「……いかがですか?」
金髪の少年と見間違うほどの童顔な青年は目の前の異形の者達に向かってそう尋ねる。
「悪くはない」
「それは良かった。お気に召して頂いてこちらとしても光栄です」
角が着いている異形の者の言葉に青年は満面の笑みを浮かべる。
「協力、礼を言う」
「いえ、では、僕はこの辺で」
青年は微笑をたたえながら、その場を辞した。
「いったい、あやつは、何を考えておるのでしょうか」
「あまり、我らの得にはならぬ事だろう。それより、例の首尾はどうなっている?」
「準備完了次第、実行するとのことにございます」
「有無、今こそ、にっくきあやつ等を地に平伏させる時ぞ!!」
「御意っっ」
薄暗く、蒸し暑い場所での会話…。
皇帝と呼ばれるマジンカイザーと勇者グレートマジンガー。
及びそのパートナー機である、ダイアナンA(飛行パーツを取り付けました)とビューナスAである。
「熱源反応があったのはもうちょっと先だったよなぁ」
「えぇ、そうよ、甲児君。お父さんの話だと小笠原諸島付近だって言ってたわ」
「恐竜帝国のやつらか、ミケーネ帝国のやつらだとは思うんだけどなぁ……」
ダイアナンAに搭乗しているさやかの言葉にマジンカイザーに搭乗している甲児はじーっと考える。
「だが、やつらの熱源反応ではないような気がする」
「えぇ、こういう反応の仕方は珍しいわ。何か…突然、現れるような感じ。何かしら…」
グレートマジンガーの鉄也とビューナスAのジュンも考え込む。
「現れるような…感じ。ねぇ、甲児君、前もこんな事なかった?」
「前?」
「そう、……バルマー戦役の頃……」
さやかの言葉に甲児はハッとした。
「まさか…あいつ?だって言うのか?」
「……考えられないことはないじゃない?」
「けどなぁ…」
そこで、甲児は言葉を止める。
あいつからは…通信機もらってるんだよなぁ……。
あり得ないことではないが、地上に来る時は連絡をするはずだ…。
そう考えていた。
「熱源反応関知。この反応はっっ。間違いないわよっ、甲児君。マサキ君が地上に出てきた時と同じっ」
さやかの言葉に甲児、鉄也、ジュンは熱源反応が出た場所をじっと見つめる。
細かい光がたくさん現れ、収束していった。
「リューネ、調子はどう?」
「まず、問題なし。あたしより、セニアの方じゃないの?ロールアウトしたばっかでしょ?それ」
「うん」
計器、そして小型版デュカキスの反応、すべてチェックする。
「問題ないわよ。さすが、あたしっ」
「コンピュータの方設計したのシュウじゃなかったっけ?」
あたしの言葉にリューネが素早くつっこみを入れる。
って…あたしが一応設計して、シュウが、グラビコンシステムとデュカキスのリンクをしてくれただけだもん。
ほとんどあたしだもんっっ。
そりゃ、まぁ、クリストフには感謝してますけど…。
ん?
機体反応。
モニタを確認すると
「あれ?ヴァルシオーネ…って事はリューネか?」
「マジンカイザーって事は甲児?久しぶりだねぇ」
「そっちの機体には誰乗ってんだ?ウィングゼロみたいだけど、マサキが乗ってるのか?」
ウィングゼロ…って皆に言われちゃうかな。
「ノルス・レイに似ていると言うことはセニア王女か?」
「そうよ、鉄也君。久しぶりね、皆」
「えーーーーーーー!!!セニアっっ??!」
甲児君がひどく驚く。
そんな…驚かなくたっていいじゃないの。
「何で、そんなにのってるんだよ……」
「うん…いろいろ説明したいんだけど、…そうも言ってられないみたい」
レーダーに敵が近づいてきているのが見える。
機体チェックをすると…まぁ。
「セニアっこれって機械獣じゃないのぉ??」
リューネがモニタに現れたデータを見て驚く。
「そうよ、ラ・ギアスで起こっている天変地異の直接的原因」
「これが原因?…じゃあ。せっかく………」
「何がせっかくなの?あれは、未来のことよ。今の事じゃない。今、地下勢力が復活したっておかしくないでしょう?」
あたしの説明を聞いてリューネはそのまま黙り込む。
「セニア王女、だが一つココで問題が生じる」
「えぇ、そうなの」
「問題って何だ?」
鉄也君とあたしの言葉に甲児君は疑問を持った。
