レイ「え〜と、あなたの………ことを・……思うと・・………………………これってラブレター?」
レイ「しかもこんなにいっぱい!なんだかんだいってまこちゃんもてるじゃない〜」
つんつんと肘でまことを突つく。
まこと「…………最後の方をよく見てみなよ」
レイ「え〜と……・・舞野あすか?!これは佐屋みゆき・………」
まこと「そう・・……これはぜ〜んぶ女の子からのラブレターなの!!」
し〜ん・………………
気まずい雰囲気があたりをつつむ。
亜美「・・………あ、でもこんなにいっぱいの人に好かれるなんてすごいわ!まこちゃんって魅力的だもん」
亜美がなんとかフォローしようとするが。
まこと「ははは・・……いいよ亜美ちゃん。そんなフォローしなくても………・」
と、かなりへこみまくっていた。
亜美「そんなことない!まこちゃん可愛いし、とっても優しくて素敵よっ」
亜美が必死にまことを励ましている中、その原因を作ったレイはたくさんの手紙の一枚を
なにげなく見ていた。
レイ「あれ?………・・これって最後にまこちゃんの名前が書いてあるわ」
他の手紙と比べると、あきらかに古そうな感じの手紙にはかすれた字で
「木野まこと」と書いてあった。
まこと「え?まさかそれ………」
レイからその手紙を受け取ると、しばらく食い入るようにその文面を見て
椅子に座り込んだ。
亜美「どうしたの?まこちゃん」
心配そうにたずねる亜美。
まこと「この手紙・……………私が先輩に渡そうと思っていたラブレターだわ」
ぼそり、とまことがつぶやく。
レイ「先輩って、まこちゃんがいつもいってるあの先輩?渡そうと思ってたって?」
まこと「うん・………何度も渡そうと思ったんだけど、いつも土壇場で勇気が出なくて………結局
渡せなかったんだ。こんなとこに紛れ込んでいたなんてね」
机に置いた手紙を、懐かしそうに見つめるまこと。
雨の日も風の日も先輩に渡そうと握っていたのだろう、あちこちにシワが
でき、文字もかすれてしまっている。
しかしそこにはまことの淡い想いがはっきりを刻み込まれていた。
亜美「まこちゃん・……………」
一人の男性の事をここまで想うことができるまことに、亜美は感動していた。
まこと「さあ、しめっぽい話はおわりおわりっ!今日もはりきってお料理つくるからねっ!!」
立ちあがると、腕まくりをしながら台所にむかっていった。