結婚と離婚
1.結婚相手は限られている
2.結婚の条件で一番大切なものは
3.お嬢さん、結婚サギにご用心
4.三年目、五年目、七年目の危機
5.二組に一組が離婚する?!

1.結婚相手は限られている
未婚者が無限の可能性にあふれていると考えるのは幻想。
結婚可能な相手はたった三人?!
 「理想の人」は数人だけ われわれはともすれば結婚相手というのは無限に
いるはずだと思い勝ちです。しかし、結婚相手の候補者として現実的に存在するの
は、まず「異性でなければならない」ということで半分になり、「適当な年齢」と
いうことになればその一割程度・・・というように、消去法で消していくと、最後
には数人あるいは三人程度になってしまう、という見方があります。
 しかも、この三人にうまくめぐりあえるという保証は、どこにもありません。
 身近な人と結ばれる また、見合いをした場合、四回以上して、それまで以
上にいい相手が出て来るのは、確率的にいって百回を超えたところでないとダメだ
という説もあります。そこで多くの人は身近にいる人間を結婚相手に選びます。職
場結婚が圧倒的に多いというのも、この”人々が身近な相手と結婚する”という一
般的な傾向のいい例です。
 ”結婚の確率は、婚約を結ぶ両者の距離が増大すればするほど、着実に驚異的に
減少する”という「ボサードの法則」という一般則もあります。
 キューピットの翼 ある人が”隣の女の子”と恋をし、結婚する可能性の高
さを知れば、「自分の相手は、どこか見知らぬ地球の果ての街の人混みの中で自分
を待っている」というようなロマンチックな観念は吹き飛んでしまうでしょう。
 ある人がいみじくも言ったように、キューピットの翼は短距離飛行に最も適して
いるというわけです。”幸せの青い鳥は身近にいるもの”と合理化しつつ人々は近
場で相手を調達して我慢して結婚するわけです。

2.結婚の条件で一番大切なものは?
結婚で一番重要なのは、顔でもスタイルでもなく、ものの考え方の共通性である。
 理想の異性像 若い女性に「結婚相手はどんな人がいい」と聞くと、こんな答えが
返ってきます。
 「背が高くてハンサムで、お金持ちのスポーツマンで、頭がよくて、やさしくておもし
ろい人!」こんな人がいったいどこにいるんでしょう。いたら一度お目にかかりたいもの
です。しかし、女性ばかりせめるわけにはいきません。男性の方も「美人でスタイルがよ
く、かしこくてやさしい人」などと、心の中ではひそかに思っているのですから。
 結婚市場での商品価値 もちろん現実にはいま書いたような男性や女性はめったに
いないのですから、現実的には適当なところでお互いに折り合って(妥協して)、カップ
ルが誕生しているわけです。恋愛結婚の場合はそうでもないのですが、見合い結婚の場合
はこの「縁組の条件」というのが前面に出てきます。云く、学歴、家柄、経済力、容姿な
どなどです。
 そして、こういったものが見合い市場で一つの商品として取り引きされるわけです。し
たがって、自分の価値が交換価値として値ぶみされることに耐えられない人には、見合い
なんてなんて不純なものなんでしょうと映ることになり、ますますロマンチックな恋愛に
あこがれることになります。
 社会的背景の類似性が大切 しかし、見合いという制度は、考えようによっては非
常に合理的な制度ともいえる面をもっています。というのは、結婚相手の条件の中で一番
大切なものは社会的背景の共通性である、と各種の調査が考えているからです。そして、
この社会的背景の類似性というところから出発するのが見合いというものだからです。
 たしかに、見合い結婚であれば、社会的背景からくる、ものの考え方の共通性が第一条
件です。一番大切なものは金だと考えてる人と、金以上に価値ある物があると思ってる人
ではうまくいきません。
3.お嬢さん、結婚サギにご用心!
