SWEET SLAVE

後編


「いやっ!!」
 アンジェリークがきつく瞳を閉じた瞬間、体が不意に離された。
 恐る恐る瞳を開けてみると、銀の髪を乱したアリオスの異色の眼差しが彼女を見据えている。
「あ…」
「すまなかった、今のは冗談だ。気にするな」
 彼は静かに感情が読み取れない声で呟くと、彼は踵を返す。
「アリオスさん…」
「----だがこれだけは言っておく…」
 振り返り、未だベッドから起き上がることが出来ない彼女に真摯な眼差しを送る。
「レイチェルが見つかるまで…、悪いが…、おまえを帰すわけにはいかねえ…」
 彼はそっと部屋から出てゆく。
 その背中を見送りながら、アンジェリークは切ない気持ちで一杯になった。

 私…、本当は…、いやじゃなかったの…。
 あなたにキスをされたり、ああやって…、求められることが…。
 彼が身体を離したとき、心のそこでは残念だって…、思ってった…。
 私…、ずっと…、アリオスさんが好きだったから…。
 大好きな男性に求められるのは、いやじゃなかった…。

 ベットから身を起こし、彼女は乱されたドレスをゆっくりと調える。

 これは、許されざることなの…!?
 お父さん…。
 どうしてレイチェルを誘拐なんかしたの…


 部屋を出たアリオスは、自己嫌悪に包まれていた。

 ったく…、あいつのあんな顔を見てたら、何も出来やしなかった。
 あんなこと、今までの俺には何ともないことだったのに…。
 あいつを誰よりも汚したくて…
 だが、誰よりも汚したくなくて…
 本当は、初めて会った時から、あいつを求めていた…。

 不意に彼が持つ携帯が鳴り、それを手にとる。
「はい、アリオス」
「アリオス!! アンジェリークは無事か!!」
 出るなりアンジェリークの父親が、ものすごい勢いで話し掛けてきた。
「----おまえにそんな資格があるのかよ…。俺の大事な妹を誘拐しておきながら…」
 アリオスの声は低く冷たく、誰もが震え上がりそうな厳しさを持っている。
「いや、わしじゃない!! わしの部下が勝手にしたことだ!! 今、首謀者を探し回っているところだ」
「----だが、ちゃんと、レイチェルを元の状態で戻さねえ限りは、俺は絶対、アンジェリークは返さねえからな?」
「おい・・・ちょっと・・・」
 そのまま強引に電話を切ると、アリオスは苦しげに眉根を寄せる。

 あのレイチェルのことだから、恐らくは大丈夫だろう…
 アンジェリークには罪はねえが・…、いたしかたあるまい…

 アリオスはアンジェリークを軟禁している部屋を見つめる。
 その眼差しは、なるで冷たい月のように冴え渡っていた。

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 その日から、アンジェリークは部屋から一歩も出してはもらえなくなった。
 お風呂もお手洗いもすべて部屋に着いているし、食事も運んできてくれるので特に困らない。
 だが、アリオスの苦悩に満ちた眼差しだけは彼女の胸を締め付ける。

 あれから、アリオスは口付け以外はしてこない…
 だけど…、日がたつに連れて、その眼差しは深くなってゆく…
 私が癒して上げられたら…

 あくまで、”口付け”をする以外は紳士的な彼に、彼女は感謝すらしていた。
 そして、妹がどういうことをされているのかが判らないと言うのに、彼は彼女を、予想されると同じことを決してしようとしなかった。

 普通、妹が誘拐されたら、それ以上の事をすることが普通なのに、彼は…。
 今回のことで、おかしな話だけれど、アリオスのことをもっと好きになってしまった----
 そう、もうどうしようもないほど…

