電波時計の受信位置
モノカキさんへの30のお題:永遠の青子サイド。
変わらない時間を、あの時から、青子は過ごしてきている。
変わったことは少しある。
髪が長くなった。
青子、くせっ毛だから、それほどのばしたくなかったんだけど、蘭ちゃんのサラ艶ロングヘヤーにあこがれたんだよね。
「青子、それは間違い。あこがれたんじゃなくって。魅せられてるの。蘭ちゃんは妖姫だから、魅せられやすいのは分かるけど」
「でも、蘭ちゃんの髪、綺麗なんだもん。さらさらで艶々で。やっぱり青子、蘭ちゃんにあこがれる」
青子の言葉に快斗はため息をつく。
こういう会話もたくさんしてきた。
これから先もするんだろう。
いろいろな所に行って、いろいろな物を見て。
「永遠は、夢物語なのよ。だから、人は迷うの。永遠を夢見てしまうから。ただ人には得られないから、迷うのよ。でも、わたし達は迷い人は歓迎するわ。綺麗な夢を持っているもの。でもね、気をつけて、侵入者もいるんだからね」
そうやって微笑むのは新一君のお母さんの有希子さん。
美人なんだけど、すっごく強いって事聞いて、ビックリしてる。
他愛もない時間、ぼっとすれば、すぐに流れていく時間。
でも、時間なんてもう青子には関係なくて。
快斗にせがんで買ってきて貰った電波時計が、衛星の電波を正確にキャッチする。
……ってどうやって受信しているんだろう。
…魔界って…どこにあるんだろう。
素朴な疑問が…なんだか浮かんでくる。
「物事の真理を知るには、裏に隠されている真実も知らなくてはならないんだよ」
魔王で新一君のお父さんの優作さんは訳知り顔でそう言うけれど、新一君や、快斗のお父さんの盗一おじさんは
「そう言ってて知らないだけなんだ」
ってちゃかしている。
…時々、…ホントに時々、地上の友達の事を思い出す(地上って言うから魔界は地下にあるのかな?)。
ホントに時々なんだけど、ひどく悲しくなる。
どうしてるんだろうって知りたいんだけど、…今は、まだ知りたくない。
かなりの時間はたったけれど、…それでも、たくさんの時間はたってないから。
いつか、その時が来るまで、まだ知らないでいよう。
そうしたら、平気だから。
その時は、快斗と一緒に行こう。
皆のことを知りに。
永遠の時間。
時間なんてないから、時?
いらないなんて思わないのは、隣にいてくれるからかな?
*あとがき*
モノカキさんに30のお題:23・永遠の青子バージョン
以前、サンプルとしてのせておいたもの。
永遠の最初の没原案。 書いてみたら結構いい感じだったのでアップ。
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