AD1シングルアンプ
サイドコンタクト管の銘球、AD1のシングルアンプです。規格は2A3に良く似ていますが、その音色は大胆で緻密な浸透力のある一クラス上のハーモニーを聞かせてくれます。
回路構成は、いたって簡単なCR結合の1段増幅です。使用真空管は、ドイツ軍用管NF2-AD1-AZ1とサイドコンタクト管でまとめました。できるだけ長く働いてもらいたいので、奨励動作の内輪で使用することにしました。本機の動作を以下の表に示します。
動作 | プレート電圧 | プレート電流 | グリッドバイアス | 負荷抵抗 | 出力 | プレート損失 |
奨励動作 | 250V | 60mA | −45V | 2.3kΩ | 4.2W | 15W |
本機の動作 | 204V | 52mA | −42V | 2.5kΩ | - | 10.6W |
トランス類は、すべてノグチトランス製です。リーズナブルな価格で種類も多く、特性も良く信頼できます。海外製の中古トランスには、とんでもない価格が付いていますが、その価値はいかがなものでしょうか?中古ゆえの不安もあり、私には理解できません。カップリングコンデンサーは、MIL規格のウエストキャップ0.1μF600Vハーメチックタイプです。長期安定性が期待されます。AD1のカソード抵抗は、2A3用で売られている国産の750Ω50Wメタルクラッド抵抗です。メタルクラッド抵抗は、放熱器(この場合はシャッシ)にピタリと接触させることで50Wの容量を稼いでいます。時々空中配線で使っているものを見かけますが、そのような使い方では容量は1/10程度しかありません。NF2のヒーターは12Vなので小型トランスを内蔵して、そこから取っています。パワートランスから取ることも考えたのですが、NF2のカソード耐圧が不明だったのでこのようにしました。たぶん45V以上はあると思いますが、念には念を入れました。その他のパーツは、手持ちのものです。ケースは、リードのMK300を使いました。ボンネット付きの洒落たケースで、銀色の本体はアルミ1mmで加工もし易いです。
左上から、テスラのAD1n、タングスラムのAD1、フィリップスの4683(=AD1/350)、ダリオのAD1、左下から、バルボのAD1、ラウイオプタのAD1/400、テレフンケンのAD1です。