都市法研究会とは

この会はどのようにして発足したのか

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  都市法研究会のお知らせ

 

平成30年10月の研究会(318回)

宮崎裕二 (弁護士)

 「重要裁判例にみるヤッカイな共有不動産の法律トラブル解決法」

 平成30年10月25日(木)PM6時から       

            会場:東急リバブル 本社 会議室

       渋谷区道玄坂1−9−5  

      渋谷スクエア A

連絡先―野々内―090−5198−0904

 

都市法研究会創立35年記念  &

鵜野和夫先生米寿記念 &

丸山英気先生傘寿記念 &

「不動産の評価、権利調整と税務」の第40版出版記念 パーティー

平成30年11月9日(金)PM6:30 から2時間       

       会場:エクセルホテル東急6階プラネッツルーム(渋谷マークシティ内)

連絡先―野々内―090−5198−0904

 

平成30年9月の研究会(317回)

柴田龍太郎 (弁護士、深沢総合法律事務所)

 「民法「債権法」の改正と不動産実務について(その4)」

平成30年8月の研究会(316回)

吉田修平 (弁護士)

 「民法「相続法」改正のポイントについて」

平成30年7月の研究会(315回)

柴田龍太郎 (弁護士、深沢総合法律事務所)

 「民法「債権法」の改正と不動産実務について(その3)」

平成30年6月の研究会(314回)

柴田龍太郎 (弁護士、深沢総合法律事務所)

 「民法「債権法」の改正と不動産実務について(その2)」

 

平成30年5月の研究会(313回)

柴田龍太郎 (弁護士、深沢総合法律事務所)

 「民法「債権法」の改正と不動産実務について(その1)」

 

平成30年4月の研究会(312回)

刈屋武昭 (一橋大学名誉教授、城西国際大学特任教授)

 「賃貸、分譲住宅の価格分析法について」

平成29年12月の研究会(311回)

丸山英気 (弁護士、千葉大学名誉教授)

  「二つのマンション法」

その後

丸山英気 の受賞(瑞宝中受賞)

 の 祝賀会と忘年会

会場は

エクセル東急ホテル渋谷:フォレストルーム

 

平成29年11月の研究会(310回)

合田裕志 (不動産鑑定士、林業技師(森林評価)補償業務管理士)

  「日本の山・森林の現状と林地の評価」

平成29年10月の研究会(309回)

塩沢誠一郎 (ニッセイ基礎研究所 社会研究部 準主任研究員)

  「生産緑地法改正と2022年問題」

  平成29年10月6日(金)PM6時から

平成29年6月の研究会(308回)

沼井英明 (弁護士)

  「固定資産税に関する近時の最高裁判例ついて」

平成29年5月の研究会(307回)

増田富夫 (貸ビル企画(株)専務取締役 その他)

  「東京貸ビル市場市場と銀座商業不動産について」

平成29年4月の研究会(306回)

馬場滋 ((株)日本広告経済社 取締役)

  「激変するマンション市場」

平成29年3月の研究会(305回)

田中昌樹 (大和ライフネクスト株式会社 マンション事業部)

  「大規模災害とマンション

―熊本地震、東日本大地震の事例を通じて

平成28年12月の研究会(304回)

鵜野和夫 (不動産鑑定士、税理士)

  「空き家&タワーマンションの税金あれこれ。」

平成28年10月の研究会(303回)

山口幹幸 (元・東京都都市整備局部長)

  「木造密集地域とは

   その整備の方向をどう考えるか。」

平成28年9月の研究会(302回)

秋山 英樹 (一級建築士)

  「地震による建物の被災診断の判定基準の実際」

平成28年7月の研究会(301回)

遠藤 温子 (弁護士)

  「民泊の現状とその法律問題について」

平成28年6月の研究会(300回)

太300回 記念祝賀会

  如水会館にて 平成28年6月3日

平成28年4月の研究会(299回)

太田 秀也 (麗澤大学経済学部特任教授)

  「賃貸住宅におけるサブリースについて」

平成28年3月の研究会(298回)

吉田 修平 (弁護士)

  「借地借家法改正への提言」

    〜建物譲渡特約付き借地権・事業用借地権・

     終身借家権について

平成28年2月の研究会(297回)

刈屋 武昭 (城西国際大学特任教授、一橋大学名誉教授)

  「商業用不動産施設の戦略的経営について」

平成28年1月の研究会(296回)

宮崎 祐二 (弁護士)

  道路(特に私道)と通行権の法律問題について

平成27年12月の研究会(295回)

鵜野和夫 (税理士、不動産鑑定士)

  横浜の傾斜マンションの建替え等に関する税務問題等

平成27年11月の研究会(294回)

篠原 二三夫 (ニッセイ基礎研究所、

         上席研究員)

  固定資産税再考―望ましくないこれ以上の負担増

平成27年10月の研究会(293回)

水口 俊典 ((社)都市農地活用センター理事、

        芝浦工業大学名誉教授)

  2022年問題についてー都市農地(生産農地)のゆくえ

平成27年9月の研究会(292回)

岡崎一浩 (愛知工業大学経営学部教授、日・米公認会計士)

 東芝の不適正会計のカラクリと監査法人の責任

平成27年7月の研究会(291回)

吉原祥子 (公)東京財団 研究員・政策プロデユーサー

 日本の土地制度の課題

  −10年後のために登記・実態把握を

平成27年6月の研究会(290回)

江 利紅 (中国華東政法大学法律学院教授)

中国における不動産登記制度について

平成27年5月の研究会(289回)

増田富夫 (株)デイック・エンタープライズ専務取締役

     「東京貸ビル市場の現状とこれからの動向」

平成27年4月の研究会(288回)

大木祐悟  旭化成不動産レジデンス(株)開発営業本部

      マンション建替え研究所 主任研究員

     「改正マンション建替え円滑化法の概要と課題

マンション敷地売却制度と容積率の緩和特例の創設」

平成27年3月の研究会(287回)

岡本政明  弁護士

     「不動産の所有権は放棄できない」

平成27年2月の研究会(286回)

小柳 春一郎  独協大学法学部教授

ナターシャアプリヌ フランス国立科学研究センター(CNRS)研究員

     「空き家・空き地・所有権放棄等の諸問題

      :フランスの例」

   平成27年1月の研究会(285回)

渡邊 浩滋  税理士・司法書士

     「税理士兼オーナーが本気で語る

      大家さん、地主さんから選ばれる

       パートナーとなる方法」

平成26年12月の研究会(284回)

鵜野和夫  不動産鑑定士・税理士

     「目前に迫った 相続税増税とその対策」

平成26年11月の研究会(283回)

杉森真哉  不動産還付コンサルタント/AFP

     「払い過ぎた固定資産税を取り戻す方法」

 平成26年9月の研究会(282回)

阿南逸郎  不動産鑑定士

     「不動産鑑定評価と不動産鑑定士の現状と課題

       ――危機的状況を如何に克服するか?」

平成26年7月の研究会(281回)

 福本泰  日本不動産研究所 顧問

     「立体道路〜虎ノ門ヒルズの事例」

平成26年5月の研究会(280回)

 山口幹幸  元・東京都都市整備局

     「首都高速大橋ジャンクション

      〜みち・まち・再開発一体型プロジェクトによる事業展開〜」

平成26年3月の研究会(279回)

 野呂瀬秀樹(株)ハウスメイトパートナーズ参事・不動産鑑定士)

小俣光一 (株)アーキファイブ代表取締役・一級建築士)

      「地域の空洞化を克服するために

        −ドイツの最新の建築事情に学ぶ」

平成26年2月の研究会(278回)

 大木祐悟(旭化成不動産レジデンス・マンション建替え研究所)

      「マンション再生の現場から」

      平成26年1月の研究会(277)

柴田龍太郎(弁護士)

      「民法改正の最新情報―不動産取引はどう代わるか」

平成25年11月の研究会(276)

秋山英樹(一級建築士)

      「アメリカの事例に見る空中権

         の考え方とその問題点を探る」

    平成25年10月の研究会(275)は

 鵜野和夫(税理士・不動産鑑定士)

      「 相続税の大増税がやって来る

        −どうやって財産を引継ぐか」

      都市法研究会の

  創立30周年記念パーティー

   日時:平成25年9月13日(金)午後6:00より

   場所:如水会館

  

平成25年7月の研究会(273回)は

 中島 裕之(前・国土交通省 国土交通政策研究所 研究官)

      (現・(株)建設技術研究所 東京本社 都市システム部)

「首都圏直下地震被害時の早期復旧のための空地確保・創出について」

平成25年6月の研究会(272回)は

 鵜野 和夫 (税理士、不動産鑑定士)

「借地権の税務―

  −税務特有の借地権の経緯とその実務について考える」

平成25年5月の研究会(271回)は

 植松 丘 (政策研究大学院大学客員教授)

「アベノミクスの不動産投資市場への影響について

平成25年4月の研究会(270回)は

 平松 弘光 (島根県立大学名誉教授)

「大深度地下使用法の今日的意義について

  −東京都の外郭環状道路やリニア新幹線の建設事業の具体化にあたって」

平成25年2月の研究会(269回)は

 八巻 淳 (清水建設 土壌環境事業部)

「土壌汚染浄化技術の比較

  −対策費用とメリット・デメリット」

平成25年1月の研究会(268回)は

 渋井和夫 (世田谷信用金庫 常勤理事)

「リバースモーゲージの現状と課題」

平成24年12月の研究会(267回)は

 大木 祐梧 (旭化成不動産レジデンス(株)開発営業部

         マンション建替え研究所 主任研究員)

「モンゴルの老朽マンションを視察して」

平成24年11月の研究会(266回)は

 松田 佳久 (創価大学法学部教授)

「居住用賃貸借契約における一時金について

平成24年10月の研究会(265回)は

 中村 創一郎 (株式会社Looop代表取締役)

「太陽光発電プラントビジネスの現状と将来性

―エネルギー革命のもたらす不動産市況の変動

平成24年9月の研究会(264回)は

 上原 由起夫 (成蹊大学法科大学院教授・弁護士)

「定期借家契約締結に先立つ説明書面の交付について」

     −最判平成22.7.16(判例時報2094p.58

平成24年7月の研究会(263回)は

 鵜野 和夫 (税理士・不動産鑑定士)

   「平成24年の不動産税制の改正」

     −難しくなる特例適用と陥し穽

平成24年6月の研究会(262回)は

 佐藤 均 (グローバルプロパテイ(株)代表取締役社長)

   「海外不動産投資の現状と将来」

平成24年4月の研究会(261回)は

 丸山英気 (千葉大学名誉教授・弁護士)

   「弁護士事始め」

      区分所有者の一人が、管理組合に無断でマンション入口のドア(共用部分)を拡大改造工事をした場合、管理組合は、原状回復(損害賠償)を求めることができるか。

平成24年3月の研究会(260回)は

 金子勉 (セントケアホールディング株式会社

経営企画本部 開発企画部)

   土地活用策としての介護施設事業について

     平成24年3月23日(金)

平成24年2月の研究会(259回)は

 牛木 啓貴 (不動産鑑定士・さくら綜合事務所)

   特例容積率適用地区制度による

    容積率移転取引と税務上の取扱い

     平成24年2月10日(金)

平成23年12月の研究会(258回)は

 岡崎 一浩 (愛知工業大学経営情報科学部教授、日・米公認会計士)

   オリンパスの粉飾決算をめぐって

        プリンストン債、DCF法から、プロフェッショナル倫理まで

     平成23年12月22日(木)

平成23年10月の研究会(256回)は

 江 利紅 (中国江西財経大学法学院副教授・比較法研究所長)

   中国におる土地収用法についてーその2

    2011年1月  中国で、「国有地上家屋徴収(収用)補償条例」が制定されたに関して

     平成23年10月14日(金)

平成23年9月の研究会(255回)は

 増田富夫 (株)ディック・エンタープライズ 専務取締役

   東京貸ビル市場の最近の動き

    平成23年9月26日(月)

平成23年8月の研究会(254回)は

 秋山英樹 (株)ユニ総合計画 代表取締役・一級建築士

   東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例

    (平成23年4月1日施行)について

   緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断の義務化

  平成23年7月の研究会(253回)は

 上原由起夫 成蹊大学法科大学院教授・弁護士

   最高裁の更新料判決(平成23715日判決)について

平成23年6月の研究会(252回)は

 吉田 浩 不動産鑑定士

鵜野和夫 不動産鑑定士

  大震災直後の土地税制、関東大震災関連の状況

平成23年5月の研究会(251回)は

 田村 誠邦 ((株)アークブレイン 代表取締役

        一級建築士、不動産鑑定士)

日時:平成23年5月24日(火)       

 

平成23年4月の研究会(250回)は

都市法研究会250回を記念する会

 

鵜野和夫先生の傘寿を祝う会

日時:平成23年4月8日(金)如水会館

 

 なお、当日のお土産の「大家さんの税金」に下記の誤植がありましたので、

お詫びと訂正をいたします。

 

(誤)「簡易課税制度選択届出書」を提出しておけば・・・・

 (正)「簡易課税制度選択届出書」を提出しないでおけば・・・・

 

 

 

 

 

平成23年2月の研究会(249回)は

江 利紅 (中央大学法学部講師・法学博士)

「中国の土地収用について」

平成23年1月の研究会(248回)は

勝木 雅治(不動産鑑定士)

「定期借地権の現状と課題

―事業用借地権、一般定期借地権の実態は

どうなっているか」

平成22年12月の研究会(247回)は

上原由起夫(成蹊大学法科大学院教授・弁護士))

「債権法改正と都市法」

日時:平成22年12月16日(木)PM6時       

平成22年11月の研究会(246回)は

曾我一郎(不動産鑑定士)

「ケイマン・チャリタブルトラスト・信託宣言

 ~不動産証券化の錬金術」

日時:平成22年11月9日(火)PM6時       

平成22年9月の研究会(245回)は

「抵当証券の終焉

  〜抵当証券は今?〜」

安井礼二(元・日本住宅金融)

日時:平成22年9月22日(水)PM6時       

平成22年8月の研究会(244回)は

「証券化不動産と収益価格

  DCF法の謎」(仮題)

鵜野和夫(税理士・不動産鑑定士)

コメンテーター

 佐藤一雄((株)サタスインテグレート 社長)

日時:平成22年8月27日(金)       

 

平成22年7月の研究会(243回)は

「賃貸住宅の原状回復紛争に係る

  少額訴訟の実態について」

大田 秀也((財)不動産適正取引推進機構 総括主任研究員)

平成22年6月の研究会(242回)は

「公共施設を含む再開発ビル・マンション等の

  敷地利用権に関する事例研究」

土井 健(相馬司法事務所 主任研究員)

平成22年5月の研究会(241回)は

「八っ場 57年の行方

―行政計画の変更と住民の生活補償」

田辺 愛壱(元・明海大学不動産学部教授)

平成22年4月の研究会(240回)は

 「固定資産税における土地評価の裁判例について」

坂野 辰(不動産鑑定士)

平成22年2月の研究会(239回)は

「完成間近のマンションの建築確認の取り消し判決をめぐって

丸山英気(弁護士・千葉大学名誉教授)

秋山英樹(一級建築士)

参考判決は、「都市法研究会とは」の次のページに掲載してあります。

高裁判決

地裁判決

平成22年1月の研究会(238回)は

「判例に見る不動産実務の留意点」

 津村 孝(潟cムラ総合研究所所長・

不動産鑑定士)著書に

「続・判例にみる不動産の取引価格」等

 

平成21年12月の研究会(237回)は

「不動産実務と行政訴訟について」

 森田義男(税理士・不動産鑑定士)

日時:平成211217日(木)

11月の研究会(236回)は

「不動産登記の知識―平成17年不動産登記法改正に関連して」

 佐野逸夫(土地家屋調査士)

日時:平成211118日(水)

9月の研究会(235回)は

「アパート・マンションの賃貸市場の現状とその経営戦略」

 浦田 健((財)日本不動産コミュニテイ代表理事)

日時:平成21928(月)

 

7月の研究会(234回)は

「サブプライム債の評価にかかる諸問題」

 岡崎一浩(愛知工業大学経営情報学部教授・米公認会計士)

日時:平成21年7月31日(金)に開催しました。

6月の研究会(233回)は

東京貸ビル市場の最近の動き(仮題)

 増田富夫(潟fイツク・エンタープライズ専務取締役)

日時:平成21年6月25日(木)に開催しました。

5月の研究会(232回)は

地価公示制度の現状と問題点(仮題)

 下崎寛(税理士・不動産鑑定士)

日時:平成21年5月29日(金)に開催しました。

4月の研究会(231回)は

不動産取引における土壌汚染について

 周藤利一((財)不動産適正取引推進機構 研究理事・調査研究部長)

日時:平成21年4月22日(水)に開催しました。

3月の研究会(230回)は

不動産鑑定評価の歴史的考察

 吉田浩(不動産鑑定士)

日時:平成21年3月24日(火)に開催しました。

    

   「丸山英気を囲む講演会」

日時;平成21年3月11日(水)PM4;00〜6:00

会場:中央大学市谷キャンぺーイン模擬法定

主催:中央大学法科大学院

 

2月の研究会(228回)は

   地価の推移と賃料について

    田原拓治(不動産鑑定士・桐蔭横浜大学法学部客員教授)

    田原都市鑑定株式会社のホームページは、こちらから

日時:平成21年2月20日(金)に開催しました。

 

