Operation Flashpoint:Dragon Rising(PC版) レビュー

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2010/03/16

目次


パッケージ

CodeMastersがリリースしたOperation Flashpoint:Cold War Crisisの続編が、このDragon Risingです。
マルチプラットフォームでのリリースとなり、PC,PS3,XBOX360向けのパッケージが発売されました。
2010年03月にsteamにて7.49USドルでの週末特価販売が行われたため、あっさりと購入してしまいました。(当時1ドル90円程で実質700円程で購入)
ここではPC版(ver1.02)についてのレビューとなります。


動作環境

動作環境は次の通り。

最低動作環境
・OS: Windows XP SP2 以降
・CPU: Dual Core CPU 2 x 2.4 GHz
・メモリー: 1 GB
・HDD必要空き容量: 8 GB
・ビデオカード: DirectX 9.0c、Shader 3.0対応
(GeForce 7900 GT / 256 MB VRAM 以上)
・サウンドカード: DirectX 互換
・DVD ドライブ: 片面二層式 DVD-ROM

推奨動作環境
・OS: Windows XP SP2 以降
・CPU: Quad Core CPU
・メモリー: 2 GB
・HDD必要空き容量: 8 GB
・ビデオカード: DirectX 9.0c、Shader 3.0対応
(GeForce 8800 GT / 512 MB VRAM 以上)
・サウンドカード: DirectX 互換
・DVD ドライブ: 片面二層式 DVD-ROM


ゲーム内容

ストーリー

公式サイト等に記載されていますが、時代は現代、樺太の沖合にある日本北部の架空の島(スキラ島)が舞台です。
海底に眠る天然資源の利権を巡ってロシアと中国の間に緊張が高まり、突如侵攻を開始する中国と
ロシアを支援するアメリカ軍との戦いを描くという架空のシナリオです。

ゲームシステム

プレイヤーが戦場の一兵士となって戦うFPSゲームです。
キャンペーンでは上記シナリオに基づいて部隊のリーダーとなってミッションをこなしていきます。
リーダーは隊員に対していくつかの指示を出すことが出来、発砲の許可や乗り物の乗降などが行えます。
ジープや戦車などの車両や輸送ヘリ、攻撃ヘリなどの乗り物に乗ることができます。
それぞれ運転手やガンナーおよび後部座席等が用意されています。
一部のミッションでは支援要請も可能で、迫撃砲支援や近接航空支援などが用意されています。
多くのミッションは画面上に表示されるウェイポイントに従って移動し、目標を達成することでクリアとなります。


レビュー

初代OFPとの関係

このゲームを評価する上でもっとも気になるポイントが前作「Operation Flashpoint:Cold War Crisis(通称OFP)」の存在だと思います。
初代OFP(以下OFP:CWC)は2001年に発売され、当時としてはとてつもなく広大なマップと、リアルなゲームシステムがコアなファンを中心に支持されました。
このゲーム性はArmed Assaultというゲームにそのまま引き継がれていて、内容は私のレビューを参考として割愛します。
しかしこのゲーム性を巡ってパブリッシャーと開発元で意見が分かれたため、OFP:CWCを作った会社はArmAを、パブリッシャーはOFP:DRを作ることになりました。
よりリアルなゲーム性はArmAが、より気軽なゲーム性をOFP:DRが担当することになったと思えばよいと思います。

初代OFPをバランスよくリファインした作品

広大な戦場、リアル寄りのゲームバランス、指示コマンドによる部隊行動、多数の兵器や乗り物など、OFP:CWCで登場した主な要素を持っています。
しかし、それらはより気軽に楽しめるようにリファインされていると言っていいでしょう。
広大な戦場は必要十分な広さを持っていますが、OFP:CWCのように複数のマップがあるわけではなく、あくまで一つの島レベルです。
バリエーションは減りましたが、ゲーム中には様々な地形、シチュエーションでの戦闘が楽しめました。
ゲームバランスは前作に比べてかなりカジュアル寄りに変更されました。しかし、これは前作が異様なほどにリアル寄りだったとも言えます。
キャラクターには部位ダメージが採用されていて、軽傷から重傷などの程度があり、ひどくダメージを受けた場合はすぐに処置を行わないと死に至ります。
また、ダメージはメディックの持つ治療キットで回復できます。

