〜ハロウィンに少年探偵団を〜(元、テーブルクロスでI Love You)

 10月31日の今日はハロウィンである。
 31日が土曜日なので、今日は何故かオレの家でパーティである。
 本来は、キリスト教のお祭りで…アメリカだと…仮装をしてまわってくる子供たちのためにお菓子を用意しておくのだが、日本の場合は…みんなでわいわいとハロウィンは名目の仮装パーティが繰り広げられるらしい。
 そのため会場であるオレの家はパーティ仕様で飾り付けがされている。
「工藤!!!!オレの格好何だか分かるか?」
 とカボチャのかぶり物をかぶり、マントをつけ、カボチャの頭には王冠らしき物体が載せられている。
「もしかして…ジャックランタンか?」
 カボチャのお化けである。
 本来はカボチャの提灯を差すのだが、あれがお化けになってジャックランタン。
「ちゃう、あのカボチャ大王や!!!」
 カボチャ大王は言わずとしれたピーナッツに出てくるあのカボチャ大王である。
 はぁ、服部のせいでオレは頭が痛い。
「何頭抱えとんねん。自分かて仮装しとるやろ」
 そう言って服部はオレのことを指さす。
 オレは蘭に無理やり仮装させられている。
「しっかしよう似合っとるなぁ」
「うるせぇ…」
 蘭に無理やり着せられたのは蝶ネクタイをつけたスーツにマント…。
 蘭曰く
「やっぱり、新一には、吸血鬼よね」
 だと。
 ともかく今日家にいるのはいつものメンバー。
 どうしてこうなるんだ?
 ところでオレは蘭の衣装を知らない。
「平ちゃん、新一、青子知らないか?」
 とオレと服部の目の前に現れたのは…か、怪盗キッド!!の格好をした快斗。
「快斗…紛らわしい格好するんじゃねーよ!!しらねぇぞ。この後、警視庁ご一行がくるんだから」
「マジ?」
「ホンマ」
 オレと服部の言葉に快斗は一瞬、青くなる。
 がすぐにいつものポーカーフェイスに戻り
「オレが、そんなへまするように見えるか?」
 と言いのけたのだ。
「ところで、何しに来たんだよ」
「だから、青子しらねーか?」
「青子ちゃんだったら2階で蘭と和葉ちゃんと着替えてるぜ。さっき見に行ったときどうするかって騒いでたから……」
「ちょーっ待て、工藤。着替えとるとこ見たんか?」
「見てねぇよ、部屋の外からキャーキャー言ってる声が聞こえたんだよ!!」
 ったく変なところに突っ込むなよ。
 ただいまの時刻夕方6時ごろ。
 そろそろ、蘭達が降りてくるはずなんだが……。
 その時だった。
 門のチャイムではなく玄関のチャイムが鳴ったのは。
「誰だぁ?」
 その音に気づいたのか蘭が降りてくる。
 この段階で蘭が何着てるのか分からない。
 蘭は黒いマントらしきもので衣装を隠していたから。
「ア、新一。誰かな?どなたですか」
 と蘭の声に玄関の外にいた人物が答える。
「いっせーの『Trick or treat!!』お菓子をくれないといたずらするぞ!!!」
 そう言って玄関のドアを開ける。
 げっ、あいつらだ。
「こんにちは、蘭おねーさん。新一君もこんにちは」
「ハロウィンの挨拶に来ました」
「新一、菓子くれよぉ!!」
 そう、少年探偵団である。
「歩美ちゃんは魔女の格好なのね。光彦君は吸血鬼?新一と一緒だね。元太君はジャックランタン?」
「そうなの。蘭おねーさんは何の格好してるの?魔法使い?」
「魔法使いはお姉さんのお友達がしてるの。わたしの格好このマントつけてるからちょっとわからないね」
「蘭おねーさんマント取って。わたし蘭おねーさんの格好見たい」
「オレも見てぇぞ!!」
「僕も見たいです。ちなみに志保さんは魔法使いで阿笠博士はお化けの格好をしてましたよ」
 蘭は口々に言う3人に困り果てている。
「オイ、オメーらあんまり蘭を困らすんじゃねーよ」
 一応、年長者として言ってはみるがあまり説得力はないと思う。
 実際、オレだって蘭がどんな格好してるか気になってるんだから。
「そう言う新一だって見たいんだろ!!」
 案の定元太が突っ込みを入れてくる。
「あのなぁ」
「元太君の言う通りですよ。新一さんだって気になるんでしょう蘭おねーさんの格好」
