残された鉄柱 その1
ごくまれに廃線になった送電線の鉄塔や鉄柱を見る事が出来ます。
そのほとんどはプレートや回線番号札などの看板も付けられています。
この鉄柱も送電線が85年頃廃線になり未使用のまま残っています。
三枚橋線64号です。
最近では極めて珍しい赤字の回線番号札です。
現役では154KV佐久線にも使用されています。
三枚橋の文字に年期を感じます。この様な書き方は最近では見かけません。
三枚橋線は大正7年に建設の三枚橋発電所から小田原、平塚、厚木地区に
電力供給をしていた送電線です。
三枚橋発電所は箱根登山電車を強羅まで動かす為に建設されたものでその余剰
電力を動力、電燈用に供給していました。
また、小田急電鉄でも各所で電力供給を受けていました。
関東大震災後には関東へ進出を狙っていた日本電力が箱根登山鉄道を買収し
発送電設備も日電の物となり関東地区にも電力供給地域が出来ました。
その後日電は小田急電鉄(親会社は鬼怒川電力)も買収し黒部幹線の
豊多摩地区から橘樹地区まで66KVを建設する予定でしたが
200万以上の建設費がかかるとの事で採算が合わず
実現しなかった様です。
鉄柱の三枚橋線系統は小田原線、松田線、厚木線、伊勢原線?大竹線?等数多く有りましたが
80年代までに廃線や建替えされてしまい、取り残された鉄柱はこの1本だけになりました。