1月の研究会(228回)はお休みにして、

 会長・丸山英気先生の古希を祝う会

  および

 古希記念論文集「マンション学の構築と都市法の新展開」出版パーテイ

  を、下記のように開催しました。

 日時:平成21年1月23日(金) 会場:如水会館 

 

   これまでの研究会は こちらに掲載

 

都市法研究会とは

 

この会は

この会は、都市法研究会という名称ですが、これまでの研修活動にかかげたように、

不動産に関する広汎な分野のなかから、そのときどきの興味あるテーマを取り上げ

会員の発表、また、講師の解説等を、約1時間ぐらい聴いて、その後、30分ぐらい自由に質疑、討議をする会です。

それでも言い足りない方々は近所の酒場の二次会で、談論風発・親交を深めるコースも選択できます。

 参加する常連会員は、大学教授、大学院生、不動産鑑定士、税理士、弁護士、司法書士、

土地家屋調査士、不動産業者、建設業者、証券業者、銀行員等々で広い分野から集まって、

わいわい、がやがや、やっています。

 入会金は無用、会費も無料です。

   来る者は、拒まず

   去る者は、追わず

 が、本会のモットーです。

 発表したいテーマがあれば、

世話役の 野乃内 邦夫 TEL:03-3341-6573 プログレス社 に連絡してください。

 

会長  丸山 英気

顧問  上原 由起夫

世話役 鵜野 和夫 

    野乃内 邦夫

    板坂 正人

    上野 俊秀

 

   左から、上原由起夫、丸山英気、鵜野和夫

 

この会はどのようにして発足したのか

 

出会い

 それは,紀州白浜の夕暮どきであった。ときは,昭和58(1983)530日。

古えから歌に詠まれた海の波間は,幻想的な色模様を映しだしていた。

 土地法学会の主催する「ナショナルトラスト」のシンポジウムと,

田辺市の市民団体「天神崎の自然を大切にする会」によるナショナルトラスト運動

によって保護されている天神崎の見学の終った後のひとときである。

 当時,潟tジタエ業(現・潟tジタ)に勤務していた私は,その前年,

この一帯の買占めと開発のため走り廻り,そして,挫折したことを想い浮かべていた

ようであった。

 その時,すでに,乱開発から環境保全へと時代が移り始めていたのである。

 ということを,なかば感傷的に,しかし,これからの開発は,などと想いに耽っていたとき,

突然,背中から声をかけられた。

 振り返って見たとき,すでに夕陽も海に落ち,たそかれとも見わけのつかない時刻であった。

 夕闇の中で,やがて目もなれてきて,その人の姿が見えてきた。

 それは,マンションに関する新進気鋭の法学者,

当時,横浜市立大学教授の丸山英気先生であった。

 

学問と実務とのマリッヂ

 丸山先生のお話しは,ごく短かくまとめてみると,

 「不動産についての学者の研究論文は,いろいろと読んだ。

また,議論も聞いた。この次は,現実の実務がどうしているのか。

そして,実務家がどのように考えて,どのように動いているのか。

それが知りたい。

そういう勉強会を作ってくれないか。」ということであった。

 私の方としては,大学は社会学部出身で,法律や会計などの基礎的な訓練を受けてはいないのに,

『不動産の評価・権利調整と税務』とか,『等価交換方式の計画と税務』とか,

また,『土地建物に関するすべての法律知識』など,まことしやかに書いた本を出版し,

それがそれなりの評価を得ていたことも内心じゅくじょたるところもあり

,実務家の理論を学者から見たらどうなのか,その批判も受けたいという気持も強かった。

 さらに,第一線で活躍している実務家と学者との共同研究が,地に根ざして琢磨して,

そして,理論的な裏づけをもった成果が得られることの期待もあった。

 

発足と会の運営

 そういうことで,この研究会が発足したのだが,この研究会の特徴は,

会則はなく,したがって,形式上の会長,役員また会員もいないし,会費もないという

ところにある。

 しかし,実質的には,会の中心には丸山先生があり,私が世話役として発足し

研究会の都度,そのテーマによってレポーターを探し,そのテーマに関心を持つ者が参加し,

4060分ぐらいのレポートをし,その後参加者が6090分ぐらい質問と意見発表をし

,参加者のうちの都合のつく者は,食事会でさらに自由な懇談をするという形をとっている。

一回限りの参加者もいれば,何回か参加するうちに常連になる者も増えてくるという形で,

自然に,かなり緩い結びつきであるが,

研究グループが形成されたという経過を辿っている。

そして,そういう運営がこれまで長続きした背景にもっている。

 

研究・検討と発表

 研究テーマとレポーターは,「都市法研究会小史」に掲げてあるが,

不動産を中心とした幅広い分野にまたがっており,その時代ごとの問題を映し出している。

昭和58(1983)の発足時には,マンションの問題を多角的な面からとりあげて

数回にわたって検討した。

昭和61(1986)には,『空中権・土地信託・抵当証券』

(丸山英気・鵜野和夫編)という本を清文社から出版している。

次いで平成4(1992)には,『定期借地権の法律・鑑定評価と税務』

を同じく清文杜から出版している。なおこのとき,本の編者名を書く必要もあって,

会の名を「都市法研究会」と名づけることにした

といういきさつもあった。

 その後,時代のテーマの移り変わりが激しくなり,

また,出版事情も厳しくなり,じっくり回を重ねて研究・検討しているうちに,

読者の関心が別のテーマに移るということになり,今までのような内容を

煮つめた本を出すことも難しくなっている。

しかし、会創立26年を迎える今年,タイムリーなテーマを会員各自が発表し,

関連研究者や実務者の批判の素材を提供し,それを受けた研究書、または、実務書として

出版したいと思っている。

このような形で実践的理論を深めていくのも、本会が期待されているものに、応える道

ではないかと,とも思っている。

 

会を支えたのは

 この会は会費を徴収していないので,その都度,無料で提供してもらえる会議室を

探し回ったこともあり,また有料の場合は実費を参加者が割勘で負担していたが,

平成元年頃からは東急不動産の会議室を無償で提供していただいており,

また,その手配を同社の板坂正人さんにしていただいており,この紙面を借りて謝意を呈します。

 また,当初は私が世話役をしていましたが,

ここ数年は「,プログレス」編集者の野々内邦夫さんにすべての手配をしてもらっており,

現在では私・鵜野和夫は「世話を焼かれる役」になっています。

 

 

裁判年月日 平成21 114日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決

事件番号 平20(行コ)217号

事件名 建築確認処分取消等請求、追加的併合申立控訴事件 〔新宿マンション訴訟・控訴審〕

裁判結果 原判決一部取消 文献番号 2009WLJPCA01149002

 

要旨

東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項による建築物が安全上支障がない旨の安全認定処分と建築基準法6条1項に基づく建築確認処分における違法性の承継
建築主事がした建築基準法6条1項に基づく建築確認処分が、東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項の接道要件を充たさないとして、違法であるとされた事例

裁判経過

上告審 平成211217 最高裁第一小法廷 判決 平21(行ヒ)145号

第一審 平成20 418 東京地裁 判決 平19(行ウ)336号・平19(行ウ)638号

出典

裁判所ウェブサイト

 

 

主文 
 
  控訴人A,同B,同C及び同Dを除く控訴人らの控訴に基づき, 
  (1) 原判決中東京都新宿区建築主事がE株式会社及び株式会社Fに対して平成18年7月31日付けでした建築確認処分(新都建(確)第号)の取消請求を棄却した部分を取り消す。 
  (2) 上記建築確認処分を取り消す。 
  控訴人A,同B,同C及び同Dを除く控訴人らのその余の控訴並びに控訴人A,同B,同C及び同Dの控訴をいずれも棄却する。 
  訴訟費用は,控訴人A,同B,同C及び同Dと被控訴人の間においては,被控訴人に生じた控訴費用のうち2分の1を同控訴人らの負担とし,その余の控訴費用は各自の負担とし,その余の控訴人らと被控訴人との間においては,第1,2審を通じ,同控訴人らに生じた費用の2分の1を被控訴人の負担とし,その余は各自の負担とする。 

 

