第21回岩手県学校保健・
学校保健医大会
    2005/2/9 new
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平成17年1月16日第21回岩手県学校保健・学校保健医大会が開催されました。
場所は岩手県医師会館、午前は一般演題8題でした。私も、初めて演者の一人を勤めました。
    一般演題
     1.遺伝相談と学校との関りについて ・・・・・・・・・・・・・・   小児科  川村みや子
     2.ホームページ作りに夢中    ・・・・・・・・・・・    小児科  内田 瑛子
     3.近くが見えない子供たち      ・・・・・・・・・・・・・・   眼 科  鈴木 武敏
     4.学校生活と視力矯正        ・・・・・・・・・・・・・・   眼 科  玉木 光子
     5.鼻閉が学校生活に及ぼす影響について・・・・・・・・・・・・ 耳鼻科  千葉 隆志
     6.小児における、鼻副鼻腔手術症例の検討・・・・・・・・・・  耳鼻科  遠藤 芳彦
     7.「命」を感じ取ることができるようにするために
       −気仙医師会を中心にした赤ちゃんふれあい体験の試み− ・・・産婦人科 秋元 義弘他
     8.10代の妊娠・出産・育児に関する調査
       −客観的データより今後の課題を探る−・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・産婦人科 小笠原 敏浩
午後はシンポジウムと、特別講演がありました。
     シンポジウム「こどもたちの非行と向き合うために学校医に望むこと」
      シンポジスト   岩手県教育委員会教育課生徒指導監     高橋 嘉雄
                岩手県警察本部少年サポートセンター所長   宮本 中子
                岩手県薬剤師会薬の情報センター課長補佐  高橋 菜穂子
                もりおかこども病院子育てセンター長       赤坂 徹
     特別講演「ちょっと気になる子どもたちの考え方と対応
                     −軽度発達遅滞を中心に−」
               国立成育医療センター発達心理科医長  宮尾 益知

岩手県内のすべての小、中学校の学校医、校長を始めとする教諭、各地区の保健師、保育師が
会員です。500人以上の参加者がつどいました。

                 では 私の発表の内容を一部紹介したいと思います。
スライドはスライドだけの順番でご覧ください。これを使って発表しました。
文章は発表後の大会誌用の原稿ですのでこれも文章だけ続けて読んでください



     
 ホームページ作りに夢中
               「ホームページを作ってどんな効果がありましたか?」 
       2005/1/16  第21回岩手学校保健・学校医大会  内田 瑛子
「ホームページを作ってどんな効果がありましたか?」とよく質問されます。
残念ながら数字には表わせませんし、形にも見えないので、有益なのかどうか
私にもお答えできません。しかし何か変わったことは確かです。それは何だった
のでしょう。結論を申しますと、患者さんとのコミュニケーションが、またスタ
ッフやご近所の方々と、それからまだお会いしたことの無い読者の方々との間に、
あたたかなコミュニケーションが生まれたように思われることです。 
ここ数年、若いお母さん、お父さんが、「赤ちゃんが怖い、赤ちゃんが泣くのが
怖い」と思っているのではないかと感じるようになりました。そして病院に来て
相談するのも気後れがすると思っているのではないか、と感じるようになりました。
兄弟が無いままに成長し、赤ちゃんに触れるのが、子どもが生まれてきて初めて、
というご両親もいると思われます。若いご両親に怖がらなくて良いことを知って
もらいたいと思いました。伝えるには、まず私自身を知ってもらおう、信頼できる
小児科医であることを知ってもらおうと思いつきました。外来の限られた時間では、
丁寧に説明しても限界があります。そうかと言って、長い文章では若い方々は目を
通してくれません。文章は短く、美しい絵や、写真があれば、きっと目に留まるだ
ろうと考えました。それにはホームページが適しているのではないかと思いつきま
した。なによりも診察室には、素敵な出会いが毎日あって、誰かに伝えたい事柄が
やまほど、私の中に渦巻いておりました。



