翌日、宮古のお盆には珍しく、ヤマセもなく、とても夏らしい暑い日です。
「これこれ、せっかくなんだから、浄土ヶ浜にでも行って来とでんせ。」何と適切な会話でしょう。
夏休みで子ども達が帰ってきている気分なのでしょう。そして私に言いました。「これこれおめ
さんも一緒に行って来とがんせ。おれが留守番しているがら。」そうでした。昔むかし、いつも母は
一歩下がって留守番係でした。しかし、今母には見張り番が必要になっているのでした。
「いいよ。母さん、二人で残りましょう。」妹一家が出かけてから、二人で歌を歌いました。
「ウタヲ ワスレタ カナリアハ ウシロノ ヤマニステマショカ .......」女学校時代の歌は
どんどん流れるように沸いてくるのでした。
あっという間に帰る日が来ました。「もう帰らないと言ったらどうしよう」と心配していま
した。ところが、「皆さん、大変お世話になりました。私はもっといたいども、ホームの皆が、
かえって来い、かえって来いとと言うもんだからしょうがないから帰らせていただきます。
本当にありがとうございました。」なんて素晴しいご挨拶でしょう。思わず目がしらが熱くなり
ました。 私が呆けた時、こんな挨拶ができるでしょうか。ありがとうと言うことができるでしょ
うか。今から感謝の言葉を述べる練習をしていないといけないなー、と思ったのでした。
母のお盆休みは無事に終了しました。東京から妹一家が来てくれたので無事に何事もなく終わった
のでした。夜間は1時間から2時間ごとに尿意を訴えるので、妹が付き合いました。おかげで一度も
お漏らしはありません。義弟も、姪もよく母に声がけをしてくれるので、母の精神状態はきわめて
良好でした。ここが自分の家だと思っているようでした。
東京の皆さんおかげさまでした。ありがとうございました!