事実及び理由 
 
第1 控訴の趣旨 
  原判決を取り消す。 
  東京都新宿区長が株式会社G及び株式会社Fに対して平成16年12月22日付けでした東京都建築安全条例4条3項に基づく認定処分(新都建建審第(認)号)を取り消す。 
  東京都新宿区建築主事がE株式会社及び株式会社Fに対して平成18年7月31日付けでした建築確認処分(新都建(確)第号)を取り消す。 
  東京都新宿区建築主事がE株式会社に対して平成18年7月31日付けでした各工作物確認処分(新都建(確)号及び同号)をいずれも取り消す。 
  新宿区建築審査会が第2事件控訴人らに対して平成19年6月11日付けでした裁決(新建審請第号)を取り消す。 
  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 
第2 事案の概要 
  東京都新宿区長(以下「新宿区長」という。)は,株式会社G及び株式会社F(以下「F」という。)に対して東京都建築安全条例(以下「本件安全条例」という。)4条3項に基づく認定(以下「本件認定」という。)をし,さらに,東京都新宿区(以下「新宿区」という。)建築主事が,E株式会社(以下「E」という。)及びFに対して本件認定に係る原判決別紙物件目録記載1の建築物(以下「本件建築物」という。)の建築計画に係る建築基準法6条1項に基づく建築確認処分(以下「本件建築確認」という。),並びにEに対して本件建築物の敷地(以下「本件敷地」という。)内の原判決別紙物件目録記載2の工作物(以下「本件工作物号」という。)及び同目録記載3の工作物(以下「本件工作物号」といい,本件工作物号と併せて「本件各工作物」という。)の各築造計画に係る同法88条1項,6条1項に基づく各工作物確認処分(以下,本件工作物号に係る確認処分を「本件工作物確認号」,本件工作物号に係る確認処分を「本件工作物確認号」といい,両者を併せて「本件各工作物確認」という。)をしたため,本件敷地の周辺に居住などする控訴人らが,新宿区建築審査会(以下「審査会」という。)に対し,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認の取消しを求める審査請求をしたところ,審査会は,これを棄却する裁決(以下「本件裁決」という。)をした。 
 本件は,控訴人ら並びにH管理組合(以下「管理組合」という。),I,J及びK(以上を併せて「一審原告ら」ということがある。)が,被控訴人に対し,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認並びに本件裁決の各取消しを求めた事案である。 
 原判決は,@本件認定の取消しを求める部分,A本件建築確認の取消しを求める部分のうち控訴人A,同B,同C,同D及び管理組合の請求に係る部分,B本件工作物確認号の取消しを求める部分のうち控訴人A,同L,同B,同M,同N,同C,同O,同P,同Q,同D及び管理組合の請求に係る部分,並びにC本件工作物確認号の取消しを求める部分のうち控訴人Nを除く一審原告らの請求に係る部分をいずれも却下し,一審原告らのその余の請求をいずれも棄却したので,控訴人らが控訴した(なお,一審原告らのうち,管理組合,I,J,Kは控訴しなかった。)。 
  本件における法令の定め,前提事実,争点及び当事者の主張の要旨は,下記3に当事者の当審における主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の2項ないし5項(原判決6頁20行目から同34頁13行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
  当事者の当審における主張 
  (1) 控訴人ら 
   ア 本案前の争点について 
    () 出訴期間について 
 a 行政不服審査法14条1項の「処分があったことを知った日」とは,処分の事実及びその内容を現実に了知した日である。本件においては,被控訴人から発せられた安全認定という処分があった事実及びその内容を知った日であって,何となく近くにマンションが建つらしいという噂話の類を知った日ではない。 
 b() 処分庁及びその上級庁である審査会は,「安全認定によって直ちに建築行為を開始し得るわけではなく,建築確認処分がされた際に,当該建築確認処分により法律上保護された利益を侵害された者は,建築確認処分に対して抗告訴訟を提起すればよい。」として,安全認定の処分性を否定し,「安全認定そのものの取消しを求めることは,そもそも法制度上できない。」と説明していた。 
  () また,前回裁決においては,審査会が裁決で教示まで行って管理組合の審査請求適格を認めていた。 
  () これらは,処分庁や審査会が間違った教示をしていたことにほかならない。そして,これらのことは,管理組合のみならず,本件マンションに居住する控訴人らや周辺に居住する控訴人らの等しく知るところとなっていたのであるから,控訴人らが直接審査請求をしなくても本件認定の取消しを求める争いの目的は達成できると考えたとしても特段不思議なことではないのである。したがって,行政不服審査法18条,19条の類推適用により,本件認定処分の取消しを求める審査請求期間の起算点は,平成18年9月8日の前回第1審判決によって本件認定が処分に当たるとの司法判断が示された時と解すべきである。 
    () 原告適格について 
 火災や大地震の際にどの程度の被害がどの程度まで波及するかは,当該地域の住宅の密集の度合い,周辺道路の幅員状況,消火活動の困難さの度合い等,諸般の要因を総合的に勘案しなければ結論は出ないのであって,建築物の高さと控訴人ら宅までの距離を単純比較して結論が出るものではない。 
   イ 本案の争点(本件建築確認の違法性)について 
    () 本件認定の違法について 
 a 違法性の承継について 
 本件安全条例4条3項の要件を充足せず,したがって,4条1項が要求する接道義務を充足していないという違法は,本件認定と本件建築確認に共通するものであるから,本件認定に対し訴訟の途を開き,その違法性を攻撃し得るからといって,本件建築確認取消しの訴えにおいて,その違法を攻撃し得ないと解すべきではない。本件認定について,審査請求,抗告訴訟を認めているのは,直ちにその違法の場合に行政庁にその是正の機会を与え,権利者の権利保護の簡便な途を開いただけであって,出訴期間内において訴訟上の手続を執らなかったからといって,本件建築確認取消訴訟において,先行する本件認定の違法を攻撃する機会を失わせる趣旨であるとは解されない。本件認定に対し審査請求等をせず,出訴期間を徒過したときは,当事者はもはや本件認定に対しその取消しを請求する権利を失うのであるから,その意味では確定的効力があるのであるが,その確定的効力は本件認定に存する違法を違法なしとして確定する効力があるものではない。 
 また,処分庁自身も本件認定の段階では建築計画は確定していないと弁明し,審査会自身も本件認定の違法性については建築計画が確定して本件建築確認がされた際に,審査請求ないし抗告訴訟が提起でき,その中で主張すればよいと述べていたという経緯に照らせば,本訴において,本件認定の違法性を主張できないとすることは,控訴人らの正当な主張立証の機会を全面的に奪うものである。 
 b 本件認定が違法であること 
  () 本件安全条例5条違反について 
 本件安全条例5条の基準は,申請者の利益のために明確な基準として定められていなければならないことはいうまでもないが,それだけでなく,当該処分によって不利益を受ける申請者以外の第三者が存在するような場合には,そのような第三者にとっても明確な基準として定められていなければならない。そうであってこそ,本件安全条例1条の目的である区民の利益保護,ひいては建築基準法1条の国民の生命,健康,財産の保護を全うできるのである。したがって,申請者以外の第三者も本件認定の違法事由として審査基準が設定されていなかったことを主張し得るものである。 
  () 特殊建築物該当性判断の遺脱 
 本件安全条例10条は,特殊建築物について安全規制を規定しているところ,「路地状部分のみによって道路に接する建築計画」の場合,まず先決法律要件として,申請建築計画が特殊建築物か普通建物かが判断されなければならない。しかし,本件認定は,新宿区長において先決法律要件を判断せず,建築主の申請に基づいて普通建物として本件認定をしたもので違法である。 
  () 本件安全条例4条1項は,避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うために8メートル以上道路に接することが必要であるとするものであるところ,同条3項の認定をするためには,同条1項と同等以上の安全性が確保されていなければならない。しかし,本件建築物に火災が発生した場合には,避難路は前面道路に通ずる敷地内通路(4メートル)に頼らざるを得ないところ,消防活動と居住者の避難行動が交錯し,大きな混乱が生じ,いずれの目的も達成できない事態となることが予想され,8メートル以上道路に接する場合と同等以上の安全性が確保されているということはできない。 
    () 1敷地1建物の原則について 
 エキスパンションジョイントは,構造体を物理的に分離しておく方法によって,構造体が相互に力学的影響を及ぼし合わないようにするところに本質があるのであり,だから建築基準法施行令81条2項においても,構造計算に当たっては,エキスパンションジョイント等の構造方法のみで接している当該建築部分は別な建物とみなすとされているのである。したがって,エキスパンションジョイントによる接続は構造上の一体性の根拠となり得るものではない。 
    () 本件建築物の主要用途について 
 共同住宅であるかどうかは,「本件建築物が不特定又は多数の人の通行の用に供する当該建築物の住戸の玄関に至る廊下,階段等の共用部分を有しているかどうか」を形式的に判断するだけではなく,根本にさかのぼって「規模,形状等を含め,本件建築物全体を総合的に勘案して,災害時に住人等が安全な場所まで避難するのに困難を生ずるおそれがあるかどうか」を実態的に判断すべきである。本件建築物の災害時における避難の安全性を判断するに,104〜111及び204〜211の16戸の住人は,災害時には消防活動用空地と被控訴人が主張する部分より奥の敷地部分を通行して避難しなければならないところ,当該奥の敷地は,幅員1.7〜2.2メートル程度であり,これは通常の共同住宅の廊下よりも狭隘であり,形も入り組んでいるから,住人等が錯綜して避難に困難を生ずるおそれがあり,安全を確保できないというべきである。 
  (2) 被控訴人 
   ア 本案前の争点について 
    () 出訴期間について 
 a 本件審査請求に行政不服審査法14条3項ただし書の正当な理由がないことは以下の事情から明らかである。 
  () 本件建築物の建設については,周辺住民らによる反対運動が平成16年11月頃から本格化しており,本件認定が行われたことについても周辺住民らに知れ渡っていた。 
  () 前回審査請求において,控訴人らが管理組合とともに審査請求人になることは十分に可能であった。 
  () 控訴人らは,平成18年9月8日の前回第1審判決の言渡しの前の同月5日に本件認定の取消しを求める本件審査請求を提起しているのであるから,本件認定の取消しを求める審査請求を審査請求期間内に提起することもできたはずである。 
  () 審査会は,前回裁決において,本件認定に処分性はないとの判断を示したが,控訴人らは,本件認定に処分性があるという見解に立っており,前回裁決の判断を認めたことはない。 
  () 控訴人ら代理人が作成した平成18年3月20日付けの「α屋敷森の開発に関する公開質問状(その2)」には,「近隣住民の多くは,・・・安全認定処分の取消訴訟を東京地裁に行っています。さらに建築確認が下りればその取消のための審査請求や訴訟を提起しようとしています。」と明記されている。 
  () 控訴人ら代理人が作成した平成18年3月20日付けの「上申書(その2)」には,「上申人らは,・・・本件安全認定処分を違法として東京地裁において裁判中でありますが」と明記されている。 
 b 控訴人らに行政不服審査法18条,19条が類推適用されるべき合理的根拠はない。新宿区長も審査会も,控訴人らに対して誤った教示やそれと同視されるべき行為をしたことはない。さらに,控訴人らは,前回審査請求において審査請求人ではなく,前回訴えにおいて原告でもなかったのである。控訴人らは,審査請求期間の起算点を前回第1審判決のあった平成18年9月8日とすべきであると主張するが,それ以前の同月5日に本件認定の取消しを求める本件審査請求を提起しているのであり,同主張と相容れない行動をしている。新宿区長は,前回裁決まで管理組合の審査請求適格を認めていたという事実はないし,審査会も前回裁決において行政事件訴訟法46条1に基づいて前回裁決の取消訴訟を提起できる旨教示したものにすぎないのであって,教示をしたことから管理組合の審査請求適格を認めていたものではない。 
    () 原告適格について 
 本件建築物と控訴人らの居住地との位置関係に照らして,原判決が本件建築確認等の取消について原告適格がないとした控訴人らには,原告適格がないことは明らかである。 
   イ 本案の争点(本件建築確認の違法性)について 
    () 本件認定が違法でないことについて 
 a 違法性の承継について 
 違法性の承継が認められるか否かは,一連の手続において独立の争訟の対象となるような複数の行政処分を設けている立法趣旨がどのようなものであるかという各行政実体法規の解釈問題であるところ,本件安全条例4条3項の立法趣旨等は次のとおりである。すなわち,東京都建築安全条例の一部を改正する条例(平成11年3月19日東京都条例第41号)による改正前の本件安全条例(以下「改正前安全条例」という。)4条3項は,「前2項の規定は,建築物の周囲に広い空地がある場合その他土地及び周囲の状況により安全上支障がない場合においては,適用しない。」と規定しており,建築主事が建築基準法6条1項の建築確認をする際に改正前安全条例4条3項に該当するかどうかの判断をしていた。 
 しかし,平成10年法律第100号による建築基準法の改正で,指定確認検査機関による確認検査制度が導入されたことにより,上記安全条例の一部を改正する条例は,建築主事が判断してきた「ただし書」等の規定のうち,敷地周辺の状況などを含めて判断することが必要な規定の適用については,適正な審査が必要であるため,知事の認定によることとした(これを以下「本件改正」という。)。そこで,本件安全条例4条3項においても,敷地周辺の状況などを含めて判断することについて適正な審査が必要であるとして,知事の認定とされたものである。 
 そして,この知事の認定は,申請者の法的地位に重大な影響を与えるものであり,申請個々人に対する権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものというべきであるから,抗告訴訟の対象となる処分に該当するものと解されている。 
 上記のとおりであるから,建築主事又は指定確認検査機関は,本件安全条例4条3項に該当するかどうかの判断については,同項に基づく知事の認定という公定力を有する判断に基づいて建築基準法6条1項の建築確認をすることとなる。したがって,建築主事又は指定確認検査機関が建築基準法6条1項の建築確認をする際において,本件安全条例4条3項に基づく知事の認定が違法かどうかということが問題となる余地はないのであって,これを問題としなければならないとするならば,本件安全条例4条3項に基づく知事の認定は意味がなくなるのであり,本件安全条例4条3項が適正な審査が必要であるために知事の認定とした趣旨を没却することになる。よって,仮に本件認定に違法があったとしても,その違法が本件建築確認に承継される余地はない。また,違法性の承継を認めるか否かは,上記のとおり各行政実体法規の解釈問題であるから,控訴人らの主張する主張・立証の機会の確保の必要性というような事情は違法性の承継を認めるべき根拠となるものではない。 
 b 本件認定が違法でないこと 
 新宿区長は,@建築基準法の道路と同じ機能を有する道路状空地(以下「本件通路」という。)が設けられること,A本件建築物は容積率112.3%,建ぺい率42.2%と規模が小さいこと,B本件建築物の周囲に避難通路(以下「本件避難通路」という。)が設けられており,2階にバルコニーや避難梯子を設けて各住戸からそこに出られるようにしていること,C中庭が設置されること,D本件建築物が耐火建築物であること,E前面道路と本件通路が120度以上の角度で交わり,また,接道の長さが8.9メートルあること等を考慮して,本件認定をしたものであるから,本件認定に違法はない。 
    () 1敷地1建物の原則について 
 本件建築物のようなコの字型に配置された建築物については,各部分の壁面を固着すれば,各部分が地震などの揺れに対して相互に影響を及ぼし合い構造耐力上の安全を確保できないため,各部分の壁面を固着しないでエキスパンションジョイントで接続して構造耐力上の安全を確保するのが一般的・合理的であり,通常の工法である。 
    () 本件建築物の主要用途について 
 共同住宅と長屋とは,不特定又は多数の人の通行の用に供する「階段,廊下等の共用部分」を有しているか否かによって区別されるのであり,「区分所有法2条4項の共用部分」を有しているか否かによって区別されるのではないし,多数の者が居住することから直ちに共同住宅であると解すべき合理的根拠はない。控訴人らは,長屋と共同住宅の区別について「規模形状等を含め,本件建築物全体を総合的に勘案して,災害時に住人等が安全な場所まで避難するのに困難を生ずるおそれがあるかどうか」を実態的に判断すべきであると主張するが,上記のような実態的な判断をすべき根拠はなく,また,上記のような不明確・不明瞭な見解によって長屋と共同住宅を区別することは不可能である。 
第3 当裁判所の判断 
  本件認定の取消しを求める訴えの適法性について 
 当裁判所も,本件訴えのうち本件認定の取消しを求める部分は出訴期間を徒過した不適法な訴えであると判断する。その理由は,原判決35頁13行目から22行目までを次のとおり改めるほか,原判決の「第3 争点に対する判断」の1項(原判決34頁15行目から同39頁3行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
 「また,証拠(乙35ないし38)によれば,本件敷地の近隣住民が中心となって平成16年11月ころから本件建築物の建築に反対するトラスト運動が開始され,ホームページを立ち上げ,広くトラスト基金への寄付を求めるなど大規模な反対運動が展開されていたのであり,その過程で,反対運動に関わる周辺住民らの間では,本件認定が行われたことも知れ渡ったものと推認されるところ,本件マンションに居住する控訴人らを除く控訴人らは,いずれも,本件認定に係る建築物の敷地である本件敷地の周辺に居住する者で,本件マンションに居住する控訴人らと共に,本件建築物の建設に反対していた者であると認められるのである(上記トラスト基金のパンフレットには,本件マンションに居住する控訴人Rのほか,控訴人N,同L,同M,同D,同C,同B,同Qが基金メンバーとして記載されている。また,平成18年3月20日付けの区長に対する公開質問状や新宿消防署長に対する上申書では,控訴人Rとともに,控訴人N,同L,同M,同D,同S,同Oが上申人として名前を連ねているのである。そして,控訴人Aも,周辺に居住する者であり,一審原告に名を連ねていることからみて,従前からこのような反対運動に関わっていたものと推認される。)。そうすると,本件マンションに居住する控訴人ら以外の控訴人らも,本件マンションに居住する控訴人らと同様に,平成17年1月12日ころには,ないしは遅くとも後記のように本件訴えのため訴訟委任状の作成がされるようになった平成18年3月30日ころまでには,本件認定がされたことを知ったものと推認するのが相当である(なお,本件訴えの訴訟委任状の作成日付けは,控訴人N,同O,同P及び同Qについては平成18年3月29日,同Mについては同月30日であるから,同人らがその各作成時点で本件認定がされたことを知っていたことは明らかである。)。」 
  控訴人らが本件建築確認の取消し及び本件各工作物確認の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有しているかどうかについて 
 当裁判所も,@控訴人A,同B,同C及び同Dは本件建築確認の取消しを求める訴えにつき原告適格を有しないが,その余の控訴人らは原告適格を有する,A控訴人S及び本件マンションに居住する控訴人らは本件工作物確認号の取消しを求める訴えにつき原告適格を有するが,その余の控訴人らは原告適格を有しない,B控訴人Nは本件工作物確認号の取消しを求める訴えにつき原告適格を有するが,その余の控訴人らは原告適格を有しないものと判断する。その理由は,原判決の「第3 争点に対する判断」の2項及び3項(原判決39頁4行目から同49頁11行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
  本件建築確認の違法性について 
 そこで,控訴人A,同B,同C及び同Dを除くその余の控訴人ら(以下,この項において単に「控訴人ら」という。)の請求に基づき,本件建築確認の違法性の有無について判断する。 
  (1) 本件建築確認と本件認定の関係について 
   ア 証拠(甲1の1ないし3,甲36,37,乙1,9,10,13,14)及び弁論の全趣旨によると,本件敷地は,別紙図面のように,約34メートルの長さの路地状部分のみによって道路に接しており,最小幅員約4メートルの道路状空地により外部の道路へ通じる計画になっている。接道部分の長さは前面道路に対して現況では8.9メートル(なお,道路境界線とみなされる線との接道の長さは8.169メートル)である。そして,そこに地上3階・地下1階・鉄筋コンクリート造・建築面積805.34平方メートル・延べ面積2823.09平方メートルの建物(ファミリータイプ29戸,ワンルーム1戸の合計30戸からなる。)を建築しようとするものである。建築物の形状はコの字型をしていて,東棟,南棟及び西棟部分からなるところ,3棟の壁面は固着させず,エキスパンションジョイントで接続することとされている。 
   イ() ところで,本件安全条例の第1章総則には以下の定めが置かれている(なお,続く第2章には,共同住宅などの特殊建築物について制限をより加重する規定が置かれている。)。 
 (路地状敷地の形態) 
 3条1項 建築物の敷地が路地状部分のみによつて道路(中略)に接する場合には,その敷地の路地状部分の幅員は,路地状部分の長さに応じて,次の表に掲げる幅員以上としなければならない。ただし,建築物の配置,用途及び構造,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合は,この限りでない。 

敷地の路地状部分の長さ

幅員

20メートル以下のもの

2メートル

20メートルを超えるもの

3メートル

  2項 耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物で延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は,それらの延べ面積の合計とする。)が200平方メートルを超えるものの敷地に対する前項の規定の適用については,同項の表中「2メートル」とあるのは「3メートル」と,「3メートル」とあるのは「4メートル」とする。 
 (路地状敷地の建築制限) 
 3条の2 前条第1項に規定する敷地で路地状部分の幅員が4メートル未満のものには,階数(主要構造部が耐火構造の地階を除く。第7条第1項において同じ。)が3(耐火建築物,準耐火建築物又は令第136条の2に定める技術的基準に適合する建築物の場合は,4)以上の建築物を建築してはならない。 
 (建築物の敷地と道路との関係) 
 4条 延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は,その延べ面積の合計とする。)が千平方メートルを超える建築物の敷地は,その延べ面積に応じて,次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。 

