~快斗~
オレの仕事がある日の日課が決まった。
まず、朝は青子と学校に行く。
放課後は青子と一緒に帰る。
それは今までと変わらない。
ただ一つ変わったのは……。
「……今日はお仕事なんでしょ、キッド」
仕事の前に青子に逢いに行くこと。
もちろん、キッドの格好して。
「青子ーキッドって言うなよ」
「キッドの格好してるくせに。それにいいじゃない。青子は快斗がキッドって事知ってるんだよ。どうせだったらお父さんに言ってもいいんだよ」
う………。
「青子ぉそれだけは勘弁して。…で、そのお父さんは……」
失言だと言うことに言った後で気がついた。
オレがこんなキッドの格好をして青子の所にいるって事は……。
「キッドのバカ!!!!」
そう言って青子は身近にあるものを投げる。
「ごめん」
「キッドがねぇ、予告状だすたんびにお父さんが徹夜なんだからね」
「青子、一応警部なんだからしょうがねーんじゃねーの」
「快斗のバカ!!!快斗なんて知らない!!!快斗なんか大っ嫌い!」
やっばーー。
完ぺきに青子を怒らせた。
大っ嫌いまで言われた。
仕事開始の時間がすぐ近くまで迫っていた。
「……青子、いって来るから」
青子はオレの言葉を無視する。
……ごめん、青子。
青子の部屋のベランダから夜の空へと飛び出す。
目的の屋上につきオレは呪文を唱える。
「Ladies and Gentlemen!! It's showe time!」
この呪文は特別だ。
キッドに簡単に代われる。
今日のはなんだろな。
~青子~
「…青子、行ってくるから」
そう言って快斗は出かけていった。
快斗怒ってるだろうな……。
「快斗なんか大っ嫌い!!!」
って言っちゃったから。
でも、あれは快斗が悪いんだよ。
快斗が…キッドになって予告状だすから……。
その時携帯が鳴る。
「ハイ、青子です」
「もしもし、青子ちゃん?わたし、蘭」
電話の主は青子と似ている女の子毛利蘭ちゃんからだった。
すっごく可愛くってトロピカルランドであったとき携帯の番号交換したんだ。
その後何度か遊んだことあるんだ。
「蘭ちゃん。どうしたの?」
「青子ちゃんどうしてるかなぁって思って」
「新一君、いないの?」
「うん……キッド……の所行ってる」
蘭ちゃんは寂しそうに言う。
くっそーーーーーー快斗のやつ!!!!
快斗がキッドしてるから蘭ちゃんまで迷惑掛かってるんだよ。
少しの間他愛もない会話をして蘭ちゃんは電話を切る。
…快斗ぉ、早く帰ってきてよぉ。
ほんのちょっといないだけでも不安なんだ。
だって、もし快斗がケガしてたらいやだもん。
青子のお願い、キッド……快斗……無事に帰ってきてね。
階下で音がする。
そうか…お父さんが帰ってきたんだ。
その時物音が窓の方でする。
「お嬢さん、こんばんは。まだお休みになられてないご様子ですね」
丁寧な口調で白いマントを身に付けた怪盗はベランダから青子のことを見つめる。
「もぉー驚かさないでよ。キッドのバカ。……今日は早かったんだね」
「まぁな、警部も帰ってきたんだろ……」
「うん……」
快斗はさっきの青子の言葉に怒ってるふうだ。
「快斗、……あのね」
「青子、さっきはごめん」
へ??
「青子のこと怒らせたから……」
「怒ってるよ、でもしょうがないんでしょ、快斗。青子もごめんね。快斗なんか大っ嫌いって言っちゃって」
「マジであんときはびっくりした。で、ホントの気持ちは?」
と快斗はまっすぐ青子を見つめる。
う、ちょっとドキドキしてるよぉ。
「快斗、青子は快斗のこと大好きだよ」
分かってるのに言わせないでよね。
「青子、オレも青子の事大好きだよ」
と、快斗は満面に笑をたたえて言う。
はにゃーーーーーーーんってなっちゃうよ。
いいこと思いついた。
「怪盗キッドにお願いがあるの」
~KID~
「怪盗キッドにお願いがあるの」
突然青子に言われる。
キッドにお願い?
なんだよ。
「あのね、青子夜のお散歩したいな…。だめ?」
と、ねだるようにオレを見る。
だぁーーーーーーーーー!!
そんな顔でオレを見るなよ。
夜のお散歩のまま青子のことさらいそうだよ。
「快斗、ダメ?」
「しゃ、しゃーねーなぁ青子の頼みとあっちゃきかねー訳にもいかねーだろ」
「ホントに?」
オレの言葉に青子は喜ぶ。
そんな青子の無邪気な様子にオレはいたずら心を起こす。
「そのかわり、どうなってもしらねーからな?」
「どうなってもってもしかして墜落するとか?」
「しねーよ!!!こういうこと…だよ」
そう言ってオレは青子の口唇をかすめ取る。
「か、快斗ってばす、すぐにエッチなことするんだから」
そう言って青子は顔を真っ赤にする。
「ば、バーロ。てれんなよ、こっちまで恥ずかしいだろ。青子、ちゃんと捕まってろよ」
「うん」
抱き上げたオレに青子はギュッとしがみつく。
「では、青子さん。夜の散歩とでもしゃれ込みましょうか」
その言葉を青子にかけ、オレは夜の空へ飛びだした。