はじめに
ここ数カ月、走行中にどうもフロント周りから金属が周期的に擦れるような音がしている。
「カシャーカシャーカシャー・・・」という感じの音で、ブレーキの音かなと疑ってみても、フロントブレーキをかけるとブレーキの効きには問題はなく、ブレーキをかけているときは音は収まっていた。
フロントブレーキのメンテナンスは、私の記憶ではこのバイクを購入してから一度も行っておらず、それはつまり10年以上ノーメンテナンスであったということでもあった。
原因がブレーキであるかどうかはともかくとして、メンテナンスとしてブレーキパッドの交換を計画した。
他にも修理したかった動作不良気味のウィンカースイッチと、痛んだグリップを交換することにした。
作業日 2010年08月08日
現状
現状は以下の写真のようになっている。
たまに反応しなくなるウィンカースイッチ。
誰かさんがグリップを無理にひねって、内部でボンドがはがれてダマになってしまったグリップ。
異音が聞こえてくるブレーキ。よく見るとパッドの残りが無いような。
準備したもの
そして今回使用したものはこちら。
おそらく摩耗しているであろうブレーキパッドの新品。今回は社外品で有名なデイトナ赤パッドを用意した。
あとはブレーキの鳴きを抑えるためのグリスも併せて用意した。
こちらは交換用のグリップ。以前のプログリップと同様だが、グレードは一つ落ちる。
耐震ゲルのブヨブヨ感がいまいちしっくりこなくて固いゴムを選びたかったが、サイズの合うものが見当たらず消去法でこれになった。
長年ブレーキのメンテナンスをしていないならブレーキフルードの交換も行われていないはず。
ということで、ブレーキフルードと作業のための耐油ホースを用意。
動作の怪しいスイッチは近所のバイク屋で純正品を取り寄せてもらった。
部品代は819円だったが、交換工賃が2400円かかるとのことだったので、部品だけを購入した。
交換作業
ウィンカースイッチの交換
ウィンカースイッチを交換するには、まずライト周りのカバーを外す。
スターターやウィンカースイッチの下の方にあるねじと、ヘッドライト下にあるねじを外して、カバーの爪を意識して外す。
するとヘッドライトのついたカバーが外れる。
この状態からウィンカースイッチの側面にある爪を抑えながら、スイッチを裏から表へ向かって押してやる。
するとスイッチが外れる。
スイッチの裏には配線がつながっているので、これまた爪を外しながら引っ張ることで外れる。
このカプラーに同じように新品のスイッチを取り付け、元通りにスイッチを埋め込めばよい。
下のホーンスイッチとの劣化具合の差が激しくてちょっと不気味な感じだ。
ブレーキパッドの交換
ネットで調べた限りでは、ブレーキパッドの交換はさほど難しいものではないようだ。
フロントブレーキを側面から見て、次の箇所をマイナスドライバーで外す。
ここで外すものは、内側にあるスライドピンを保護しているキャップのようだ。
マイナスドライバーでカバーを外すと、中には六角レンチを使って外すボルトが見えてくる。
これを適切なサイズの六角レンチで反時計回りに回して外す。
スライドピンをある程度緩めたら引き抜く。この時、ブレーキパッドが落ちることがあるかもしれない。
スライドピンが通っていた箇所に、丸い穴の開いた金属板がある。それがブレーキパッドなので、無理しないように外す。
次の写真は外れたブレーキパッドだ。
一般的なブレーキパッドは、ライナーというすり減る部分の残りが2mmを切ったら要交換なのだが、どう見ても1mmも残っておらず、部分的に土台の金属とディスクがぶつかっている様子がうかがえる。
この金属同士の擦れが異音の原因であったようで、交換後には異音はなくなった。
ブレーキパッドの新品と見比べると、どれだけメンテナンスされていなかったかがわかる状態となっている。
人から譲り受けたバイクだとこういう状態を知るのが難しいのが難点だ。
ひとまず、新品のブレーキパッドの面取りを行う。
金属やすりなどでパッドの角を削ればよいと思う。
特に面取りをしなくても動作上は問題ないはずだが、ブレーキをかけた際に「キーキー」というブレーキ鳴きを抑える効果があるらしい。
面取り前と面取り後の比較写真を参考程度に乗せておく。(左面取り済み、右は新品の状態)