延べ面積

長さ

千平方メートルを超え,2千平方メートル以下のもの

6メートル

2千平方メートルを超え,3千平方メートル以下のもの

8メートル

3千平方メートルを超えるもの

10メートル

  2項 延べ面積が3千平方メートルを超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については,同項中「道路」とあるのは,「幅員6メートル以上の道路」とする。 
  3項 前2項の規定は,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては,適用しない。 
    () なお,本件安全条例4条3項の知事の権限は,特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例(平成11年東京都条例第106号)により特別区に委任され,新宿区においては新宿区長が行使することとされている(したがって,以下では,知事とあるのはすべて新宿区長を意味することになる。)。 
   ウ そうすると,本件敷地は,本件安全条例4条1項により,本来,道路に8メートル接しなければならないものである。しかも,本件安全条例3条の趣旨等にも徴すると,本件敷地のように,約34メートルもの路地状部分により道路に接している敷地で,路地状部分が途中から約4メートルの幅員しかなくなるという場合については,前面道路との接道部分が8メートルあるだけでは同項の求める接道の基準を充足していないものといわなければならない。同項の基準を充足するというためには,原則として路地状部分も8メートルの幅員があることを要するというべきである。 
 したがって,本件建築確認が適法であるというためには,1項適用の例外を定める同条3項に基づく本件認定がされていることが前提となるものである。 
  (2) 本件安全条例4条3項に基づく知事の安全上支障がないという認定(なお,以下これを「安全認定処分」という。なお,安全上支障がなく1項,2項の規定を適用しないという判断そのものを「安全判断」ということがある。)の違法を建築確認の取消事由として主張できるかについて 
   ア まず,安全認定処分は,以下のとおり,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。すなわち,建築基準法43条1項本文は,「建築物の敷地は,道路(中略)に2メートル以上接しなければならない。」,同条2項は,「地方公共団体は,(中略)延べ面積(中略)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員,その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と定めている。この建築基準法43条2項を受けて,本件安全条例4条は,一定以上の延べ面積を有する建物について制限を加重しているものである。したがって,安全認定処分の申請をした者は,知事が安全認定処分をした場合には,建築基準法42条1項の規定する幅員4メートル(特定の区域内では6メートル)以上の道路に2メートル以上接しなければならないという同法43条1項本文所定の制限を受けるにとどまるのに対し,知事が上記認定をしなかった場合には,本件安全条例4条1項及び2項の規定に基づくより厳しい接道の規制を受けることとなり,その結果,建築基準法43条1項所定の接道の要件を満たすものの,本件安全条例4条1項及び2項所定の接道要件を満たすことができない場合には,建築確認を受けることができないことになるものである。このような点にかんがみると,知事の安全認定処分は,申請者の法的地位に直接影響を与えるものであり,申請者個々人に対する権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものというべきであり,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。 
   イ() このように,安全認定処分は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されるから,たとえこれに違法があったとしても,それ自体の取消訴訟などによって公定力が排除されない限り,原則として,安全認定処分を前提としてされる後行の行政処分(建築確認)の取消事由としてその違法を主張することは許されない筋合になるものである。 
    () しかしながら,安全認定処分については,後行の建築確認との関係で,以下の点を指摘できる。 
 本件安全条例4条1項ないし3項の関係をみると,1項,2項は避難や通行の安全上求められる接道の長さや道路の幅員の基準を定め,3項はその適用についての例外を定めるものということができる。このように,いわば1,2項は本文,3項はただし書の関係にあるもので,本来,同一の行政庁が両者を一体として判断することが自然であるということができるものである。現に改正前安全条例4条3項においては,「前2項の規定は,建築物の周囲に広い空地がある場合その他土地及び周囲の状況により安全上支障がない場合においては,適用しない。」と定めており,建築主事が建築確認において一体のものとして判断する仕組みになっていた。ところが,建築基準法の一部を改正する法律(平成10年法律第100号)により,それまで建築主事が行ってきた建築確認・検査業務を新たに民間機関(指定確認検査機関)でも行えるようになったことが契機となって,改正前安全条例が改正され,建築物の設計内容のような客観的な判断には馴染みにくい3項の安全判断については,これを知事が別途認定する仕組みが採られるようになったものである。 
 これにより,本件安全条例4条1項の規定の適用を受けないで建築確認を得ようとする者は,まず知事に対して安全認定処分の申請をし,知事が安全認定処分をした場合には,建築主事は,それを前提として,本件安全条例4条1項,2項適合性の判断はしないという仕組みになったものである。なお,知事により安全認定処分がされた場合,申請者に通知はされるが,建築確認(建築基準法89条参照)の場合のようにこれを外部に表示する措置等は義務付けられていない。 
    () このように,本件安全条例においては,4条1項,2項の接道義務適合性を判断する権限と3項の安全判断をする権限とが行政機関内部で分かれることになったが,1項,2項と3項との,原則と例外の関係にあるという性質は変わっていないものである。本件改正により判断権限が知事と建築主事とで分属されるようになった趣旨は,3項の安全判断を民間の機関に判断させるのはふさわしくないということにあるのであり,安全判断部分を先に判断しそれを確定させた上で建築確認に進むという仕組みを採らないと特に不都合があるという趣旨からされたものではないのである。また,知事が本件安全条例4条3項に基づき安全認定処分をしたとしても,建築確認に際して建築主事ないし指定確認検査機関が当該建築物を共同住宅等の特殊建築物に当たると判断すれば(なお,建築物が共同住宅などの特殊建築物に当たるかどうかという判断は,建築物の設計内容等により客観的に判断できるものであり,建築確認において建築主事ないし指定確認検査機関が最終的に判断することになっているものと解される。),特殊建築物については本件安全条例第2章においてより厳しい制限が課されているのであるから,同項の安全認定処分はその効力を発揮しないことになるのである(すなわち,同項の安全認定処分は,建築確認の段階までは,その効力を発揮するかどうか確定しないものなのである。)。 
    () 上記のような点を考えると,本件改正により安全判断については別の行政庁が行政処分の形ですることになり,安全判断に対して独立した争訟の機会が付与されることになったが,それは申請者の権利保護のため争訟の機会を増やす趣旨のものと捉えるのが相当で,改正前と異なり建築確認の段階においてはもはや安全判断の違法を争うことをできなくするという趣旨までは含まれていないと解するのが相当である(このことは,安全認定処分は,建築確認と同様に,周辺住民にも大きな利害関係があるにもかかわらず,建築確認のようにこれを外部に表示する措置が義務付けられていないことからも裏付けられる。)。 
    () そうすると,安全認定処分がその取消訴訟で取り消され,公定力が排除されない場合においても,建築確認の取消訴訟においては,知事のした安全認定処分の違法を建築確認の取消事由の一つとして主張することができるというべきである。 
  (3) 本件認定の違法性について 
   ア そこで,本件認定が違法かどうかについて検討する。 
 上記のように,建築基準法43条2項は,「地方公共団体は,(中略)延べ面積(中略)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員,その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と定めているところ,これを受けて本件安全条例4条1項は,建物の延べ面積(すなわち,建築基準法にいう規模の特殊性)に着目して,千平方メートルを超える建築物につき,面積に応じて3段階に分け,段階的に接道の要件を加重している。このように建築物の延べ面積に応じて接道の要件を加重しているのは,建物の規模が大きくなると,それだけ当該建物に居住したり利用したりする人の数が増大し,また,火災による周囲への延焼の危険等も増大することが予想されることから,その規模に見合った,平常時における円滑な通行や災害時における避難,消火及び救助活動のための通路の確保を図ったものと考えられる。 
 そして,3項は,この1項の規定を適用しない例外について定めるものであるから,3項にいう「安全上支障がない」というのは,1項が求める接道の基準を充たすことで確保されるのと同程度に,平常時の円滑な通行のみならず災害時における避難,消火及び救助活動に支障を来さないような状況にあると判断できる場合であることを要するというべきである(なお,その判断においては,敷地の現状のみならず当該敷地の利用計画も勘案されることになろう。)。そのような判断ができる典型的な場合としては,3項の建築物の「周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により」という文言のとおり,道路に出なくとも直接,通行や避難等ができるような公共的空地(例えば公園)が敷地に接しているとか,敷地内に広い空地があり,道路に出なくともそこに避難が可能であるといったような場合が挙げられよう。 
 もっとも,建築物の周囲の空地の状況その他の土地及び周囲の状況により安全上支障がないと認める場合というその規定の仕方等からすると,その判断は,知事の専門的かつ技術的な裁量にゆだねられていると解される。 
   イ() そうすると,本件では,本件敷地につき認められる状況により,本件安全条例4条1項が求める接道の基準を充たすこと(上記のように,そのためには原則として路地状部分に8メートルの幅員の通路があることを要する。)で確保されているのと同程度に,平常時の通行のみならず災害時における避難,消火及び救助活動に支障がない状況にあると判断することが,明らかに合理的根拠を欠くもので,裁量権の逸脱濫用に当たらないかどうかという観点から検討する必要がある。 
    () 上記認定事実及び証拠(甲1の1ないし3,乙1,9,15,16)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 
 a 本件敷地は,1871.12平方メートルの別紙図面のような形状の土地で,約34メートルの長さの路地状部分により道路に接している。本件敷地は,第一種低層住居専用地域,準防火地域,第一種高度地区,指定建ぺい率60%,指定容積率150%の地域に属する。 
 本件敷地は,周囲の多くが崖になっていて,そこにはよう壁が設けられており,路地状部分を通る以外は外部に出ることは困難である。公園などの公共的空地が近接して存在するようなこともない。 
 b 本件建築物は,建築面積805.34平方メートル,延べ面積2823.09平方メートルの鉄筋コンクリート造,地上3階地下1階の建物で,戸数30戸(ファミリータイプ29戸,ワンルーム1戸)の住戸からなることが予定されている。各住戸は,それぞれ専用の玄関口から本件建築物の外に出る構造になっており,不特定又は多数の人が通行の用に供する廊下,階段等の共用部分は存在しない。なお,本件建築物の容積率は112.3%であり,建ぺい率は42.2%である。 
 c 本件敷地は,上記のように路地状部分で道路に接するが,路地状部分に有効幅員4メートルの道路状空地を設けて外部の道路への通路とすることとし(本件通路),これを緊急時の車両の通行経路及び本件建築物の住民等の避難経路として機能するものに位置付けている。なお,本件通路の延長は40メートルを超えるものとなっている。そして,特段,終端部分及び区間35メートル以内ごとに自動車の転回広場を設けるようにはされていない。また,前面道路との接道部分の長さは現況では8.9メートルである(道路境界線とみなされる線での接道の長さは8.169メートル)。本件通路と前面道路は120度以上の角度で交わっている。 
 d そして,本件建築物と隣地境界線の間には,東側で有効幅員2.5メートル,そのほかでは2メートルの空地を設け,緊急時の避難経路として機能するようにし(本件避難通路),かつ,これを本件通路に接続するように計画されている(別紙図面参照)。そして,各住戸部分の2階にはそれぞれバルコニーが設けられて,そこに避難梯子が設置され,それを使用して各住戸から本件避難通路に下りられるように計画されている。 
 e 東棟,西棟,南棟に囲まれた本件敷地の中央部分には東西約6メートル,南北約12メートルの空地(以下「中庭」という。)が設けられることになっている。この中庭は,各住戸の出入口に面しており,本件通路に通じている(別紙図面参照)。この中庭は消防活動に利用されることが予定されている。また,消火活動のため,本件敷地内に40トンの防火水槽が設置される計画になっている。 
    () 以上によると,本件建築物は延べ面積が2800平方メートルを超える建物で,接道の長さ8メートルを求められる建築物のうちでも規模が大きいものであるところ,本件敷地は,周りの多くが崖状になっていて,約34メートルもの長さの,最小幅員約4メートルの路地状敷地(本件通路)のみで道路に通じており(なお,本件通路をもって建築基準法の道路と同視できないことは,後記のとおりである。),それによるほか外部に避難,通行ができない構造になっているものである。本件敷地に近接して外部に通行したり,避難できる公共的空地があるとは認められない。そして,本件敷地内に災害時に避難するに足りるほどの空間があるとも認め難いものである。すなわち,中庭は,6メートル×12メートル程度の空間で,本件通路に連なる通路的部分であり,三方を本件建築物に囲まれているのであるから,そのような避難にふさわしい場所でないことは明らかである。本件避難通路も,せいぜい幅員が2メートル前後しかないから,そのような避難にふさわしい場所とはいえないものである。したがって,本件敷地につき,本件安全条例4条1項が求める接道の基準を充たすことで確保されているのと同程度に,平常時の通行のみならず災害時における避難,消火及び救助活動に支障がない状況にあると判断することは,明らかに合理的根拠を欠くものというべきである。 
    () これに対し,被控訴人は,@建築基準法の道路と同じ機能を有する本件通路が設けられること,A本件建築物は容積率112.3%,建ぺい率42.2%と規模が小さいこと,B本件避難通路が設けられており,2階にバルコニーや避難梯子を設けて各住戸からそこに出られるようにしていること,C中庭が設置されること,D本件建築物が耐火建築物であること,E前面道路と本件通路が120度以上の角度で交わり,また,接道の長さが8.9メートルあること等を考慮して,本件認定をしたものであるから,本件認定に違法はないなどと主張する。 
 しかしながら,本件通路は,一方の端が道路に接しておらず(袋地状道路),かつ,その延長は35メートルを超えており,終端及び区間35メートル以内ごとに自動車の転回広場が設けられているとは認められないのであるから,建築基準法42条1項5号,同法施行令144条の4第1項の定める「道に関する基準」に適合しないものであり,被控訴人の@の主張のように,本件通路をもって建築基準法42条1項の道路と実質的に同視することは困難であるというべきである。そうすると,本件通路があることは1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないというべきである。 
 また,Aの建ぺい率,容積率を低く抑えているという点も,本件建築物は延べ面積2800平方メートルと,接道の長さ8メートルを要求されている延べ面積2000平方メートルから3000平方メートルの建築物のうち規模の大きい方に属するものであるから,1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないものであるし(これに対し,2000平方メートルをわずかに超えるというような規模の建築物を考えると,規模の点も1項の基準を緩和するための一つの考慮要素になるといえる。),容積率,建ぺい率を低く抑えたことで,上記のように,本件敷地内に外部に出なくとも避難できるような空地が確保されたというようなことも認められないのであるから,災害時の避難路の確保等を目的とする1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。また,Bの本件避難通路が設けられ,2階にバルコニーや避難梯子を設けて各住戸からそこに出られるようにしているという点は,本件避難通路から直接外部に避難できるわけではなく,結局,道路延長が40メートルを超え,かつ,最小幅員約4メートルの本件通路を経なければ外部に避難ができないのであるから,同じく1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないというべきである。Cの中庭があることも,上記のように,中庭は災害時の避難にふさわしい場所とはいえないから,避難路の確保等を目的とする1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。そのほか,消火活動のため本件敷地内に40トンの防火水槽を設置する計画であることも,それによって直ちに災害時に外部に避難したり,外部からの消火,救助活動の必要がなくなるといえるようなものではないことが明らかであるから,1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。Dの本件建築物が耐火建築物であるということも,災害時の避難路の確保等を目的とする1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。その他,被控訴人の挙げる諸点を総合しても,直ちに1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないというべきである。 
    () 以上によれば,本件で,本件敷地に認められる状況に照らし,路地状部分に幅員8メートルの通路がある場合と同程度に安全上の支障はないと判断することには明らかに合理的根拠がないといわざるを得ないから,本件認定は,新宿区長が裁量権を逸脱濫用したもので,違法といわなければならない。 
  (4) 結論 
 そうすると,その余の点を判断するまでもなく本件認定は違法であるから,本件建築物は本件安全条例4条1項の接道要件を充足しないものということになる。そうすると,その余の点を判断するまでもなく(なお,本件建築物が特殊建築物に当たるとすると,本件安全条例第2章により更に制限が加重されることになるのである。),本件建築確認は違法になるというべきである。 
  本件各工作物確認の違法性について 
 当裁判所も,本件各工作物の建築確認はいずれも適法であるものと判断する。その理由は,原判決の「第3 争点に対する判断」の6項(1)(2)(原判決62頁1行目から同65頁13行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
  本件裁決の違法性について 
 当裁判所も,本件裁決は適法であるものと判断する。その理由は,原判決の「第3 争点に対する判断」の7項(1)ないし(4)(原判決65頁14行目から同74頁19行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
  結論 
 よって,控訴人A,同B,同C及び同Dを除く控訴人らの本件建築確認の取消請求は理由があるから,原判決中同請求を棄却した部分を取り消して,これを認容することとし,上記控訴人らのその余の控訴及び控訴人A,同B,同C及び同Dの控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 
 (裁判長裁判官 大坪丘 裁判官 宇田川基 裁判官 足立哲) 

 

 

裁判年月日 平成21 114日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決

事件番号 平20(行コ)217号

事件名 建築確認処分取消等請求、追加的併合申立控訴事件 〔新宿マンション訴訟・控訴審〕

裁判結果 原判決一部取消 文献番号 2009WLJPCA01149002

 

要旨

東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項による建築物が安全上支障がない旨の安全認定処分と建築基準法6条1項に基づく建築確認処分における違法性の承継
建築主事がした建築基準法6条1項に基づく建築確認処分が、東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項の接道要件を充たさないとして、違法であるとされた事例

裁判経過

上告審 平成211217 最高裁第一小法廷 判決 平21(行ヒ)145号

第一審 平成20 418 東京地裁 判決 平19(行ウ)336号・平19(行ウ)638号

出典

裁判所ウェブサイト

 

 

主文 
 
  控訴人A,同B,同C及び同Dを除く控訴人らの控訴に基づき, 
  (1) 原判決中東京都新宿区建築主事がE株式会社及び株式会社Fに対して平成18年7月31日付けでした建築確認処分(新都建(確)第号)の取消請求を棄却した部分を取り消す。 
  (2) 上記建築確認処分を取り消す。 
  控訴人A,同B,同C及び同Dを除く控訴人らのその余の控訴並びに控訴人A,同B,同C及び同Dの控訴をいずれも棄却する。 
  訴訟費用は,控訴人A,同B,同C及び同Dと被控訴人の間においては,被控訴人に生じた控訴費用のうち2分の1を同控訴人らの負担とし,その余の控訴費用は各自の負担とし,その余の控訴人らと被控訴人との間においては,第1,2審を通じ,同控訴人らに生じた費用の2分の1を被控訴人の負担とし,その余は各自の負担とする。 

 

