第24回宮古市学校保健
         研究大会
  2005/4/10  new
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第24回宮古市学校保健研究大会が開かれました
    平成17年2月16日   13:30〜16:30
    場所    宮古市民文化会館 中ホール
    研究発表者    亀岳小学校     佐藤 和文   先生
                  第二中学校     佐々木 晴美  先生
                 磯鶏小学校     菊地 幸恵    先生
     特別講演  加藤病院名誉院長    佐々木 顕司  先生
             (元県立宮古病院副院長)
     参加者   市内すべての小中学校の教諭、学校医、保護者
     主催   宮古市学校保健会、   共催  宮古市教育委員会   
市内津軽石川にて   伊香さまの作品です
 

 平成14年、15年、16年の研究テーマは「タバコ、酒、薬物から子ども達を    
守るために」となっております。市内すべての小学校5,6年生と中学校1,2,3
年生を対象に、アンケート調査をして、平成14年と平成16年の比較整理を
した調査結果を 菊地幸恵 先生が発表されました。佐藤和文先生の発表
は授業の中で、薬物乱用の害を調べて、さらに劇でロールプレイイング
することによって、実際の誘惑から身を守る方法を会得することを目的とし
ています。亀岳祭で保護者や地域の人々に見てもらい、好評だったそう
です。佐々木晴美 先生は興味深い授業の形態「Team Teaching(TT)」が
大きい効果が得られることを、発表されました。まず養護教諭がタバコの
害について、グラフや写真を用いて説明します。学級担任が授業の流れ
を作り、ロールプレイイングによって生徒達のやる気を高めて、実際の誘惑
を断る方法を共にまなび、授業のまとめに持っていくと言う方法でした。
思春期の中学生に対して、個人の指導も大事ですが、社会による対策が
まず大事であると、強調されました。
 特別講演は 佐々木顕司先生による「宮古市学校保健会の歴史」
ついてでした。佐々木顕司先生の後をついでいく私達にとって大変勉強
になりました。第1回は1980年(昭和55年)に古い建物、宮古市役所
分庁舎で行われたそうです。時代と共に問題が変遷して行きました。
第24回の今回まで絶えることなく続いてことは誇ってよいと思います。
佐々木先生は1972年(昭和47年)に県立宮古病院の小児科科長として
赴任されて以来、宮古の小児医療のために尽くされました。
1988年(昭和63年)から2004年3月(平成16年3月)の間、学校保健会
副会長、会長として尽力されました。各学校の先生方はその指導に深く
感謝しておりました。
2004年4月(平成16年4月)、佐々木顕司先生のあとの学校保健会会長
の席を、思いもよらず私(内田)がお引き受けすることになりました。
    
     ごあいさつ          2005/2/16  宮古市学校保健会  
                     会長  内田 瑛子  第24回宮古市学校保健研究大会開催にあたり、一言ご挨拶申し上げます。 本日は平日の日中にもかかわらずこのように沢山の方々のご参加を頂き ましてありがとうございます。  私は宮古駅前でうちだ小児科クリニックを開業いたしております、内田瑛子 でございます。昨年4月、大先輩の佐々木顕司先生の後を引き継ぎ、会長の 任に着かせていただくことになりました。小中学校の先生方、保護者の方々、 学校医の方々とともに、子どもたちを大事に育て、守っていきたいと心から 考えております。  
 
 皆様ご承知のとおり、子どもに関する悲しい事件が、TVや新聞で毎日の ように報道されています。自分になつかないから、ミルクを飲んでくれない から.....と、わが子を虐待する保護者が後をたちません。  子どもの首のすわり(定頚)が何ヶ月で可能なのかを知らない保護者も居ます。 虐待のつもりは無くあやすつもりで、生後1、2ヶ月の子どもを"高いたかい"を して、頭の中の出血(頭蓋内出血)をさせてしまう症例もあります。私たちの 子どもの頃は、兄弟が多く、赤ちゃんから大人になるまでの発達段階を家庭の 中で自然に学習することができました。しかし現在は一人か二人の出生ですから、 自然な環境で学習することはできません。子育ては学習なしにはなりたちません。 出生から小学校に入るまで、又その時点から成人に育つまで、子育てと親育て 両方について、積極的なかかわりが、必要な時代になったと強く感じます。 大家族時代の、お嫁さんの困難な立場は、今の核家族時代には消失しましたが、 群れて生活することによって学習する子育てについては、無力になってきつつ あります。つまり外からの子育てと親育てのサポートが強力に必要です。 このような時代であるからこそ、学校保健会がその役割を果たさなくてはなら ないものと考えます。
さて平成14年、15年、16年と「喫煙、飲酒、薬物から子どもを守りましょう」 と言う課題で先生方が授業の中で取り組んでこられました。ここで喫煙が何故問題 なのかを復習しておきましょう。@200種類以上の有害物質、うち40種類以上の 発癌物質を含む。(タール、ニコチン、CO、ダイオキシン、シアン他) A老化を 早める B肺がんをはじめ呼吸器疾患の原因 C血管の閉塞、梗塞(動脈硬化、 心筋梗塞、歯周病) D女性との関係:皮膚その他の老化、胎児の死産・流産 ・早産・低出生体重児・催奇形性 E依存性が高く(ニコチン依存、心理的依存)、 他の薬物への引き金ともなる Fタバコ産業およびコマーシャル、自動販売機は 大きな問題 Gダイオキシンが出るからごみ処理機は廃止、粉塵が出るからスパ イクタイヤは廃止になりました。それならならばタバコは種々の健康被害の原因 であることが判明していますので、国は思い切った政策を立てる時ではないで しょうか。
 
 平成14年度の子どもと家族へのアンケート報告と、平成16年度の研究授業 の報告を読みますと、一見、堅実な方向にあるように思えます。しかし中学から 高校にかけて身体も心も大きく変化していきますので、この問題に関しては小、 中、高校と関連付けて研究が必要であったと考えます。  平成16年8月からすべての宮古市内小中学校の敷地内が禁煙となりました。 日本人の喫煙率は平成16年度で男性47%、女性13%(JT調べ)と言われ ておりますので、ひとつの躍進であったと思います。 世界に目を向けますと、 ブータンの国内では平成16年12月17日を持って販売禁止、屋外を含めた 全国完全禁煙を、世界で始めて実施しました。もともとブータンの人々は敬虔な 仏教信者が多く、喫煙率が2%であったそうです。
 今回の研究発表は、亀岳小学校の佐藤和文先生、第二中学校の佐々木晴美先生、 磯鶏小学校の菊地幸恵先生と聞いております。興味深い発表を期待しております。 又特別講演は、宮古市学校保健会の会長を長らく勤められた、佐々木顕司先生の 貴重なご活動と、その経過についてお話されると伺っております。  三人の先生と佐々木顕司先生、よろしくお願いいたします。 では大会を始めましょう。      参考図書: 「禁煙外来の子どもたち」高橋裕子(東京書籍)、
      「子供たちにタバコの真実を」平間敬文(かもがわ出版)      

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