新シリーズ ニュージャージーの野鳥

カンディアン・ロッキーの動物たち

  「哺乳類は夜行性なので, なかなか人目に触れるところに出てこない.」 というのが,日本での常識でしょう. ところが,ここでは違いました. カルガリー空港からレンタカーで出発すると, 道路わきの土手にはプレーリードックが立ち上がって並んでいました. そして,ロッキー山脈に入ると次から次へと道路際で大型の動物たちに会う事が出来ました.

■ コロンビアジリス
  英名:Columbia Ground Squirrel
レイクルイーズに到着し, ビジターセンターの駐車場に入ると,すぐ後ろで彼らがこちらをのぞいていました. レイクルイーズやバンフ郊外で建物や池の周囲の空き地に巣を作っています. 場所によっては人に慣れていて近寄っても逃げないものがいます.
■ キンイロジリス
  英名:Golden-mantled Ground Squirrel
シャトー・レイクルイーズの前,湖畔に近い岩場に巣を作っているようでした. 岩の間から道路などにも出てきてくれます. コロンビアジリスよりは小さくて,背中にシマ模様があり,シマリスに似ています.

■ キタリス
英名:Red Squirrel

バンフの周囲でよく見ました. 写真はボウ滝の横の遊歩道で撮ったものです. 日本のエゾリスと同じ種(亜種ですが)らしいです. NJにもキタリスは分布しているようですが, プリンストン近郊で見るのはトウブハイイロリス(Eastern Gray Squirrel)です. トウブハイイロリスには,黒いタイプがいますが, プリンストン市内でよく見ました.
■ アメリカクロクマ
英名:Black Bear

クマはこのアメリカクロクマと グリズリーといわれるハイイログマ(ヒグマと同一種)の2種類いますが, こちらだけ見られました. 写真は,アイスフィールドパークウェイのジャスパー手前20kmくらいの場所です. もう一度,今度は同パークゥエイのレイクルイーズに近い場所で親子を見ました. この時は暗かったので写真は撮れませんでした.

【観察のポイント】
 道路はほとんどの場合,南東から北西の斜め方向に走っています. そのため,南に面して日当たりがいいのは,北上する場合の道路の右手動物の8割以上はこちら側に出現しました. (日当たりが良い→草がよく生える)

 左ハンドルの車の窓からカメラを出すので,南下しながらの方が撮りやすいです. 昼間でも出てくるとは言っても, やはり良い時間は夕方のようです. ここでは緯度が高いため日没が9時くらいになります. 8時過ぎから観察の本番という感じでした.


左の写真は,トランスカナダ・ハイウェイにかかる橋ですが, これは動物が渡る橋らしいです. 道路の両側も柵があり動物が道路に侵入できないようになっています. 下の写真は,夕方の旧道を横切るオオツノヒツジの群.

■ オジロジカ
  英名:White-tailed Deer

いわゆるシカタイプは,この2種類です. 慣れないと見分けるのは難しいですが, 双眼鏡でしっぽが見られれば分かります. 縦に黒いシマが入っているのがオジロジカです. バンフからレイクルイーズまである1号旧道で良く見ました. 写真にも写っていますが,白樺林が確率高いです. NJで一般的に見られるのもこのシカです.
■ ミュールジカ
  英名:Mule Deer

先だけ黒いのがミュールジカ. こちらの方が警戒心が薄いのか, 近距離で見られることが多かったです. 同じく旧道がポイントです. 写真はジャスパーでのものです. 初夏なのでオスがいても角はまだ伸びていません.

■ エルク
  英名:Elk

大型動物の中では最も多く見られます. バンフの住宅街にも入り込んでいました. 大きくて,おしりの上のほうまで白いのがポイントです. トランスカナダハイウェイでまず目にしたのがこれで, 大きいのでビックリしました. ワピチと同種で,北ヨーロッパではムースのことをエルクと呼ぶそうです.
■ ムース
  英名:Moose

ジャスパーからの帰り道, アイスフィールドパークウェイのサンワプタ渓谷のあたりで見ました. 午後8時半を過ぎていました,薄暗くなって動物が出てくる時間です. この中では最も大きい種類です. 見たのはこれ一回きりでした. シカの仲間では,カリブーが見られませんでした.

【動物観察の注意】
  とにかく,運転しながらきょろきょろ動物を探します. 初日は目が参ってしまい夕方には真っ赤に充血. 目薬を持っていけば良かったです. ということで,四六時中よそ見運転になるので危ないです. 「危ないのは当たり前でしょ?普通やらないっしょ」と思いますが, 広い道路で50kmに1つ信号があるかないか, 他に一台も車が無い場合がほとんどだとしたらどうでしょう? ついつい気が弛んでしまいます. なので周囲に車がいるかどうかは,ホントに気を付けてくださいね. いたら相当飛ばしてますから.

■ オオツノヒツジ
  英名:Bighorn Sheep

コロンビア大氷原からジャスパー方面へ少し行ったところ (サンワプタ渓谷)レイクルイーズから130km地点, 道路右側の岩場が良くいるポイントです. 10頭くらいの群がいました. 写真は,サンワプタ峠に出てきていた立派なオス. 他にも旧道バンフ近くで道路を横切っていく群に出会いました(上の写真).
■ イワシロヤギ
  英名:Mountain Goat

レイクルイーズから192km地点にある ミネラル・リックが確実なポイント. ジャスパーへ向かって道路の右手に白い地肌の場所(少し離れて2ヶ所)があります. 土に塩分が含まれていて,それをなめに来るのだそうですが, ほとんど居付いている状態でした.10頭くらいの群でした. サンワプタ渓谷もそうですが,動物が出てる時は見物の車が停まっているので 分かりやすいです.

■ ゴマフアザラシ
  英名:Spotted(largha) seal

もうひとつおまけで, ビクトリアのインナーハーバー,ジョンソン橋の下にいたゴマフアザラシです. バンクーバー島へは,ツワッセンからフェリーに乗りましたが, 航路でも岩場で昼寝するアザラシが見られました. ちょうどこの夏でしたか,日本ではアゴヒゲアザラシのタマちゃんが出現しましたね. 今はどこにいるのでしょうか?

  いかがでしたでしょうか?

どさくさに紛れで,日本の掲載種を2種も増やしてしまいました.

次回は再びNJに戻りまして 夏のSandy Hookです.お楽しみに!(CHINO)