「うるせーんだよ!!!オメーらいい加減にしろよ!!」
 怒濤のように突っ込む元太と光彦にオレは閉口する。
 ったくいい加減にしてくれよ。
「そうだ、新一菓子くれよ!!これから博士んとこ行くんだからよぉ」
 元太の言葉に蘭はニッコリ笑ってお菓子を取りに行く。
 絶対こいつらが来ると思ってたから準備してた。
 やっぱ、オレって結構、面倒見いいのな。
「そうだ新一君、蘭おねえさんと一緒にわたし達と博士のところ行かない?」
「ワリィな、オレと蘭はここで友達とパーティーするんだよ」
 と歩美の誘いを断ったときだった。
「新一、何やってんだよ」
 と現れた快斗。
「わぁ怪盗キッドだぜ!!!」
「ホントだぁ!!」
「嬉しい、もう一度逢えると思ってなかった」
 と一気に色めき立つ3人。
 ここは一応フォローしといたほうがいいよな。
「あのな、こいつは怪盗キッドじゃねーぜ」
「でもぉ、わたしが逢った怪盗キッドはこんな感じだったよ。ドラキュラさん見たいだったの。ア、そう言えば新一君もドラキュラさん見たい」
 気付くのおせーよ…。
 まぁ、いいけど。
「ともかく、こいつは怪盗キッドじゃなくって…ってオイ、快斗!!」
 フォローするオレをしり目に快斗は歩美の目の前で中腰にかがむ。
「こんばんわ、可愛い魔法使いのお嬢さん。よくお似合いですよ」
 そう言って……歩美の手を取りその甲にキスをする。
「………またお逢いできるとは思ってもみませんでしたよ」
 とこのバカは歩美の耳元でささやく。
 はっきり言ってこの一連のバカの行為に元太と光彦は呆気に取られていて聞いてない。
「オメーなぁ、それじゃオレがフォローした意味ねぇだろ」
 小声で呟くオレに快斗は
「いいんだよ。オレのことドラキュラさん?って聞いたかわいいお嬢さんへ敬意を表してるんだよ」
「ホントにあの時のドラキュラさんなの」
「そうですよ、でも、君のボーイフレンド達には秘密ですよ」
 はぁ、こいつってキッドになるとキザ度が上がるんだ。
 今初めて知ったよ。
「クスクス」
「何笑ってんだよ、蘭」
「やっぱり似てるなぁと思って」
 そう言って蘭はクスクス笑う。
 相変わらず、黒いマントで体全体を覆ったまま。
「じゃあ、わたし達行くね。またね」
 そう言って歩美達は博士の所へ行った。
「所で、蘭ちゃん何の格好してるの?」
「秘密」
 と蘭は楽しそうに二階に上がっていってしまった。
「新一は知ってるわけ?」
「しらねぇよ」
 快斗の質問にオレはそう答えたのだった。

「工藤君には見せたん?」
 和葉ちゃんが部屋に戻って来たわたしにそう聞いてくる。
「まだ見せてないよ。何で?」
「工藤君、その格好みたら鼻血出すかも知れんやん…」
 そんな変態みたいに新一の事言わないでよ。
「変態みたい……って……せやけど、その格好は工藤君を悩殺するためのもんやろ」
「悩殺って…」
 和葉ちゃんの突っ込みにわたしはどう対処していいか戸惑ってしまう。
 この格好は…園子が
『これだったら一発で悩殺よ!!』
 と持ってきたもの。
 ホントだったら違うのにしようと思ったのに…。
 和葉ちゃんと青子ちゃんに寄ってたかってこの衣装にさせられてしまったのだ。
 ふと部屋の前に誰かの気配を感じた瞬間扉が威勢よく開けられてしまった。
「和葉ぁ!!」
 との声とともに。
「ヘ、ヘ、ヘ、ヘ、平次!!何しにきたん!!!下で待っとってって言うたやんか」
「す、すまん。あまりにも遅いもんやから様子見にきたん」
「あんなぁ、ちょー待って工藤君と快斗君はどこにおんの?」
「下で待っとるで。はよ、降りてこんと……。蘭ねーちゃん、どないしたんや、その格好」
 今まで和葉ちゃんとやり取りしていた服部君の視線が不意にわたしの方に向けられる。
「…………」
「平次、何いやらしい目で蘭ちゃんみとんねん!!」
「あんなぁ、そう言う目で見てへん。ただ、工藤が見たら絶対鼻血出す思うてみたんや!」
「見とるやんかぁ!!」
「ちゃう言うてるやろ。オレは、工藤の立場に立って見た言うてんねん!!」
「それが見てる言うねん!!!平次、はよ出てき」