 毎晩、眠る前にアリオスは必ずたずねてくる。
 そして、彼は深い口付けをむさぼり、帰って行く。
 今日もまた、深い口付けを彼女は受けていた。
「…んっ!」
 唇を離された後、潤んだ瞳で彼女は彼を見つめる。
「そんな目をするな」
 彼は彼女から視線を反らせ、苦しそうに眉根を寄せた。
「アリオス、どうしてそんなに苦しそうなの? レイチェルが心配なの?」
 優しく、気遣わしげな声。
 彼女がされていることは、決して許されざることではないと言うのに、彼女はあくまで慈悲深い。
「おまえはしらなくていい・・・」
 その言葉は彼女の心に深く突き刺さる。
 彼の苦悩は本当は彼女を汚したい衝動。
 だが、この天使はそれに気がつかない。
 あくまで、レイチェルへの想いだと思ってしまう。

 お父さん、お母さんごめんなさい…。
 アンジェは覚悟を決めました…。
 この大好きな人の眼差しを明るくするために、私をささげます…

「アリオス…」
 彼女はベットの上に座る彼を、そっと抱きしめる。
 柔らかな体と、ふんわりとした暖かさ。
 彼は一瞬息を飲む。
「アリオス…、あなたのいやな思いを消してあげたい…。
 一度だけなら、私を好きにして、いいのよ?」
 力なく囁かれた言葉。
 だが少女の眼差しを見つめると、それが真摯であることを物語っている。
「おまえ…、やめられねえぞ?」
 熱い眼差しが彼女に注がれ、アンジェリークはそれにうっとりとする。
「うん…」
「だったら、これは"奴隷”の証だ」
「え!?」
 彼はニヤリと微笑むと、ポケットからおもちゃの手錠を出して、それを彼女の手首にはめた。
 抗えない拘束。
 彼女は胸が早まるのを感じていた。
 そう、それは決して不快ではなかった。
 再び、深く唇が重ねられる…。
 そのまま、彼女をベットの上に押し倒すと、アリオスは今までにない激しさで彼女を求め始めた----

