|
12月30日
母がグループホーム「柿の木ホーム」から戻ってきました。
「お正月には藤原に帰るからね。」と会うたびに言っておりましたが
父母がかつて住んでいた藤原には今はもう誰も住んでいません。
舘合町の我が家に、ともかくもやって来ました。東京から12才年下の
妹が、職場(病院の薬局)のお休みをとって、母のために来てくれました。
タクシーに乗るとき、降りるとき、「ありがとう、ありがとう」と言いながら
やってきました。
母には介護認定2の痴呆があります。2年前は犬棒カルタができましたが
今年は無理でしょう。ちょうど運が良いことには、和紙で出来た素晴らしい
ふく笑いが手に入りました。60cm四方の台紙に、ふくらみを持たせた
和紙で作られた形の良い鼻や目や口を置くようになっています。
さて出来るでしょうか? |
|
|
|
昔々は手ぬぐいで目隠しをしました。今回のセットにはマスクが入っていました。
母にマスクをしてもらったら、もうそれだけで私と妹は大声で笑ってしまいました。
マスクの表情がおかしくて、どうしようもないのです。私もかけてみました。妹と
母が大笑いです。今度は妹がかけました。やっぱり私と母が笑い転げました。
さてさて母に目隠しなしで鼻を持ってもらいます。「さあ、これはどこにおくのでしょう?」
母はしばらく思案の様子、それからしばらくして台紙の顔のひたいに近いところに
横っちょに置きました。次に唇を持ってもらいました。上唇は丸みがふたつ、下唇は
丸みがひとつです。母はそれを逆かさにして、鼻の上方に置きました。妹と私は
思わす顔を見合わせました。「母さんはマスクが要らないね」と妹がつぶやきました。
ここまで痴呆が進んでいるのかと少しばかりショックでした。でも気を取り直して、
勿論マスクなしで、繰り返してもらいました。三回ほど繰り返すと「あーっ、こんなに
出来上がるんだね。わかった。わかった。」と満足の様子でした。 |
|
|
|
大根とにんじんのなますには、醤油味のハラコ(いくら)をちらし、干し柿の細切りを
載せました。昔々母がそのように作ってくれたのでした。
お雑煮には切り餅を初めから1cm大に切って入れました。のどに詰まらせないように、
妹と二人で見張っていました。数の子も、黒豆も、本当に美味しそうに食べてくれ
ました。 とても幸せなお正月でした。
「ありがとう、ありがとう」と言いながら、柿の木ホームに帰っていきました。
母は1月27日が来ると87才になります。柿の木ホームの皆さんにとても大切にして
もらっています。ありがたい事と思います。 |
|
ナンテン 舘合町 |
|
|
|