3月28日 早朝
ランランが亡くなりました。 |
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| 市内津軽石川にて 伊香さまの作品です |
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シェットランドシープドッグのランランが、我が家にやってきたのは13年前、
乳離れしたばかりの頃でした。 ペルシャ猫のミューミューも又、同時に
同じ年齢でやってきました。ふたりは兄弟のように仲良く育ちました。
別々のかごを準備しましたが、ひとつのかごに二匹はくっついて眠りました。
猫のミューミューが階段を駆け上ると、犬のランランも負けずに駆け上るの
でした。ミューミューは最上段の手すりの上で居眠りをするのですが、それ
だけはまねをしませんでした。やはり自信がなかったのでしょう。
ランランの散歩はもっぱら夫の役目でしたが、2000年の春、夫が出家を
しましたので私の役目になりました。朝6時、目覚ましが鳴ります。本当は
寝坊の私は音楽をかけてウォーミングアップをして、6時半ごろ起き出し
ます。音楽はバッハのチェロ曲だったり、ピアソラのタンゴの曲だったり
します。 音楽が鳴るや否や、ランランが駆け上がってきます。ドアに体当
たりをして、「お母さん、入れて、入れて!」と大騒ぎです。
やがてジャンパーにスニーカー姿になり、ランランの首紐を取り付けると、
「さあ、出発だ」と得意げに、鼻をフンフンさせるのでした。
コースは山口川に沿って下ります。時間がたっぷりあるときは裁判所で左に
折れてドーナツ屋さんを過ぎ、ガソリンスタンドで又左に折れます。山田線
の上にかかった出会い橋をわたります。時に第一中学や、宮古高校の生徒
さんたちとすれ違います。「ウワー可愛い!ラッシーみたい!」と口々に
誉めるのでした。ランランは誉められるのが大好き、得意げに首をすっと
立てるのでした。それから宮古駅にでて、そこでも売店のおばさんに誉めら
ます。末広町に出てその後は和見町を通って、山口川に出ます。そこでは
カモ達にえさをやっているお豆腐屋さんと立ち話をして、自宅に到着するの
でした。家の前にはミューミューが待っています。そしてふたりはくっつきなが
ら石段を上がって玄関の前でチュ-をして、セレモニーは終了するのでした。
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2001/9/16 |
2003年の夏、ミューミューが家出をして戻ってきませんでした。その頃から
ランランは元気がなくなりました。食欲も落ちました。そして2004年夏ごろ
には「もしかしたら、そろそろお別れかな」と予感めいたけはいがありました。
大好きだった、朝・夕の散歩を嫌がるようになっていました。
このお正月、宮古には珍しい大雪の朝、イヤイヤをして5mも歩かず
「じゃー帰る?」と言うとさっと振り向いてすたすたと帰ってきたのでした。
目は白内障が徐々に進行して、2mあたりでは見えないらしく、私を探して
います。以前は玄関前のいしだたみを歩く私の靴音がすると、さっと玄関まで
出てきてスフィンクスの姿で待っていたものです。この頃から耳も遠くなったら
しくソファーに寝そべったままになりました。臭いはまだわかるようでした。
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2000/12/31 |
散歩好きなのに、歩けないのはかわいそうと思って、いろいろ考えました。
ペット用の本で乳母車を探しました。小型犬用のは沢山ありましたが10kg
のランランがくつろいで乗れる物は見つかりませんでした。3月16日、中古品
のお店で人間の赤ちゃん用の乳母車を買いました。とても立派でした。
その上に大きなバスタオルを敷いてランランをのせました。ランランにぴったり
のサイズでした。早速に山口川に沿って上ります。下校する山口小学校の
子ども達とすれ違いました。すると「キャーッ」と女の子達が走って戻ってき
ました。「人間の赤ちゃんだと思ったらワンちゃんだーっ!」と言います。
口々に「可愛い、可愛い!」と誉めてくれました。ランランは満足そうでした。
首をめぐらして、見えないのに川を眺め、耳をそばだて、クンクンと臭いを
かいで確認しているようでした。
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2001/10/15 |
3月27日(日)ここ数日、大好きなトリのささみも食べないし、水も飲まない
ので、スポイトで蜂蜜水を口に入れてやりました。午前中はゴクンと飲みま
した。午後になると、飲み込めずに、口からたらたらと流れて落ちました。
首に全く力が無く、声も出ません。 「そろそろ今夜あたりかなー。」と思い
ました。 3月28日(月)1:00a.m.呼吸が浅くなりました。 3:30a.m.呼吸
が不規則になりました。一眠りして降りてきましたら、もう終わりでした。
6:30a.m.亡くなっておりました。
癌などの病気ではなく老衰であったろうと思いました。お父さんが居なくなり
ミューミューが居なくなった事も、辛い出来事だったのではないでしょうか。
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2004/1/30 |
4月7日(木) 今日はあちこちの幼稚園や小、中、高校の入園式、入学式
がありました。子ども達に囲まれるのが大好きなランランでした。子どもの声は
ランランを連想させます。
何よりも部屋の中が無機質になってしまいました。話しかけるときちんと視線
を合わせて、私の話を聴いてくれました。その視線はありません。ランランの
声も無く、体温も無く、においもありません。寂しい部屋です。今更ながら
ランランは貴重な伴侶だったと思います。気持ちが回復するまでには時間が
かかりそうです。
でも明日からは気を取り直して、ランランなしで独りで散歩を再開しましょう。
毎年3月は クリニックにいらっしゃるお子さん達が、ご両親の転勤にともなっ
て宮古を去っていきます。この春も何通か紹介状を書きました。お子さん達と
のわかれと、ランランとのわかれが重なりました。 つらい春です。 |
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2005/2/13 |
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