第6章 電動ガンのありがたみ… (前編)

当初3対3で開始された電動ガン禁止戦の途中…私FOXは自分に語りかけるように
言う…
「現在我々は大変不利な状態にある……現在の時間は…」
ここで言葉を区切り左腕の時計をチラリと見る…
「開始から…17分だ。……戦況は敵兵1名ホールドアップ…その代償として自軍兵
士1名が戦死…もう1名は弾薬欠乏で戦闘不能…救助するには敵陣に近すぎる…連絡
が取れるのなら行動を起こして救助も可能だろうが我々は正規の部隊ではない…当然
ながら無線なども持っていない…」敵は弾薬を使い果たしたようで攻めてくる様子は
ない…
(ならこちらも弾薬を補給するか…)
パチン…パチン…グロッグのマガジンにBB弾を込める…
しかし時間を無駄使いは出来ない…馬鹿な頭をフル回転させてこの状況の打開策を
探す。今の装備はグロッグが1丁とベレッタM−92Fが1丁…そして発泡スチロー
ル弾を発射するロケットランチャーだ(カーリー少佐からの借り物…)少佐いわく…
「このランチャーは役に立たないよ?最初の1発で敵をビビらせるくらいだ…」らし
い。射程は放物線を描いて25m…動く敵兵には当てられないな…ん〜〜……ん!!
!!
いい作戦だ!!このランチャーの弾に紙を付けてそこにこう書く…
「オレがそこから手前に7m位の木に陰に走る…そこから援護するから全速力で走れ
!!」ゴポ…ランチャーを引き延ばし発射形状にする。ボッフン!!弾は見事な放物
線を描き味方兵の手前1mに着弾した。何とかアイコンタクトでそれを拾わせる。5
秒後。
味方兵が頷くのを確認するやいなやオレは駆けだした。(エアーガンの弾は大体初速
が50m…走っているオレに単発で当てるのは難しいだろう…)などと考えながら木
の根本にしゃがみ込みグロッグの弾をお見舞いする…1、2、3、4…残弾は残り1
9か!!
駆け出そうとする味方の足下に数発の弾丸が着弾し、味方はまた木の後ろに隠れる。
すでに敵もこの行動の意味に気が付いたらしい。敵が前進してくる…味方は残弾がな
いに等しい銃で反撃する。「パン、パン、ガチャ!!」ちっ!ついにスライドストッ
プか!!
ブローバックガンはスライドストップ機構が搭載されているため弾切れがすぐ判る。
敵もそれは同じである。オレはとっさの判断で段幕を張る。恐らく2〜3秒の足止め
だ。そしてグロッグを左手に持ち替え更に撃つ!ホルスターからM−92Fを抜きタ
イミングを計る。恐らくグッログも弾幕を張ったせいで残弾は10発程度だろう…長
期戦は命取り。ブン!!味方に向かってM−92Fを投げる!!しかし届かない…
(どうする…オレ…このままだと味方は死ぬ…ならば一か八か!!)手榴弾に見立て
た呼び弾薬を味方に投げる!これは届いた。そしてグロッグを撃ちながら駆けだし
た。1,2,3,4,残弾が気になる…あと5m!8,9,ガチャン!!スライド
スットップ…グロッグを手放し先ほどのM−92Fに手を伸ばす!!
ここで後編へ続く……

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