問題は、私が完全な機械オンチであったことです。「よーし、アイディアは沸いて くるのだから、機械については習うことにしよう。」と決心したのでした。 幸いにも優秀な家庭教師の先生が見つかりまして、どんどん質問してどんどん教えて もらう事ができました。ホームページの更新が重なるにつれてファンの読者が増えて いくようです。「内田先生は厳しい人だと思ったけど、本当は優しい人だったのだ。」 という雰囲気になりました。子どもも、保護者も安心して心を開いてくれるように 思われました。すると緊張せずに何でも質問してくれるようになります。病気が重く ならないうちに、早く内田先生に見てもらいたいという気分になるようです。 特に重症な方には、帰宅した後に質問が沸いたら、電話かメールをもらうように しています。信頼関係ができれば、日常生活に対するアドバイス、しつけに関する アドバイスも聞いてもらえるようになりました。つまり、「かかりつけ医として患者 さんに認めてもらう事」、そうすればコミュニケーションがよく取れる、そうすれば 病気は重症化しない、さらに、学校に入る前に、基礎的なしつけが出来る、と思われ ました。



二年前の一関で、夜間に小児科医に見てもらえないまま死亡した乳児の、悲しい 症例がありました。もし信頼できるかかりつけ医に出会っていて、きちんと相談でき ていればあのような結末にはならなかったと想像します。四日間もかかりつけ医に 相談していないと言うのは悲しすぎます。信頼のできる医師と、めぐり合っていな かったのが、真の原因ではないかと考えます。あまりにも残念で悔しい出来事でした。 ホームページを開設した四年前は、パソコンを持っているお母さんは一人、二人 しか居ませんでした。最近はたくさんの方がインターネットで見ていらっしゃるよう です。 「ときどき日記」は診察室での会話から、「今月のお客様」は患者さんから私へ の手紙やメールをもとに、作っています。又「今月の話題」は出席した会議や、学会や 講演について解り易く伝えようと工夫しています。できるだけ二ヶ月に一回は更新す るように心がけています。   ケイタイにも簡単なホームページを作りました。自動予約の番号をクリックしま すと自動予約機に接続して、15分刻みの診療希望時刻が24時間いつでも予約可能です。



 学校の先生方も感じていらっしゃると思うのですが、「家庭でのしつけができない まま小学校に入ってくる」 これは核家族化してしまった現状では、無理の無いこと と思います。それなら小児科医が、おじいさん、おばあさんの役目を引き受けても 良いのではないでしょうか。小児科医は診療点数が低いため、時間を割いて、クリ ニックの外に行って社会的な仕事をする余裕はありません。しかし上に述べた事は、 クリニック内で十分にできる役割だと思います。まず医師が、信頼される医師で あることを表現しましょう。 その意味でホームページはとても良い手段でした。 学校保健との関係で考えてみます。すべての小、中、高校において、ホームページ があったら良いと考えます。宮古市内にも亀岳中学を初めとして何校かありますが、 全体としてはまだまだです。子どもたちも、教師も保護者も心を開いて、コミュニ ケーションがとれれば楽しいと思いませんか。そしてその中に、学校医の参加する ページもあったらいいと考えます。お互いにリンクしても良いでしょう。



 もうひとつ、小児科医及び産婦人科医が減少していることについて考えて見ます。 兄弟が無く、子どもが出来るまで赤ちゃんに触ったことの無い、一般の若い方々が、 赤ちゃんが怖いと思っているのなら、多分医学部の学生も同じなのではないでしょ うか。卒業時に小児科や、産婦人科を選ぶ人が減少しているわけが、仕事の難しさ、 非採算性にあるのもさることながら、心理の底に「赤ちゃんが苦手」という気分が 横たわっているのではないでしょうか。 どうぞ「うちだ小児科クリニックのホームページ」をご覧ください。子どもがどんな に素晴しい存在か感じていただけるでしょう。 ホームページ作りをして四年が過ぎ、26号まで来ました。
もう少し楽しい苦労を続けたいと思っています。             



発表後の反省 :持ち時間は発表7分間、質問3分間でした。スライドは上記の13枚作りましたが、
     あっという間に時間がたつので、8枚で止めました。その後はパソコンとプロジェクターを
     無線ランでつないで、実際のホームページを供覧しました。動く画面がうごいて見えるよう
     にしたのですが、手際が悪くて画面が急に移動したりして自分としては50点くらいの出来
     でした。少しがっかりしました。次回に発表のチャンスがあったら、もっと上手にしたいです。








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