38回岩手県小児科医会   1月13日  盛岡にて
特別講演「小児期の結核の特徴と治療戦略」

    横浜市立大学小児科学教授 横田俊平先生

  第二次大戦後の医療の進歩により結核の死亡率は減少した。しかし先進国と言われる中
では日本は30年は遅れているといわれる。WHOのデータによると世界の人口の三分の一
が結核に感染しており、年間300万人が結核で死亡している。
 横田先生が中国上海の大病院(1000ベット)を訪問した時、小児科の入院患者の90%が
結核であった。日本においては全体は減少しているものの、乳幼児の発生、死亡が増えて
いる。一つの病院でまとめて沢山の症例を診る事が無くなった為、医師の診断治療の技術
向上も困難になりつつある。今日は6才未満乳幼児と、6才以上学童との症状及び検査所見
が異なるので提示する。1995年からの5年間に横浜市大病院に入院した結核の乳幼児は20
人強であっ た。90%以上が家族内感染であった。すべて重症な急激な感染であった。
髄膜炎.粟粒 結核.胸膜炎.骨髄炎等であった。乳幼児の結核診断は非常に難しい。
大人の場合の 症状は、咳.るいそう.赤沈値の亢進.胸部レントゲン写真の異常.喀痰を
出せる事から診断をする。乳幼児は症状が揃わず、又検査判定も難しい。

空洞型非空洞型 胸部レントゲン写真
での診断が難しい
乳幼児の結核診断
1.家族健診  72%
2.ツ判の陽転
3.学校健診
乳幼児
0例
23例
学童
6
5
結核が家族内で発生したら
乳幼児,学童の結核診断
1.ツ判
2.血液検査
3.胸部レントゲン写真
4.CTスキャン又はMR
5.胃液からの結核菌培養
  DNA
乳幼児の場合
1,2,3,4,5すべてに異常所見が無かった場合、家族内に結核の
人がいれば社会的適応として予防投薬をする。
学童の場合
★1,2,3,4,5,すべてに異常所見が無かった場合
  感染症として成立していない。毎月一回ツ判で追う。
★ツ判で大きい紅斑があっても2,3,4,5,に異常が無かった場合
 は感作は成立していると考える。治療はしない 
Q: BCGが無効であると週刊誌が特集を組んだがどうか。
A:乳幼児期早期のBCGは非常に有効です。











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