って汗を流すとしよう。
金明水直登コース
注 意
このコースには途中に2ヶ所の渡渉点が有りますので増水時には通ることは出来ません。焼石岳は夏場に天気の良い時でも午後になると雷雲が発生しやすいですので雷雨による突然の増水には注意が必要です。また天竺沢の渡渉点で私のように迷う人が結構居るそうです、そんな関係から一般的ではないコースと地図に記載されているようです。
↓天竺山
えんど
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