事実及び理由 
 
第1 控訴の趣旨 
  原判決を取り消す。 
  東京都新宿区長が株式会社G及び株式会社Fに対して平成16年12月22日付けでした東京都建築安全条例4条3項に基づく認定処分(新都建建審第(認)号)を取り消す。 
  東京都新宿区建築主事がE株式会社及び株式会社Fに対して平成18年7月31日付けでした建築確認処分(新都建(確)第号)を取り消す。 
  東京都新宿区建築主事がE株式会社に対して平成18年7月31日付けでした各工作物確認処分(新都建(確)号及び同号)をいずれも取り消す。 
  新宿区建築審査会が第2事件控訴人らに対して平成19年6月11日付けでした裁決(新建審請第号)を取り消す。 
  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 
第2 事案の概要 
  東京都新宿区長(以下「新宿区長」という。)は,株式会社G及び株式会社F(以下「F」という。)に対して東京都建築安全条例(以下「本件安全条例」という。)4条3項に基づく認定(以下「本件認定」という。)をし,さらに,東京都新宿区(以下「新宿区」という。)建築主事が,E株式会社(以下「E」という。)及びFに対して本件認定に係る原判決別紙物件目録記載1の建築物(以下「本件建築物」という。)の建築計画に係る建築基準法6条1項に基づく建築確認処分(以下「本件建築確認」という。),並びにEに対して本件建築物の敷地(以下「本件敷地」という。)内の原判決別紙物件目録記載2の工作物(以下「本件工作物号」という。)及び同目録記載3の工作物(以下「本件工作物号」といい,本件工作物号と併せて「本件各工作物」という。)の各築造計画に係る同法88条1項,6条1項に基づく各工作物確認処分(以下,本件工作物号に係る確認処分を「本件工作物確認号」,本件工作物号に係る確認処分を「本件工作物確認号」といい,両者を併せて「本件各工作物確認」という。)をしたため,本件敷地の周辺に居住などする控訴人らが,新宿区建築審査会(以下「審査会」という。)に対し,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認の取消しを求める審査請求をしたところ,審査会は,これを棄却する裁決(以下「本件裁決」という。)をした。 
 本件は,控訴人ら並びにH管理組合(以下「管理組合」という。),I,J及びK(以上を併せて「一審原告ら」ということがある。)が,被控訴人に対し,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認並びに本件裁決の各取消しを求めた事案である。 
 原判決は,@本件認定の取消しを求める部分,A本件建築確認の取消しを求める部分のうち控訴人A,同B,同C,同D及び管理組合の請求に係る部分,B本件工作物確認号の取消しを求める部分のうち控訴人A,同L,同B,同M,同N,同C,同O,同P,同Q,同D及び管理組合の請求に係る部分,並びにC本件工作物確認号の取消しを求める部分のうち控訴人Nを除く一審原告らの請求に係る部分をいずれも却下し,一審原告らのその余の請求をいずれも棄却したので,控訴人らが控訴した(なお,一審原告らのうち,管理組合,I,J,Kは控訴しなかった。)。 
  本件における法令の定め,前提事実,争点及び当事者の主張の要旨は,下記3に当事者の当審における主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の2項ないし5項(原判決6頁20行目から同34頁13行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
  当事者の当審における主張 
  (1) 控訴人ら 
   ア 本案前の争点について 
    () 出訴期間について 
 a 行政不服審査法14条1項の「処分があったことを知った日」とは,処分の事実及びその内容を現実に了知した日である。本件においては,被控訴人から発せられた安全認定という処分があった事実及びその内容を知った日であって,何となく近くにマンションが建つらしいという噂話の類を知った日ではない。 
 b() 処分庁及びその上級庁である審査会は,「安全認定によって直ちに建築行為を開始し得るわけではなく,建築確認処分がされた際に,当該建築確認処分により法律上保護された利益を侵害された者は,建築確認処分に対して抗告訴訟を提起すればよい。」として,安全認定の処分性を否定し,「安全認定そのものの取消しを求めることは,そもそも法制度上できない。」と説明していた。 
  () また,前回裁決においては,審査会が裁決で教示まで行って管理組合の審査請求適格を認めていた。 
  () これらは,処分庁や審査会が間違った教示をしていたことにほかならない。そして,これらのことは,管理組合のみならず,本件マンションに居住する控訴人らや周辺に居住する控訴人らの等しく知るところとなっていたのであるから,控訴人らが直接審査請求をしなくても本件認定の取消しを求める争いの目的は達成できると考えたとしても特段不思議なことではないのである。したがって,行政不服審査法18条,19条の類推適用により,本件認定処分の取消しを求める審査請求期間の起算点は,平成18年9月8日の前回第1審判決によって本件認定が処分に当たるとの司法判断が示された時と解すべきである。 
    () 原告適格について 
 火災や大地震の際にどの程度の被害がどの程度まで波及するかは,当該地域の住宅の密集の度合い,周辺道路の幅員状況,消火活動の困難さの度合い等,諸般の要因を総合的に勘案しなければ結論は出ないのであって,建築物の高さと控訴人ら宅までの距離を単純比較して結論が出るものではない。 
   イ 本案の争点(本件建築確認の違法性)について 
    () 本件認定の違法について 
 a 違法性の承継について 
 本件安全条例4条3項の要件を充足せず,したがって,4条1項が要求する接道義務を充足していないという違法は,本件認定と本件建築確認に共通するものであるから,本件認定に対し訴訟の途を開き,その違法性を攻撃し得るからといって,本件建築確認取消しの訴えにおいて,その違法を攻撃し得ないと解すべきではない。本件認定について,審査請求,抗告訴訟を認めているのは,直ちにその違法の場合に行政庁にその是正の機会を与え,権利者の権利保護の簡便な途を開いただけであって,出訴期間内において訴訟上の手続を執らなかったからといって,本件建築確認取消訴訟において,先行する本件認定の違法を攻撃する機会を失わせる趣旨であるとは解されない。本件認定に対し審査請求等をせず,出訴期間を徒過したときは,当事者はもはや本件認定に対しその取消しを請求する権利を失うのであるから,その意味では確定的効力があるのであるが,その確定的効力は本件認定に存する違法を違法なしとして確定する効力があるものではない。 
 また,処分庁自身も本件認定の段階では建築計画は確定していないと弁明し,審査会自身も本件認定の違法性については建築計画が確定して本件建築確認がされた際に,審査請求ないし抗告訴訟が提起でき,その中で主張すればよいと述べていたという経緯に照らせば,本訴において,本件認定の違法性を主張できないとすることは,控訴人らの正当な主張立証の機会を全面的に奪うものである。 
 b 本件認定が違法であること 
  () 本件安全条例5条違反について 
 本件安全条例5条の基準は,申請者の利益のために明確な基準として定められていなければならないことはいうまでもないが,それだけでなく,当該処分によって不利益を受ける申請者以外の第三者が存在するような場合には,そのような第三者にとっても明確な基準として定められていなければならない。そうであってこそ,本件安全条例1条の目的である区民の利益保護,ひいては建築基準法1条の国民の生命,健康,財産の保護を全うできるのである。したがって,申請者以外の第三者も本件認定の違法事由として審査基準が設定されていなかったことを主張し得るものである。 
  () 特殊建築物該当性判断の遺脱 
 本件安全条例10条は,特殊建築物について安全規制を規定しているところ,「路地状部分のみによって道路に接する建築計画」の場合,まず先決法律要件として,申請建築計画が特殊建築物か普通建物かが判断されなければならない。しかし,本件認定は,新宿区長において先決法律要件を判断せず,建築主の申請に基づいて普通建物として本件認定をしたもので違法である。 
  () 本件安全条例4条1項は,避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うために8メートル以上道路に接することが必要であるとするものであるところ,同条3項の認定をするためには,同条1項と同等以上の安全性が確保されていなければならない。しかし,本件建築物に火災が発生した場合には,避難路は前面道路に通ずる敷地内通路(4メートル)に頼らざるを得ないところ,消防活動と居住者の避難行動が交錯し,大きな混乱が生じ,いずれの目的も達成できない事態となることが予想され,8メートル以上道路に接する場合と同等以上の安全性が確保されているということはできない。 
    () 1敷地1建物の原則について 
 エキスパンションジョイントは,構造体を物理的に分離しておく方法によって,構造体が相互に力学的影響を及ぼし合わないようにするところに本質があるのであり,だから建築基準法施行令81条2項においても,構造計算に当たっては,エキスパンションジョイント等の構造方法のみで接している当該建築部分は別な建物とみなすとされているのである。したがって,エキスパンションジョイントによる接続は構造上の一体性の根拠となり得るものではない。 
    () 本件建築物の主要用途について 
 共同住宅であるかどうかは,「本件建築物が不特定又は多数の人の通行の用に供する当該建築物の住戸の玄関に至る廊下,階段等の共用部分を有しているかどうか」を形式的に判断するだけではなく,根本にさかのぼって「規模,形状等を含め,本件建築物全体を総合的に勘案して,災害時に住人等が安全な場所まで避難するのに困難を生ずるおそれがあるかどうか」を実態的に判断すべきである。本件建築物の災害時における避難の安全性を判断するに,104〜111及び204〜211の16戸の住人は,災害時には消防活動用空地と被控訴人が主張する部分より奥の敷地部分を通行して避難しなければならないところ,当該奥の敷地は,幅員1.7〜2.2メートル程度であり,これは通常の共同住宅の廊下よりも狭隘であり,形も入り組んでいるから,住人等が錯綜して避難に困難を生ずるおそれがあり,安全を確保できないというべきである。 
  (2) 被控訴人 
   ア 本案前の争点について 
    () 出訴期間について 
 a 本件審査請求に行政不服審査法14条3項ただし書の正当な理由がないことは以下の事情から明らかである。 
  () 本件建築物の建設については,周辺住民らによる反対運動が平成16年11月頃から本格化しており,本件認定が行われたことについても周辺住民らに知れ渡っていた。 
  () 前回審査請求において,控訴人らが管理組合とともに審査請求人になることは十分に可能であった。 
  () 控訴人らは,平成18年9月8日の前回第1審判決の言渡しの前の同月5日に本件認定の取消しを求める本件審査請求を提起しているのであるから,本件認定の取消しを求める審査請求を審査請求期間内に提起することもできたはずである。 
  () 審査会は,前回裁決において,本件認定に処分性はないとの判断を示したが,控訴人らは,本件認定に処分性があるという見解に立っており,前回裁決の判断を認めたことはない。 
  () 控訴人ら代理人が作成した平成18年3月20日付けの「α屋敷森の開発に関する公開質問状(その2)」には,「近隣住民の多くは,・・・安全認定処分の取消訴訟を東京地裁に行っています。さらに建築確認が下りればその取消のための審査請求や訴訟を提起しようとしています。」と明記されている。 
  () 控訴人ら代理人が作成した平成18年3月20日付けの「上申書(その2)」には,「上申人らは,・・・本件安全認定処分を違法として東京地裁において裁判中でありますが」と明記されている。 
 b 控訴人らに行政不服審査法18条,19条が類推適用されるべき合理的根拠はない。新宿区長も審査会も,控訴人らに対して誤った教示やそれと同視されるべき行為をしたことはない。さらに,控訴人らは,前回審査請求において審査請求人ではなく,前回訴えにおいて原告でもなかったのである。控訴人らは,審査請求期間の起算点を前回第1審判決のあった平成18年9月8日とすべきであると主張するが,それ以前の同月5日に本件認定の取消しを求める本件審査請求を提起しているのであり,同主張と相容れない行動をしている。新宿区長は,前回裁決まで管理組合の審査請求適格を認めていたという事実はないし,審査会も前回裁決において行政事件訴訟法46条1に基づいて前回裁決の取消訴訟を提起できる旨教示したものにすぎないのであって,教示をしたことから管理組合の審査請求適格を認めていたものではない。 
    () 原告適格について 
 本件建築物と控訴人らの居住地との位置関係に照らして,原判決が本件建築確認等の取消について原告適格がないとした控訴人らには,原告適格がないことは明らかである。 
   イ 本案の争点(本件建築確認の違法性)について 
    () 本件認定が違法でないことについて 
 a 違法性の承継について 
 違法性の承継が認められるか否かは,一連の手続において独立の争訟の対象となるような複数の行政処分を設けている立法趣旨がどのようなものであるかという各行政実体法規の解釈問題であるところ,本件安全条例4条3項の立法趣旨等は次のとおりである。すなわち,東京都建築安全条例の一部を改正する条例(平成11年3月19日東京都条例第41号)による改正前の本件安全条例(以下「改正前安全条例」という。)4条3項は,「前2項の規定は,建築物の周囲に広い空地がある場合その他土地及び周囲の状況により安全上支障がない場合においては,適用しない。」と規定しており,建築主事が建築基準法6条1項の建築確認をする際に改正前安全条例4条3項に該当するかどうかの判断をしていた。 
 しかし,平成10年法律第100号による建築基準法の改正で,指定確認検査機関による確認検査制度が導入されたことにより,上記安全条例の一部を改正する条例は,建築主事が判断してきた「ただし書」等の規定のうち,敷地周辺の状況などを含めて判断することが必要な規定の適用については,適正な審査が必要であるため,知事の認定によることとした(これを以下「本件改正」という。)。そこで,本件安全条例4条3項においても,敷地周辺の状況などを含めて判断することについて適正な審査が必要であるとして,知事の認定とされたものである。 
 そして,この知事の認定は,申請者の法的地位に重大な影響を与えるものであり,申請個々人に対する権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものというべきであるから,抗告訴訟の対象となる処分に該当するものと解されている。 
 上記のとおりであるから,建築主事又は指定確認検査機関は,本件安全条例4条3項に該当するかどうかの判断については,同項に基づく知事の認定という公定力を有する判断に基づいて建築基準法6条1項の建築確認をすることとなる。したがって,建築主事又は指定確認検査機関が建築基準法6条1項の建築確認をする際において,本件安全条例4条3項に基づく知事の認定が違法かどうかということが問題となる余地はないのであって,これを問題としなければならないとするならば,本件安全条例4条3項に基づく知事の認定は意味がなくなるのであり,本件安全条例4条3項が適正な審査が必要であるために知事の認定とした趣旨を没却することになる。よって,仮に本件認定に違法があったとしても,その違法が本件建築確認に承継される余地はない。また,違法性の承継を認めるか否かは,上記のとおり各行政実体法規の解釈問題であるから,控訴人らの主張する主張・立証の機会の確保の必要性というような事情は違法性の承継を認めるべき根拠となるものではない。 
 b 本件認定が違法でないこと 
 新宿区長は,@建築基準法の道路と同じ機能を有する道路状空地(以下「本件通路」という。)が設けられること,A本件建築物は容積率112.3%,建ぺい率42.2%と規模が小さいこと,B本件建築物の周囲に避難通路(以下「本件避難通路」という。)が設けられており,2階にバルコニーや避難梯子を設けて各住戸からそこに出られるようにしていること,C中庭が設置されること,D本件建築物が耐火建築物であること,E前面道路と本件通路が120度以上の角度で交わり,また,接道の長さが8.9メートルあること等を考慮して,本件認定をしたものであるから,本件認定に違法はない。 
    () 1敷地1建物の原則について 
 本件建築物のようなコの字型に配置された建築物については,各部分の壁面を固着すれば,各部分が地震などの揺れに対して相互に影響を及ぼし合い構造耐力上の安全を確保できないため,各部分の壁面を固着しないでエキスパンションジョイントで接続して構造耐力上の安全を確保するのが一般的・合理的であり,通常の工法である。 
    () 本件建築物の主要用途について 
 共同住宅と長屋とは,不特定又は多数の人の通行の用に供する「階段,廊下等の共用部分」を有しているか否かによって区別されるのであり,「区分所有法2条4項の共用部分」を有しているか否かによって区別されるのではないし,多数の者が居住することから直ちに共同住宅であると解すべき合理的根拠はない。控訴人らは,長屋と共同住宅の区別について「規模形状等を含め,本件建築物全体を総合的に勘案して,災害時に住人等が安全な場所まで避難するのに困難を生ずるおそれがあるかどうか」を実態的に判断すべきであると主張するが,上記のような実態的な判断をすべき根拠はなく,また,上記のような不明確・不明瞭な見解によって長屋と共同住宅を区別することは不可能である。 
第3 当裁判所の判断 
  本件認定の取消しを求める訴えの適法性について 
 当裁判所も,本件訴えのうち本件認定の取消しを求める部分は出訴期間を徒過した不適法な訴えであると判断する。その理由は,原判決35頁13行目から22行目までを次のとおり改めるほか,原判決の「第3 争点に対する判断」の1項(原判決34頁15行目から同39頁3行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
 「また,証拠(乙35ないし38)によれば,本件敷地の近隣住民が中心となって平成16年11月ころから本件建築物の建築に反対するトラスト運動が開始され,ホームページを立ち上げ,広くトラスト基金への寄付を求めるなど大規模な反対運動が展開されていたのであり,その過程で,反対運動に関わる周辺住民らの間では,本件認定が行われたことも知れ渡ったものと推認されるところ,本件マンションに居住する控訴人らを除く控訴人らは,いずれも,本件認定に係る建築物の敷地である本件敷地の周辺に居住する者で,本件マンションに居住する控訴人らと共に,本件建築物の建設に反対していた者であると認められるのである(上記トラスト基金のパンフレットには,本件マンションに居住する控訴人Rのほか,控訴人N,同L,同M,同D,同C,同B,同Qが基金メンバーとして記載されている。また,平成18年3月20日付けの区長に対する公開質問状や新宿消防署長に対する上申書では,控訴人Rとともに,控訴人N,同L,同M,同D,同S,同Oが上申人として名前を連ねているのである。そして,控訴人Aも,周辺に居住する者であり,一審原告に名を連ねていることからみて,従前からこのような反対運動に関わっていたものと推認される。)。そうすると,本件マンションに居住する控訴人ら以外の控訴人らも,本件マンションに居住する控訴人らと同様に,平成17年1月12日ころには,ないしは遅くとも後記のように本件訴えのため訴訟委任状の作成がされるようになった平成18年3月30日ころまでには,本件認定がされたことを知ったものと推認するのが相当である(なお,本件訴えの訴訟委任状の作成日付けは,控訴人N,同O,同P及び同Qについては平成18年3月29日,同Mについては同月30日であるから,同人らがその各作成時点で本件認定がされたことを知っていたことは明らかである。)。」 
  控訴人らが本件建築確認の取消し及び本件各工作物確認の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有しているかどうかについて 
 当裁判所も,@控訴人A,同B,同C及び同Dは本件建築確認の取消しを求める訴えにつき原告適格を有しないが,その余の控訴人らは原告適格を有する,A控訴人S及び本件マンションに居住する控訴人らは本件工作物確認号の取消しを求める訴えにつき原告適格を有するが,その余の控訴人らは原告適格を有しない,B控訴人Nは本件工作物確認号の取消しを求める訴えにつき原告適格を有するが,その余の控訴人らは原告適格を有しないものと判断する。その理由は,原判決の「第3 争点に対する判断」の2項及び3項(原判決39頁4行目から同49頁11行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
  本件建築確認の違法性について 
 そこで,控訴人A,同B,同C及び同Dを除くその余の控訴人ら(以下,この項において単に「控訴人ら」という。)の請求に基づき,本件建築確認の違法性の有無について判断する。 
  (1) 本件建築確認と本件認定の関係について 
   ア 証拠(甲1の1ないし3,甲36,37,乙1,9,10,13,14)及び弁論の全趣旨によると,本件敷地は,別紙図面のように,約34メートルの長さの路地状部分のみによって道路に接しており,最小幅員約4メートルの道路状空地により外部の道路へ通じる計画になっている。接道部分の長さは前面道路に対して現況では8.9メートル(なお,道路境界線とみなされる線との接道の長さは8.169メートル)である。そして,そこに地上3階・地下1階・鉄筋コンクリート造・建築面積805.34平方メートル・延べ面積2823.09平方メートルの建物(ファミリータイプ29戸,ワンルーム1戸の合計30戸からなる。)を建築しようとするものである。建築物の形状はコの字型をしていて,東棟,南棟及び西棟部分からなるところ,3棟の壁面は固着させず,エキスパンションジョイントで接続することとされている。 
   イ() ところで,本件安全条例の第1章総則には以下の定めが置かれている(なお,続く第2章には,共同住宅などの特殊建築物について制限をより加重する規定が置かれている。)。 
 (路地状敷地の形態) 
 3条1項 建築物の敷地が路地状部分のみによつて道路(中略)に接する場合には,その敷地の路地状部分の幅員は,路地状部分の長さに応じて,次の表に掲げる幅員以上としなければならない。ただし,建築物の配置,用途及び構造,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合は,この限りでない。 

敷地の路地状部分の長さ

幅員

20メートル以下のもの

2メートル

20メートルを超えるもの

3メートル

  2項 耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物で延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は,それらの延べ面積の合計とする。)が200平方メートルを超えるものの敷地に対する前項の規定の適用については,同項の表中「2メートル」とあるのは「3メートル」と,「3メートル」とあるのは「4メートル」とする。 
 (路地状敷地の建築制限) 
 3条の2 前条第1項に規定する敷地で路地状部分の幅員が4メートル未満のものには,階数(主要構造部が耐火構造の地階を除く。第7条第1項において同じ。)が3(耐火建築物,準耐火建築物又は令第136条の2に定める技術的基準に適合する建築物の場合は,4)以上の建築物を建築してはならない。 
 (建築物の敷地と道路との関係) 
 4条 延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は,その延べ面積の合計とする。)が千平方メートルを超える建築物の敷地は,その延べ面積に応じて,次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。 

