音楽劇「ふたごの星」
原作/宮沢賢治 脚本・演出/佐藤 信 音楽/中村 透
美術/有賀二郎 衣装/江木良彦
チュンセあるいはボウセ/毬谷友子 
高田恵篤 津波信一 大鷹明良 具志幸大 奥儀朋恵
宮沢賢治が南の島を想定して書いた童話を音楽仕立てにして
沖縄のメロディを使っているのが面白い。
人間って生まれても、もう一人の自分が何処かにいるのではないか?
そうした不思議さを、このチュンンセとボウセの双子を演じる毬谷友子が
彼女の持ち味の童女的なものがうまく加味され、個性的な舞台を作り出している。
毬谷は一度聞いたメロディはすぐにピアノで弾ける絶対音感の持ち主であり、
宝塚歌劇時代から歌は上手だ。
そして、独特のフェアリー的雰囲気があるだけに、
双子の気持ちを独特の声でうまく演じた。
それを高田恵篤らが全体をうまくカバーしている。
舞台装置も簡単な装置で空や海の中を表現しており、
それが沖縄音楽とよくマッチしていた。
子供劇というが、こうしたフェアリー的で夢を感じさせる芝居が
あるということを改めて思い出させてくれた。
大劇団が大義を振りかざして、これがミュージカルだという今、
「双子の星」は、静かに音楽劇とはこういうものよと感じさせる。
宝塚歌劇時代、スカーレットを新人公演で演じただけに、
可愛さと美しさを持つ毬谷の演じる芝居に
子供たちを2時間余り見入らせていたのも、舞台が面白かった結果であろう。
何となくブロードウェイでロングランしている
「ザ・ファンタスティックス」を思い出した。
毬谷の個性を生かした芝居をもっと見せてほしい。
美しい、しかも痴女的女が演じる音楽劇的なものを。
 
     2001年8月13日 神戸アートビレッジセンター  ちゅ−太

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