3月8日宮古医師会立准看護学院の閉校式が行われました。
宮古医師会立准看護学院は昭和39年に開校され、10年遅れて高等看護学院が
開校されたそうです。准看2年、高看3年で看護師が仕上がります。初期において
は准看は中卒で入学が認められたそうです。ここ十年ぐらいは、高卒または他の
職業、専門学校卒、大卒の方も入学してきました。主婦で卒業された方もいます。
私は准看の1年生に小児科を教える係りを14年間続けました。毎年6月、7月と
9月、10月に計15回の授業を受け持ちました。始めは大変苦痛でした。誰も理解
している表情をしなかったからでした。毎回講義の前日は胃が痛くなりました。
不登校になりそうでした。でも良い考えが浮かびました。紙芝居式に絵で示したり、
写真を拡大したりして提示しました。しかしその方法は前から3列くらいまでしか
見えないようでした。 ここ数年はパソコンでのスライド作りを覚えたので、大画面
で颯爽と講義をしました。初めて最後の列の学生さん達も大きくうなづくのが見えま
した。目を丸くしてスライドを見つめる方が沢山居ました。そのあとで机の間を歩くと、
口々に質問をしました。ようやく若い世代と意思疎通ができたと嬉しくなりました。
講義1回終了するごとに、過去10年間の資格試験の問題をやってもらい、丸つけは
教務の先生にお願いしました。スライド使用の講義は、成績のやや上昇という効果
を産みました。今後はスライドを修正しながら、より美しくしていこうと思った矢先でし
た。 国の方針で医師会立の准看2年、高看3年は否定されました。教室の大きさ、
教務主任の人数の増加など次々と条件が引き上げられ、ついに閉鎖に追い込まれ
ました。
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4月19日 市内山口川にそって |
宮古市内には県立高看があり、毎年凡そ20人の卒業生を輩出しています。
医師会立准看は約30人、高看は約20人の卒業生を輩出しています。
医師会立准看の卒業生は、資格試験の後、およそ3分の2は高看に進学します。
3分の1は就職します。人それぞれに事情がありますので、准看と高看と二つのタイプが
あって良いと思います。働きながら学ぶ道があること、人生の途中からも進む道を選べる
ことは、社会に柔軟性を与えると思います。何よりも看護学院が地方にあることが、地方の
医療者の補給となっていると思うのです。
宮古医師会立高看は他県のそれよりも授業料が安く、又国家試験の合格率が高い
ので、北海道その他の地方からの准看卒業生が大勢入学しています。
宮古医師会立准看の最後の卒業生は、入学時は29人で、卒業時は20人でした。
この41年間で1122にんの卒業生を送り出しているとの事です。
最後の卒業生20人全員が資格試験に合格できました。20人のうち12人は高看に進学が
決まっています。 盛岡医師会立に2人、水沢の県立高看に5人、岩手看護専門学校に5
人です。 20人のうち8人は市内の病院、医院に就職が決まりました。
どうぞ皆さんそれぞれの道を頑張ってください。
現在2学年が残っている高看も2年後は閉校となります。そうなると宮古市内での看護師
誕生は県立高看からのたった20人のみとなります。その方たちの多くは県立病院勤務を
望みます。
これで良いのでしょうか? 医療者が都会に集中して、やがて地方には看護師が
不足するのは目に見えているのではないでしょうか。 10年、20年、30年後、産婦人科医、
小児科医だけではなく、看護師も 風前のともしび という状態になりそうな予感がします。
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