「お助けサプリメント」

 

「5日で10キロやせた!」等々、不健康かつ不自然な効き目のものは紹介していません。あくまできちんと食事をしてスポーツをしている人がさらに効果をあげるためのサプリメントやフードです。なお、摂取にあたってはあなたの自己責任において行なってください。


効き目穏やか 気軽に試せる サプリメント系


   食欲を抑えてくれるタイプ

テアニン (緑茶)

 緑茶に含まれる成分。リラックス効果がある。精神面を安定させることで、「すごく食べたい」という気持ちを抑えてくれる。食事前や食後に緑茶を飲むことで摂取できる。また、緑茶にはカテキンという成分が含まれているが、この渋み成分がデンプンを分解する酵素「アミラーゼ」の活性を抑えてくれる。つまり消化吸収がゆっくりになり、血糖値の急上昇を抑えてくれる。

 

西洋オトギリ草 

 眠くなると満ちてくる脳の中のセロトニンを消費する働きがある。眠気が覚めて気分が高揚し、やる気がわいてくる。満腹感を持続させてくれる。西洋オトギリ草はハーブなので、効き目も穏やかで副作用の心配もない。セントジョーンズワートと呼ばれ、抗うつ薬としてヨーロッパで使われている。日本ではハーブ専門店や漢方薬局、サプリメントショップ、スポーツジムに置いてある。

 

ヒスチジン

 たんぱく質を構成しているアミノ酸の一種。体内に吸収されて脳に入るとヒスタミンという物質になり、これが脳内の満腹中枢を刺激することで「お腹がいっぱいになったよ」と認識できる。肉や魚を食べると満腹感を感じやくなるが、それというのもこの「ヒスチジン」のせい。だから逆にタンパク質の少ない食事では、なかなか満足感を得られず、ダラダラ食べてしまう傾向がある。サプリメントとしてはあまり販売されていないが、肉や魚を食べることで摂取できる。

 

アスパルテーム

 ダイエットコーラなどに使用されている甘味量。これは「フェニルアラニン」というアミノ酸からできている人工甘味料で、タンパク質の一種になる。体内に吸収されると「ノルアドレナリン」や「CCK」という物質の分泌を刺激し、カラダを興奮させて基礎代謝を増やしたり、満腹中枢を刺激して「おなかいっぱい」という気持ちにさせてくれる。ダイエットコーラは低カロリーナなだけでなく、飲むだけで満腹感を感じられるメリットがある。私の場合、カロリー制限で満腹感を得るために500mlを2時間ぐらいかけて少しずつ飲むことがある。

 

   糖分吸収を抑えてくれるタイプ

ギムネマ

 舌の上にのせると、その後甘いものを食べても甘味を感じなくなる。ガガイモ科の多年草、ギムネマシルベスタの主成分。インドでは数千年も前から糖尿病の薬として用いられている。日本でもこれを使ったダイエット食品は薬局で見かけるし、サプリメントもある。なぜ甘味を感じないか、それは糖が吸収される部分にギムネマが先回りしてふさいでしまうから。食事前に飲んでおくと、小腸の吸収部分をブロックして、糖がそのまま流れてしまう。ご飯やケーキをたくさん食べたいときは試してみたら。最近の研究で、糖だけでなく脂肪の吸収を抑える働きも発見されている、優秀なダイエットフーズ。

 

サラシア

 スリランカ産の植物から抽出される成分で、小腸に存在するβグリコシアーゼという酵素の働きを抑える。この酵素は、口から胃、小腸と流れてきた糖分を細かく分解して、カラダの中に吸収しやすい大きさにする仕事をしている。働きが鈍くなると、糖が細かくならず大きいままどんどん流れていってしまう。薬局かサプリメントショップで購入できる。

 

バナバ

ダイエット食品。バナバエキスやバナバ茶というかたちでドラッグストアやサプリメントショップで手に入る。フィリピン、インドに多く生育する植物で、糖の吸収を阻害するといわれている。ただ、その仕組みはまだはっきりとわかっていないようだ。

