世の中には、返答に困る質問が数多くある。
それは主に、子供から大人へと向けられる、純粋且つ素朴なモノの中に多い。また、その手の質問に限って、避けては通れない類のものだったりするのだ。
子供相手だから、嘘はつけない。
子供相手だから、真実は言い辛い。
そういう質問の、なんと多いことか。
その最たる物は『両親の馴初め』や『赤ん坊の来歴』等の、一種、照れが伴うものだと思われる。
勿論、その範疇を外れているものもまた、多数存在し、それは得てして前述の問いより更に難解を極める場合が多い。
要するに。
動揺・恐慌という言葉とは、無縁の存在のように見えるカカシにも、返答に窮する問いというものは存在する。しかも、難解さにおいては、木の葉の里髄一と言っても過言ではないレベル(里の上層部談)のモノである。
実に、初めての弟子で部下の一人であるナルトの口から出されるであろう、『とある』質問。
その問いが、他の者から出されたのであれば、カカシとしても表情一つ変える事なく、如何様にも答えられるだろう。彼自身、己のポーカーフェイスには自信もあれば定評もあるのだから。その上、回答の難解さも各段に下がる。
しかし、である。
唯一人。
あのナルトから投げかけられたら…と想像するだけで酷い頭痛を起こしてしまう質問があるのだ。
とはいえ、ナルトの夢や自身の立場、その他諸々の事情を考えれば、それは決して避けられる様な代物ではなく。
いつかは…と、覚悟を決めてはいたものの、その『いつか』の時に正しく対応出来る自信がどうしてもつかないまま、内心の恐怖と共に時間は過ぎていく。
そして。
子供からの爆弾は常に、唐突に投下されるのである。
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