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計算尺のスキャン


計算尺の正確なイメージを捉えようと思ったらスキャナーを使うのが一番です。通常の銀塩カメラ、あるいはディジカメでは縮尺が正確には決められませんし、照明を均等にあてるにはプロの腕が必要です。スキャナーを使ってスキャンすれば、ほぼ正確に真正面からのイメージが取れますし、画面の解像度はスキャナーの設定で "Dot Per Inch (DPI)" で決められますので後で画像を見て寸法を確認する事が出来ます。

この方法には唯一の問題が有ります。それは一般的な計算尺である 10 インチ尺は長さが 30cm 以上あり、普通の A4 サイズのスキャナーでは一回ではスキャンできない事です。そこでこのページではこの問題を解決する私のスキャンのノウハウを公開します。
目次



最近では安価な、極めて薄いスキャナーが市場に出回っていますが、この種のスキャナーは計算尺をスキャンするには適しません。

何故かというと、計算尺は立体物なので紙と違ってスキャニングベッドにぴったりではなく、数ミリ離れた所に表面が来ます。「薄型」のスキャナーの場合原理的に「焦点深度」が浅く、この数ミリの深さに対応できないのです。強いてスキャンしても画面が真っ暗になります。

使えるのは少し前の製品で、製品自体の厚さが 10cm 以上のもの。具体的に確認できている製品では Epson GT-8500, GT-9600 です。使えるスキャナーを持っていない場合には、エプソンのスキャナーは今でもヤフーオークションに出ますのでオークションで購入が一般的でしょう。ついでに2台購入して故障時にそなえると(笑)。実は私もヤフーで2台購入しています。

米国では HP 社の Scanjet 4P というモデルが使えると報告されています。しかもこのマシンは長手方向が 14 インチ (35cm) までスキャンできる、と言うことで 10 インチ尺が一回でスキャンできます。
日本でも最近の現行モデルで、本体の厚さが 10センチ以上あるモデルがあります。これなどは使えるかも知れませんが、確認していません。



もっとも簡単に計算尺をスキャンするには計算尺をスキャンベッドに置いてスキャンするわけですが、A4 スキャナーの場合は 10 インチ尺が一度に入りません。 そこでそれで2回に分けてスキャンして後でイメージエディタで合成することになりますが、ここで問題が発生します。 どうしても左右の画像の明るさが一致しないことです。無理につなぐとつなぎ目が歴然と目立ちます。

これは計算尺のカーソルのために、計算尺の表面からスキャンベッドまでの距離が左右で違ってしまう、言いかえれば左右で高低差が生じるために、多少の違いでも明るさの差となって出てきてしまうのです。そこで対策として計算尺の表面を出来るだけスキャンベッドと平行にしてスキャンすることを考えました。背景とする色紙も同じようにスキャンベッドから等距離に します。


計算尺のスキャンのセットアップ

上の図は私が計算尺をスキャンするときのセットアップです。計算尺は最初たとえば左の8割が入るようにスキャンベッドに置きます。 そして右端に計算尺の表面がスキャンベッドと平行になるように「シム」を置きます。背景となる色紙もスキャンベッドと平行となる ように置きます。スキャンの解像度は 300DPI で十分なディテイルが得られます。

右側をスキャンするときには全体を左に移動します。左方向への移動は明度の変化を抑えるため最小限にとどめます。 「シム」 は最初よりやや左へ移して後で合成するときに重なりが得られるようにします。、

計算尺は長手方向に出来るだけ平行に置きますが、このときには目分量で置き、特に道具は使いません。後で編集の時、ソフトで直角になるよう回転します。

注意事項!

スキャンするとき、カーソルなど、計算尺を直接スキャナーの表面に置くことになりますが、計算尺にはネジなど金属が使われています。この鋭い角がガラスに当たるとスキャナーのガラスを傷つけます。スキャンの前に必ず鋭い角が無いかどうか確認しましょう。もし有ればセロテープを小さな円盤に切り取ってネジの頭に付ける等してスキャナーのガラスを保護しましょう。透明なセロテープを使えば全く目立たないで保護できます。


背景

背景となる色紙は薄い板に張り付けてその板に調整できる「足」を四隅につけます。私はスキャンベッドから 15mm に調整して居ます。使用する色紙ですが、スキャンベッドから離れるため元の色よりかなり暗くなりますから明るめの色紙を使います。

シム

長さ 6cm, 幅 1cm の短冊をいろんな厚さの材料で作り、これを計算尺の表面からカーソルの高さに同じになるように積み重ねて使います。私は 2.2mm, 0.8mm のアクリルの板、0.35mm の紙などから切り出して作りました。



スキャンが出来たら最後は画像の合成です。私は Adobe Photoshop を使って処理をしていますが、他の画像処理アプリでも同等の機能はあると思います。処理のステップは概略次のようになります。

(1) スキャンした画像は最初は縦方向になっています。これを 90度回転して横にします。そして正確に水平になるように画像を回転します。Photoshop の場合は「定規ツール」を使って尺の端が画面に水辺になるように回転させます。

(2) 左右の画面を合成します。今までの手順をしっかり踏んでいれば左右のイメージの明るさは一致していて問題なく合成出来るはずです。

(3) カーソルの為に尺の表面が浮いている場合には表面がやや暗くなっているので明るさ、コントラストを調整します。片面尺の場合は特に表(おもて)面は補正しないと裏面だけが明るくなり、アンバランスになります。

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