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第104回日本小児科学会 2001.5.18~2001.5.20 仙台国際センター 会頭 飯沼一宇教授 |
2001/6/12 new |
教育講演5 「0歳児の言語習得」 京都大学霊長類研究所 助教授 正高信男先生 “子どもはことばをからだで覚える”正高信男著(中公新書)の第3章を中心に
人の赤ちゃんは生まれて6~8週になると「アー」とか「ウー」とか声が出るようになります① cooingです。それ はオムツがぬれていなくて、おなかも空いていなくて、気持ちの良い状態の時のようです。やがて6~7ヶ月に なる頃には「アーアー」とか「ウーウー」とかまとまりのある音が出てきます。② marginal babblingです。ついで 6~9ヶ月で「子音+母音」がはじめて出現し、「ダ、ダ、ダ、ダ...」とか「バ、バ、バ、バ、....」などの③ babblingが 始まります。喃語です。①と②は喃語ではありません。③のみが喃語です。聴覚の末梢器官に障害がありま すと①②はできますが③が出来ない事が解っています。 ①→②→③と進む過程で幾つかの興味深い事象が観察されています。 初期の笑い(声を立てて笑う)と喃語の発現の間には連続性があります。 笑い声を立てることが子どもにとっ ては大切な発語訓練になります。 吸気の後にハッハッハッハと呼気を規則的に小刻みに連続的に行う “笑い”は発語の練習になります。 笑いは、図3ー2のように3ヶ月頃からは足をばたばたさせる運動と同期して見られ、5~6ヶ月頃からは足の動 きは減少して、手のリズミカルな運動と同期して見られます。笑う事によって、又足や手のリズミカルな運動に 同期させる事によって発声の練習を積み、短い音節を何度もくりかえすことが出来るようになります。おとな並 みに子音を発せられるようになると、発声と手の運動の同期は急速に消失します。 笑う赤ちゃんに対して 周囲のおとなが友好的な働きかけをすれば、赤ちゃんは笑いの頻度が上がり、言語技術がさらに向上する でしょう。 申し上げたい事はたくさんありますが、時間が限られておりますので終わりにいたします。 詳細は“子どもは ことばをからだで覚える”正高信男著(中公新書)を読んでくださるようお願いいたします。 |
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正高信男 同著より引用 |