小型のウミスズメの仲間

写真リスト
ウミスズメ カンムリウミスズメ エトロフウミスズメ


「ウミスズメ類」

 ウミスズメと聞いてその容姿を思い浮かべることが出来る人はそれほど多くはないだろう。 それはバードウォッチャーやその研究者に違いない。

 しかし、ペンギンと聞くと誰もが首を縦に振る。 ウミスズメ類はペンギンとは異なるが、北半球のペンギンと言ってもいいような生活を送っている。 世界で約24種、海に囲まれた日本ではその2/3にあたる16種が記録されている。 世界的に見ても日本は恵まれた環境にあるだろう。

 日本で繁殖している種類もいくつかあるが、ほとんどは冬期に日本にやってくる。 昔の人はこの鳥の渡りを理解できず、冬の間にたくさんいたウミスズメが春に繁殖地へ去って行くのをみて、 ウミスズメは夏の間は海に潜ってハマグリになってしまうと考えていたらしい。 同様な言い伝えがツバメにも知られ、逆にツバメは冬期には海に潜ってしまうと考えていた。

 繁殖は、通常人の入らないような断崖絶壁や離島などで行っている。 ウミスズメ類の巣立ちは1ヶ月程度が普通だが、 ウミスズメカンムリウミスズメは特異的で孵化後わずか2日で巣立ってしまう早成性である。 巣立った雛は親に連れられて断崖絶壁を転げ落ちながら、海へと向かっていく。 自分の何倍もの高さのある崖を転げ落ちながら一生懸命海へと向かうその姿は、感動的でさえある。

 冬期東京から北海道へ向かう航路に乗ると、多くのウミスズメ類たちに出会うことが出来る。 その中でも興味深いものがエトロフウミスズメだ。 冬は群れで行動しており、大きな群れにぶつかるとその数は数千羽を越える。 それらが群翔するさまはまるで黒いじゅうたんのようだ。 もちろん他の種類もちょこちょこ見ることができる。

 しかし、これらウミスズメ類は潜るのがとってもうまい。 こちらが気付くより早く潜ってしまうことも少なくなく、識別する間もない。 まったくバードウォッチャー泣かせだ。

(KUBOTA)

 蛤になっちゃうとは、まったくおめでたい奴らです。 蜃気楼は蜃という大蛤が見ている夢だという伝説があります。

 ウミガラスだったら大きな蛤になって、いい夢を見せてくれるかもしれませんね。(^.^)

(FUKAGAWA)


● ウミスズメ ( Synthliboramphus antiquus )

天気が荒れると波崎の港にいろいろな海鳥が入ることがあります。 このときはウミスズメでした。 コンクリの岸壁に腹這いで待っていたら近づいてくれました。 目がけっこう後ろの方についているので、変な顔ですよね。
(FUKAGAWA)

【撮影者】 M.FUKAGAWA 【データ】 1988年3月21日 茨城県波崎        NikonF3 ED400mmF3.5 KR


● カンムリウミスズメ ( Synthliboramphus wumizusume )

むかしむかし、九州へツルを見に行ったときのことです。 良くあることですが、いるものを見つくして種類数稼ぎに奔走していました。 そんなとき海岸の崖の上から、平泳ぎするカンムリウミスズメを見つけました。 なんで平泳ぎかって? スイッスイーッというリズムと動きが平泳ぎなんです。 みんなで「平泳ぎだ、平泳ぎだっ!」とはしゃいでしまいました。
(FUKAGAWA)

【撮影者】 Y.KUBOTA 【データ】 1995年5月3日 宮崎県        Pentax Z-1 FA macro 100mm F2.8 RVP


● エトロフウミスズメ ( Aethia cristatella )

落鳥した個体を雪上で撮影したものです。 インディアンの羽飾りみたいな冠羽がかわいいでしょ。 でも大型フェリーからだと、なかなかここまでは見えません。
(FUKAGAWA)

【撮影者】 M.FUKAGAWA 【データ】 1978年3月 北海道根室   PentaxSP タクマー50mmF1.8 KR


次は、華麗なツノメドリの仲間 です。