行ってしまった…
 
 はかない希望を宿してきた瞳が、躊躇いがちに俺を触れた小さな手が、俺がとうの昔にに忘れていた、
心の揺れを呼び覚ましてくれた----

 生涯探して、やっと回り逢えた女だった。

 彼女は幻想だったのか?

 ----いや、違う。

 幻想が、あんなに俺の腕にしがみ付いてくるはずがない。
 俺の腕で泣き、俺を愛してくれた。
 現れるたびに激しい熱を出し、何度もうわ言のように俺を求めた声が、幻想であるわけがない---

 なのに、行ってしまった・・・。

 俺の手をすり抜け、手の届かない空間の中へと、おまえは消えてしまった----


 もし、おまえが、おまえの言うように、未来の人間であるならば、その想いをおまえに伝えよう。
 
 何時までも待っていると・・・。
 何時までもおまえだけを愛すると…

 このカンバスにありったけの想いを込めて・・・。

 愛している…
 アンジェリーク…


 誓おう、永遠の愛を。
 そして、再会を----