しばしば新聞紙面をにぎわす結婚サギ事件の背景には、ハイ・ミス女性の微妙な心理
が・・・
 ベレー帽と外車 「まったく貴女は素晴らしい。私の求めてきた人だ。ところで、私
は外国にレストランを二つ三つ持っている事業家ですが、・・・・なにぶん、向こうからの
送金が間に合わないので、とりあえず、100万円ほど貸していただけませんか」と、ロマ
ンチックな偶然の出会いの後に、男からこんな要求が出される。
 相手の男は、豪華な外車を乗り回す立派な身なりをした人だし、それに、さっきからの話
では、この人は、私という女がいないとダメになってしまうに違いない、と思いつつ、貸し
与えるお金は10万円から100万円に。そして、ある日、何百万円かのまとまったお金を
渡した日を境にして相手の男はプッツリと消息を絶つ―。
 おそるおそる男から知らされている場所へと電話を入れてみると、ホテルは一週間前に引
き払ったところで、事務所の方はまったくのでたらめ・・・・。これは、結婚サギの典型的
なパターンです。
 被害者には、いわゆるハイ・ミス女性が多く、日ごろは、しっかりしていて分別もあるの
に青年実業家、芸術家、医者などを自称する男性が、ロマンチックな背景のもとに現れ、
「結婚」ということばをささやくと、とたんに、いつもの冷静さを失ってしまう、という特
徴があります。
 シンデレラ・コンプレックス 日本では「女はいつまでも一人でいるものではな
い」という規範が根強く、適齢期を過ぎた女性の心を不安定にしています。
 また、女性には、「いつか素晴らしい王子様が迎えにきてくれる」という”シンデレラ願
望(シンデレラ・コンプレックス)”が強くあって、これが女性から正常な判断力を奪って
しまう、ともいわれています。
4.三年目、五年目、七年目の危機
愛し合って結ばれた夫婦も、三年、五年、七年とたつうちにスキマ風が。
浮気の虫が目を覚ます。
 倦怠期 俗に「女房と畳は新しいほどよい」といわれていますが、いくら熱烈な恋の末
に結ばれたカップルでも、二年、三年と経つうちには、だんだんと相手(女房、あるいは亭
主)のありがたみが薄れていくものです。
 これはノドが渇いているときの水と同じで、初めの一杯は、たとえようもなくオイシクて
も二杯、三杯と飲むうちには、ただの水に変わってしまう、という心的飽和の現われでもあ
ります。
 そして、熱もさめてきますから、”美しき誤解”も解け、相手のアラも見えてきます。
 妻の座、夫の座に安住して、いままで抑えてきた我を主張しだしますから、互いに対立す
る機会もふえていきます。
 夫婦ゲンカの効用 そうなると、相手のことが鼻についてきて、不満というエネルギー
がたまりだします。それが、すぐ夫婦ゲンカというホットな手段によって解消されているう
ちはいいのですが、それさえなく、冷たい関係が続くとなると大変です。
 仕事への逃避 とくに男性の場合に多いのは、こんなとき、家庭をまったくかえりみず
に、仕事にだけのめりこむ、という「仕事への逃避」です。
 こうなると、家庭はもはやメチャクチャで、決して、心安らぐ場所ではありえません。
 これは、妻にとっても、夫にとっても耐えられない淋しさを生みだしますから、心の中に
大きな隙間をつくります。
 こうした心の隙間を埋めるための安易な道が他の異性への「愛」、つまり「浮気」、とい
うものです。ここで敢えて「愛」といいましたが、それは所詮、満たされない欲求を他の対
象に転化するという代償行為なのですから根本的な事態の解決にはなりません。つまり、こ
れも別の形の「逃避」なのです。
5.二組に一組が離婚する?!
二組に一組が離婚するというアメリカ。
核家族化の進んだ日本でも離婚は急増中。 
 離婚の増加 最近、離婚の増加が世界的な傾向として、問題になっています。アメリカ
では、結婚する二組に一組が結果的に離婚しているといわれます。
 日本では、アメリカやイギリス、スウェーデンなどに比較すれば、まだまだ離婚率は低い
状態ですが、それでも年々増加する傾向にあります。
 なかでも、注目すべきことは、結婚期間の長い夫婦の離婚が増えてきていることです。こ
れまでは、むしろ、結婚初期にいわば「出直す」というかたちでの離婚が圧倒的に多かった
のですが、最近では、子供もあり、家族としてある程度確立した後の段階で、夫婦が離婚す
るというケースが多いのです。
 定時制家族 さて、現代は核家族の時代ともいわれます。子供数は一人かせいぜい二人
で、祖父母と同居するケースは減ってきており、だいたいは、夫婦と子供二人というのが一
般的でしょう。
 そういう中で、夫と妻のエゴが直接ぶつかり合うことも多く、ましてや、共働きで、妻の
方に時間的なゆとりがない場合は、家庭的な結びつきも、しだいに弱まってくると考えら
れ、夜しか一緒になる時間がないという意味で、「定時制家族」などとも呼ばれています。
 女性の地位向上 1983年の国際価値会議では、家庭崩壊の問題が取りあげられまし
たが、その中で議論されたことは、近年、女性が社会的、経済的に進出してきた結果、夫と
妻が対等となり、お互いに対立する可能性が増えたということでした。
 妻が耐えることをしなくなったともいわれますが、それと同時に女性の働く機会が多くな
ったこと、また、教育レベルの向上なども関係しているようです。離婚はたんに、夫と妻だ
けの問題ではなく、子供の将来、また、その子供の子供にまでも波及することですから、楽
観視できない問題です。
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