初めて本をつくりました
 写真絵本「とちの木」 
                2006/8/1  new
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 初めて本を作りました。 印刷は、父花坂恭平の本家 花坂印刷に依頼しました。
いとこの康太郎さんは「あねさんのために がんばっけー」と一生懸命でした。
A4の大きさで横、文字も横書きとしました。 紙選びは念入りにしました。
仕上がった本は原稿よりも立派でした。 新しいインクと紙の臭いがとても素敵
でした。
はじめに
 とちの木は、多分私が生まれるずっと前からそこに存在していた、 と思われます。 100年前からでしょうか、200年前からでしょうか。 我が家を出て徒歩3分ほどの、山口川にそった大きなお宅のお庭に あります。   2000年4月夫が出家をして宮古を去ってから、 愛犬ランランの散歩は私の役目になりました。とちの木は散歩道に ありました。5月、素晴らしい花穂を形作る白い花に気づきました。 かすかに甘い香りもします。とちの木に魅力を感じて、生まれて 初めてカメラを手にしたのでした。 ヤマセが早くに訪れると花が良く育ちません。又花が素晴らしくて も、その後に低温が続くと、実がつきません。それから、実がつい ても大きな台風がやってくると、熟す前に落果してしまいます。 なかなか一生をまっとうする事は難しいようです。お日様のご機嫌 がよく、私が寝坊をしなければ、デジタルカメラと一緒の散歩は、 何よりの楽しみとなりました。  2006年春とちの木が切られそうになった事をきっかけに、今まで の写真の中から何枚か選んで、まとめてみました。 とちの木は、 枝が5本切られましたが無事に残りました。   これからも何事も無かったように生きていくのではないでしょうか。                        内田 瑛子







4月

若葉の季節、花穂もかすかに見えます






5月上旬
やわらかな葉は 下向きにおだやかな
V字を描きます

花芽も 膨らんできました






5月下旬

満開の花が 樹木全体を おおっています

かすかに甘い香りがします








5月下旬

近づいてみると 花穂は 見事です







5月下旬

満開を少し過ぎた 花穂






6月下旬

実が かすかに膨らみ始めました



7月

幾つかの実が しっかり つきました



8月

実は かたさが増し 葉は年老いていきます


9月
葉の色は きみどり、黄と 変化して
いきます


11月
葉の色は 茶色に変わり、
落葉が始まりました





11月

来年の芽吹きの準備を始めようとしています





12月

放射状に伸びた枝は 雪をかぶると まるく
優しい樹形となります




2月

南に面した 5本の枝が 切り取られました



3月

ケータイの基地局が できました






3月

枝は切られても 
     芽吹きの準備はできました
あとがき   珠音(じゅね)へ
 あなたが亡くなって20年が過ぎました。  若くエネルギーに溢れていた頃には全く気がつかなかったのに、 年を取った今はじめて気づく美しいものがあります。とちの木は、 私がこの地に住んだ時に既にあったのに、全く気づきませんでした。 白い花の地味な美しさ、あるか無きかのかすかな香り、これは今の 私にとって、代えがたい宝物です。この美しさをあなたと共有でき なかったことは悲しいことです。朝の散歩の楽しさをあなたと分か ち合えなかったことを許してください。私の心にまったく余裕が 無かった事を、心からおわびします。とちの木のお宅のおじさんと いつの間にか話をするようになりました。このおじさんは、あなた と一緒に見た、TVの日本昔話に出てくるようなおじさんです。 たいてい、ゆっくりと庭掃除をしていて、こちらも昔話の世界に 居るような錯覚におちいります。  若かった頃よりも今のほうが、クリニックの小さなお客様たちの 言葉がよく聞こえ、理解できるようにになりました。あなたが小さい 時キャッキャッと笑ったように、待合室からも、楽しげな声が聞こ えてきます。子どもたちの声の中に、あなたの声が聞こえます。  小児科は私にぴったりの仕事だったと思います。  許されるなら、この仕事はもう少し続けたいと思っています。
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写真絵本「とちの木」は待合室においてございます。 実費1200円でお分けいたします。

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