 

ガルシニア

ブラジルに多く生育する果樹、ガルシニアカンボジアの果皮にはヒドロキシクエン酸(HCA)という成分がたくさん含まれている。ご飯やケーキなどの糖分は全身のエネルギーとして燃焼するのだが、ちょっとでも余分な糖はすぐに体内の脂肪細胞で蓄積される。つまりご飯やケーキの食べすぎは太るもとというわけ。このとき、糖を貯蓄に回そうと働くのが肝臓から分泌される酵素「ATPシトレートリアーゼ」だが、ガルシニアはこの酵素の働きを弱くして、糖が体脂肪になってしまうのを防いでくれる。また、最近になって食欲を抑える働きも発見されている。

 

    脂肪吸収を抑えてくれるタイプ

キチン、キトサン

 カニの甲羅に含まれるキチンは、コレステロールの除去や高血圧の改善に効果があるといわれている。また、抗ガン作用があるなど、研究が進んでいる。キトサンはキチンを体内で溶けやすいように科学的に処理したもので、薬局、サプリメントショップで簡単に手に入る。食物繊維といえばたいがい野菜や海藻なのだが、これは唯一、動物性の食物繊維で、胃や腸で脂肪を吸着して体外に出してしまうという働きをもっている。キトサンはなんと自分の12倍もの重量の脂肪を取り去ってしまう。よって欠点は、脂肪に溶けているビタミンAやC、ミネラルまで、一緒に排出してしまうこと。飲みすぎはカラダの不調を招く恐れがあるので、くれぐれも注意が必要。

 

ジアシルグリセロール

 日本で開発された料理オイルで「健康エコナクッキングオイル」として花王から発売、どのスーパーでも手に入る。厚生省から特定保健用食品の認定ずみで、てんぷら、揚げ物、炒め物、ドレッシングなど、普通のサラダオイルとして利用できる。サラダオイルなどの油は体内に入ると、分解されて細かい分子になり、全身をめぐり、筋肉内でエネルギーとして燃えたりする。余った分は、再び脂肪に戻り、脂肪細胞に蓄えられる。脂肪酸が3つ結びついている普通のサラダオイルは、小腸や肝臓から全身をめぐるうちに、カラダ各部の脂肪細胞に取り込まれていく。しかし、脂肪酸が2つの「ジアシルグリセロール」は小腸で吸収されても油に戻らず、肝臓で燃えてしまう。カロリーは普通の油と同じだが、中性脂肪の量は、普通の油の半分以下。こってり料理が好きな人向き。

 

    糖を筋肉で燃やしてくれるタイプ

クロミウム(クロム)

 ご飯やケーキをたくさん食べると、血液中の糖分量が増える。すると「インスリン」が分泌されて、糖分を「筋肉」に取り込み、エネルギーとして使おうとする。このインスリンの分泌量が少なかったり、またインスリンを受けとめる受容体が少ないと、うまく働かずに糖分がどんどん脂肪細胞に流れてしまう。このミクロニウムはクロムとも呼ばれ、ミネラルの一種。インスリンの感受性を増加させ、血糖値を安定させる役割を果たす。ビール酵母、オートミルなどに含まれているが、ダイエットに必要な量は食事だけではとりきれない。サプリメントで補うとよい。

 

硫酸バナジウム

 バナジウムだけではカラダに有害な物質だが、硫酸と結合するとカラダに吸収されやすくなり、インスリンの感受性を高める。働きとしてはクロミウム(クロム)と同じ。魚や海藻に含まれているが、サプリメントで補わないとダイエット効果は難しいようだ。大手スポーツジムや個人輸入でも手に入れることができる。

 

αリポ酸

 ビタミンに似ている物質。クロミウムと同じ、インスリンの受動性を高め、糖分をどんどん筋肉に送り込んでくれる。日本ではまだあまり知られていない物質で、販売されていない。海外では、筋肉を成長させるのに役立つクレアチンとペアになって販売されている。スポーツジム、個人輸入などで手に入る。