 和葉ちゃんの凄い剣幕に服部君はすごすごと出ていったのだった。
「和葉ちゃんと服部君ってなんか似てるね」
「ア、わたしも思った」
 不意に出て来た言葉に青子ちゃんは賛同する。
「え…ホンマ?似とる?」
 でも、和葉ちゃんは嫌そう。 
「嫌や…蘭ちゃんと青子ちゃんで何人目やろ…。オトンとオカンに言われて静華おばちゃんと平蔵おじちゃんに言われて…学校の友達まで言われてん…」
 そう言って和葉ちゃんはうつむく。
「ごめん…嫌だった?」
「よう…わからんねん…。くすぐったいいうんか…なんやろね。あんなんアホとそっくりなんて嫌やって思うときもあるし…。似とるって言われて嬉しい思うときもあるんやから……なんてな。もー聞かんかったことにして」
 和葉ちゃんはそう言いながら照れる。
「ほな、気い取り直して下に行こう。もう、あの三人待ちくたびれてると思うわ」
 う…、ホントにもう行くの?
「嫌なの?蘭ちゃん」
「う…うん。こんな格好恥ずかしい…」
「新一君、ドキドキするよね」
「あ、さっき平次に言うとくんやった…工藤君が鼻血出しても平気な様ににティッシュ用意しといってって」
 もうやだぁ。
「早くイコ。待ってるよ」
「そや、蘭ちゃんそのままで行くつもり?仕上げせなアカンやん」
「そうだね。仕上げ仕上げ」
 何か、和葉ちゃんと青子ちゃんに遊ばれてるような気がする。
 ともかくわたしは二人に仕上げをつけられて二人に下まで連れていかれてしまったのだ。
 この格好新一が見たらなんて言うんだろう。
 はぁ……不安だ。
 確か高木刑事とかもくるんだよねぇ。
 うわぁ、恥ずかしいよぉ!!

「オメェ、上で何してきたんだよ」
「何もしてへんってホンマやって」
「ホントか?怪しいな。青子の格好見てきたんだろ」
「ホンマやって…」
 二階から降りてきた服部にオレと快斗は詰め寄る。
 実は、オレも服部も快斗も2階にこもった三人の格好はまだ見ていない。
「ホントに蘭の格好も見てねぇんだろうなぁ」
「見てへんって…言うとるやろぉ。工藤が鼻血だしそうな蘭ねーちゃんなんて……あ…」
 ちょっと待て、服部の奴今なんて言った?
「バカ…」
 快斗が何を言ったのかに気付いたのか頭を抱える。
「はーーっとーーーーーーりーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
「す、す、す、すまん。ぜ、全部は見てへんで全部は。ちらっとだけやちらっと。ホンマやって嘘ちゃうで。見よう思うて見たわけやないんやで」
「でも、見たんだろ」
 オレの怒りに気づいたのか服部はいいわけを繰り返す。
「新一、電話だぜ」
 快斗がオレの怒りに水を差すように電話の子機を差し出す。
 電話が鳴っていたのには頭の片隅で聞いていた。
 でも、頭に来ていてどうしようもなかった。
 やはりオレは、蘭のことになると周りに目が届かなくなるらしい…。
「警視庁の高木刑事」
 快斗の言葉にうなずきオレは電話に出る。
 事件だろうか…。
 服部も何気に事件顔になっている。
『工藤君、高木ですけど…わぁ、佐藤さん、急に変わらないで下さいよ!!』
 高木刑事の近くに佐藤刑事がいたらしい…。
『工藤くん、ごめんね。今日のパーティいけなくなっちゃったの』
「事件ですか?」
『そうなの。提無津川の河川敷でね水死体が上がったのよ。他殺の線で見てるんだけど…他の刑事出払っちゃってて…わたしと高木君で行くことになっちゃったのよぉ。だからごめんね』
「事件だったら仕方ないですよ。何か手伝えることありますか?」
『そうねぇ、今のところはないわ。身元も何もわかってない状況なのよ。でも、何かあったときはよろしくね』
 そう言って佐藤刑事は電話を切る。
「何やて」
「提無津川で身元不明の水死体が上がったんだと…」
「ほんなら関係あらへんな」
 と服部が呟いたときだった。
「新一、誰からだったの?」
 と蘭がひょこんとドアから顔を出す。
「佐藤刑事と高木刑事からだよ。今日来れないって…。蘭、何やってんだよ。入ってこいよ」
「え…やだぁ」
 やだ?
