2002年6月1日 宮城小児科地方会 特別講演
阪井裕一先生はカナダのトロント子供病院に勤務された後に世田谷の国立小児病院
に赴任されて十年余になるそうです。 以下は先生の御講演からのまとめです。
1965年国立小児病院が創設され、以来三十数年たって幾つかの問題点が出てきまし
た。 この四月に国立小児病院と、同じ世田谷にある大倉病院が合併して、国立成
育医療センターという名前になって再発足しました。トロント子供病院や欧米の子
供病院には循環器科とか内分泌科とかの専門科の他に一般小児科(general pediat
rics)がありますが、今までの世田谷の国立小児病院にはそれがありませんでした。
従って@診断が困難な疾患の場合、A疾患が複数にわたる場合、B救急疾患などに
ついては受け入れる事ができませんでした。新生児におけるNICUについては日本の
医療レベルは世界的なレベルと言える。成人についてもICUが勿論ある。しかし欧
米に有って、日本にはPICU=小児ICUが無かった。 この四月漸く国立成育医療セン
ターの中に総合診療部救急診療科=PICUが作られ、阪井先生が初代医長に就任され
たのでした。24時間体制で総合診療部救急診療科=PICUが稼動を始めました。医師
は日勤が4人、夜勤が3人、計7人なそうです。 この四月から初めて患者さんは紹介
状無しで受診できます。 24時間の1時間あたりの来院患者数のグラフが示され
ましたが、 朝9時から夜9時までに殆どが来院しており、夜9時から朝9時までは0人
〜3人/時間の来院数でした。救急車から「本当に患者さんを運んでよいですか?」と
電話が入る事があるそうです。今までの三十数年救急車が入る事は無かったからで
す。今後とも救急診療科=PICUの有り方については検討し続ける必要があると結ば
れました。
内田付記:
病院の有り方は時代とともに変わるでしょう。患者さんの要求内容も変わるでし
ょう。又後に続く若い医師たちの要求も変わるでしょう。喜んで小児科医を志す若
い医師たちが育つ環境と条件がぜひ欲しいです。
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