9月宮古医師会
小児科初期救急
      講習会
2002/9/22 new



日時:平成14年9月12日    場所:県立宮古病院 会議室
講師は宮古市内の小児科医4人。内科系、外科系凡そ30人のDr.が受講しました。

休日急患診療所は宮古橋のたもとにあります。日曜、祭日の9:00~21:00の間、内科
系と外科系の各Dr.1人ずつが順番で勤務しています。小児の受診者が多いのです
が小児科医だけで輪番を組むのは大変なので、又将来小児科医がますます減少
する事が予測されるので、全ての科のDr.が小児科を勉強しましょうという事になりま
した。下記の5章について2時間の勉強会が開かれました。各講師の講演内容は充実
しており、パンフレットにまとめられて渡されました。直ぐにでも診療に役立つ事でしょう。
           表題             講師 
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     1.発熱、 熱性けいれん     内田 瑛子
     2.感染症、ワクチン       豊島 貴美子 先生
     3.咳、喘鳴            金浜 誠己 先生 
     4.腹痛               川原田 隆司 先生
     5.小児薬用量          金浜 誠己 先生 
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発熱、けいれん
私の担当しました表題について少しお話しします。
多くの病院の救急外来の統計で、小児の受診者の最も多い主訴は発熱であって
凡そ75%を占めています。パソコンで作成しました21枚のスライドを提示しながら
発表しました。小児は自らが正しく症状を訴えることが出来ませんから各年令層で
、発熱の原因が何かを考えなければなりません。下記の場合は重症な疾患が潜ん
でいる場合があるので、診察の上で県立宮古病院への紹介が必要となるでしょう。
注意の必要な発熱
* 乳児期早期(特に3ヶ月以下の児の発熱)
* 5日以上続く発熱
* 以下の症状を伴っている発熱の場合
   意識障害、けいれん、呼吸障害、チアノーゼ、脱水症状、
   顔面蒼白、 ぐったり、 強い疼痛(頭痛、腹痛など)             
ご家族へのコメント
Q.どうして熱がでるのでしょう?
A.発熱は体の防衛反応として起きます。外部から進入してきた細菌やウィルス
に対して、白血球やリンパ球が反応して種々の免疫物質を出します。それが脳
に伝わり体温中枢が「熱を上げなさい」という指令を出します。 熱が高いほうが
免疫体がよく働くのです。
Q。熱が高いまま放置してよいのですか?脳に障害が来ませんか?
高熱その物が問題ではなく、高熱を示す原因疾患が何なのかそれが問題です。
それは医師に判断してもらうとして、それまでの一般的なケアについてお話しします。
解熱剤について.........基本的には使わなくて良いのですが、ぐったりして元気
が無く食欲も無い、従って脱水傾向が見える時は、医師の指示に従って使いま
しょう。QOLを考えるなら使ったほうが良い場合もあります。解熱剤はいろんな
種類がありますが、アセトアミノフェンがお勧めです。体重と薬品用量については
かかりつけの医師の指示に従いましょう。使いすぎは危険です。
熱が出たときの体の冷やし方について..........脇の下、ももの付け根、頚部の両
脇に太い動脈が走っています。そこをビニールで包んだ冷たいタオルとか市販
の貼付できるものとかを利用して良いでしょう。貼りっぱなしにしないで、嫌がったら
外して、又時間を見て冷やしてという操作を繰り返してみましょう。0.5℃〜1℃下が
っただけで気持ちが良いと思われます。
食事に着いて...........食欲が無くなるとご両親は慌てますが、消化の良い水分の
多いものを選びましょう。母乳、ミルク、砂糖湯、果汁、重湯、スープ、味噌汁の
上澄み、湯ざまし、お番茶、麦茶などがお勧めです。氷は入れないで常温くらい
がお勧めです。脱水状態にならない事が大事です。
体重10kgのお子さんでは24時間で700mlから800ml摂れれば大丈夫です。
衣類について............どっさりお布団をかけてはいけません。大人より一枚薄着
くらいが良いでしょう。締め付けないゆったりしたもの、そで口や、すそもゆったりし
ているものが体温調節が楽にできるでしょう。
入浴について...........体力を消耗しますのでお休みしましょう。汗っぽいところだけ
タオルで拭いてやるのも良いでしょう。
熱性けいれんのあるお子さんの場合........予防のための便利な坐薬があります。
主治医の指導に従って正しく使いましょう。熱性けいれんに見えていて別の疾患の場合
もありますので、良く主治医に相談しましょう。