 何がだ?
「蘭ちゃん、コレつけんとあかんて言うてるやろ」
「そんな恥ずかしいよぉ」
「恥ずかしがってる場合じゃないよ。ここまで来たんだから。ね、蘭ちゃん。青子と一緒に中に入ろ」
「やだよぉ」
 と部屋の外で3人が騒いでいる。
「何やってんねん。はよ入ってきたらえぇやろ。平気やってホンマオレが保証してんねんから」
 と服部はオレと快斗を来させないようにけん制して部屋の外にいる蘭達に話かける。
「ほら、平気やって。平次も言うてるんやし」
「大丈夫だよ。ね、蘭ちゃん」
 と不思議の国のアリスの格好をした和葉ちゃんと魔女の格好(でもミニ丈)をした青子ちゃんに引っ張られて入ってきた蘭はウサギの格好をしていた。
「雪うさぎやで」
「可愛いよね蘭ちゃん」
 う…マジで可愛い。
「蘭ちゃん、工藤君見てみ。めっちゃ顔赤いで」
「そんな恥ずかしくって見れないよぉ」
 蘭は和葉ちゃんの言葉に顔を真っ赤にする。
「青子はホントに魔女だったんだ。和葉ちゃんは不思議の国のアリスだね」
「何や、アリスやったんか」
 快斗の言葉に服部は驚く。
 みたときどうも気がつかなかったらしい。
「平次、なんやと思うとったわけ?」
「………わからん……」
「分からんで言うんやない!!!」
 服部と和葉ちゃんがけんかしている中、快斗は蘭と青子ちゃんの方に行く。
「よくお似合いですよ、雪うさぎのお嬢さん。魔法使いの青子さんもかわいいですよ」
 そう言って青子ちゃんと蘭の手の甲にキスをする快斗…。
「快斗って…キッドだともっとキザなんだね」
 と言う青子ちゃんの言葉が右から左へ抜けて行く。
「快斗!!!!!!!!蘭にさわんじゃねーーーーーーーーーー!!!」
 オレの怒りはさっきのもプラスαされ増えていた。
 オレは蘭の元へ歩いていき蘭をオレの背後に隠す。
 だいたい何で蘭はこんな格好をしたんだ。
 可愛いけど、めちゃくちゃ可愛いけど…快斗や服部には見せたくなかった。
「相変わらず、やきもち妬き過ぎだぜ、新一」
「あのなぁ」
「もう、二人ともけんかしないの」
「パーティにしよ」
 喧嘩になりそうなオレと快斗を蘭と青子ちゃんが止める。
「分かったよ。蘭」
「分かったよ、青子」
 オレと快斗の言葉に蘭と青子ちゃんはニッコリ笑ったのだった。

〜二人で話そ1:酔っぱらってんのか酔っぱらってへんのかよう分からん二人〜
「結局、悩殺されたんか?」
 部屋で平次はそう言う。
「見ててわからんかったん?」
「分からんはずないやろ。分かったんは独占欲ありすぎっちゅう事やな」
 と呆れるように平次は言う。
「アタシも着れば良かったなぁ」
 そうすれば平次のこと悩殺出来たかもしれへんし。
 そう思いながらも言うた一言に平次はきっぱりと言う。
「アカン!!絶対にアカン!!」
「何で?えぇやん。工藤君と快斗君がおるから?」
 ふと言った言葉に平次は思いっきり頭を振って否定する。
「そんなんちゃうわ!!」
 だけど顔はカナリ赤い。
 どう違うって言うんだろう。
 白状させてみよ。
「せやけど、工藤君と快斗君やっぱかっこえぇよねぇ」
「……」
 平次の顔はちょっとむっとしてる。
 これぐらいじゃアカンね。
「快斗君の怪盗キッドいうんもえぇけど…やっぱり工藤君の吸血鬼?あれ、絶品やな。工藤君が吸血鬼やったらアタシ血吸われてもえぇわぁ」
 ポイントはここで両手を頬にもって夢見がちになる!!!