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「----あっ!!!」
 首筋を強く吸い上げられ、アリオスの所有の痕が、アンジェリークの白い肌に紅く咲き乱れた。
 彼女の体が彼色に染まってゆく。
「アリオス・・・!」
 今まで知らなかった強い刺激に、彼女の唇からは甘さの含んだ声が無意識に上がる。
「おまえはおまえのもだ…。俺の奴隷だ…、今は」
 深い欲望に煙った彼の声は、彼女に所有欲を感じさせ満足をもたらした。
 心も、身体も・・・。
 アンジェリークの白い肌に熱い唇をくまなく落としながら、アリオスは、彼のよって生まれたままの姿にされた天使の身体を見つめる。
「綺麗だな…」
 心からの感嘆の声が彼から漏れ、彼女は恥ずかしそうに身を捩った。
「綺麗じゃないわ…、あなたの身体のほうが…、綺麗」
 頬をうっすらと赤らめて、彼女は、鍛えられた彼の肢体に無意識に、自由にならない手を伸ばす。
「おまえの方がその言葉はふさわしいぜ?」
 彼女の豊かな胸の膨らみをついっと指先で触れ、彼はそこに顔を埋めた。
「ああっ!!」
 唇で、舌で、白い双丘を舐め上げ、乱暴に交互に揉みしだく。
「・・・やあん」
 彼の大きな手は絶え間なく彼女の胸をまさぐり、唇は頂を吸い上げ始める
 自由の利かない彼女の手は、頭の上に置かれた。
「あっ!!」
 その甘美な強さに、彼女の身体はピクリと跳ね上がり、震わせる。
 強く、強く吸われ、気まぐれに軽く歯を当てられて頂を噛まれた。
「アリオス・・・!!」
 痛いが甘く切ない刺激。
 痛いような快楽に、彼女は瞳に涙を滲ませながら、全身を捩じらせる。
 眉が顰められ、彼女は僅かな痛みを堪える。
 愛する男性(ひと)の為に----
 彼情熱的に愛され、彼女の身体は最奥から潤んでくる。
「甘い喘ぎと共に、身体の奥からは彼に愛された喜びから湧き出る蜜がとめどなく流れ始める。
 水音がしたのと同時に、蜜が花園から流れ出し、流れの筋は太腿まできている。
 それが感じている証だと言うことを、彼女は知らない。
 体が彼を受け入れる準備をしていることも。
「足・・・、開けよ? ご主人様の命令だ」
 低い甘い声で言われ、アンジェリークはその声に抗えなくて、目を閉じながら、そっと足を彼の前に開く。
「あ・・・」
 そこには、黄金と翡翠が対をなすアリオスの瞳が、欲望と情熱で陽炎のように揺れている。
 彼のその視線だけで、彼女は更に蜜を滴らせる。
「・・・」
 喘ぎながら言い、欲望に潤んだ瞳を向ける彼女が、さらに彼を昂まらせる。
「ああっ!!」
 アリオスは、開かれた彼女の足を掴んで更に開かせると秘所を彼の目の前に曝した。
「ここはおまえのが一番綺麗だ…」
 彼の視線に、彼女は全身を桜色に染める。
 視線だけで、彼は彼女の身体を深く潤ませる。
「ああっ!! アリオス・・・!!」
 彼女の花園に顔を埋め、彼は指で花弁を押し広げて、花芯に唇を寄せる。
「ああ・・・!!!」
 蜜の量が際限なく増えつづける。
「ああっ!!」
 アリオスが丁寧にそこの蜜を舐め取るたびに、彼女は甘い疼きのあまりに、身体を何度も跳ねさせる。
 彼の舌は、彼女の真珠を探し当て、丁寧に舐め、唇で強く吸い、軽く噛んだ。
「ああああっ!」
 痛みと身体に甘い旋律を感じる。
 全身に震えが来て、彼女は意識が白くなるのを感じる。
 腰が自然と浮き上がり、揺すられる。
 それは彼を受け入れることが出来たことへの合図。
 彼女にはまだそれがわからない。
 ただこうしていれば、彼が一番欲しいものを与えてくれるような気がして…。
 全身が熱くなりたい。
 心が溶けるほど深く。
 熱く。
 それを与えてくれるのはアリオスだけだとわかっているから。
「ああん!」
 彼の舌の動きが速くなってゆく。
 舌が蜜の泉の中に入って、かき混ぜられる。
「ああ!! !」
 感じる余り声を止めることが出来ない。
 淫らに響く水音。
 彼は指で秘所を弄びながら、彼女の花園の蜜を舐め続ける。
 彼女に聴こえるように、ひどく淫らに大きな水音を立てて。
「おまえの蜜は最高に甘いな…」
「いやっ。ああ」
 呼吸が速くなり、彼女は最早快楽の余り、喘ぐことしか出来ない。
「アンジェ…、イキたいか?」
 その言葉の真の意味はわからない。
 だがアリオスがもっと熱くしてくれるのは事実だ。
 彼女は、まるで熱に犯されているかのように頷く。
「ああ。判った。最初は少し辛いがな・・・」
「アリオス・・・、あなただけだから・・・、大丈夫なの…、ずっとあなたが好きだったの…」
 喘ぎながら囁かれた彼女の言葉は、彼がもっとも欲しかった言葉。
 そう、二人は初めて逢った日からお互いに惹かれあっていたのだ。
 彼はもう理性を飛ばしてしまう。
「俺は…、初めて会った時からおまえだけを愛していた」
「アリオス…!!」
 彼は、満たされる想いで更に膨らんだ所有の証を、彼女に刻み付けるため、身体を彼女の胎内に沈めて行く。
「 いやっ! 痛いわ!!」
 彼が胎内に入ってきた衝撃は余りに強くて、彼女はその痛みに、身体を強張らせる。
 シーツをつかもうとしても、手の自由が利かない。
「アンジェ…」
 甘く囁かれる声。
 うっすらと涙の滲んだ彼女の目じりに唇を落とし、彼はゆっくりと彼女を宥める。
「いやん・・・!!」
 彼が侵入してくるたびに、彼女は辛そうに眉根にしわを刻ませr。苦しげな声を出す。
 だが彼は止められなかった。
 何よりも欲した相手なのだ。
 いまさら止めれるはずもなくて。
 その代わりに、何度も彼女を口付け、宥める。
「ああっ!!」
 彼女の表情はいつしか苦しくなくなり、声も甘いものへと変わってゆく。
 彼女の喘ぎ声、淫らな水音、そして、彼の早い息遣いが、周りの空気を楽園へと導く。
「ああ・・!!!」
 彼が深く侵入してくるたびに、痛みとは裏腹に、彼を何度も、何度も締め付け、離さないようにする。
「クッ」
 彼は悟る。
 痛みが喜びに変わっていることを。
 やがて彼が奥まで到達すると、激しく腰を動かし始めた。
「・ああああああ!!」
 彼の腰の動きと同時に、彼女の唇から明らかに何度も嬌声が上がり、更に彼を締め付ける。
「ああ、アリオス・・・、アリオス・・・!!
 彼の動きが激しくなると同時に、彼女の全身に痙攣が起こり始める。
 アリオスは何度も、それこそかなりの激しさで突き上げる。
「ああ、アリオス!!」
 身体がガクガクと震えて、彼に彼女の限界を伝わってくる。。
「アンジェ!!」
 アリオスが所有の証かのように、総ての情熱と愛情を彼女の中に解き放つ。
「ああああ!!!!」
 瞬間、彼女は愛する人と共に昇りつめ、瞬く星と共に、意識を手放した----

