インフルエンザの流行
                     2002/3/13  new 

  今シーズンは予想以上にインフルエンザが流行しています。
# ワクチンについて。
2001年11月7日改正予防接種法が実施されました。高齢者においてはインフル
エンザが定期接種の対象疾病となりました.接種費用の一部が公費となりました。
対象は65歳以上、及び60歳以上65歳未満で心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能
または免疫の機能に障害を有する人。国会での法案通過が1ヶ月予定より遅れ
たために、実施が12月からとなって、流行期に近づきすぎていて、今シーズン
においてはあまり有効性を期待できないと考えました。宮古市では12月1日から
12月21日まででしたから、あまりにも短すぎてご老人から苦情の電話も来ました。
自治体によっては10月までさかのぼって請求できたり、終了も12月いっぱいであ
ったり、3月まで認める自治体もあるなど対応にはばらつきが見られました。
小児についてはまだ意見がまとまっていません。お母さんたちからは「自費では
とても経済的に大変です」「ボーナスが出てからと思っていたら風邪ばかりひく季
節がきてしまってワクチンができません」と大きなため息が届きました。
# 脳炎脳症について。
3月8日厚生労働省研究班の調査結果が発表されました。今シーズンの小児の
インフルエンザによる脳炎脳症の発症は現在までに17例とのことです。
そのうち4例が死亡しています。脳炎脳症の発症と使用される解熱剤との関係が
疑われるため1998年から2001年にかけて小児にはアスピリン、ジクルフェナクナトリウム、
メフェナム酸等の解熱剤は使用しない事、解熱剤を使用する場合はアセトアミノフェンに
限定する事という指導が実施されました。 今シーズンの4例の死亡例には、4例
とも使用中止措置のとられた解熱剤が使われていました。医療機関から処方され
ていたものが2例です。後の2例は自宅にあったジクルフェナクナトリウムを自己判断で
服用していたそうです。











# インフルエンザの簡易迅速診断について。
今シーズンは検査キッドが大変簡便で結果も信頼が置けるものとなりました。
所定のめんぼうで鼻腔拭い液を使用するのが主流です。しかし予想を越える流行
であったため、また輸入品ということもあり早期に品切れになりました。
 しかしいったん流行が始まると診断はそれ程困難ではないのでおおすじ診断の
誤りは無いと考えました。
# インフルエンザウィルスの分離培養について
その殆どがA(H3N2) と A(H1N1)との事です。 Bも少数分離されているそうです。

# インフルエンザの治療について。
治療薬はインフルエンザAのみに有効なアマンタジンとインフルエンザAとBに
有効なノイラミニダーゼ阻害薬があります。前者は小児用のドライシロップが承認
されて有意に処方が出されました。後者は今シーズンはカプセル剤しか承認され
ないため、成人と体重37.5kg以上の小児にしか使用できませんでした。来シーズ
ンからはノイラミニダーゼ阻害薬のドライシロップも適用になるとの事です。

# うちだ小児科クリニックでもたくさんの方に処方箋を出しました。昨シーズンと異
なり1日ないし2日で劇的に解熱し元気に回復される方が殆どでした。しかし二次感
染があって二峰性の高熱を示した場合は慎重な治療が必要でした。脳炎脳症を
疑わせる重症な症例には,幸いにも遭遇しませんでした。
宮古の流行は三月いっぱいは続きそうな気配です。
インフルエンザと花粉症が、ほぼ同時に発生したような感じもします。

#今シーズンのインフルエンザは全国的には小流行との事です。 MyMedipro News
宮古市津軽石川の河口にて

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