 ここや一番のポイントは。
 そうすれば平次は白状するやろ。
 平次を見ると…不満げである。
「で、ホンマのところはどうなん?工藤君や快斗君が怒るから蘭ちゃんみたいな格好したらアカンって言うたんやろ」
「…そや」
 やっと白状した。
 最初っから素直に言えばこんな事しなくても良かったのに。
「平次も一緒やん。平次も独占欲強いと思うで」

〜二人で話そ2:酔っぱらってないよぉと誤魔化す彼女がいる彼氏〜
「青子は、酔っぱらってないよぉ」
「酔っぱらってるだろ」
 新一宅の居間のソファで青子をひざまくらしてオレはのんびりとくつろいでいる。
「何でそんなこと言うのぉ。酔っぱらってません!!」
 そう言って青子は怒る。
 どう見ても酔っぱらってるって。
 さっきまでパーティーと称しての飲み会は終了し、蘭ちゃんと和葉ちゃんと新一とオレとで片づけした部屋の中は綺麗になっていた。
 オレの目の前にある少量のワインを残して…。
 で、青子はオレが作ったカクテルを飲みすぎて…酔っぱらっている。
 大丈夫かって何度も言ったのにも関わらず。
「青子、だから言ったろ。そんなに飲んでも大丈夫かって」
「快斗が悪いんだよ。青子につくって持ってくるから」
 怒ったのにそう反論される。
 確かに、確かに青子に作った。
 作って持ってったオレも悪いと思う。
 けど、ジュースみたいに飲むなって言ってんのにジュースみたいに飲んだのはどこの誰だよ!!
「快斗…」
 青子が力なくオレを呼ぶ。
 もしかして気持ちワリィのか?
「なんだよ、青子。気持ち悪いのか?平気か?」
「違うの……。快斗…」
 違うって言うんじゃなんだ?
「カッコイイね」
 いいきなりなんだよぉ。
 突然の青子の言葉にオレは戸惑う。
「何、青子が快斗のことかっこいいって言っちゃダメなの?」
「いや…だからさぁ。いきなり言われると…恥ずかしいだろ」
「照れてるの?」
「バーロォ…そんなわけねーだろ…」
 青子の視線からオレは照れ隠しに顔を背ける。
「あぁ、やっぱり照れてるんだ。快斗可愛い」
「…青子、オメェの方が可愛いよ」
 今度はオレの番だぜ。
「ば…バカ」
 そう言って青子は顔を背けた。
 真っ赤になった顔を隠すように。

〜二人で話そ3:弱そうに見えて結構強い彼女がいる彼氏〜
「新一、どうしたの?」
「蘭、あれだけ飲んで平気なわけ?」
「うん、平気だよ。1種類しか飲んでないし。お母さんが言ってたんだ。お酒飲むときは1種類だけにしなさいって」
 と蘭はけろっとした顔で言う。
 確かに今日の蘭は1種類しか飲んでない。
 オレのお勧めのワインのみ。
 …何故か家の地下の一角にあるワインセラー(他の酒もあり)の中にあった物で…結構、年代物である。
「新一こそ、平気なの?結構いろいろのんでなかった?」
「オレは平気なの。まだ推理ぐらいは出来るぜ」
 そう言うオレに蘭は不満そうだ。
「でも、何でバニーの格好だったんだ?」
「園子がね、持ってきたのよ」
 オレの質問に蘭はそう答える。
 確かに今日の昼間、まだ服部や快斗達が来てないころ園子がやって来た。
 何のようだって聞いたら蘭に用があるって言って紙袋二つぶら下げて蘭がいるところにいってたあの時か…。
「…ホントは後一つあったんだけどね…。…そっちよりはウサギの方がまだいいかなぁって思って…」
 ……ウサギよりすごい衣装ってどんなだ?