武器の種類も比較的豊富で、アサルトライフルにはドットサイト、スコープ、グレネードランチャー、サプレッサーなどのアタッチメントのバリエーションがあります。
難易度をノーマルに設定していれば、画面上のレティクル周辺に白もしくは赤のマークが表示されるようになりました。
これは敵に攻撃がヒットしたかどうかを示すもので、白は通常ダメージ、赤は致死ダメージという表現になっています。
前作のファンからはリアリティの著しい低下だと批判を受けましたが、難易度をExperienced(経験者向け)以上に変更すると表示されなくなります。
この辺りは制作のCodeMastersもよく考えたなと感心したところです。
また、銃弾やランチャーの弾は着弾までのタイムラグがあり、距離に応じて着弾位置は落ちていくようになっていて、前作同様に広大な戦場での戦闘の難しさを表現できています。

前作では非常に多岐にわたっていた指示コマンドは、本作では必要な物に絞られ、対象に応じて動的にメニューの内容が変化するようになっています。
この辺りも前作のファンからは批判を受けましたが、実際プレイしてみると意外にも取っつきやすくて困ることがありません。
前作OFP:CWCやArmAの指示コマンドを比較的使い込んでいたと自負する私でも必要十分でわかりやすいと思いました。
操作はメニューを表示して、画面に表示される4つの項目から関連する物を選んでいくだけです。
例えば、指示系からは攻撃、防御、移動の命令が、作戦系では隊形、隊列の分散、発砲ルールと言う形で選ぶので複雑なキー操作もなくよく考えられています。
不満があるとすれば移動しながらの指示が出せないことと、AIだけを乗り物に乗せて全員にFollow Me(隊列に戻れ)を指示すると乗り物から降りてしまうことでしょうか。(個別に指示すれば回避可能)
それ以外はよくできていると言ってよいと思います。

乗り物に関しても前作同様に複数の座席があり、運転手とガンナー、コマンダーや後部座席があります。
装甲車や戦車、攻撃ヘリ等は複数人で乗ることで真価を発揮するようになっています。
大破していないが故障して動かなくなった乗り物は全キャラクターで修理することが出来、アクションボタンを押し続けることで修理が可能です。
この辺りは前作に比べてかなりカジュアルに設定された部分だと思います。
ただし、ダメージの具合に応じて修理にかかる時間が変わるようになっているなど、ゲームバランスには配慮した部分が見受けられます。
このゲームで唯一カジュアルさを感じないのがヘリの操作方法です。
マウス操作ではヘリの傾きを操作することになっており、前後に傾けることで前進後退が行えるのですが、
左右に傾ける操作は一般には取っつきづらく、左右に向きを変える動作はキーボードに割り当てられています。
上昇、下降もキーボードに割り当てられていて、上昇キーを押し続けないと水平状態でも高度が下がる仕組みになっています。
このため、思った通りにヘリを動かすにはキーボードとマウスを巧みに操作する必要があります。
高度を一定に保つAuto Hover機能が用意されていますが、これだと複雑な機動を取りづらくなるため、
攻撃ヘリなどで攻撃目標を捉えたり、敵の攻撃を回避するなどの操作には熟練を要すると思います。

総じて、前作がコアなゲーマーをターゲットとしたかなりのリアリティ重視設計であったため、
そのよい部分を残しつつ一般向けゲームとして楽しめるように改良したというのが素直な印象かと思います。
「Call of Duty」や「BattleField」シリーズは誰でも楽しめる作りと派手な演出、比較的一本道の単純さがポイントですが、
OFP:DRは前作に比べてカジュアルになったとはいえ、その内容はリアル系の間口を広げるお手本のような作品に仕上がっていると思います。

