お月見


 旧暦八月十五夜は、中秋です。


 今年の中秋は、九月十四日。
 ホンの少し欠けていたけれど、天気予報が外れてくれたお陰で、とても綺麗に見えました。
 薄にお団子、里芋、枝豆、栗にお神酒。お月見料理だって、がんばりました。
 でもね。
 今日もやりたいんです。






「…何してるの?」
 昨日と同じ、月見台に、昨日より簡単に薄を飾って。少し悩んで、透明な液体をお供えして。やっぱり昨日のまま、ベランダに出しっ放しのテーブルにご飯の用意。
 昨日もだけど、今日も、一生懸命作った純和食。
 秋刀魚の塩焼きと、おひたしと、煮物。昨日は里芋だったから、今日は肉じゃが。それからレンコンのキンピラと、茄子のお味噌汁。
 ご飯は、昨日栗ご飯を頑張ったから、今日は普通の。
 少なくはないと思うんだけど、どうだろう…?
「今日もお月見しようと思って」
「月待ちでもするの?…十三夜の約束じゃ、足りない?」
 からかうみたいに笑う相手に溜息。
 昨日の十五夜を一緒に見た人と、来月の十三夜(旧暦九月十三夜)も一緒に見ないと『片見月』って言ってダメな事だから…って教えてくれて約束してくれたのは凄く嬉しいけど。
 勿論、毎日だって、一緒にお月見したいけど。(新月の時は星見かなぁ)
 でも、今日はそう言うのじゃないのになぁ。
「…イルカちゃん?」
 拗ねた顔で黙ったのが気になったのか、覗かれてしまう。…しょうがないなぁ。
「違いますぅ」
 …もう。この顔は本当に判ってない。
 なんだかなぁ。
「あのね先生」
「ん?」
「今日の目的はね」
 二人しかいないけど、耳に口を寄せて内緒話風に。


「先生の、お誕生会です」


「…あ」
 …やっぱり気付いてなかったみたい。昨日が十四日だったんだから、今日は九月十五日、なのに。
「…忘れてたんですか?」
「…気にしてなかった」
 …もう。
 折角、先生の好きなおかず作ったのに。ケーキだってね、凄いビターなの、作ったのに。…甘いの食べないから、ちょっとだけね。それに、先生の好きなお酒…アクアヴィットを冷やしてみたり。…ビールと飲むと美味しいんだそうだけど、和食とのコラボ性は判りません。
 プレゼントだって用意したのになぁ。
 でも、まぁ。そういうのはしょうがないし。
 だから。
「カカシ先生」








「お誕生日、おめでとうございます!」


自分の誕生日なぞ、欠片も興味のない、張り合いのなさ随一のカカシ先生です。
ちなみに、十五夜と十三夜はセットなので、皆さんも片見月にならないようにしてくださいねvv(11/10の十日夜まで三つ晴れると縁起が良いとも)
昔は、次回を確約出来るとして、十五夜にはデートに誘ったりしたそうです♪

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