「蘭、どんなやつ?」
「…言わなきゃダメ?」
 オレを恨めしそうに蘭は見ながら聞く。
「ダメ」
「どうしても?」
「どうしても」
 見てみたいじゃん。
 バニーさんより凄い格好って。
「黒猫……(PVの浜崎あゆみのトラ?豹?のスーツを思いだしていただければ…かクロネコヤマトの宅急便の…)
 黒猫…。
「見たい」
「はぁ?」
 オレの言葉に蘭は驚く。
「な、なんで急に見たいなんて言うのよ!!嫌よ。ウサギの格好だってカナリ恥ずかしかったんだからね」
「でも、見たい。蘭の黒猫姿」
「嫌」
「嫌?オレは見たいんだけどな?」
「嫌よ」
「いいじゃん…見るのオレだけだぜ」
 そう言うオレに蘭は嫌そうだ。
「なんでいやがるんだよぉ」
「だってぇ、それでも恥ずかしいものは恥ずかしいのよ」
 はぁ、こうなったら引きそうにない。
「わーったよ。でも、そのうち見せてもらうからな」
「…えー」
 非難の声をあげる蘭を無視してオレは携帯の電源を切った。

〜二人で話そ、番外:飲みやで愚痴っているカレカノ未満の二人〜
「高木くぅん、どうしてたかが水死体のことでわたし達がいかなくちゃならないわけぇ」
「佐藤さん、そう言わないで下さいよ。仕方ないですよ。皆さん他の事件に行ってしまったんですから」
 どうも、高木です。
 とりあえず、水死体は解剖に出し、明日結果を出すということで僕と佐藤さんは飲み屋に向かいました。
 佐藤さんは…でき上がってしまいました。
「はぁ、工藤君の家でやるハロウィンパーティー行きたかったなぁ」
「仕方ないですよ」
「高木君、仕方ないですよって言ったの、今日で4回目よ。他に慰めの言葉ないわけ?」
 目が据わってしまっている佐藤さんがオレの方をにらむ。
 佐藤さん、怖いですよ。
「はぁ、工藤君の吸血鬼姿、見たかったなぁ…。あと黒羽君だっけ?工藤君の友達で工藤君にそっくりな子。怪盗キッドの格好するって聞いたから見たかったよぉ!!」
「佐藤さん……。佐藤さんはどんな格好するつもりだったんですか?」
 実は佐藤さんに聞きたいことがあって…それを…言い出せないでとうとう今まで来てしまったけど、意を決して聞いてみた。
「わたし…?わたしより、高木君よ、高木君はどんな格好するつもりだったの?」
「ぼ、僕ですかぁ?僕は……お化けの格好でもしようかなぁって…」
「おばけぇ?どうしてそう言うのなわけ?もう少しなかったの?」
「いや…いいじゃないですか。結局いけなかったんですから」
「そうよねぇ…はぁ。わたしの衣装、せっかく蘭さんに用意してもらったのに」
 と佐藤さんはため息をつく。
「どんな衣装だったんですか?」
「く・ろ・ね・こ・よ。着たかったよぉ。黒猫のスーツ…」
 く、黒猫ですか。
 …似合う。
「見てみたかったですね」
「あら、ホント?」
「ハイ」
「わたしに似合うかしら」
「ハイ、もちろん似合いますよ」
「ヤーン、高木君ありがとう。ア、そうだ、後で高木君に黒猫のスーツ着たところ見せてあげるわね。猫耳つけてピーンてしっぽ立ってるの。絶対可愛いと思ったのよねぇ。ハロウィンの仮装パーティにぴったりじゃない」
 …佐藤さん、お願いですからそれ以上想像をかき立てるようなことを言わないで下さい。
 しかも見せてくれるなんて…。
 幸せだなぁ。
「さぁ、高木君、今日は飲むわよぉ!!明日二日酔いでもいいわ。もう、ね」
「ア、ハイ」

*あとがき*
メインはラストの二人組(笑)。


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