 

   基礎代謝を上げて脂肪を燃焼させるタイプ

大豆タンパク質

 ダイエットが順調に進むと、カラダは危機を感じてこれ以上脂肪を落とさせないように変化してくる。たとえば基礎代謝のエネルギー量が落ちて、今まで普通の生活だけで一日に2500Kcal消費していたものが、2200、1800…と次第に省エネタイプのカラダに変化していく。この変化を担当しているのが甲状腺ホルモンで、分泌が悪くなるとカラダが省エネ状態になってしまうわけである。大豆タンパク質は甲状腺ホルモン分泌を活性化し、代謝をもとに戻す働きがある。中でも「チロキシン」「フリーチロキシン」と呼ばれるホルモンは、牛乳のタンパク質よりも、大豆のほうが効果的に上昇したという実験結果もある。効果を発揮させるには、一日50g以上とる必要があり、食事よりプロテインでの摂取がラクである。大豆タンパク質はプロテインとしてドラックストアで販売されていて、すぐに手に入る。ただ美味しくないのが難点。

 

マオウ、ガラナ、西洋白ヤナギのスタック

 マオウ、ガラナには体温を上げて基礎代謝を高めてくれるエフェドリンとカフェインが、また西洋白ヤナギには、高くなった代謝を維持してくれるアスピリンがそれぞれ含まれている。ハーブなので効き目も穏やか、副作用が少ないのが特徴。でも血圧の高い人や心臓に疾患のある場合はやめておいたほうがよい。サプリメントショップ、スポーツジム、または個人輸入で購入できる。

 

カプサイシン(とうがらし)

 とうがらしに含まれる辛味成分。カプサイシンはアドレナリンの分泌を活発にする働きがある。食べると「カーッ!」とする。アドレナリンは肝臓の糖分や、脂肪組織の脂肪を分解してエネルギーとして燃焼してくれる。手軽なダイエットフーズとしてオススメだが、胃酸の分泌を活発にする働きもあるので、食べすぎると胃を壊すこともある。

 

ググルステロン

 インド産のハーブ。まだ解明されていない部分も多いが、新陳代謝の働きを支配する甲状腺ホルモンを、そのなかでも特にチロキシンの分泌レベルを上げて、基礎代謝を増やす効果がある。サプリメントショップ、大手スポーツジムで探すか、個人輸入で購入できる。

 

ピルビン酸

 筋肉を動かすときに使われるのがATPと呼ばれるエネルギー源。このATPは普段、筋肉のなかに存在するが、運動を続けていると燃焼され、すぐになくなってしまう特徴がある。運動をやめずにいると、カラダはさらにATPを増産しようとするが、その段階ではじめて体脂肪が燃焼し始め、このときピルビン酸が必要になる。またATPは筋肉を動かすだけでなく、ホルモンを変化させるときのエネルギー源にもなる。新陳代謝を上昇させる甲状腺ホルモンのチロキシンを、さらに活性が強い「トリヨードサイロニン」というホルモンに変化させるときもATPが使われるが、これもピルビン酸が十分ないと、スムーズに進まない。もちろん体内にもピルビン酸はあるのだが、筋肉を鍛え始めたり、トレーニングをはじめると不足しがちになる。肉類、リンゴの皮に多く含まれているが、サプリメントで補給して効果を期待しよう。

 

ヨヒンベ

 ヨヒンベという植物から抽出されたもの。体温を上昇させ、基礎代謝を上げるアドレナリンの分泌を促進する効果がある。アドレナリン分泌は、確かに脂肪燃焼に効果があるのだが、それも「β2」「β3」という受容体と結びついてのこと。他の受容体とアドレナリンがいくら結びついても、脂肪は燃えてくれない。そこで、このヨヒンベは先回りし、脂肪燃焼と関係ない受容体「α2」とくっついて、アドレナリンの脂肪を燃焼させる働きを助けてくれる。「α2」は、特に女性の太ももヤセには一役買ってくれそう。日本では医薬品として使われているし、サプリメントとして販売もされている。大手スポーツジムやショップ、個人輸入でも簡単に手に入る。