延べ面積

長さ

千平方メートルを超え,2千平方メートル以下のもの

6メートル

2千平方メートルを超え,3千平方メートル以下のもの

8メートル

3千平方メートルを超えるもの

10メートル

  2項 延べ面積が3千平方メートルを超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については,同項中「道路」とあるのは,「幅員6メートル以上の道路」とする。 
  3項 前2項の規定は,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては,適用しない。 
    () なお,本件安全条例4条3項の知事の権限は,特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例(平成11年東京都条例第106号)により特別区に委任され,新宿区においては新宿区長が行使することとされている(したがって,以下では,知事とあるのはすべて新宿区長を意味することになる。)。 
   ウ そうすると,本件敷地は,本件安全条例4条1項により,本来,道路に8メートル接しなければならないものである。しかも,本件安全条例3条の趣旨等にも徴すると,本件敷地のように,約34メートルもの路地状部分により道路に接している敷地で,路地状部分が途中から約4メートルの幅員しかなくなるという場合については,前面道路との接道部分が8メートルあるだけでは同項の求める接道の基準を充足していないものといわなければならない。同項の基準を充足するというためには,原則として路地状部分も8メートルの幅員があることを要するというべきである。 
 したがって,本件建築確認が適法であるというためには,1項適用の例外を定める同条3項に基づく本件認定がされていることが前提となるものである。 
  (2) 本件安全条例4条3項に基づく知事の安全上支障がないという認定(なお,以下これを「安全認定処分」という。なお,安全上支障がなく1項,2項の規定を適用しないという判断そのものを「安全判断」ということがある。)の違法を建築確認の取消事由として主張できるかについて 
   ア まず,安全認定処分は,以下のとおり,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。すなわち,建築基準法43条1項本文は,「建築物の敷地は,道路(中略)に2メートル以上接しなければならない。」,同条2項は,「地方公共団体は,(中略)延べ面積(中略)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員,その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と定めている。この建築基準法43条2項を受けて,本件安全条例4条は,一定以上の延べ面積を有する建物について制限を加重しているものである。したがって,安全認定処分の申請をした者は,知事が安全認定処分をした場合には,建築基準法42条1項の規定する幅員4メートル(特定の区域内では6メートル)以上の道路に2メートル以上接しなければならないという同法43条1項本文所定の制限を受けるにとどまるのに対し,知事が上記認定をしなかった場合には,本件安全条例4条1項及び2項の規定に基づくより厳しい接道の規制を受けることとなり,その結果,建築基準法43条1項所定の接道の要件を満たすものの,本件安全条例4条1項及び2項所定の接道要件を満たすことができない場合には,建築確認を受けることができないことになるものである。このような点にかんがみると,知事の安全認定処分は,申請者の法的地位に直接影響を与えるものであり,申請者個々人に対する権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものというべきであり,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。 
   イ() このように,安全認定処分は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されるから,たとえこれに違法があったとしても,それ自体の取消訴訟などによって公定力が排除されない限り,原則として,安全認定処分を前提としてされる後行の行政処分(建築確認)の取消事由としてその違法を主張することは許されない筋合になるものである。 
    () しかしながら,安全認定処分については,後行の建築確認との関係で,以下の点を指摘できる。 
 本件安全条例4条1項ないし3項の関係をみると,1項,2項は避難や通行の安全上求められる接道の長さや道路の幅員の基準を定め,3項はその適用についての例外を定めるものということができる。このように,いわば1,2項は本文,3項はただし書の関係にあるもので,本来,同一の行政庁が両者を一体として判断することが自然であるということができるものである。現に改正前安全条例4条3項においては,「前2項の規定は,建築物の周囲に広い空地がある場合その他土地及び周囲の状況により安全上支障がない場合においては,適用しない。」と定めており,建築主事が建築確認において一体のものとして判断する仕組みになっていた。ところが,建築基準法の一部を改正する法律(平成10年法律第100号)により,それまで建築主事が行ってきた建築確認・検査業務を新たに民間機関(指定確認検査機関)でも行えるようになったことが契機となって,改正前安全条例が改正され,建築物の設計内容のような客観的な判断には馴染みにくい3項の安全判断については,これを知事が別途認定する仕組みが採られるようになったものである。 
 これにより,本件安全条例4条1項の規定の適用を受けないで建築確認を得ようとする者は,まず知事に対して安全認定処分の申請をし,知事が安全認定処分をした場合には,建築主事は,それを前提として,本件安全条例4条1項,2項適合性の判断はしないという仕組みになったものである。なお,知事により安全認定処分がされた場合,申請者に通知はされるが,建築確認(建築基準法89条参照)の場合のようにこれを外部に表示する措置等は義務付けられていない。 
    () このように,本件安全条例においては,4条1項,2項の接道義務適合性を判断する権限と3項の安全判断をする権限とが行政機関内部で分かれることになったが,1項,2項と3項との,原則と例外の関係にあるという性質は変わっていないものである。本件改正により判断権限が知事と建築主事とで分属されるようになった趣旨は,3項の安全判断を民間の機関に判断させるのはふさわしくないということにあるのであり,安全判断部分を先に判断しそれを確定させた上で建築確認に進むという仕組みを採らないと特に不都合があるという趣旨からされたものではないのである。また,知事が本件安全条例4条3項に基づき安全認定処分をしたとしても,建築確認に際して建築主事ないし指定確認検査機関が当該建築物を共同住宅等の特殊建築物に当たると判断すれば(なお,建築物が共同住宅などの特殊建築物に当たるかどうかという判断は,建築物の設計内容等により客観的に判断できるものであり,建築確認において建築主事ないし指定確認検査機関が最終的に判断することになっているものと解される。),特殊建築物については本件安全条例第2章においてより厳しい制限が課されているのであるから,同項の安全認定処分はその効力を発揮しないことになるのである(すなわち,同項の安全認定処分は,建築確認の段階までは,その効力を発揮するかどうか確定しないものなのである。)。 
    () 上記のような点を考えると,本件改正により安全判断については別の行政庁が行政処分の形ですることになり,安全判断に対して独立した争訟の機会が付与されることになったが,それは申請者の権利保護のため争訟の機会を増やす趣旨のものと捉えるのが相当で,改正前と異なり建築確認の段階においてはもはや安全判断の違法を争うことをできなくするという趣旨までは含まれていないと解するのが相当である(このことは,安全認定処分は,建築確認と同様に,周辺住民にも大きな利害関係があるにもかかわらず,建築確認のようにこれを外部に表示する措置が義務付けられていないことからも裏付けられる。)。 
    () そうすると,安全認定処分がその取消訴訟で取り消され,公定力が排除されない場合においても,建築確認の取消訴訟においては,知事のした安全認定処分の違法を建築確認の取消事由の一つとして主張することができるというべきである。 
  (3) 本件認定の違法性について 
   ア そこで,本件認定が違法かどうかについて検討する。 
 上記のように,建築基準法43条2項は,「地方公共団体は,(中略)延べ面積(中略)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員,その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と定めているところ,これを受けて本件安全条例4条1項は,建物の延べ面積(すなわち,建築基準法にいう規模の特殊性)に着目して,千平方メートルを超える建築物につき,面積に応じて3段階に分け,段階的に接道の要件を加重している。このように建築物の延べ面積に応じて接道の要件を加重しているのは,建物の規模が大きくなると,それだけ当該建物に居住したり利用したりする人の数が増大し,また,火災による周囲への延焼の危険等も増大することが予想されることから,その規模に見合った,平常時における円滑な通行や災害時における避難,消火及び救助活動のための通路の確保を図ったものと考えられる。 
 そして,3項は,この1項の規定を適用しない例外について定めるものであるから,3項にいう「安全上支障がない」というのは,1項が求める接道の基準を充たすことで確保されるのと同程度に,平常時の円滑な通行のみならず災害時における避難,消火及び救助活動に支障を来さないような状況にあると判断できる場合であることを要するというべきである(なお,その判断においては,敷地の現状のみならず当該敷地の利用計画も勘案されることになろう。)。そのような判断ができる典型的な場合としては,3項の建築物の「周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により」という文言のとおり,道路に出なくとも直接,通行や避難等ができるような公共的空地(例えば公園)が敷地に接しているとか,敷地内に広い空地があり,道路に出なくともそこに避難が可能であるといったような場合が挙げられよう。 
 もっとも,建築物の周囲の空地の状況その他の土地及び周囲の状況により安全上支障がないと認める場合というその規定の仕方等からすると,その判断は,知事の専門的かつ技術的な裁量にゆだねられていると解される。 
   イ() そうすると,本件では,本件敷地につき認められる状況により,本件安全条例4条1項が求める接道の基準を充たすこと(上記のように,そのためには原則として路地状部分に8メートルの幅員の通路があることを要する。)で確保されているのと同程度に,平常時の通行のみならず災害時における避難,消火及び救助活動に支障がない状況にあると判断することが,明らかに合理的根拠を欠くもので,裁量権の逸脱濫用に当たらないかどうかという観点から検討する必要がある。 
    () 上記認定事実及び証拠(甲1の1ないし3,乙1,9,15,16)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 
 a 本件敷地は,1871.12平方メートルの別紙図面のような形状の土地で,約34メートルの長さの路地状部分により道路に接している。本件敷地は,第一種低層住居専用地域,準防火地域,第一種高度地区,指定建ぺい率60%,指定容積率150%の地域に属する。 
 本件敷地は,周囲の多くが崖になっていて,そこにはよう壁が設けられており,路地状部分を通る以外は外部に出ることは困難である。公園などの公共的空地が近接して存在するようなこともない。 
 b 本件建築物は,建築面積805.34平方メートル,延べ面積2823.09平方メートルの鉄筋コンクリート造,地上3階地下1階の建物で,戸数30戸(ファミリータイプ29戸,ワンルーム1戸)の住戸からなることが予定されている。各住戸は,それぞれ専用の玄関口から本件建築物の外に出る構造になっており,不特定又は多数の人が通行の用に供する廊下,階段等の共用部分は存在しない。なお,本件建築物の容積率は112.3%であり,建ぺい率は42.2%である。 
 c 本件敷地は,上記のように路地状部分で道路に接するが,路地状部分に有効幅員4メートルの道路状空地を設けて外部の道路への通路とすることとし(本件通路),これを緊急時の車両の通行経路及び本件建築物の住民等の避難経路として機能するものに位置付けている。なお,本件通路の延長は40メートルを超えるものとなっている。そして,特段,終端部分及び区間35メートル以内ごとに自動車の転回広場を設けるようにはされていない。また,前面道路との接道部分の長さは現況では8.9メートルである(道路境界線とみなされる線での接道の長さは8.169メートル)。本件通路と前面道路は120度以上の角度で交わっている。 
 d そして,本件建築物と隣地境界線の間には,東側で有効幅員2.5メートル,そのほかでは2メートルの空地を設け,緊急時の避難経路として機能するようにし(本件避難通路),かつ,これを本件通路に接続するように計画されている(別紙図面参照)。そして,各住戸部分の2階にはそれぞれバルコニーが設けられて,そこに避難梯子が設置され,それを使用して各住戸から本件避難通路に下りられるように計画されている。 
 e 東棟,西棟,南棟に囲まれた本件敷地の中央部分には東西約6メートル,南北約12メートルの空地(以下「中庭」という。)が設けられることになっている。この中庭は,各住戸の出入口に面しており,本件通路に通じている(別紙図面参照)。この中庭は消防活動に利用されることが予定されている。また,消火活動のため,本件敷地内に40トンの防火水槽が設置される計画になっている。 
    () 以上によると,本件建築物は延べ面積が2800平方メートルを超える建物で,接道の長さ8メートルを求められる建築物のうちでも規模が大きいものであるところ,本件敷地は,周りの多くが崖状になっていて,約34メートルもの長さの,最小幅員約4メートルの路地状敷地(本件通路)のみで道路に通じており(なお,本件通路をもって建築基準法の道路と同視できないことは,後記のとおりである。),それによるほか外部に避難,通行ができない構造になっているものである。本件敷地に近接して外部に通行したり,避難できる公共的空地があるとは認められない。そして,本件敷地内に災害時に避難するに足りるほどの空間があるとも認め難いものである。すなわち,中庭は,6メートル×12メートル程度の空間で,本件通路に連なる通路的部分であり,三方を本件建築物に囲まれているのであるから,そのような避難にふさわしい場所でないことは明らかである。本件避難通路も,せいぜい幅員が2メートル前後しかないから,そのような避難にふさわしい場所とはいえないものである。したがって,本件敷地につき,本件安全条例4条1項が求める接道の基準を充たすことで確保されているのと同程度に,平常時の通行のみならず災害時における避難,消火及び救助活動に支障がない状況にあると判断することは,明らかに合理的根拠を欠くものというべきである。 
    () これに対し,被控訴人は,@建築基準法の道路と同じ機能を有する本件通路が設けられること,A本件建築物は容積率112.3%,建ぺい率42.2%と規模が小さいこと,B本件避難通路が設けられており,2階にバルコニーや避難梯子を設けて各住戸からそこに出られるようにしていること,C中庭が設置されること,D本件建築物が耐火建築物であること,E前面道路と本件通路が120度以上の角度で交わり,また,接道の長さが8.9メートルあること等を考慮して,本件認定をしたものであるから,本件認定に違法はないなどと主張する。 
 しかしながら,本件通路は,一方の端が道路に接しておらず(袋地状道路),かつ,その延長は35メートルを超えており,終端及び区間35メートル以内ごとに自動車の転回広場が設けられているとは認められないのであるから,建築基準法42条1項5号,同法施行令144条の4第1項の定める「道に関する基準」に適合しないものであり,被控訴人の@の主張のように,本件通路をもって建築基準法42条1項の道路と実質的に同視することは困難であるというべきである。そうすると,本件通路があることは1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないというべきである。 
 また,Aの建ぺい率,容積率を低く抑えているという点も,本件建築物は延べ面積2800平方メートルと,接道の長さ8メートルを要求されている延べ面積2000平方メートルから3000平方メートルの建築物のうち規模の大きい方に属するものであるから,1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないものであるし(これに対し,2000平方メートルをわずかに超えるというような規模の建築物を考えると,規模の点も1項の基準を緩和するための一つの考慮要素になるといえる。),容積率,建ぺい率を低く抑えたことで,上記のように,本件敷地内に外部に出なくとも避難できるような空地が確保されたというようなことも認められないのであるから,災害時の避難路の確保等を目的とする1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。また,Bの本件避難通路が設けられ,2階にバルコニーや避難梯子を設けて各住戸からそこに出られるようにしているという点は,本件避難通路から直接外部に避難できるわけではなく,結局,道路延長が40メートルを超え,かつ,最小幅員約4メートルの本件通路を経なければ外部に避難ができないのであるから,同じく1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないというべきである。Cの中庭があることも,上記のように,中庭は災害時の避難にふさわしい場所とはいえないから,避難路の確保等を目的とする1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。そのほか,消火活動のため本件敷地内に40トンの防火水槽を設置する計画であることも,それによって直ちに災害時に外部に避難したり,外部からの消火,救助活動の必要がなくなるといえるようなものではないことが明らかであるから,1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。Dの本件建築物が耐火建築物であるということも,災害時の避難路の確保等を目的とする1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。その他,被控訴人の挙げる諸点を総合しても,直ちに1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないというべきである。 
    () 以上によれば,本件で,本件敷地に認められる状況に照らし,路地状部分に幅員8メートルの通路がある場合と同程度に安全上の支障はないと判断することには明らかに合理的根拠がないといわざるを得ないから,本件認定は,新宿区長が裁量権を逸脱濫用したもので,違法といわなければならない。 
  (4) 結論 
 そうすると,その余の点を判断するまでもなく本件認定は違法であるから,本件建築物は本件安全条例4条1項の接道要件を充足しないものということになる。そうすると,その余の点を判断するまでもなく(なお,本件建築物が特殊建築物に当たるとすると,本件安全条例第2章により更に制限が加重されることになるのである。),本件建築確認は違法になるというべきである。 
  本件各工作物確認の違法性について 
 当裁判所も,本件各工作物の建築確認はいずれも適法であるものと判断する。その理由は,原判決の「第3 争点に対する判断」の6項(1)(2)(原判決62頁1行目から同65頁13行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
  本件裁決の違法性について 
 当裁判所も,本件裁決は適法であるものと判断する。その理由は,原判決の「第3 争点に対する判断」の7項(1)ないし(4)(原判決65頁14行目から同74頁19行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 
  結論 
 よって,控訴人A,同B,同C及び同Dを除く控訴人らの本件建築確認の取消請求は理由があるから,原判決中同請求を棄却した部分を取り消して,これを認容することとし,上記控訴人らのその余の控訴及び控訴人A,同B,同C及び同Dの控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 
 (裁判長裁判官 大坪丘 裁判官 宇田川基 裁判官 足立哲) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不動産の知識

 目次

1.印紙税の歴史と未来 2.登記と登録免許税―その歴史と未来 

3.動く不動産(1)―フランスでは鳩も兎も不動産

 4.動く不動産(2)−移動しながら沈下していくハワイ

 <1.印紙税の歴史と未来。>

  ----なぜ印紙を貼らなければならないか----

 

商取引のあったとき、そのようなことをする者には、それ相応の税金を負担するだけの財力があるであろう。

 こういうことで課されるのが流通税である。

 といっても,その商取引の内容---- いくらもうかっているから,これぐらいの税の負担ができるであろうということまでを把握しようとすると,なかなか手間もかかるし,困難でもある。しかし,ある程度の大きな商取引であれば,契約書も作成するし,領収書も発行する。

これらの文書には,どういう取引をして,その金額がいくらであるかということが記載される。したがって,その取引の種類に応じた税額をきめておいて,その文書に印紙を貼らせて課税するということは、課税側としては,手間も省け,かなり効率のよい徴税方法である。

