CRAZY FOR YOU その後の二人……?

「あ、もしもし、オレ」
「おそい」
「今さ、米花駅前なんだ。あと…んー15分でつくから」
「11時に帰るって言ったよ」
「ごめん、目暮警部の誘い断りきれなくてさ」
「じゃあ、もういいよ」
「なんで」
「急がなくっていいよ、他の人来てるし」
「他の人って…」
「快斗君」
「ら、…蘭?」
「冗談に決まってるでしょ。本気にした?」
「ったりめーだろ!!」
「だって……あまりにも遅いんだもん。…冗談ぐらい言いたくなるよ。…新一、早く帰ってきてね」
「わかってる。今、米花2丁目の交差点曲がったから、あと、500メートル」
「うん」
「300メートル」
「うん」
「あと、200メートル、あ、見えてきた」
「まって、今明かり消してみる」
「モールス信号じゃないんだからぁ。…なんてサイン?」
「Crazy For You」

「カーテンしめて」
「ねえ、なんか電話かけてきたとき米花駅前だったのに着くの早かったよね」
「蘭に…早く逢いたかったから」
「もー…」
「蘭、…快斗…いねぇよな」
「気にしてるの?いないよ」
「ホントかよ」
「嘘言ってどうするの?」
「だって……」
「大丈夫、わたし新一以外の人に抱かれるきないよ」
「ら…蘭ちゃん」
「クスクスクス」
「ったく、こんな嘘、もうつくんじゃねーぞ」
「うん、わかってる」
「…消して」
「ライト?」
「ん、消して」

「海の中にいるみたい」
「ん?」
「ほらこの部屋テレビ終わっているから」
「あぁ」
「ねぇ、明日もあるんでしょう」
「あるよ」
「わたし行ってもいいかな」
「あぁ」
「すごい汗」
「サッカーの一試合分だよ」
「フフ、新一。水のみたいな。」
「しゃーねーなぁ……。蘭もおいで」
「うん、ちょっとまっててね。……だめ、シーツ貸して」
「クス」

「何…泣いてんだ?蘭」
 オレはちょっとだけ泣いている蘭のくしゃくしゃになった髪を手ですきながら言う。
「だって…新一が悪いんでしょ」
 と蘭はオレのせいにする。
「なんでオレが悪いんだよ」
 まぁ、確かに…オレ悪いか?
「だって、新一ってやきもち妬くとはーどなんだもん」
 は、ハードってなんだよ。
「そうでしょ、新一がやきもち妬いた後のってわたし、起きれないんだよ」
「ごめん」
 そう言うオレに蘭はよりかかる。
 そんな蘭が可愛くって思わずからかいたくなってきた。
「蘭」
「何?」
「でもさ、蘭ってオレなしじゃいられないじゃん」
「ば、バカ!!!最低!!」
 そう言って蘭はオレの頭を殴る。
「最低って……げんにそうじゃんかよぉ」
 だいたい、帰ってきたときに目をうるうるさせながら
「寂しかったの」
 なんて言ったくせによぉ。
「…でもさぁ、新一も人のこと言えないよね」
「……え?」
 蘭の言葉にオレはどきっとする。
「新一ってわたしがいないと全然駄目なんだよね」
「…………」
「だってやきもち妬いた後のがハードってことはそう言うことだよね、名探偵君」
「う……」
 そうだよ、そうですよ。
 オレは蘭がいないと全然駄目です。
「フフフ、ねぇ、明日は帰ってくるの早い?」
 蘭はオレに肩に顔あずけて呟く。
 明日は犯人の事情聴取にオレも立ち会わなくてはならなくなってしまったのだ。
「明日?事件がなければな」
「ホントに?」
「嘘言ってどうすんだよ」
「早く…帰ってきてね」
 寂しそうに蘭は言う。
「わーってるよ、蘭の側にいたいからな」
「……もー」
「なーんだよ」
「フフフ……新一、すきだよ」
「蘭、オレもすきだよ」

