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年老いたアヒルはたいてい3羽の合鴨と行動を共にしていました。 ところがここに、三ヶ月元気がありません。羽根に泥水が染み込んで汚れ色になり、 葉っぱの陰にうずくまり、餌も採れない様子でした。 お豆腐やさんがナイスシュートで アヒルの嘴の先に餌を放るのですが、鴨達が一斉に群がって食べてしまうのです。 弱ったものは加速度的に弱っていきます。 ある日お豆腐やさんともう一人お米屋さんとがこのアヒルを古い犬小屋に収容しま した。お豆腐やさんがお豆腐を、お米やさんがお粥を与え、床の古新聞を変えたり 一生懸命に介護をしました。そうしたらぐんぐん丈夫になってきました。 羽根が白鳥のように真っ白になりました。 その辺を歩き回ってはグエッグエッと 力強い鳴き声をあげるようになりました。 そしてある日奇跡が起きました。 小屋の場所から山口川の水辺までグライダーのように飛んで降りたのです。 見ていた人達が一斉に拍手をしました。 愛情は種を超えて通じるものなのですね。 |
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( この原稿を書き終えた日、こころない 車にはねられて永眠しました。) |
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