 

   水太りを解消するタイプ

タンポポの根

 西洋や中国では、ハーブとしてずっと以前から治療に使われてきたタンポポ。特に根には余分な水分を体内から排出させる働きがある。日本では漢方薬局ですぐに手に入る。また、最近では食用のタンポポも見かけるようになった。身近なハーブとして活用してみてほしい。

 

カリウム

 スイカ、メロン、バナナ、キウィなどのフルーツにたっぷり含まれているカリウムは、カラダに必要なミネラルのひとつ。塩分であるナトリウムは細胞の働きがあるが、カリウムはその反対で、細胞の外に余分な水分を排出させる働きをするのが特徴。塩分の多い食べものが好きだったり、ポテトチップスなどのスナック菓子が好きな人は、気をつけてフルーツをとるようにしよう。サプリメントとしても摂取できる。

 

   その他のサプリメント

CLA

 サラダ油の「リノール酸」が分子レベルで少し変わったものを「共役リノール酸」「異性化リノール酸」といい、総称でCLAと呼ぶ。つまり脂肪(油)酸の一種。このCLAはダイエット効果として3つの作用をする。まず、ホルモン感受性リパーゼの分泌を刺激して、アドレナリンをどんどん出し、基礎代謝を上昇させる働きをする。次に筋肉内にある「ミトコンドリア」に脂肪を運ぶ手助けをして、余計な脂肪はエネルギーとして燃やしてしまう。さらに血液に流れている脂肪を、脂肪細胞に取り込む「リポタンパクリパーゼ」の働きを抑える。つまり、血液に脂肪が流れていても、それが脂肪細胞の中に入り込んで細胞をブクブク膨らましていくのを阻止できる。このCLAは「リナリン」という商品名で薬局などで売されている。スポーツジム、サプリメントショップにもある。

 

HMB

 正式名称は、βヒドロキシンβメチルブティレート。略してHMB。タンパク質が細かくなったアミノ酸の一つ「ロイシン」が体内でこのHMBに変化する。筋肉内で、脂肪をどんどん燃やすのに一役買っている。個人輸入で手に入れるか、大きなスポーツジムのショップで探してほしい。

 

ビタミンB1

 体内でご飯やケーキなどの炭水化物(糖分)がエネルギーに転換するとき、どうしても必要なビタミン。サプリメントでも手軽に補えるが、身近な食材である豚肉、牛肉、鶏肉や大豆製品のも含まれている。ただ、カラダに吸収されにくいという欠点があるので、長ネギなどのネギ類やニンニクと一緒に食べるようにしてほしい。そうすることによって、食材に含まれているビタミンB1が体内で安定して働いてくれる。

 

ビタミンB2

 体内で脂肪をエネルギーに転換するときに、必ず必要になるビタミン。B群は単独でなく、バランスよくまとめてとってはじめて効果を発揮する。肉類、牛乳、卵、納豆など毎日の食事にたくさん含まれているが、ダイエットでバランスを崩しているときはサプリメントでとると安心。

 

ヨウ素

 ヨード卵でおなじみのヨードのこと。普通はワカメや昆布など海藻類に含まれている。新陳代謝を支配している甲状腺ホルモンの原料になるため、これが不足すると代謝が低下し、体調がすぐれなくなる。もちろん糖や脂肪がエネルギーとして燃えにくくなるので、体脂肪が増えるという結果になる。とりすぎると、甲状腺が全体にはれるバセドウ病の原因になる。

 


