わたしの名前は毛利蘭。
帝丹高校生3年で女子の空手部主将!!
都の大会には去年優勝して、今年も優勝を目指してるの。
わたしの大の親友は鈴木園子。
鈴木財閥のお嬢様なんだけど、そう見えない時があるのよね…。
まぁ、それは園子のいいところでもあるんだけどね。
わたしのお父さんは名探偵と呼ばれている毛利小五郎。
ちょっとだらしがないけど優しいお父さんなんだ。
お母さんは法曹界のクイーンと呼ばれている弁護士、妃英理。
優しくってカッコイイんだけど…別居してるのよね。
お父さんと……。
早くもとに戻って欲しいな……。
で、わたしには最大の敵がいる!!!
『高校生探偵』と呼ばれ、尚且つ『日本警察の救世主』ともてはやされている、あいつよあいつ!!!
推理バカだし。
キザだし。
意地悪だし。
もーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー最大の敵よ!!!
「で、蘭お願い」
昼休み、あいつが側にいないことをいいことにクラスの女の子がお願いをしてくる。
「お願い、どーしてもって言われちゃったの。何回も断ったんだよ。でも…顔あわせるたびに言ってくるの…」
「だからって…蘭は彼氏がいるって事わかってるんでしょ?そいつも」
側で聞いている園子の言葉に彼女はうつむく。
彼女が言っているのはわたしに告白したいっていう男の子がいるから会って欲しいって言うことだった。
あいつが戻ってきたときには『それ』はなりを潜めていたけれど、このころまた多くなってきた。
ラブレターもあいつが行方不明になって戻ってきたときよりも多いし。
「…駄目なことは分かってるのにどうしてもって言って聞かないのよ。だからお願い、蘭。蘭がはっきり言えば彼もあきらめ着くと思うの」
彼女はそう言ってわたしに懇願する。
「分かった……会っても、いいよ……」
「ホント?蘭」
「うん、何度も断るの大変でしょ?」
「蘭ありがとう……。じゃあ私そいつに言ってくるね!」
そう言って彼女はその人に言いに行くために出ていく。
「いいのぉ?蘭」
園子に聞かれる。
「会うぐらい…別にどうってことないよ。付き合うわけじゃないし。彼女も大変でしょ、顔合わせるたびに言われてるんだもん、わたしが言って…解決するなら…良いじゃない」
「そうだけどさぁ………。………あやつ、荒れるわよ」
「うん、だから、園子お願い、協力して」
「ハイハイ。ホント、あんたってお人よしなんだから」
園子は呆れるように言った。
放課後、呼びだされた所へ行く。
場所は、体育館裏。
「毛利さん、来てくれたんだ」
そう言ってで迎えたのは、サッカー部の日向裕介(ひなたゆうすけ)君。
サッカー部の主将だったかな?
何度かあいつをサッカー部に勧誘しているのを見たことがあるから。
結構人気者だって園子が言ってた。
あぁ、あの子に言われて来ちゃったけど気が重いなぁ……。
それに、あいつがいつ戻ってくるかが分かってないし……。
あいつは今週掃除当番の班でただいま掃除中。
園子と一緒の班で同じところを掃除してるんだよね。
掃除に行った隙を見て出てきたけど…戻ってくるまでに帰らないと……まずいのよ。
そうよ、最大の敵であるあいつがこの事を知ったら何をしでかすか分かったもんじゃない!
だいたい、あいつってば独占欲強すぎよ!!
まぁね、別にまぁそれは良いんだけどね。
いつも透かしている名探偵が慌ててる所は見てて面白いし。
そのギャップを楽しんでいるのは実はわたしだったりするわけだし。
でもね、その後にいろんなことをするのはやめて欲しい!!!
…って別に…いーん、だけどね…。
何となく、嫌な、微妙なのってあるじゃない。
それよ、それ!!
あんなことするし、こんなことするし。
揚げ句の果てにはあんなカッコーさせるし、こんなカッコーとかさせるし。
嫌って言うと駄々こねるし、甘えてくるし…。
もーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
ともかくあいつは最大の敵よ!!!
何が、高校生探偵よ!
何が、日本警察の救世主よ!!
何が、平成のホームズよっ!!!
ただの事件大好き、推理バカじゃない!!!