「地下勢力が侵略してきた原因よ。彼らはあなた達の存在がある以上この地上に出てくることはないわ。未来で、地下勢力が侵略してきたのは例の『超重力崩壊』の影響が地下まで響いてきて、それで、地上がどうかなったと言うことを確信し、彼らは地上に攻めてきた訳でしょ?」
「だが、今、この現代ではその『超重力崩壊』はおろか、それ以上の衝撃も起こっていない」
そう…。
何も起こっていないのに、地下勢力は地上を攻撃し始めた。
そのせいで、ラ・ギアスにまでその影響が起きている。
ラ・ギアスは地球の内部に魔術的力で空間を作っているから、地上に起きていることの影響はほとんど受けることがない(例外として、地上からクリストフみたいに干渉すれば…起こるだろうとしても)。
だけれども、実際には、滅多に起こることのない地震、火山活動等、地下と関連が深い出来事が起こっている。
地下勢力に関係して何らかの力が働いていると感じたあたしは、地上にその確認に来たのだ。
「何が、原因で地下勢力が地上に出てきたのか。それが分かれば、ラ・ギアスで起こっていることの説明が付くんだけど……」
「セニア…、ラ・ギアスで何か起こってんのか?」
甲児君が険しい声であたしに聞いてくる。
「うん…まぁ、とりあえず、後で話すわ。来たわよ、やつらが!!」
メカザウルスと戦闘獣と機械獣の混合パーティがあたし達の目の前に現れる。
「またこいつ等かよ」
「またってどういう事?」
「いつもこの編成なんだ。バド4体・シグ2体・ジャラガ体・グラトニオス1体・グシオスβ3、2体・オベリウス1体。海の上だったら、これが定番。地上に入るともうちょっと入ってくるんだよっっ」
と甲児君。
全部飛んでるから、機動力中心ってところかしら。
ますます謎だわ。
「しかも、こいつ等、東京中心に現れるんだ」
東京を中心?。
何か理由がある訳よね。
だとしたら何の理由?
「セニアっ、危ない!!」
えっ?
リューネの声に、モニタを見るとバドが突っ込んできた!!
「リザレクションソード!!!エルンオードの機動性は高いんだからねっ」
エルンオードの基本装備リザレクションソードを使い、バドを倒す。
ハァ、ビックリしたぁ。
「セニア、戦闘中に考え事はダメだよっ」
「分かってるってば、集中よねっ。集中!!カオティックミサイル!!」
ハイファミリアやファンネルみたいに羽をとばし、バドを攻撃する。
「こいつはお返しだぜっ!ターボスマッシャーパーンチ!」
甲児君の操るマジンカイザーがグシオスβ3に攻撃をすれば、鉄也君のグレートマジンガーがグレーとタイフーンを使い、グラトニオスを攻撃する。
リューネも、クロスマッシャーでシグを攻撃する
結構、たくさんいるけど…こいつ等を統制するボスがいないわ。
あしゅら男爵とか、〜〜〜とかいたはずなのに。
まぁ、あしゅら男爵はまだ復活してないとしても…、他の人がリーダーとなって統率しないとおかしいわ。
こいつ等って人工知能だからどこかで操らないとならないはずだけれど…。
ともかく今は、このメカザウルスと戦闘獣と機械獣の混合パーティを全滅させるのが先。
そう思った矢先に増援が現れた。
最初のパーティと同じくバド4体・シグ2体・ジャラガ体・グラトニオス1体・グシオスβ3、2体・オベリウス1体。
皆でようやく半数を倒したのに、増援はないんじゃない?
「けど、たくさんいるわね」
ジュンさんがふとつぶやく。
「あぁ、こっちの疲労を狙っているのかもしれん」
「こいつ等がそんなこと考えるかよ」
甲児君が鉄也君の言葉に反論する。
けれどそれは、あり得ない事じゃない。
「甲児君、鉄也君の言っていることに間違ってないと思うわ。彼らは人工知能だったわよね。もし、彼らがそう言う風にプログラミングされていたら?考えられない事じゃないわ」
「でも、何のためにだよっ」
「それが分かったら苦労はしてないわよ。セニアだって地上に出てきてないわ」
怒り出した甲児君をさやかがなだめる。
「ともかく一気に攻撃します。ミンナ、協力して!!!」
「どうする気だ?」
鉄也君が聞いてくる。
「まぁ、見てて、エルンオードの力を発揮させるんだから」
「セニア?平気なの?」
「落ち着いて見ててってっっ」
エルンオードの翼の後ろに隠し持っていた、大鎌…グレイブサイズ…を取り出す。
「異形の者達よ、闇に帰りにさい、ココはあなた方のいる場所じゃありません。デスリボーン・レボリューション!!