筋肉をつけるサプリメント


   プロテイン

大豆プロテイン

 プロテインとは、タンパク質分を凝縮したもので、ほとんどはパウダー状になっている。オレンジジュースや牛乳、または水に混ぜたり溶かしたりして飲む。筋肉を補強したいときは、まずプロテインを普段の食生活にプラスするのが基本。減量中にとると、基礎代謝が下がるのを抑えてくれる。減量中に「体重が減らなくなったな」と感じたら大豆プロテインを試してみよう。また胃の中で膨れて満腹感があり消化吸収にも時間がかかるので、健康的にやせたい人は食事にプラスしよう。デメリットとしては、まずおいしくないこと。それと筋肉をつけるのに必要なアミノ酸が少ないことであるが、筋肉は脂肪の3〜4倍の重さがあるので体重が気になるクライマーにはちょうどよいかもしれない。アミノ酸とはタンパク質を細かく分解したもので、20種類ほどある。アミノ酸の中でも筋肉の製作にかかわるものは決まっていて、そうじゃないアミノ酸はいくら飲んでも筋肉にならず、髪の毛になったり血液や爪になってしまう。大豆プロテインはアミノ酸の充実度(アミノ酸スコア)が80ほどで、特に不足しているアミノ酸「メチオニン」をあとから加えて100にしている商品が多い。また、余計なアミノ酸は有害なアンモニアや飽和脂肪に変化することもあり、大豆プロテインのとりすぎに注意しよう。

ホエイプロテイン

 牛乳からチーズを作るときにできる上澄み液「乳清」からできたプロテイン。乳清をフィルターにかけて、余分な乳頭や脂肪分、灰分を完全に取り除き、本当のタンパク質のみになっている高級品が多い。現在のところ、筋肉を増強したいならホエイがいちばんといわれている。というのも筋肉をつくるアミノ酸(BCAA)やグルタミンという物質がたっぷり含まれているからだ。ほかにも抗酸化作用のあるグルタチオンのレベルを上げて、病気に負けない免疫力を向上させる働きまでついてくる。ホエイプロテインは研究開発が進んでいて、消化酵素を加えてタンパク質分を細かくしたペプチド(アミノ酸が2つ以上くっついたもの)になっているタイプもある。これは消化吸収が早く、速やかに筋肉になってくれる最高級プロテインで、もちろんアミノ酸スコアは100。 

ミルクプロテイン

 牛乳からできたホエイとカゼインの混ざった優秀なプロテイン。ホエイがすばやく吸収されてアミノ酸濃度を上げて、カゼインがそれをキープするというコンビネーションで働く。消化吸収もかなり高いので、トレーニング後の補給もかなりピッタリ。どんどん筋肉が増強されていくはずだ。もちろんアミノ酸スコアは100.。ただ、牛乳を飲んでお腹を壊してしまう人には不向き。この体質を「乳糖不耐性」というが、ミルクプロテインにはゴロゴロの原因、乳糖が含まれている。

エッグプロテイン

 アミノ酸スコア100の卵を原材料にしたエッグプロテイン。アミノ酸スコアはプロテインになっても満点で、消化吸収もよい。塩分がやや強いという欠点がある。

ペプチドアミノ酸

 粒の大きいタンパク質や、細かすぎるアミノ酸よりも、カラダへの消化吸収が早い「ペプチド」(タンパク質→ペプチド→アミノ酸の順に小さくなる)の状態になっているものもある。消化吸収にこだわる理由とは、トレーニング直後から筋肉の変化が始まるが、まさにそのとき筋肉は増強に必要なアミノ酸を欲している、これが胃や小腸で時間をとられると、筋肉増強のタイミングを逃がしてしまうからだ。ペプチドアミノサンは吸収が早いのだが、味がまずいという欠点がある。