 そんな会話を愛する二人がしていたころ……。
 外で彼等の会話を聞いている白い魔術師が一人……。

「……砂はきそ。せっかく遊びに来たのになぁ。そうだ、明日からかいにこよ」
 
 と砂を吐いていた……。



























*おまけ
「ぐっもーにん!!オハヨ、蘭ちゃん」
「あ、快斗君オハヨ」
 リビングに朝ご飯を食べに来るために降りてくると何故か、快斗がいた。
「何で、快斗がいるんだよ!!」
「いやぁ、ここで朝ご飯食べよぉと思ってね」
「青子ちゃん、旅行に行ってるんだよね」
 と言うと快斗はテーブルの上に突っ伏す。
 な、なんなんだ?
「懸賞で快斗君があてた旅行に青子ちゃんが友達連れていっちゃったんだって。ホントは快斗君が青子ちゃんと行こうと思ってあてた懸賞だったんだよね」
「…なんで蘭がそんなこと知ってんだ?」
「青子ちゃんから聞いたの。快斗君、パンでいいよね」
 蘭の言葉に快斗はうなずく。
「せっかく、昨日遊びに来たのに、なんかラブラブだったしさぁ」
「はぁ?」
 快斗は突っ伏したまま呟く。
「いいよなぁ、新一は蘭ちゃんと同棲しててさぁ。オレと青子の家って結構遠いんだよねぇ。青子ぉ、早く帰ってこいよぉ」
 そう言って愚痴る。
 そう言えば、昨日遊びに来たって言ってたよなぁ。
「快斗、昨日遊びに来たって何時ごろだ?」
「1時…か2時ごろだったかな…」
 ……おいそれって……
「あ、安心しろよ、知り合いの濡れ場を見るほど悪趣味じゃねーから」 
「かーーーーーーーーーーーーいーーーーーーーーーーーーとーーーーーーーー!!!夜中に遊びに来るなってあれほど言ったじゃねーかよ!!!」
「そんなこと言ったってしゃーねーじゃんかよぉ。遊びに来るのそのくらいの時間になっちまうんだからよぉ」
「あのなぁ!!!!」
「二人とも、朝っぱらからいい加減にしなさい!!!おんなじ顔と、おんなじ声で喧嘩しないで!!!」
 オレと快斗の言い争いに蘭は怒鳴り声で止める。
「ら、蘭?」
「蘭ちゃん?」
 蘭の怒りにオレと快斗は恐る恐る声を書ける。
「新一、快斗君、朝ご飯いらないの?」
 蘭の怒り声にオレと快斗は委縮し、
「欲しいです」
 と二人でハモる。
「だったら、喧嘩しないの。快斗君はおとなしく、座ってる。新一はコーヒー入れて」
「はい」
 落ち着いた蘭をまた怒らせないようにオレと快斗は素直に従う。
「蘭ちゃん、ごめんね」
 と快斗は謝りながら蘭の髪に触れようとする。
「快斗、蘭にさわんじゃねーってんだろ」
「あ、見てた?」
「見てたじゃねーよ!!!」
「新一、快斗君……」
 やば…蘭が怒り始めた!!
「コーヒーでも入れよっと」
「あ、オレ、手伝うよ」
 快斗がオレの方にやって来る。
 蘭の怒りの被害に遭わないためにだ。
「もとはと言えば、テメーのせいなんだからな!!」
「ごめん、このおわびはするからさ」
「ったりめーだ!!快斗、オレが出かけるときにオメーも帰るんだぞ」
「何でだよ」
「テメーと蘭を二人っきりにさせたくない」
「ふーんやきもち」
「あのなぁ!!!」
「二人とも何やってるの?」
 言いあいしているオレと快斗に蘭は声をかける。
「な、何でもないよ。蘭」
 これ以上、怒らす訳にもいかないのでオレと快斗はおとなしく、コーヒーを入れていたのであった。

*あとがき*
冒頭の会話のみの部分はCRAZY FOR YOUを脚色したもの。同棲を始めた新蘭よりも家が隣通しの平和よりもキッドな快斗の快青の方がもしかするとあうような歌。


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