RE604シングルアンプ

ドイツの古典銘球、RE604のシングルアンプです。この真空管を知ってから早20年、ぜひ音を聞いてみたいという思いが、やっと実現しました。



回路構成は、いたって簡単なCR結合の1段増幅です。RE604のグリッドバイアス値ですが、「魅惑の真空管アンプ」では−49V、「ユニバーサルチューブマニュアル」では−45Vと公表されています。この件については、今回入手のRE604(新型ナス管、昇華型カソード)に偶然にも当時の規格表が同封されており、−45Vであることが判明しました。また、プレート耐圧は250Vmax,損失は10Wと明記されています。耐圧を超えるような製作記事を見かけるのは残念です。また、RE604の動作例として、プレート電圧250V,グリッドバイアス−45V,プレート電流40mAが示されています。ただし、グリッドリーク抵抗の最大値は示されていません。RE604発表当時は、まだトランス結合が主流でその必要がなかったからでしょうか?今様のCR結合回路では、ぜひ押さえておきたい値です。いくつかの作例を見ますと、470kΩや330kΩの例がありますが、厳しいように思えたので、2A3や45並みということで250kΩ以下、240kΩとしました。グリッドリーク抵抗は上限を超えても即時に真空管を壊すことはありませんが、短命になることは明白です。また、その他の規格にしても、できるだけ長く働いてもらいたいので、この動作例の内輪で使用することにしました。本機の動作を以下の表に示します。

動作 プレート電圧 プレート電流 グリッドバイアス 負荷抵抗 出力 プレート損失
奨励動作 250V 40mA −45V 10W
本機の動作 215.2V 34mA −37.8V 3.5kΩ 1.5W 7.3W


しかし、全体の供給電圧を下げたために、−45Vを余裕を持って振るためのRE604とルックスのあった前段はなかなかありません。ある程度電流が流せるMH41やAC/2HLなどμが80の三極管が好ましいのですが手持ちがありませんし、REN904(μ=30)ではどうしても2段増幅になってしまいます。ちょうど手持ちにフィリップスの310A(メッシュシールド)があったので、これに決めました。整流管は、もちろんRGN2004(G2004)のナス管です。
トランス類は、叔父の形見に頂いた山水のH7S(2次側で切り替えてZp=3.5kΩ)とPT−100(250V−230V:DC100mA)、タンゴのC−110です。RE604のフィラメントは、同等管の差し替えを考慮して4V1Aのトランスを別途設け、プレート電流監視用に100mAの電流計も組み込みました。
ゲイン補足にラックスの6025X(ニッケルコアー)入力トランスボックスを追加しました。600Ω:100kΩで約12倍ゲインが稼げます。



RE604の音色は、飾り気のない実直な響きです。CDの情報がすべて引き出されるような「これが70年前の真空管か?」と思えるほどです。特に弦の艶やかさとボーカルの浸透力は逸品です。ただ、いかんせん出力2W弱のアンプですから大編成のオーケストラは、厳しいものがあります。しかし、個人的な思いもあって、ワーグナーの「指輪」は良い線を行っていると思います。
同特性管のD404に差し替えて聞いてみました。こちらは、RE604とは趣ががらりと変わって、どちらかというとPX4にも通じるようななじみのある響きです。BGMにはこちらの方が聞きやすいかもしれません。次にKL71403(RE604フィラメント3本釣りST管)に差し替えてみました。こちらは、さきのRE604と良く似た音色ですが、若干艶っぽさの感じが異なりキラキラとしたニュアンスが弱く感じます。感度も少し高いように思います。


左上から、フランスフィリップスのE406、E408N(旧型)、オランダフィリップスのD404、フランスマツダの601、左下から、英国マツダのPP3/250(=PX4)、マルコーニのPX4(旧型初期)、フランスマツダのDW802(=E406)、そしてドイツテレフンケンのRE604です。いづれもこのアンプでは差し替え可能です。