   アミノ酸

グルタミン

 筋肉に含まれるアミノ酸の60%を占めるのがこのグルタミン。筋肉に水分を取り入れて筋肉の張りを出し、筋肉が大きく強くなるために活躍している。筋肉トレーニングをすると筋肉はダメージを受けて、カラダはストレスを感じる。かんたんにいえば、疲れてしまうのだ。疲れがたまるとカゼをひきやすくなるように、体の免疫力が落ちてくる。このときカラダが必要とするのが「グルタミン」で、抵抗力を復活させるためになくてはならない存在。ダメージを受けたカラダはどうしてもグルタミンが欲しい。もし体内にない場合、どうするのか。いけないことにカラダは筋肉を分解してグルタミンを作り出してしまう。(筋肉やグルタミンだって、もとはアミノ酸)つまり筋肉トレーニングをしただけでは筋肉はしぼむ一方で、同時にグルタミンを送ってあげないといけない。このグルタミンはグルタミン酸、イソロイシン、バリンからつくられていて、うま味調味料で使われているグルタミン酸とは別もの。肉、魚、卵などタンパク質食品にはまんべんなく含まれている。サプリメントで補給するほか、マンガンやリボ核酸を取ると体内でグルタミンに変化してくれる。

BCAA(分岐鎖アミノ酸)

 「グルタミン」をつくり出すのがBCAA。バイリン、イソロイシン、ロイシンノ3つのアミノ酸が結合してできている。筋肉の中にあるアミノ酸のうちで3割がこのBCAA。このBCAAは万能薬の元締めみたいなものだから、体は疲労を感じると「おい、どこかにBCAAあったろ?あれもってこい」ってことになる。たいがい筋肉にあるので、じゃあ分解しちゃえということになり、これではいつまでたっても筋肉は強くならない。このとき血中に余分にBCAAがあれば各所に速やかに運ばれて、カラダも納得し、免疫力が落ちることなく、筋肉はどんどん大きくなるというわけだ。またBCAAは、脳の中で「疲れた、やる気が出ない、もう休もうよ」という信号を出す「セロトニン」のレベルを下げるのにも一役買っている。脳内にBCAAが増えれば「セロトニン」の無気力信号を抑えられ、元気いっぱいにクライミンができるのだ。とくにBCAAに含まれる、アミノ酸のひとつ、ロイシンはインスリンレベルを上げてエネルギーを筋肉内に充てんしてくれるし、自らエネルギーにもなる、便利な働きもの。肉類に含まれているがとくに牛肉にたっぷり。

タウリン

 栄養ドリンクによく入っているタウリン。食物ではシジミやイカ、タコなどの魚介類にたくさん入っている。反対に肉類、タマゴには少ない。タウリンは筋肉の中でグルタミンの次に含まれている大切な構成アミノ酸。一日3グラムのタウリン摂取で、筋肉の破壊が抑えられたという実験結果があるという。水分を取り込んで筋肉に張りを出す働きもする。グルタミン同様、筋肉を壊さずに増強するには欠かせないアミノ酸。

HMB

 BCAAで紹介したロイシンが変化していくとこのHMBになる。具体的には筋肉を強くするのに必要なエネルギー源で、HMBを一日3グラム摂取すると、通常ようり3倍の筋肉増大が起こったという実験結果がある。また筋肉内で脂肪がエネルギーになるのを手助けしている。

チロシン

 運動神経をよくするアミノ酸。脳から各筋肉内に伝達が伝わるスピードを上げる働きをする。また脳の働きを活発にするため、勉強や仕事にも効果がある。そのほかストレスなど疲れた脳を元気にする効果もある。チロシンは空腹時に単独でとったほうが効果的。ほかのタンパク質と一緒にとると、違うところに使われてしまうからだ。タンパク質食品に多く含まれているが、個人輸入やスポーツジムなどでサプリメントを手に入れたほうがいいかもしれない。

アルギニン、オルニチン

 筋肉を増強させるには、体内から「成長ホルモン」が分泌される必要がある。そのホルモンの分泌を助けるのが、このアルギニンとオルニチン。今のところ、清脈注射により成長ホルモンレベルを上げたという実験結果が出ているが、まだ、直接サプリメントなどで摂取しての効果ははっきりとわかっていない。

グリシン

 肌をきれいにすると注目されているコラーゲンの主な構成物質。ゼラチンや鶏手羽、豚足などに含まれている。デザートのゼリーやババロアもグリシンたっぷり。筋肉増強にガツンと効くわけではないが、関節のなめらかな動きには不可欠で、関節痛を軽減したり、予防に役立つ。