マルチプレイヤーゲーム

インターネットやLANでのマルチプレイに対応しています。
プレイヤー人口を考えると海外のプレイヤーと対戦することも多く、銃弾一発が命取りになるゲームでのラグはストレスがたまるかもしれません。
可能であれば友人と時間を合わせてプレイしたり、オンラインで友達を作るのも一つの楽しみ方かもしれません。
キャンペーンと無償で配布されたDLCに含まれる公式マップパックに加えて、後述するミッションエディターでユーザー制作の自作ミッションも楽しむことができます。
公式のミッションはお手本通りのベーシックな物が多く、バリエーションがあるとはいえ長く楽しむのには向かないかもしれません。
前作のOFP:CWCでマルチプレイが盛んだったように、ユーザー制作のミッションを追加して楽しむのが真の楽しみ方だと私は考えています。

ミッションエディター

シングルプレイやマルチプレイの楽しみ方を無限に広げるのがこのミッションエディターです。
前作のOFP:CWCとは作り方が変わっていて、作成方法を身につけるには少々時間を要すると思います。
ミッション制作の方法はマニュアルには記載がないため、インターネット上で情報を集める必要があります。
OFP:CWCやArmAでのミッション制作を経験した私の憶測では、プログラミング基礎程度の知識があれば
およそ1ヶ月程度勉強すればそこそこまともな物が作れるのではないかと思っています。
まったくその手の知識がないとエディットを行うのは少々大変ではないかと思います。
とはいえ、すでにユーザー制作の自作ミッションは多数ネットに出回っており、ダウンロードして遊ぶ分には困らないと思います。
ダウンロードして楽しむのもよし、自分で作って楽しむのもよしと、長く遊ぶための機能がこのミッションエディターだと思います。


このゲームのNice/Bad

Nice

カジュアルからリアルまで幅を持たせたゲーム設定は素直に評価できる。
マルチプラットフォーム対応の影響で姿を消すリアル系ゲームが多い中、リアル系の良さを可能な限り取り入れているのもよい。
単純な撃ちまくりゲームと異なり、サプレッションファイアで敵がひるむようになっていたり、
マップの広さを生かして敵を挟み撃ちにできるという戦術的な要素も取り入れられている今となっては数少ないゲーム。
対戦車ロケットなどで土嚢やコンクリートブロックを破壊でき、遮蔽物を破壊して突破口を作れる。
サプレッサー(消音器)付きの銃を使ったステルス行動もでき、ライトマシンガンの機銃掃射や迫撃砲支援を使ったドンパチとは異なるゲーム性も楽しめる。

Bad

リアル系ゲームはそのプレイヤー人口の少なさが上げられるが、マルチプラットフォーム対応しているものの
クロスプラットフォーム(他機種間)での対戦が実現していないことが残念で仕方ない。
PCは無料でマップパックが提供されているが、PS3やXBOX360では有料コンテンツでの配信となる上に、
ミッションエディターでのミッション制作やユーザー制作の自作ミッションが利用できない形になっている。
AIの挙動が十分ではなく、敵から撃たれても呆然としていることがあったり、人間らしい動きがあまり取り入れられていない。
敵の死体から武器等を取得できるが、敵の死体は一定時間を経過すると消えてしまい、欲しい武器が手に入らなくなることがある。
死体から取得できる武器の中で、Equipment(装備品)という項目があるが、いったい何を取得したのか分からない。(プライマリ、セカンダリ、ランチャー以外は雑多な扱い)


総評

点数にして80点台をつけていいと思う。
ゲーム的には初代Ghost Reconと雰囲気がよく似ている。
静かな戦場で敵を先に見つけることに注力し、敵に遭遇した場合は激しい戦闘となることもあるが、その時間は極めて短い。
そんな状況にリアルさを漂わせるゲームシステムが絶妙にマッチしていると言っていいだろう。
一部でOFPらしくないとの声もあるが、ゲームの名前を気にしなければよくできている。
OFP:CWCのシステムをそのまま継承し改良を重ねているArmAシリーズもあるが、ゲームとしての出来はOFP:DRが上だと感じる。
ArmAシリーズはゲームというよりはシミュレータ的な側面が多く、そのネガティブな部分をどうするかという命題に
CodeMastersはOFP:DRという形で一つの方向性を打ち出したことは高く評価してよいと思う。



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