学会ふたつ
                    2001/11/13new             

第7回日本保育園保健学会 盛岡市民文化ホールにて  平成13年10月13日、14日
岩手県小児科医会会長の小川英治先生を会頭に、全国から980名以上の参加で開催
されました。参加者は保育園保育士を主体に、看護婦、小児科医が集まりました。
第1日目の分科会はテーマ@「子供の社会性を育てる」「21世紀の園医活動」と、テーマ
A「園児の健康管理」「疾病予防」、およびテーマB「育児支援、多様な保育サービス」、
「保育園保健における看護職の役割」が取り上げられました。
第2日目は会頭講演「21世紀の子育てーその目指すものー」が最初にあり、その後
教育講演が三題ありました。遠藤幸子先生の講演は大変素晴らしいものでしたので
抄録を少しご紹介いたします。

保育の中の保健〜子どもたちの健やかな成長を願って〜
              全国保育園保健婦看護婦連絡会会長  遠藤 幸子
  保育園看護職についての全国調査を報告します。  保育園の看護職の配置は
17.7%と低い状況です。独立配置は半分で保育士要員内配置が半分でした。看護
職の仕事は園児の健康管理に対応し保育の継続の判断に関与しています。又職員
に対する保健領域の指導や地域の子育ての支援にも役割を果たしています。 例と
して、私の勤務する保育園で、麻疹が流行したときのワクチン接種その他について
行政に対してきちんと意見をだして、流行が最小限になるように努力できました。
嘱託医については、小児科専門医約20%、内科小児科医20%であり、残りは他科の
医師です。嘱託医の来園は年2回が最も多く80%で健康診断のためで、月1回以上の
来園は10%でした。児の病気の場合の投薬は78%の保育園で実施されていました。
  今保育園に求められているものは何でしょうか。
社会の変化は、さまざまな形で子供たちに影響を与えています。夜型の
生活、簡単に済ませる食生活、歩くことの少なくなった生活、またまた休
日ごとのレジャーなどなど.....。子供たちは大変疲れています。こういった
現代の子供達の生活背景をしっかり把握した上で保育に当たりたいと思
っています。社会が無くしつつある“子どもの時間”“子どもの場”“なかま”
が保育園にはあります。子どもが群れ遊べる貴重な場です。子どもたち
の育ちの力を上手に支えながら、同時に、保護者が子育てを喜びとでき
るように支援をしていきたいものと思っています。
   。。。。。。。。。。。 ヨウシュヤマゴボウ

東北外来小児科学研究会  仙台市医師会館 にて   平成13年10月28日
小児科を開業しておられる仙台の永井幸夫先生や、盛岡の三浦義孝先生を中心にし
て東北外来小児科学研究会設立集会が開かれました。日常の外来診療での疑問や、
試みた工夫、調査、研究などをざっくばらんに話し合える楽しい研究会を作りましょう
という会でした。一般演題は下記のとおりです。1.絵本の会と育児支援 石井アケミ
先生 2.子どもの靴選び 峯真人先生  3.思いやる心、それはCPR 三浦義孝
先生 4.インターネットの医療相談から見えるもの 川村和久先生  5.病診連携
の大切さ、そしてありがたさ 永井 幸夫先生 。
  特別講演は2題でした。そのうちのひとつは大変驚き、また感銘を受けた講演でし
たので、一部分をご紹介します。
「小児科開業医による医学生教育」      橋本 剛太郎先生
       はしもと小児科クリニック
福井医科大学臨床教授
                             
東京大学小児科で教鞭をとっておられた橋本先生は、福井に帰られて開業され
ました。ここ数年福井大学小児科のクリニカルカンファレンスに参加されていたそう
ですが、1年前から「小児科の臨床」について学生への講義を受け持つようになり、
さらにご自分のクリニックでの実習も受け持つことにしたそうです。100人の学生が
2人ずつ週に1回やってくるので、殆ど1年中毎週実習生が来ていることになります。
ご自分の診療をしながら、学生に教えるとは本当に驚きました。
小児科の夏場は患者さんが少ないのですが、冬の多忙の季節に診療と教師役と両
方をこなすのはどんなにか大変なことでしょう。とても尊敬します。しかしアメリカにお
いては小児科開業医のところでの実習経験が無いと、小児科専門医の資格が与え
られないそうですし、日本においても早晩そうなることでしょう。又学生時代に実際の
子ども達に触れてもらったら、小児科医になりたい人が増えるのではないでしょうか。
実際に触れると、子どもたちがやわらかくてあったかくて甘酸っぱい匂いがして、きっ
と子どもが好きな人が増えるでしょう。兄弟の少ない世代ですので、身近に赤ちゃん
がいない人が多くなっているのではないでしょうか。とても素晴らしい試みだと思いま
す。教える側の負担と、患者さんの同意など幾つか問題点はありますが、そのシステ
ムが順調に行けば、理想的な小児科医が誕生するような気がします。
  感動的な講演でした。

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ケヤキ(欅)
  古名:ツキ(槻)
ケヤキの木肌ケヤキの落ち葉

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