アラニン

 グルタミンと似た性質で、体がストレスに対抗するときに大量に使われる。筋肉を膨張させる働きがあるので、筋肉を大きくしてくれる。タンパク質食品に含まれている。

カルニチン

 脂肪を筋肉に運んでエネルギーにしてくれるアミノ酸でリジンからつくられる。減量に効果があるようだが、まだはっきりと確認はされていない。馬肉にたくさん含まれている。

   ハーブ

朝鮮人参

 カラダが感じる疲労などのストレスに対抗するパワーを持つのが朝鮮人参。長時間がんばるための持久力、疲れをいやす回復力をアップさせてくれる。また中枢神経を興奮させて、集中力を発揮させ、刺激に対して素早い反応が期待できる。産地によって性質に特徴がある。インド産は精力剤として有名だ。赤血球を増加させるため、酸素がたっぷり体内に取り入れられ、スタミナアップに有効的だ。シベリア朝鮮人参、別名エゾウコギはカラダの疲れを軽減する働きがあるといわれる。

イチョウ葉エキス

 脳へどんどん血液を送り込む働きがあるイチョウ葉エキス。血液とともに脳にとって唯一のエネルギーであるグルコース(糖)を送り込むため、頭が冴えてクライミングやトレーニングの集中力がアップする。また、筋肉のエネルギーであるATP合成も促進するのでパワーアップが期待できるし、チロシンと同じで運動神経をよくする働きも期待できる。「スマートドラッグ」といわれ、頭の回転をよくするサプリメントとして注目されているイチョウ葉エキス。チロシンと組み合わせたサプリメントなら、スポーツのみならず、仕事や勉強に大いに期待できる。

フラボノイド

 トレーニングはカラダを酸化させる。運動することで酸素の摂取量が多くなり、カラダ全体に酸素が行きわたるのである。ただ、多すぎる酸素はカラダをボロボロにするという悪さを働く。これを活性酸素といい、最近はこの活性酸素を中和する「抗酸化物質」を含む食品が注目されている。たとえば赤ワイン、チョコレートのポリフェノール、ごまのゴマリグナンなど、緑茶にも抗酸化作用があることがわかっている。このフラボノイドも抗酸化物質の一つ。フラボノイドにもいくつかの種類がある、大豆に含まれる「ゲニステイン」はガンの予防に効果的だといわれている。松の樹皮からできる「ピクノジェノール」はビタミンCの20倍、ビタミンEの50倍というものすごい抗酸化能力で、薬局で簡単に手に入る。柑橘系の果物や緑茶に含まれるビタミンPの一種「ケルセチン」にも強い抗酸化作用がある。

月見草油

 局所ホルモンの一つプロスタグランジンを分泌させて、筋肉の炎症を抑える働きがある。トレーニング後の筋肉を触ると熱をもっているのがわかるが、これは炎症を起こしているため。この炎症を素早く鎮めて筋肉再生の手助けをしてくれる。またコレステロールを下げる働きや、褐色脂肪組織を刺激して基礎代謝を上げる働きもある。薬局で手に入る。

ターメリック

 カレーに入っている黄色い香辛料。抗酸化物質だから、これもカラダの活性酸素を中和する働きがある。活性酸素が暴れると、免疫力が落ちてカゼをひきやすくなったり、疲れが抜けにくくなったりと、あまりいいことがない。また抗炎症作用もあり、筋肉の炎症を速やかに鎮めてくれるし、キズやケガをしたときにもいい。具体的には、副腎皮質からグルココルチコイドというホルモンを分泌させ、コルチゾルという炎症を抑える物質を働かせる。ついでに肝臓を保護する働きももっている。

クリシン

 最近、見つかったハーブの成分。植物に含まれているイソフラボンの一種。弱い女性ホルモンの働きがあるため、体内に入ると本当の女性ホルモンの作用を打ち消して、その結果、男性ホルモンの働きを活発にする手助けをする。男性ホルモンは筋肉を増強する働きがあり、女性ホルモンは脂肪をため込む性質があるので、引き締まった体を作りたいときにピッタリのハーブ。

