微妙な距離を保って先を進むサスケを揶揄いながら歩く。大半は無視しようとするのだが、何回かに一度は我慢が出来ないのだろう。振り向き様にクナイや手裏剣、果ては火遁まで向けられる。
それを全て受け止め、一つ一つ改善点を指導してやれば、怒ったのも忘れ、真剣に聞き入ってくる。それが何とも言えず、笑いを誘う。
ふと、遠くによく知る気配を感じ、無言で示唆する。
歩調を緩め、殊更のんびり歩くと、楽しそうな影が見え始める。
「…あー!サスケぇ!カカシ先生ぇ!」
正面から、目敏く自分達を見つけたナルトが、嬉しそうに飛んでくる。二人纏めて飛びつこうとするナルトをサスケごと簡単に受け止めた。
「一楽行こうってばよ!」
「…おう」
「野菜炒めもちゃんと食べろよ。そしたら好きなだけ奢ってやる」
予想通りの誘い文句に、微妙な面持ちでサスケが頷く。それに苦笑しつつ、素知らぬ顔で付け足す言葉に、子供二人がかなり複雑な表情を見せるが、『好きなだけ』と言うフレーズには勝てず、コクコクと頷く。
「お帰りなさい、カカシ先生」
「ただーいま、イルカ先生」
ゆったりと追いついてきたイルカと、のんびり挨拶を交わす。それを耳にした二人が、顔を見合わせ、にしゃ、と悪戯を思いついた悪ガキの笑みを浮かべた。
「…せぇの」
「「とーちゃん(さん)、お帰り!」」
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