ふくわらい
       2006/1/23   new
・・ 











 12月30日
母がグループホーム「柿の木ホーム」から戻ってきました。
「お正月には藤原に帰るからね。」と会うたびに言っておりましたが
父母がかつて住んでいた藤原には今はもう誰も住んでいません。
舘合町の我が家に、ともかくもやって来ました。東京から12才年下の
妹が、職場(病院の薬局)のお休みをとって、母のために来てくれました。
タクシーに乗るとき、降りるとき、「ありがとう、ありがとう」と言いながら
やってきました。
母には介護認定2の痴呆があります。2年前は犬棒カルタができましたが
今年は無理でしょう。ちょうど運が良いことには、和紙で出来た素晴らしい
ふく笑いが手に入りました。60cm四方の台紙に、ふくらみを持たせた
和紙で作られた形の良い鼻や目や口を置くようになっています。
さて出来るでしょうか?
    









昔々は手ぬぐいで目隠しをしました。今回のセットにはマスクが入っていました。
母にマスクをしてもらったら、もうそれだけで私と妹は大声で笑ってしまいました。
マスクの表情がおかしくて、どうしようもないのです。私もかけてみました。妹と
母が大笑いです。今度は妹がかけました。やっぱり私と母が笑い転げました。
さてさて母に目隠しなしで鼻を持ってもらいます。「さあ、これはどこにおくのでしょう?」
母はしばらく思案の様子、それからしばらくして台紙の顔のひたいに近いところに
横っちょに置きました。次に唇を持ってもらいました。上唇は丸みがふたつ、下唇は
丸みがひとつです。母はそれを逆かさにして、鼻の上方に置きました。妹と私は
思わす顔を見合わせました。「母さんはマスクが要らないね」と妹がつぶやきました。
ここまで痴呆が進んでいるのかと少しばかりショックでした。でも気を取り直して、
勿論マスクなしで、繰り返してもらいました。三回ほど繰り返すと「あーっ、こんなに
出来上がるんだね。わかった。わかった。」と満足の様子でした。
     









大根とにんじんのなますには、醤油味のハラコ(いくら)をちらし、干し柿の細切りを
載せました。昔々母がそのように作ってくれたのでした。
お雑煮には切り餅を初めから1cm大に切って入れました。のどに詰まらせないように、
妹と二人で見張っていました。数の子も、黒豆も、本当に美味しそうに食べてくれ
ました。 とても幸せなお正月でした。
「ありがとう、ありがとう」と言いながら、柿の木ホームに帰っていきました。
母は1月27日が来ると87才になります。柿の木ホームの皆さんにとても大切にして
もらっています。ありがたい事と思います。





ナンテン  舘合町







    

「ときどき日記」最新号にもどる    「バックナンバーのページ」にもどる