1)印紙の発明と普及

印紙税は1624年にオランダで初めて採用されて以来,各国に普及し,18世紀ごろには,ヨーロッパの各国に普及していた。

印紙税の効率のよさについて,アダム・スミスは,『国富論』(!776年刊),次のように述べている。

「印紙税や登記税による課税方法は,ごく近代に発明されたものである。とはいえ,わずか一世紀たつか、たたぬうちに,印紙税はヨーロッパのいたるところに普及し,登記税もきわめてありふれたものになった。人民のポケットから金をはきださせてしまう術くらい,ある政府が他の政府からいちはやく学びとるものはないのである。」(大内兵衛他訳『諸国民の富()』岩波文庫)

なお,ロシアでは,すこし遅れているが,18世紀の初め,ロシアのピョートル大帝が,不断の戦争によって軍事費が莫大な額にのぼり、国庫が底をついたとき,広く新税のアイデアの募集を行った。

クルバードという,もと農奴だった男が,主人に従って外国にいったとき印紙税のことを知り,帰国するとこの募集に応じ,いわゆる「鷲」印紙税を提案した。これが当選して,420ルーブルの財政収を国庫にもたらした。彼は後に,商工局長に抜擢され,さらに副知事になったとしいう。(国税庁消費税課編『印紙税実務問答集』序より)

よほど,画期的な税収をもたらしたのであろう。

1)日本での印紙税は

日本では,江戸時代には,商取引に課税するという感覚は薄かっが,西欧の文明もやや浸透してきた明治6年の「受取諸証文印紙用心得方規則」で採用され,当初は印紙の貼っていない証書は裁判上の証拠としないとか,犯則者を告発した者に賞金を与えるなどいう制度があり,印紙税収入を重視していたことがうかがわれる。

の後,幾多の改正を繰り返し,昭和45年の全文改正の「印紙税法」をへて現在に至っている。 なお,現在では,印紙を貼っていない証書でも,裁判で証拠として有効であるし,犯則者を告発しても賞金はもらえない。

)印紙税はなぜ残っているのか。

その後,たとえば,土地・建物の取引についてみても,登録免許税.が創設され,譲渡所得税も整備され,不動産取得税もでき,建物については消費税も課税されている。印紙税というのは,これらの税のできる前には必要で,かつ重要であったかも知れないが,もうその存在価値は失っている。したがって,廃止してしかるべきではないかと思うが,課税する側としては,「経済取引等に伴って作成される文書のうち、一般的に,その出現した背後には相当の経済的利益が存在し,軽度な補完的課税の対象に取上げて然るべき文書に課られる国税である」(大阪国税局消費税課長横田光夫監修『例解・印紙税』税務研究会出版局),かなり苦しい解説をしている。それが「軽度な」ものかどうかは、感覚の差として、なぜこのような「補完的課税」が現在でも必要なのか。

慣性の法則は,こういう領域までも及んでいるのであろうか。

 3)インターネットと印紙税の未来

ところで,世の進歩とともにインターネットを利用した電子商取が増えてきている。この場合,パソコンの画面に表われる契約書に、どうやって印紙をはったらよいのかという問題が生じ、当局も鳩首協議したらしいが、印紙を貼らなくてよいということになった。

 電子商取引の普及とともに、印紙税は自然消滅していくのであろうか。

(「不動産の評価、権利調整と税務」清文社から。なお、<電子契約書と印紙>については、同書2000年版,p169 参照)

 

 〈登記と登録免許税一その歴史と未来〉

 土地や建物の登記をするとき,高額の登録免許税がかかる。なぜ,

こんなにも高額な税金がかかるのだろうかと,思わず溜息をつく。

(1)所有権移転と登記一一ドイツとフランス

 土地や建物の所有権を移転するとき,ドイツなどのように,登記

をしないと法律的に所有権が移転しないという国がある。また,

ランスなどのように,「では移転しますよ」「はい,受けました」と

いえば,そういう意思表示だけで,登記をしなくても移転してしま

う国もある。ライン河を渡っただけで,こんなにも違う。もっとも,

フランスの場合でも,ふつうは口約束だけでなく,公証人役場に行

って膨大な契約証書を作成し,そして,その権利を確保するために,

登記所へ行って登記もする。

 そして,そういうことを踏まえて,ドイツでは登記するときに登

記税をとらないが,フランスでは,登記をしてあげているというこ

とからか,登記税をとる。

(2)登記で権利を保全してあげるから税金を払え

 日本では,フランスと同様に,登記をしなくても,意思表示だけ

で所有権が移転する法制を採っている。

 しかし,たとえば,土地の売買をして,その売買が契約によって

有効に成立したとしても,買主が直ぐに登記をしておかないと,

の間に,売主が別の人にその土地を売ってしまって,その人が先に

登記をしてしまうと,その人の土地になってしまうという制度にな

っている。したがって,買主は,自分の権利を守るため(第三者

対抗力といっているが)に,登記をしている。

 それで,課税側は,登録免許税というのは,登記簿に記載するだ

けの手数料ではないので,その権利を国が保護してあげるための対

価である,だから,これくらいの税金は,その財産的価値にくらべ

れば,割高ではないのだといっている。

 また,土地を買うための資金調達のため借入れをすると,抵当権

を設定しなければならないが,その前提として,土地の所有権移転

登記をしておかなければならない。そら見ろ,登記することによっ

,こういう経済利益も得られるのだ。

 こういうことを考えれば,登録免許税は高いとはいえないのでは

ないか。

 保護してもらいたくなかったら,登記をしなければいいでしょう。

登記するか,どうかは,あなたの勝手ですよ。

土地。建物を買う人や贈与・相続を受ける人への税金のコンサルティング

 これが課税側の言い分のようである。

 しかし,このような解説は,土地・建物の登記制度の根幹を蝕む

ものと考えていないのであろうか。

 このことが,登録免許税を節税するため,いわゆる中間省略もあ

,登記簿が権利関係の実体を反映せず,登記簿のみを信頼して取

引できない事態をももたらしている。

(3)登記に課税する起源と背景

 日本の登記制度と登録税というのは,明治開国からのヨーロッパ

の制度の移入であるが,その本家であるヨーロッパでは,土地の所

有権を王などの権力者に認知してもらうための対価として起源して

いる。

 王の権力により,自分の財産を保障してもらうための対価として

の税金であった。

 その財産に対して課税する効率的な方法がないために,登記とい

う手続きの時点を捉えて課税したものである。

 印紙税とともに,外形課税であり,王、室の主要な財源の一つとな

っていた。

(4)日本での沿革の変遷

 日本では,明治維新により土地売買が自由化され,土地の所有権

を証明する地券が明治5年に発行されたが,明治19年に登記法が制

定され,地券制度は廃止された。

 この登記をするときに登記税が課せられることになったが,この

とき,単なる手数料としてではなく,有力な財源として期待されて

いる。ここには,登記という手段で,不動産の権利の移動を間接的

に把握して課税しようという目的がある。その後,日清戦争後の国

費膨張に対処するため,明治29年に「登録税法」に改められ,昭和

44年に全文改正され,「登録免許税」として今日に至っている。

 その後,昭和2(〕年に土j伽建物を取得したとき0)不動産取得税が

都道府県税として制定され,また,建物の取得については,平成元

年からは消費税が課税され,印紙税もあり,土地や建物の取得をす

るには,これらの多重の税を負担しなければならず,土地・建物の

流動化を阻害している。

 不動産の流動化のためにも,また税制の簡素化のためにも,これら

の税の一本化と負担の軽減がのぞまれるところである(170

171ページのコラム参照)

 

動く不動産(その1)フランスでは鳩や兎も不動産

フランスでは,鳩や兎も不動産である。少なくとも,ナポレオンが

制定し,なおかつ,連綿として今日まで現行法として効力を有し

ているフランス民法典の524条には,そう規定されている。

もちろん,野鳩は不動産ではない。不動産となる鳩とは,鳩小屋

に飼育されている鳩である。昼,日中は,どこを飛び遊んでいても,

,塒である一定の鳩舎に帰ってくるから,それは土地に定着され

たものと認識されたのであろう。

ちなみに,同条をひもといてみると,開放飼育場の兎とか,巣箱

の蜜蜂とか,池沼の魚なども,不動産とされている。

もつとも・土地の所有者が,その土地の用役・経営のために設置

したものに限られてはいるが。

フランス民法典では,性質による不動産(土地と建物)のほか,

上述'の鳩や兎のように用途による不動産,さらに地役による不動産

など,三種類の不動産を規定している。

このフランス民法典を手本として制定された日本の旧民法典(496

ジ参照)では,「養蚕場二備ヘタル蚕種」,すなわち,「かいこ」

なども不動産に含めている。もっとも,現行の民法典では,「土地及

ビ其定着物」という,文字どおり動かない物だけを不動産としている。

 

 〈動く不動産(その2)一一移動しながら沈下していくハワイ

 土地の自然的特性として,地理的位置の固定性,不動性(非移動

),永続性(不変性),不動産鑑定評価基準の冒頭に掲げられて

いる。我々の日常的感覚からすれば,毛ほどに疑問をはさむ余地は

なさそうである。

 しかし,しかし,ハワイの観光で,七島巡りの遊覧飛行から帰っ

,オアフ島ホノルルのワキキキ・ビーチで寝そべりながら,この

島が,かつては今みてきたハワイ島の位置にあったといわれたこと

を想い浮かべると,この島ごと,太平洋を漂流しているような錯覚

にすら陥って夢見心地になる。

 1912年にウェーゲナーが大陸移動説を唱えたとき,それはかって

の地動説以上に荒唐無稽な世迷い言として耳を傾ける人も少なかっ

たが,今では,大陸と島々とそして海底を乗せたプレートが移動す

ることを否定する学者はいないし,教科書にものっている。

 ハワイ島は北太平洋の真中でスポット的に活動している火山の噴

出物によって生成した島であり,標高4,206mという富士山より高い

山が誓えている。

 しかし,北太平洋プレートは,この島を乗せながら,日本列島の

方へ移動しており,そして,日本海溝あたりで,地底へと吹い込ま

れていく。

 過去のハワイ島は,沈みつつ島の面積を縮小して現在のオアフ島

になっており,やがてミッドウェー島の位置にやって来て,島の本

体は海中に没し,珊瑚礁だけが海面に出ている礁島になってしまう。

 その移動の速度は年に数センチメートルというから,100年で数メ

ートル,かなりの速度といえよう。

 ひと頃,ハワイヘの土地投資ブームが盛んであったが,子々孫々

のことを考えれば,島の西海岸より,東海岸の土地を買っておいた

ほうが,相対的に長持ちするであろう。

 

  

これまでの研究会は

 

【 都市法研究会小史 T 】

1983(昭和58)2003(平成15)

  (Hは9月・・・丸数字は研究会の開催月を示す。)

1983(昭和58)

H 第1回研究会開催〔(仮称)マンション問題研究会として発足))

等価交換方式で建設・分譲されたマンションの管理規約の問題点

(鵜野和夫・税理士・不動産鑑定士)/

(木島晴男・北参道ダイヤモンドパレス管理組合理事長)

I 等価交換方式の本来の問題点(鵜野和夫)

J マンションの管理規約の問題点について(千葉良夫・不動産鑑定士)

 

1984(昭和59)

A 標準的・実際的な都市型マンションの管理規約の検討

一区分所有法との関連,建設省の標準約款も検討(レポーター不詳)

B マンションのメンテナンスと管理規約の関係(レポーター不詳)

D 土地信託について(小林俊一・三井信託銀行)

F (テーマ不詳)(千葉良夫)

H 区分所有建物の敷地上の工作物の問題点(丸山英気)

I 区分所有建物の建替えについて(久保康男・高層住宅管理研修センター)

K (テーマ不詳)(宮崎洋司・不動産鑑定士)

1985(昭和60)

@ (テーマ&レポーター不詳)

A 都市再開発事業における権利変換の基準について(千葉良夫)

B 減価法(定率法・定額法)について(レポーター不詳)

C 抵当証券の発行禁止事項等について(遠藤欣也・司法書士)

D 土地信託と設備信託の諸問題について(小林俊一)

E 空中権について(丸山英気)

F 抵当証券について(上原由起夫)

H 空中権の評価(千葉義男)

I 空間に対する建築の規制について(軽部正彦・一級建築士)

J 借地法について(後藤巻則・中央学院大法学部講師)

K 会員制ホテル・ケア付マンション等の利用権についての問題点

(菅原和夫・不動産鑑定士)

1986(昭和61)

@ 民間マンションを中心としたマンション管理の現状(久保泰男)

A (テーマ&レポーター不詳)

B 遺言信託の現状について(小林俊一)

C 余剰容積率売買例とその評価例(鵜野和夫)

D 抵当証券をめぐる諸問題(安井礼二・日本住宅金融)

E 東中野の公団住宅の建替え(レポーター不詳)

F (テーマ&レポーター不詳)

H 中古住宅の媒介について(吉野伸・不動産鑑定士)

I 東京都心部および周辺の地価の動向とデベロッパーの対応(錦孝・フジタエ業開発事業部)

J 地価の動向と今後の予測(泉達夫・東急不動産)

 

 研究成果をまとめて、下掲載の本を出版

1『空中権・土地信託・抵当証券』(清文社,1986(昭和6111月刊)

<目次>

1 空中権:

1空中権とその法的性格(丸山英気)2空間に対する建築の規制について(軽部正彦),

3空中権の評価()空中権評価についての基本的な考え方(鵜野和夫)

(2)総合設計制度等を利用した空中権の評価(千葉良夫)(3)増築方式による余剰容積率の移転(鵜野和夫),

4空中権の税務一所得課税を中心として(鵜野和夫)1

2部土地信託:

5信託制度の沿革と土地信託の仕組み等について(小林俊一),6土地信託の税務(鵜野和夫)l

3部抵当証券:

7抵当証券の仕組みと抵当証券会社の実1(安井礼二),8抵当証券の流通をめぐる諸問題(上原由起夫)

 

1987(昭和62)

C 国有地の処分をめぐって(寺尾仁・早稲田大学大学院)

D 不動産に係わる貸付債権の流動化(安井礼二)

E 地価の動向と税制(鵜野和夫)

F 不動産投資の信託(戸谷俊昌・三井信託銀行)

H 建築基準法の改正(軽部正彦)

I 不動産の証券化について(戸谷俊昌)

J 会員権分譲の法的問題等について一老人ホーム等を中心にして(百瀬孝・サンビナス/安井礼二)

1988(昭和63)

A 新借地方式一高額地代方式(中本孝仁・ミサワホーム)

E 鉄道敷地上の空中権について(吉田浩・日本不動産研究所)

I パリのフロン・ド・セーヌ地区の再開発における建物用賃貸借と人工地盤

(林道三郎・不動産鑑定士)

J ホテル経営の仕組みと現状(高木満保・サンルートホテルシステム)

1989(平成元年)

@ アメリカにおける不動産の証券化と我が国の態様(川村雄介・大和証券)

A 判例からみたヨーロッパのペット紛争(長谷川貞之・駿河台大学)

B 地下空間の開発をめぐる諸問題について(花村哲也・大成建設)

C 不動産金融の証券化(内山繁・三銀モーゲージ)

D フランスの建築家からみた日本の都市空間利用(マルク・J.F・ブルデイェ)

1990(平成2)

@ 日本におけるクーリング・オフについて

()等価交換における宅建業法・建築基準法・国土法の制約とその解決法について

(田中幸弘・日本信販/鵜野和夫)

A 等価交換における宅建業法・建築基準法・国土法の制約とその解決法について(板坂正人・東急不動産)

B 調整区域における開発権の取得と承継について一ホテルの例(百瀬孝)

C 台湾における土地制度の現状と矛盾(菅原和夫)

D ウォターフロント開発の実態について一江東区の例を中心として(青木三郎・アーバン開発)

E アメリカの土地制度一地価と土地利用規制(渡辺卓美・日本不動産研究所)

F 不動産の所有権移転に関する実体法(民法)と手続法(登記法)との関連について

(高瀬敏久・税理士・司法書士)

J 旅行者の見た東欧の現状(鵜野和夫)/

集合住宅に関する集会のあり方一パートナーとの対話(丸山英気・千葉大学法経学部教授)

 

1991(平成3)

@ 都市計画法・建築基準法等の改正について(軽部正彦)

A 改正借家法と建物明渡しの正当事由認定要素としての土地高度利用(遠藤晃・弁護士)

B 土地収用法と損失補償基準について(遠山允人・不動産鑑定士)

C 借地法改正と定期借地権等(丸山英気)

D 建物譲渡特約付借地権(上原由起夫・国士舘大学法学部助教授)

E 長期型定期借地権と事業用借地権(藤井俊二・山梨学院大学)

F 期限付建物賃貸借(遠藤晃)

H 定期借地上の借地権価格(菅原和夫)

I 定期借地権等の税務(鵜野和夫)

J 定期借地権等と鑑定評価(遠山允人)

K 定期借地権等と住宅・都市整備(大西誠・不動産鑑定士・一級建築士)

1992(平成4)

@ 借地権と不動産金融について(安井礼二)

A 不動産証券化法案の動向(佐藤一雄・三井不動産)

B 土地税制,相続税制の改正は土地の有効利用にどのような影響を与えるか(高瀬敏久)

C 土地登記の問題点とその改正私案(福田充孝・運輸省航空局)

E 不動産市場の現状について(富沢淳・安田ビル/板坂正人・東急不動産)

F 不動産金融の証券化について(安井礼二)/

特定債権等に係る事業の規制に関する法律について(田中幸弘)

