GERMAN POST TUBE (Dタイプ〜傍熱管)
やっと手に入ったシーメンスのDa(トップシール、ゲッタなし、板プレート)を3方向から撮ってみました。このシリーズではトップシール最大の真空管です。極めて珍品で今になって新品が入手できたのには驚いています。プレート損失は13Wと低めの規格になっています。Daには、全く違った感じのシーメンスの直管(戦後)があります。
Daのオリジナル箱です。上下からばねで支える構造になっています。
比較的よく見かけるバルボのDaです。これは1950年製です。
バルボのEbです。GermanPostチューブですが、ベースはB4です。Edと良く似ていますが、プレートの幅が広くひだの数が異なります。また、グリッド周りががっしりと作られています。Ebについては、いくつかの規格があるようです。MJ誌で大塚氏が示されている、フィラメント4V1.5A,プレート電圧250V,バイアス−50V,プレート電流85mA,μ=3.4,Gm=5mS,内部抵抗670Ωと、ユニバーサルチューブマニュアル記載のフィラメント4V1.5A,プレート電圧250V,バイアス−45V,プレート電流120mA,μ=3.3,Gm=5mS,内部抵抗670Ωがあります。この2つの規格は一見異なっているように見えますが、グリッドバイアスを同じに換算すると、Gm=5mA/Vよりほぼ合致します。
左からAD1,Eb、Ed(いずれもバルボ)です。プレート損失は、AD1が15W,Ebが30W,Edが20Wとなっています。バルボのEbとEdですが、2本を並べて良く見ると以下の点が異なっています。
・ プレートのひだの数がEdの方が1つ多い
・ プレートとマイカの間隔はEbの方が広い
・ EbはEdよりプレートの幅が広い、つまりプレートとグリッドの距離が離れている
・ Ebの方がフィラメントが太い
・ ベースが異なる
ガラスの質はEbもEdも同じようでAD1よりも厚手のものです。ただ、プレートはどれもアルミクラッドで面積がほぼ同じであるにもかかわらず、プレート損失が異なるのは疑問に思います。
バルボのEdです。ハーケンクロイツのマークが鮮明に残っています。バルボのAD1の改良管と思われるほどそっくりです。
おなじみのシーメンスの新型Edです。伊藤喜多男さんといえば、このEdと言われるほど有名になった真空管です。バルボのものとは全く違う形状および構造です。規格も少し異なるようです。繊細美麗な「貴婦人」の愛称を持つ真空管です。
シーメンスの旧型Ecです。メタルコートのものが多い中、クリアータイプが入手できました。赤いベルトが印象的です。ガラス繊維の組みひもで電極と管壁を固定したとても丁寧な造りの真空管です。3極管ですが、傍熱5極管の3極管接続です。ヒーターは、18V0.7Aと業務用に合わせたものになっています。プレート損失は、23Wと後発のEdよりも大きくなっています。ゲッター金具が最近目にするロシア管のUFO型になっていることは、大変興味深いです。
シーメンスのE2bです。トップがグリッドでサイドがプレートになっています。なぜこのようになったかは判りません。5極管ではなくて4極管です。
新型(戦後)のシーメンスのE2bです。STからストレートになりましたが、電極は旧型のままです。
シーメンスの新旧のE2cです。E2b同様、この真空管も4極管です。
シーメンスの旧型管とRWN NEUHAUS(通称RWN)のZ2b、そして戦後生産された新型管です。いづれも傍熱型整流管です。
左からシーメンスのZ2c(大型管)、AEGのZ2c(大型管)です。AEGにはハーケンクロイツのマークが入っています。右端は戦後生産された新型管です。いづれも傍熱型整流管です。
新型管を比較してみました。Z2cの方が容量が大きい分、サイズも大きくなっています。ドイツらしいこだわりが感じられます。
シーメンスのZ2eです。ヒーターが18Vでベースも特殊なので使いにくいですが、造りはさすが!です。規格では、250V40mAとなっています。
シーメンスのZ2dです。ベースは7ピンで初期の黒ベースです。後期のものは、アルミになっています。規格は、前述のZ2eと同じです。
<規格>
名称 | フィラメント 電圧(V) |
フィラメント 電流(A) |
プレート 電圧(V) |
プレート 電流(mA) |
グリッド 電圧(V) |
gm (mA/V) |
内部抵抗 (Ω) |
増幅度 | 負荷抵抗 (Ω) |
出力(W) | プレート 損失(W) |
Da | 5.8 | 1.1 | 220 | 50 | -30 | 2.5 | 1450 | 3.6 | 1500 | 1 | 13 |
Eb | 4 | 1.5 | 250 | 120 | -45 | 5 | 660 | 3.2 | 30 | ||
Ec | 18 | 0.7 | 250 | 90 | -23 | 10 | 680 | 6.8 | 23 | ||
Ed | 4 | 1 | 250 | 65 | -49 | 6 | 650 | 3.9 | 2500 | 4 | 20 |