混合パーティの中心に飛び込み、グレイブサイズを振り下ろすと、衝撃波が闇と共に混合パーティ全体に行き渡り、機体は爆発する。
「すごい…それがエルンオードの力?」
リューネがあたしに話しかける。
「その一つね。ま、これを調整したあたしってばさすがよねぇ」
「エルヴィンとルオードを融合させたのは、シュウでしょ」
とリューネはせっかくいい気持ちになっているあたしに冷たく言い放った。
確かに、エルンオードの基本精霊のエルヴィンとルオードを融合させたのはクリストフだけど最終調整をしたのも、コントロールしてるのもあたしなんだから!!
「でも、魔力のない、セニアの精神コントロールで制御できる用に調整したのも、シュウでしょ?」
うーーーーーーーーーーーーっっ。
仕方ないじゃないのよぉ。
「ちょっと待て!!!今、『シュウ』って言わなかったか?」
甲児君が驚く。
「あっ…うん」
「何故、あいつの名前がでてくる」
と、鉄也君。
むー、ココで言わないとならないのかしら。
でも、誤解されたままじゃさすがにかわいそうだしね。
「あのね、後で詳しく説明するけど、クリストフ…シュウは生き返ってるの」
「なっ何ーーーーーーーー?!」
あたしの言葉に甲児君達4人は驚いた。
「将軍、例のものの調査、終了いたしました」
「あやつ等には気付かれんかったか?」
薄暗く、蒸し暑い洞窟の中で、異形の男は目の前の同じく異形なものに問いかける。
「もちろんでございます。まぁ、気付こうにもココより遠く離れた所故、そう簡単に知られることもございませんが」
「確かにな。調査結果は、後で聞く。それと、例の首尾も怠らん様に」
「御意」
「…で、シュウのやつはそのヴォルクスって奴に操られてたって訳か…」
「あれほどの男が、そう簡単に洗脳されるとはおもわんが…」
甲児君と鉄也君があたしの言葉に考え込む。
「まぁ、いろいろと事情があるのよ」
「でも、一ついいか?」
「何?」
「奴が、この後もオレたちを裏切ると言うことはないのか?」
鉄也君がふとわき起こるであろう質問をあたしに投げかける。
やっぱり…心配事はそこだよね。
そうだよね…そう思われても…仕方ないよね。
「うん、その点に関しては大丈夫。あたしが保証するわ。マサキも、大丈夫だって言ってるしね。今、仲いいのよ。あの二人」
あたしの言葉に納得いかないのか、甲児君達は首を傾げる。
「あたしも保証するよ。あのシュウは、昔のシュウじゃない。セニアの言葉信用しても大丈夫」
リューネもフォローに回ってくれる。
クリストフ、あなたが説明して回った方が早いんだからね。
そこら辺忘れないでよ。
「ねぇ、セニア、リューネ。二人ともこれからどうするの?」
さやかがあたし達に聞いてくる。
「とりあえず、プリベンターの極東支部に行くつもり」
「ちょうどいい、オレたちも戻る所だったんだ。じゃあ、極東支部に行こう」
というわけで、あたし達は一路プリベンター極東支部へと向かったのでした。
次回、スーパーロボット大戦〜星達が伝えたいこと〜
「あぁ、終わった終わったぁ」
「甲児君、気を抜いてはダメよ。まだ極東支部に着いてないんだから」
「分かってるよ、さやかさん」
「ふ〜ん、甲児君ってさやかに弱いんだ」
「セニアっいきなり何言うんだっ」
「ふふふふふ、他人の恋愛ってどうしてこうも楽しいのかしら」
「…あんたはどーなのよ」
「別に、何ともないわよ、クリストフとはっっ」
「あたし…シュウなんて一言も言ってないんだけど?」
「…リューネ!!!」
「過剰に反応したセニアの負けだな」
「ムーーーーーーッッ。スーパーロボット大戦〜星達が伝えたいこと〜第3話。極東支部防衛!!一話と同じパターンじゃないのよぉっ」
「ともかく、次回のスーパーロボット大戦に」
「マジーンゴー!!!」
「…それ書きたかったの???」