I 定期借地権設定時の新規地代と権利金の評価について一税務との関連も考慮して(鵜野和夫)

J 担保不動産買い上げ会社の仕組み(安井礼二)

K 改正都市計画法・建築基準法について一その1(秋山英樹・一級建築士)

 

 

『定期借地権の法律・鑑定評価と税務』(清文社・1992年(平成4年7月刊)

(目次〉

定期借地権等の創設とその背景(丸山英気)/

建物譲渡特約付借地権(上原由起夫)/定期借地権及び事業用借地権(藤井1俊二)/

期限付建物賃貸借(遠藤晃)/定期借地権等と住宅・都市整備(大西誠)/

借地権をめぐる不動産金融(安井礼二)/定期借地権等の鑑定評価(菅原和夫)/

借地借家法と鑑定評価(遠山允人)/定期借地権等の税務(鵜野和夫)

 

1993(平成5)

@  改正都市計画法・建築基準法について一その2(軽部正彦)

A 不動産不況下における金融機関の買取機構の歴史的見解と現況(吉田浩)

B 私道の鑑定評価の問題点(菅原和夫)

C 狭盗道路について一建築基準法と道路(井上隆・首都圏総合計画研究所)

D 最近の地価の変遷と今後の見通しについて(浅野健・東急不動産)

E 認定外道路(いわゆる法定外公共物)について(遠山允人)

F「定期借地活用方策検討委員会」での検討結果の概要について(林道三郎)

G 公道移管をめぐるトラブルの解決に取り組んだ体験について(藤川吉美・九州女子大学学長)

I 二項道路とその廃止について一地上げに関連して(藤岡風庵)

J 街路樹をめぐる諸問題について(丸田頼一・千葉大学園芸学部教授)

1994(平成6)

@ 実例からみた定期借地権の活用(脇元裕嗣・ミサワホーム総合研究所副所長)

A 定期借地権の評価(鵜野和夫)

B 共有ビル建設における任意組合の諸問題(宮崎洋司)

C 不動産投資分析(前川俊一・明海大学不動産学部専任講師)

D 借手市場におけるビル経営とテナント誘致活動について(増田富夫・ディック・エンタープライズ専務取締役)

F 不動産特定共同事業法の概要(佐藤一雄・不動産シンジケーション協議会専務理事)

H 取引保証をめぐる最近の動きについて一住宅ローンの同時決裁(相馬計二・司法書士)

I 定期借地権の利用の現況について一実態調査をふまえて(勝木雅治・不動産鑑定士)

K 不動産業の現況と対応(相川栄徳・小田急不動産)

1995(平成7)

A 新しい収益還元法で土地の評価はどう変わるか(吉田浩)

B 阪神大震災の現場を見て一被災マンションの建替え/罹災都市借地借家臨時措置法(丸山英気)

C 阪神大震災と建物性能(秋山英樹)

D 固定資産税について(前田雅尚・不動産鑑定士)

G 金融機関と不動産の流動化一金融機関の現状(田中幸弘/三國仁司・日本ランディック)

H イギリスの土地利用と土地税制一日本との違い(前川俊一・明海大学不動産学部教授)

I フランスのヴィアジェについて(山縣知彦・税理士・不動産鑑定士)

1996(平成8)

@ 相続した財産では払えない相続税一大阪地裁の判例等(杉井得悦・税理士)

A 定借マンションはスラム化しないか一その対策を建築と保守管理から探る(秋山英樹)

B 定借マンション実用化に向けての現実的諸問題一法的・経済的側面から(黒沢泰・不動産鑑定士)

C 大規模災害と借地`借家の立法史(小柳春一郎・濁協大学法学部教授)

D トルコにおけるウォーターフロント開発の現状について一トルコの歴史的・地政的位置とも関連させて

(中井基博・フジタエ業企画設計部(前・(財港湾空間高度化センター)/鵜野和夫)

E マンション建替えの現況と課題一建替え事例の分析(中野由美・東急不動産企画室)

F 定借マンションの管理・運営上の課題(周藤利一・財団法人土地総合研究所)

H 定借マンションにおける地代支払債務は不可分債務か否か(吉田修平・弁護士)

H 定期借地権に欠落する視点とつくば方式(準利用権)マンションの開発(小林秀樹・建設省建築研究所)

I 土地所有権とその形成の歴史一土地所有権とは何か。

そしてそれは日本ではどのようにして形成されてきたか(鵜野和夫)

K バブルとその崩壊後の金融界の動きについて一実感を交えつつ(安井礼二)

1997(平成9)

@ 調停事件にみられる地価と継続賃料の関係(平松宏子・不動産鑑定士)

A 相続税路線価の誤りと正しい評価一私道・二項道路等を例として(森田義男・不動産鑑定士・税理士)

C 平成9年の固定資産税の評価替えにともなう税務措置の概要と実務の対応について

(杉之内孝司・不動産鑑定士・税理士)

D マンションの収用について(平松弘光・東京都庁)

F 不動産税制の流れ等について(鵜野和夫)

〔鵜野和夫著『不動産の評価・権利調整と税務』の日本不動産学会実務著作賞の受賞を祝う会〕

H 定期借家権をめぐる最近の動き(丸山英気)

J 匿名組合と不動産投資等への利用(杉本茂・不動産鑑定士・公認会計士)

K 日本版ビッグバンは不動産業をどう変えるか(林道三郎)

1998(平成10)

A 今後の空中権取引のあり方一旧の空中権と建築基準法改正()による新空中権(吉田浩)

C 未来都市ベルリン(丸山英気)

D ヨーロッパの不動産鑑定評価について(緒方瑞穂・不動産鑑定士)

E 外資の不良債権買いについて(海本丈夫・不動産鑑定士)

F 区画整理に伴う建築物整備の推進方策について(岩瀬正夫・土地区画整理士)

G 日本における土地制度と税の成り立ち(鵜野和夫)

H 今,競売が面白い一競売における土地の評価,競売で実際に出会った怖い話等

(小菅教良・税理士・不動産鑑定士)

I アメリカの最新情報一空中権・定期借家権等をめぐって(秋山英樹)

J DueDiligenceについて(高瀬博司・不動産鑑定士)

K 競売を妨害する短期賃借権について一その1(上原由起夫・国士舘大学法学部教授)

1999(平成11)

A 競売を妨害する短期賃借権について一その2(遠藤晃)

B 市街地における低未利用地の有効利用の方策について(石綿賢住宅・都市整備公団)

C 不動産の証券化について(日下部大蔵・東急不動産)

D 不良債権処理をめぐる最近のトラブルについて(安井礼二・整理回収機構)

F 最近における特別法律課題の処理をめぐって(大下克信・司法書士)

F わが国における不動産金融の変遷一ある銀行の歴史を例として(溝淵清彦・不動産鑑定士)

J 区分所有権のフランス・モデルについて(小柳春一郎)

J 中国における土地使用権について(談衛東・千葉大学大学院社会科学研究科)

K 定期借家権の税務と評価(鵜野和夫)

2000(平成12)

A 平成12年度の固定資産税の評価替えで税負担はどうなるか(杉之内孝司)

B 債権の流動化について一法律的な流れ(勝田信篤・千葉大学大学院)

C 土地の時価評価について一販売用不動産の時価会計の流れの中で(黒沢泰)

D 定期区分地上権構想について一空中権の新しい利用等をめぐって(鈴木節雄・司法書士)

F 民間資金等の活用による公共施設等の整備促進に関する法律 (PF1)をめぐって(遠山允人)

G 都市計画法および建築基準法の改正一実務ヒのポイント(軽部正彦)

I 空中権の評価一連担建築物設計制度における空中権移転に際して(鵜野和夫)

I 行政からみた改正建築基準法の要点(河上俊郎・墨田区役所都市計画部建築指導課・建築主事)

J 不良債権買取り(バルクセール)をめぐる諸問題(安井礼二)

K 地方分権と地方財政の歪みについて(鵜野和夫)/

地方税の具体的検討一固定資産税,外形課税,法定外税について(杉之内孝司)

2001(平成13)

A 不動産鑑定評価におけるDCF法について(海本丈夫)

B 実務からみた民事再生法一破産法と比較して(遠藤晃)

D 税法一所得税・相続税・固定資産税・不動産取得税等における「家屋」の認定について

(鵜野和夫/杉之内孝司)

F わが不動産奮戦記一借地・借家問題解決手法(富澤淳・不動産鑑定士)

G 米国における減損会計の概要,および減損会計導入によるわが国企業への影響等

(岡崎一浩・愛知工業大学教授・日米公認会計士)

H 骨太方針と不良債権の最終処理について(安井礼二)

I 日本の不動産賃貸法の性格一基礎から考える(小柳春一郎)

K 不動産投資信託一その仕組み,現状と未来(佐藤一雄・サタスインテグレイト)

K 平成14年度の税制改正の動向(鵜野和夫)

2002(平成14)

@ 景気後退期における継続家賃の評価一家賃改定をめぐって(田原拓治・不動産鑑定士)

A 不動産証券化の現状(植松丘・野村不動産)

B マンションの建て替えに関する改正法案について(丸山英気)

C 国立マンション事件をめぐる諸問題(鵜野和夫)

D 固定資産税における土地評価のあり方(森田義男)

E 格付とはなにか一不動産を中心とした格付の影響について

(児玉俊一・格付投資情報センターシニアアナリスト・不動産鑑定士)'

F 法律からみた中国の現状と将来(談衛東・中日国際諮問センター長・中国弁護士)

H `不動産鑑定評価基準のポイソトー何が,どのように変わったのか(高瀬博司)

I "WHAT WENT WRONG AT ENRON-Everyone’s Guide to the Largest Bankruptcy in U.S. History"

(岡崎一浩)

J 日常的測量の実務について一工程・費用・問題点等(上西裕之・土地家屋調査士)

K 継続地代は値下げか,値上げか?一最近の借地非訟事件をめぐって(田原拓治)

2003(平成15)

@ 実務における「商法」と「税法」の〔矛〕と〔盾〕一最近の商法大改正にからめて(芦澤博・税理士)

A 土壌汚染地の取得補償について(田辺愛壼・明海大学不動産学部教授)

C 平成15年度の税制改正一新設された相続時精算課税制度を中心として(鵜野和夫)

D 震災と借地借家一都市災害における賃借人について(小柳春一郎)

E 税務訴訟と勝ち方の具体的方法一無道路地の評価の裁判を例にして(遠藤晃)

F 米国における集合住宅による私的政府の理論一プライベートピアについて(竹井隆人・住宅金融公庫)

H 最近の建築規制緩和(高さ規制緩和)について、天空図に関連して(上野俊秀・一級建築士/秋山英樹)

I 東京貸ビル市場の動向一いわゆる2003年問題とは(増田富夫)

【 都市法研究会小史 U 】

[第178回(200311月)〜第225回(200810月)]

 

(丸数字は開催月・敬称略

2003年(平成15年)

178回 J なぜ、土地基本法は廃止すべきなのか  

上原由起夫(国士舘大学法学部教授・弁護士)

179回 K 最近の住宅市場の実情についてーなぜ、不況下でも住宅が売れているの

吉田一居(東急ホーム且幕ニ統括部長)

2004年(平成16年)

180回 @ サスティナブル社会におけるコンバージョン

                       中城康彦(明海大学不動産学部教授)

                       齋藤広子(明海大学不動産学部教授)

181回 A 土壌汚染対策法施行1年を迎えてー企業の土壌汚染リスクと環境保険

                       大岡健三(AIU保険会社新種保険業務部長)

182回 B 固定資産税における建物の評価―その実態と最近の裁判例をめぐって

                        杉之内孝司(税理士・不動産鑑定士)

183回 C 平成16年の不動産税制の改正について

                        鵜野和夫(税理士・不動産鑑定士)

184回 D 公共事業のための用地取得における建物補償の実際

                        海老原 彰(不動産鑑定士)

185回 E 最近の不良債権事情について

                        安井礼二(叶ョ理回収機構)

186回 J 文化財建造物の敷地の評価についてー財産評価基本通達の改正に関連して

                        吉田 浩(不動産鑑定士)

 

187回 K 最近の借地と地代についてー第2回定期借地権に関する実態調査報告を踏まえて                   

勝木雅治(不動産鑑定士)

2005年(平成17年)

188回 A 不動産登記法の改正について 

安西弘康(明海大学不動産学部教授・土地家屋調査士)

189回 B 鉄道敷地の余剰容積率と再開発

                         吉田 浩(財団法人日本不動産研究所・不動産鑑定士)

190回 D 事業損失による土地価格の下落補償をめぐる裁判例について

                         田辺愛壹(明海大学不動産学部講師)

191回 E 最近の不動産法をめぐる動き

                         丸山英気(中央大学法科大学院教授)

192回 G 最近の不動産利回りと鑑定評価

                         平澤春樹(不動産鑑定士)

193回 H 知的財産評価の可能性ーだれが評価するのか

                         海本丈夫(不動産鑑定士)

194回 I 気軽に往来しようー隣国・地域は貴方を待っている〜中国の不動産事情等

                         坂元 勇(不動産鑑定士)

195回 J マンション建替えと抵当権者・借家人

                          上原由起夫(成蹊大学法科大学院教授・弁護士)

196回 K 税務の事前照会制度について 

                         鵜野和夫(税理士・不動産鑑定士)

2006年(平成18年)

197回 @ 構造計算書偽造問題を考える

                    秋山英樹(潟ニ総合計画・一級建築士)

198回 B 再び不動産バブル到来?

                    植松 丘(野村不動産叶齧ア取締役)

199回 C 最近の東京のマンション利回りと地価の動向について

                                     田原拓治(桐蔭横浜大学客員教授・不動産鑑定士)

200回 D マンション管理費について

                    武田晴夫(潟pワーランド代表取締役)

201回 E 地主の悩みを解決する新しい土地活用について

                    板坂正人(東急リバブル樺タ貸開発部長)

202回 F バルク取引の現状と不動産ファンドの行方

                    安井礼二(叶ョ理回収機構)

203回 H 平成19年以降の土地税制はどうなるかー居住用財産の買換え特例/

[長期]事業用資産の買換え特例の平成181231日廃止等々

 に対処するには          

鵜野和夫(税理士・不動産鑑定士)

204回 I グリーンシート制度についてー不動産関連会社の公開事例を交えて

                    茂木里江子(潟Aザヤカコンサルティング代表取締役)

205回 J 最近のドイツと都市法【かぶと温泉合宿】

                     丸山英気(中央大学法科大学院教授)

206回 K 賃貸マンション・アパートの管理の現場から

                      野呂瀬秀樹(潟nウスメイトパートナーズ企画開発本部)

2007年(平成19年)

207回 A 私道の通行をめぐる諸問題と取引、評価、税務上の留意点

                       黒沢 泰(不動産鑑定士)

208回 B 東京貸ビル市場の最新の動き

                       増田富夫(潟fィック・エンタープライズ専務取締役)

209回 C 土地の面積の測り方−今、その最新技術はどこまで進んでいるか

                      安西弘康(明海大学不動産学部教授・土地家屋調査士)

210回 D 中間省略登記の問題点及び代替方法としての直接移転売買方式について

                                吉田修平(弁護士)

211回 E 最近のキャッシュフロー計算書をめぐる諸問題−不動産の評価に

基礎数字を提供するキャッシュフロー計算書の仕組みと最近の事例

                      岡崎一浩(愛知工業大学経営情報科学部教授・日/米公認会計士)

212回 F 中間省略登記裁判の経緯と行政訴訟の実態

                      森田義男(税理士・不動産鑑定士)

213回 G 減価償却の平成19年の改正について−減価償却とは何か、から、償却費と資本的支出の実務まで

                       鵜野和夫(税理士・不動産鑑定士)

214回 H マンション建替えをめぐる諸問題

                       竹田智志(明海大学不動産学部/日本大学法学部非常勤講師)

 

215回 J 中国不動産の権利関係・市場と価格形成のあり方〜不動産評価の視点から

                          菱村千枝(不動産鑑定士)

216回 K 建築確認をめぐる最近の動き

                         秋山英樹(潟ニ総合計画・一級建築士)

  2008年(平成20年)

217回 @ サブプライム・ローン問題とグローバル・ファイナンス

                         植松 丘(早稲田大学国際不動産研究所・政策研究大学院大学 客員教授)

218回 A 賃貸住宅における差別禁止法理−フランス法の経験より

                         小柳春一郎(獨協大学法学部教授)

219回 B 手付けと解約について

                         上原由起夫(成蹊大学法科大学院教授・弁護士)

220回 C マンション建替えを体験して

                          山縣 知彦(税理士・不動産鑑定士)

221回 D 不動産投資商品の現状と将来の展望

                          佐藤 一雄(株サタスインテグレイト代表取締役)

222回 E カネボウ株価鑑定事件をめぐる諸問題

                          岡崎 一浩(愛知工業大学教授・日/米公認会計士)

223回 F 不動産の証券化から、証券の不動産化へ

                          鵜野 和夫(税理士・不動産鑑定士)

224回 G 抵当証券発行と不動産鑑定士の責任

                          上原由起夫(成蹊大学法科大学院教授・弁護士)

225回 I 広大地の税務評価をめぐる最近の動き

                          鵜野 和夫(税理士・不動産鑑定士)

                          杉崎 耕一(システム開発研究所)

226回 J 金融危機が不動産市場にもたらしたもの

安井 礼二

227回 K 昨今の金融市場動向

                          大槻 啓子(モルガン・スタンレー証券 投資銀行本部 不動産投資銀行部)