両方のパッドを面取りしたら、裏面に鳴き止めグリスを塗布しておく。
間違ってもライナーの方に塗らないように注意してほしい。
取り外したスライドピンにもグリスを塗っておく。
一つ忘れてはならないのが、ピストン戻しだ。
ブレーキパッドをディスクに押し付けるピストンがあるのだが、パッドがすり減った分ピストンが飛び出ている。
このピストンは指で簡単に押し戻されるものではないので、マイナスドライバーかウォーターポンププライヤーなどで押し戻す。
私はウォーターポンププライヤーでピストンを挟んで押し戻した。
このとき、ハンドルについているブレーキフルードのキャップを緩めておく方がいいようだ。
また、工具で力をかけるため、ウォーターポンププライヤーにタオルなどを挟まないと周りが傷だらけになってしまうので注意が必要だ。
あとは取り外した時と逆の手順でブレーキパッドを取り付けていく。
新品なのでわかりやすいが、ブレーキパッドがディスクを挟む様子がよく見える。
ディスクとプレートの距離が縮まったら交換時期だということを覚えておこう。
ちなみに、ブレーキパッドの交換直後はディスクとパッドに当たりが付いていないため、非常に効きが悪くなる。
そのため、周囲に迷惑をかけない場所で試運転をし、フロントブレーキをわざと大目に使って慣らしをする必要がある。
うっかり通常のスピードで公道を走行するととっさのブレーキが効かずに大変なことになるので注意しよう。
ブレーキフルード交換
せっかくメンテナンスの予定を組んだので、ここでは一気にブレーキフルードの交換も行います。
ディスクブレーキにはブレーキフルードを排出するニップルがついている。
ゴム製のキャップが付いているのがそれで、キャップを外すとそれらしい部品が見えてくる。
ここに耐油ホースを差し込み、先をペットボトルなどにつないで古いブレーキフルードを受ける。
ちなみに、ここで使用した耐油ホースはホームセンターなどで入手できるもので、内径は5mmのものを30cm程度用意した。
説明が遅れたが、ブレーキパッドの交換の時からもフルードを入れる個所のふたを開けておく方が望ましい。
ただし、ブレーキフルードは塗装などを痛める作用が強いため、こぼさないように注意しておく。
交換の手順としては、ブレーキフルードの残量がなくならないように注意し、なくなれば適宜継ぎ足しを行う。
フロントブレーキレバーを数回握ってから握りこみ、ブレーキに圧力をかける。
ブレーキレバーを握ったままにし、先ほどのニップルについているナットを緩める。
するとホースから古いブレーキフルードが出てくるので、レバーを握ったままナットを締める。
ナットを締めてからレバーを数回握りなおし、感触が戻ってきたらまたレバーを握ったままナットを緩める。
という流れを繰り返す。
間違ってもナットを緩めた状態でレバーを戻さないことと、ブレーキフルードのリザーブ分がなくならないようにすること。
どちらもブレーキフルードに空気が混入してしまい、ブレーキの効きが非常に悪くなってしまう。
もし、レバーを握ってもブレーキがかかる感触がない場合は、エア抜きという作業をしなければならない。
ホースを通るブレーキフルードの色からきれいになったかどうかを判断して、作業を終えた。
バイクのブレーキフルードであれば、さほど量は必要にならないようだ。
ひとまず、ニップルのナットがきちんとしまっていることを確認し、フルードのリザーブの量を調整して、きちんとふたをする。
レバーを握るとブレーキの感触があることを確認することを忘れずに。
グリップ交換
以前、グリップ交換の記事は書いているので詳細は割愛する。
とりあえずグリップを外すのは面倒なので今回もさっさと切り捨ててしまった。
そして今回の新しいグリップをボンドを使って差し込み、接着した。
正面イメージ。黒いグリップだと特に目立った感じはなし。
これで今回のメンテナンスは終了した。
今現在のメーターの走行距離は10958kmだ。途中でメーター交換しているので総走行距離ははっきりしない。
あちこち壊れては修理というサイクルが短い周期になってきている気はするものの、乗っている限りはいいコンディションで乗りたいのでメンテナンスはこれからも続けていきたいと思う。