医師会立
 看護学院
                の講義
予防接種についての講義〜   2003/11/7 new

 宮古市にはふたつの看護学院があります。
一つは県立看護学院で、主に県立宮古病院勤務の先生方が講師を勤めます。
もう一つは宮古医師会立の准看護学院(2年)と、その後高等看護学院(3年)を学ぶコースで
こちらは医師会員の、主に開業している医師たちが講師を勤めます。前者は一学年が約20
名、後者は約30名です。前者は通常の日中に勉強します。後者は働きながら、学年によっ
て午前だけ、午後だけ、或いは夜だけの勉強となります。
 小児科の講義について、高等看護学院の方は川原田先生と、豊島先生が担当しており、
私は准看護学院を受け持っております。もう15年が経ちました。働きながら学ぶというメリット
から、高卒者ばかりではなく、大学或いは短大卒者、又他の職業に就いてからの入学者が
あり,時に主婦の入学者もあります。  
いろんな経歴の学生が在籍していることは、私達講師にとっても勉強になります。
 国の方針で、働きながら勉強する、医師会立の、准看護及び高等看護学院が廃止の方向に
向かっています。 今の準看一年生が高看を卒業する時、医師会立看護学院は閉校となる
見込みです。  働きながら勉強できる道は、残されても良いのではないか、と私は思います。

準看護学院の小児科の講義は6月、7月、9月、10月の毎週火曜日の早朝50分間
です。     今日は私の講義の一部を紹介いたしましょう。


  
  

「トットちゃんとトットちゃんたち」
黒柳徹子さんは1984年からユニセフ親善大使として
飢餓、戦争、病気で苦しんでいる子どもたちを訪ね、
その実情を伝える活動を続けています。
この本は1997年5月、講談社から出版されました。
その年から、看護学院の「予防接種」の講義の前に
この本の一部、「インド編」10ページを読んでもらって
います。 学生たちはいろんな思いを、感想文に書い
て寄せてくれました。


 「予防接種」についての講義 
夏休み明けの9月第一週は「予防接種」についての講義です。ともすると休み気分
が抜けきらず、つまらない一時間が過ぎてしまいます。それで「予防接種が受けら
れなかったらどうなるか.....」を考えてもらう為に、黒柳徹子さんの「トットちゃんと
トットちゃんたち」の「インド編」を読んでもらって、感想文を書いてもらっています。
その後の講義では皆が真剣です。
今年は27人分の感想文がもらえました。全員の文章を載せたいのですが、悩んだ
末に3人の文章に絞りました。    どうぞご覧下さい。
                        
                           コムラサキシキブ  

    第40回生 ○番   ○○  ○○
この資料を読んで、他の国の厳しい現状を知ると共に、予防注射の大切さ必要性が、よく
理解できた。また自分自身がとてもめぐまれているなあ、と感じた。医療の未熟が多くの子
ども、そして親を悲しませている事を知り、私たち医療に関わる人だけでなく、全国すべて
の人に、厳しい現状を理解してもらい、すこしでもいいから協力を得るべきだと思った。
この資料を読んだだけでも悲しい気持ちになったのだから、本当の現場で現実をまのあた
りにした場合、もっともっと辛い思いをすると思う。このようなつらく厳しい現状があると知って
いる私たちは、ただ見ているだけではだめだと思う。日本のできる限りの医療を教え、何の
幸せを感じる事もなく死んでいく子どもたちを一人でも多く救う為に、協力し、提供していく
べきだと思う。

      マユミ

   第40回生 ○番   ○○  ○○
この文章を読んで驚いたのは、地球上で1年間に1400万人の子ども達が死んでいるという
ことです。それも5才未満の子ども達が。栄養失調で亡くなる子どもや、予防接種ができず、
病気にかかって亡くなる子どもがすごく可愛そうです。私は食事もちゃんととることができるし
予防接種もできて、その子ども達の事を考えると、健康でいる事が、悪いような、胸がつまる
ような思いになります。世界中どの国のこどもたちもみんな同じように、健康で生活できるよ
うな環境であって欲しいです。
「大人は死ぬ時に、苦しいとか、痛いとかいろいろ言いますが、子どもは言いません。大人
を信頼して黙って死んでいくのです。」という言葉が印象的でした。子どもに信頼されている
大人は、子どもの為にも、できる限りのことはしてあげなければいけないと思いました。
私も何かしてあげたいです

       ボケ

   第40回生 ○番   ○○  ○○
読んでいるうちに涙が出てきそうでした。これを読んで私たちがどれだけ幸せかという事が
分りました。
毎日4万人弱の子供達が死んでいるのにとても驚きました。自分の子供が死にそうなのに、
すぐ医者にみせる事のできないない辛さとか、苦しいのに頑張って耐える子供の気持ちとか、
私には想像もできない苦しみなんだろうと思いました。私は、今まで生きてきて、何で自分が
生まれてきたんだろう、みたいな感じでいました。どっちかというと、うまれてこなきゃ......
みたいな感じに近いんですけど。今日、これを読んで何だか自分が恥ずかしくなりました。
生きたくても生きられない子供たちがこんなにいるのに、自分は....。 生を受けたこの命を
大切に一生懸命生きていきたいと思いました。
また、自分が今にも死にそうなのに、「あなたのお幸せを祈っています。」と言った言葉に
とても感動しました。私も何かこのような子供達のために、役に立ちたいと心から思いました。
 早く予防注射ができる設備や環境がととのうと良いと思います。

     ナナカマド

         第40回生の皆さんへ
...........「トットチャンとトットチャンたち」の感想文 を読んで..........
                            2003/9/9      内田 瑛子
 毎年の事ですが、「予防接種」の講義の前に「トットチャン….。」を読んでい
ただいております。今年は手順が悪くて、講義の後になりました。でもしっかり
皆さんに伝わっていましたね。私たち年取ったものは、次に続く方々に口を閉ざし
てはいけない、言うべき事は声を大にしてきちんと言おう、と思っています。
若い皆さんもそれぞれ真剣に考えて感想文を書いてくださいました。
皆さんの感想文を読んで、私も又、感動しました。
  黒柳さんは感じたままをとても素直に、優しく書いておられます。
その暖かな眼差しは、私たち医療に携わるもの、又それ以外の人々の心を十分に
揺り動かしてくださいました。もうひとつの柿崎先生のエッセイは、東北大学の
同窓会誌に載っていたものですが、アフリカの、更に大変な状況が描かれていま
したね。これもまた考えさせられる点があったでしょう。
どうぞ感じた事を将来に生かしてください。若いみずみずしい心を持ち続けて、
将来の仕事に繋げてくださいますように。
  残りの講義はあと半分になりました。
資格試験が待っています。頑張ってください。

     キリ


今年から、パソコンでスライドを作って、講義に利用しています。視覚に訴える講義は
おおむね好評です。昨年までは手書きの紙芝居(のようなもの)でした。少し進歩です。

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