西洋ハマビシ

 男性ホルモンのレベルを上昇させるハーブ。筋肉のパワーを増強するテストステロンの合成を促進する働きがあるため、アメリカンフットボールの最強チーム、シカゴ・ブルズの選手も取り入れている。実験では4割増になる結果が出ている。男性には、精子の増加にも効果があるようだ。海外では「トリビュラステレストリス」という長い名前で呼ばれている。

 

   必須脂肪酸

リノール酸、リノレン酸

 脂肪も筋肉をつくるのに必要。というのも中性脂肪の一種であるコレステロールはホルモンの原材料になるため、食事からの脂肪摂取が少なすぎると男性ホルモンが減少して筋肉ができにくくなる。食事から脂肪を7%とった場合と36%とった場合では、多いほうが遊離テストステロン(男性ホルモンの一種)のレベルが高くなったという実験結果がある。ただ、脂肪とひとくちにいってもいろいろ。カラダにいい脂肪といえば、やはりイワシ、サバなど青魚に含まれているEPA、DHAやシソ油、胡麻仁油のリノレン酸がいい。これらはとくにサプリメントとしてとらなくても、青魚から補える。

   ビタミン類など

クレアチン

大リーガーのマグワイヤも愛用し、1996年国際オリンピックメダリストのうち、4分の3はこの「クレアチン」を使っていたという、実績あるサプリメント。アミノ酸のメチオニン、グリシンから合成された窒素酸化物。食品ではとくに牛肉に多く、ヒラメ、カジキなどの白身魚にも含まれている。クレアチンは筋肉のエネルギーであるATPをつくるとき必要になる。いつもカラダの中でつくり出されているが、サプリメントとして外から摂取すれば、それだけ筋肉はエネルギーが充実して力強く動けるわけだ。ほかにも筋肉に水分を保持して、筋肉増大の引き金になっていたり、クレアチン自身がエネルギーになったり、疲労物質である乳酸を分解して疲労を感じにくくしたり、タンパク質の成分である窒素バランスをよくしたりと、かなりたくさんの効果を期待できる。

MRP

 ミールリプレイスメント・パウダー(食事の代わりになる粉末)の略。その名前のとおり、水やジュースに溶かして飲むだけで健康的な食事の代わりになるパウダー。アメリアでは「メトレックス」という商品名がかなりおなじみで、日本でいちばん近いのは「カロリーメイト」だろうか。タンパク質オンリーのプロテインに、炭水化物やビタミン、ミネラルなど必要な栄養素を加えてある。これをとれば栄養の偏りはなく、摂取エネルギーも抑えられる。もちろん通常の食事よりもお腹がすくのは仕方がないが。

ホスファチジルセリン

 レシチンから取り出されるミネラルの一種。筋肉が分解されるのを防ぐ働きがある。最近では、精神病(アルツハイマー病など)の薬として使用されている。

リゾホスファチジルコリン

 ビタミン類物質。小腸の消化吸収能力をアップさせる。ただ、悪いものでも消化吸収してしまう可能性があるので、注意が必要。食べても筋肉がつかない、と思っている人は、アミノ酸のグルタミンと一緒にとると効果的。

αリポ酸

 インスリンのような作用があり、筋肉内にエネルギーを送り込んでくれる。強力な抗酸化物質でもあるので、疲労を和らげ、免疫力を高める。チオクト酸とも呼ばれている。

NAC

 最強の抗酸化物質で、カラダを弱らせる活性酸素を撃退してくれる。また血液中にたくさんのグルタミンを保持する働きがある。カラダや筋肉そのものが疲労してストレスを感じると筋肉を分解してこのグルタミンを欲しがる。血液中にグルタミンがたくさんあれば、筋肉分解はされなくてすむわけだ。また、免疫力を増強させるグルタチオンのレベルを上げるという効果もある。