ただの我が侭で甘えん坊な男じゃない。
独占欲強すぎるし、うそつきだし、意地悪だし。
……でもね……でもね。
どんなに文句を言っても。
どんなに悪口言っても。
やっぱりあいつが好きなのよ。
あいつの言動で天国にだっていけるし…、地獄にだって落とされる。
あいつの言動に振り回されるだけ振り回されても…それでも側にいたいと思うのはやっぱり好きだから……。
「毛利さん」
「えっ…」
突然、 日向君に呼ばれる。
「オレの話し聞いてた?」
「…………」
まっずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい。
聞いてなかったぁ。
あいつのことずっと考えてたから……。
「ごめん、聞いてなかった」
「まぁ、良いけどね……。で、オレ、毛利さんのこと……」
日向君がその続きを言おうとした瞬間だった。
「人の女に、手を出すんじゃねーよ!!!」
怒り声のあいつの声が聞こえる……。
「く、くどう……」
「し、新一……」
日向君とわたしの言葉が重なる…。
「日向、蘭はオレの女だ!!!」
そう言って新一は私を横抱きにして、人気のない体育館の倉庫裏に連れてくる。
「な、なんでこんなところなのよ!」
そう非難しても新一は聞き入れてくれない。
ここはわたしの一番苦手な幽霊スポット……なのよぉ……。
「学校で、蘭と二人っきりになれるところがここ以外にないだろ!!」
どこか、新一は怒っている。
「ごめん……」
そんな新一の様子にわたしは謝る。
「………」
う……答えてくれない。
「怒ってるよね……」
そう言ったわたしに新一はぶっきらぼうに答える。
「…怒ってねーよ」
「怒ってるよ」
「怒ってるんじゃねーよ、オメーのお人よし加減に呆れてんだよ!!」
呆れてるって言いながらもやっぱり新一の口調は怒っている。
「だって……」
言い訳しようとするわたしの言葉を新一は遮るように言う。
「だって…じゃねーよ。だいたい、人に頼まれたぐらいで告白されにわざわざ行くなよ」
「しょうがないじゃない…あの子何度も何度も日向君に頼まれたって言ってたから。日向君とあの子の仲を変にしちゃあれだと思ったんだもん」
言い訳するわたしの様子を新一はにらみながら言う。
「…仲なんてどーにもならねーよ。日向とあの子は前同じクラスでたまたま蘭とあの子が仲よかったから頼んだってだけに決まってんだろ。別にあいつらの仲が悪くなったってあの子には何の支障もねーよ。ったく、人が良すぎるのもいい加減にしろよな」
「だって…あの子何度も日向君に言われて困ってたみたいだったし…わたしが会えば解決すると……思ったんだもん」
「解決しなかったらどうすんだよ」
「……ごめん……」
新一の言葉にわたしは素直に謝る。
確かに新一の方が正しいかも……。
「ったく……今度こういう事があったら断れよ」
「……うん……」
「ったく……もう告白シーンなんて見たくねーよ……」
そう言って新一はうつむく。
そっか、そうだよね。
わたしも新一への告白シーン何て見たくないもの。
「ごめんね、新一」
やきもちを妬いている新一がなんか可愛く思えてしまってちゃんと謝る。
ホーント、やきもち妬きなんだから。
「で、蘭、今日泊まりにくるんだよな」
突然新一は息がかかるくらいの至近距離でわたしのことを見つめる。
「し、しんいち……」
ちょ、ちょ、ちょ、ちょっとぉ、何でいきなりこんな至近距離なのよぉ。
ここ学校よ!!
思わずあごを引いたわたしに新一はじっと見つめる。
「蘭、今日オレの家に泊まりにくるんだよな」
甘えた目をしながらわたしを見つめ尚且つその声はかなり甘えている声だ。
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
そんな目で見つめないでよぉ。
嫌…なんて言えなくなるじゃないのよぉ……。
「で、蘭。どうなんだよ」
「…………泊まりに行く……わよ……」
「素直じゃねーよな」
そう言って新一は顔に満面の笑みを浮かべる。
負けた。
やっぱり勝てない。
勝てないわよ。
勝てる訳ないじゃない。
初恋で、しかも始めて逢った時に一目ぼれして落ちた男に勝てる訳ないじゃない。
やっぱり、新一はわたしの最大の敵!!
いつか負かせて見せるからね!!