獅子座流星群をまちながら
「寒いね」
「…そうだな…」
 わたしの言葉に静かに答えてくれる新一の声が寝静まった夜に響き渡る。
「流星見られるかな?」
 今日は流星が見られる日。
 だから、こうしてベランダにでて流星を待っているんだけど…。
「っつーか、何で、外で待ってんだよっ。ピークまであと3時間あんだぞ。風邪引いちまうって」
「だって…降り始めから見たいんだもん」
 わたしの言葉に新一はため息をつく。
 新一はどうやら中に入りたいみたい。
 寒いのは分るんだけど、でもわたしはずっと見ていたい。
 シャワーのように振り落ちてくる流星を。
「あのなぁ、だいいち、流星なんてちりだぜ?ちり。細かい隕石なんだから。流星はもう地球に落ちてるんだぜ」
「だからって、そう言う言い方しないでよ。ホントっあんたってデリカシーってもんがないんだから」
 寒さでいらいらしてるみたいだけど、ホントちりって言わなくたって良いじゃないの。
「くしゅん」
 寒さのせいか思わずくしゃみが出る。
 やっぱり…寒いなぁ。
「蘭」
「何?」
「中、はいるぞ」
 わたしのくしゃみを聞き新一はため息をつきながら言う。
「ココにいる」
「ココにいるって…蘭」
 何言われたってわたしここで見てるから。
「ったくぅ。オメーは変なとこで強情だよな。風邪、引いてもしらネェぞ」
「えっ…新一?」
 驚いた瞬間、わたしは新一に抱きすくめられていた。
「新一?」
「この方が…あったけぇだろ?」
「そうだね…」
「でも、もう少したったら中に入ろうぜ。本格的に風邪引いちまう」
「うん…わかった」
 そう言った新一の言葉にわたしは素直にうなずいた。
*あとがき*
大接近した時の話。流星群を見るために、待ちながら書いていた。


novel top