Destiny Third

0.序章
 
 神秘で広大な宇宙
 この太陽系から遥か遠く離れたところに
 我々が住むと似た天体を持ったところがあった。

 その名は、アルゴル太陽系。


「シルア…ジートから通信よ」
「あ、あぁ。分かった」
 ったく何だって言うんだよ。
 こんなくそ忙しいときに…。
「はい、何だよジード。今、忙しいんだ!」
「はーい。お久しシルア君」
 いきなり電話に出た女の声はサテラだった。
 画面に映っている姿はそのどちらでもない。
 ただどこか見覚えのある風景が映し出されている。
 あまりの驚きに声もでない。
 何をやっているのかと半ば呆然と画面を見つめてしまう。
「いまね、あたしたちこっちにきてるの。あ、はいジード」
「サンクス。実は、こっちに着たついでにおまえに教えてもらおうと思ってるんだけど」
 ジードの声に何か寒気を感じる。
「まさか……」
「そのまさかだよ」
 げ、冗談じゃない!! 「頼むよ。おれたち親友だろ?」
「いやだね。だいたいオレはおまえみたいな奴を親友に持った覚えはない」
「冷たいなぁ、シルアちゃん」
 ジードの声が真後ろで聞こえる……。
 ?!
 見覚えがあるはずだ。
 画面に映るのはオレの家。
「やっほー」
 いつの間に入ったんだおまえ達は。
「教えてよ、シルア。あたし達に教えても何の支障もないはずよ」
 支障があるないの問題じゃない。
 今まで誰にも言ってないんだ。
「アルファはしってるんでしょ?アルファも共有しているはずだもの…」
 ………。
「顔色が変わった。アルファとメモリーは知ってるわよね…。共有してるんだもん…ね」
「メモリーに聞いても無駄だよ。メモリーは共有してないから」
「うそ、メモリーは知ってるって言ったわよ」
 と、サテラが言ったときだった。
「そこまでよ。シルア、ミリオン大統領がお呼びよ。アルファも呼ばれているわよ…」
 と、アジールが呼びに来る。
「わかった…また後でな」
「つまんないの」
 と、言うサテラの言葉を後ろに聞きながらオレはミリオン大統領のところに向かった。

「前々からのことだ………。おまえ達だけでは心配だからメモリーも連れていけ」
「…パルマの動きはどうなってますか?」
 ミリオンの言葉に、彼の側にいたメモリーは違う話題を問いかける。
「…今は、連絡はない。コラムの方で動いている」
「だったら、私が」
「まだ、お前の所が動かすわけには行かない」
「…お父様っ」
 メモリーの言葉に、ミリオンは俯く。
「畏まりました……。大統領の仰せの通りにします」
 それ以上言うのはあきらめたのか、メモリーはミリオンの言葉にうなずいた。

  アルゴル太陽系。
 地球より遠く離れた銀河に、その星系はあった。
 太陽系と形は異なり、中心にはアルゴル星(太陽)をおき、その周囲に、奇跡の距離と言われた太陽、地球間の距離の比率を維持していた。
 アルゴル星系の中心惑星はパルマ。
 地球と同じく、その大半を水が支配する星である。

 アルゴル歴3897年。
 ある時、『パルマ』と自らを言う組織の不穏な姿が見え始めるのを大統領カオス・ミリオンは察知する。
 そして、政府直結の特殊機関『プリマス』に謎の組織の捜査を求めたのであった。
『パルマ』の行動は『ファレシュ』アルゴル太陽系の古い言葉で、『水の』『奇跡の』の意味を持つその星へと『プリマス』の『ティラナ』を送らせる程の事だった。

『ファレシュ』と呼ばれる水を湛えた青い星『地球』に。
 彼らが求める者達を保護するために。
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