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 愛を確かめ合い、お互いの気持ちを認め合った二人は、次の日から、ベットを共にすることになった。
 監禁されているにもかかわらず、彼女は幸せだと感じていた。
 そして、彼が監禁を解いて軟禁状態にしてくれても、彼女はやはり彼の許可なしでは外に出てゆくこともなかった。
 彼女が監禁されてから二週間目。
 日曜日のせいか、昼間から愛し合った後、彼女は彼に可愛らしいお願いをした。
「アリオスに抱かれて、ここの庭を見てみたい…」
 その彼女の願いを、彼は甘い微笑みと一緒に、叶えてやるのだ。


 白いワンピース姿の彼女を抱き上げて、彼は庭を回る。
「私はあなたの"奴隷”なのに、これなら逆ね?」
 くすくすと笑う姿は、今までの無邪気な少女ではない。
 彼を魅了して止まない女としてのそれだ。
 彼によって、かに所はすっかり大人の女性へと今脱皮を遂げたのだ。
「----だが、夜は俺の奴隷だぜ?」
 ニヤリと良くない微笑を浮かべられて、彼女は恥ずかしそうに俯いてしまう。
「もう…、知らない・・・」
 甘いやり取りが際限なく続く。
 ふと、二人の耳に聞きなれた元気な声が聞こえる。
「兄貴!!」
 元気よくやってきたのは、レイチェル。
 しかも顔色が良く、逆に太った感じだ。
「レイチェル!!」
 二人は声を合わせて彼女の名を呼んだ。
「あれ! アンジェ! 何で、兄貴に抱かれてるの」
 逆にレイチェルが驚いてしまい、目を丸くする。
「あ…、あのね・・・」
 彼女はすっかりうろたえてしまい、レイチェルが見ているのにもかかわらず、彼の胸に顔を埋めてしまう「あ〜、なんか二人とも怪しい〜!!」
 疑い眼で二人を見つめ、レイチェルは探るように言った。
「おまえこそ…、だいじょうぶだったのか!?」
「へ?何が?」
 今度は妹がきょとんとする番だ。
「だって、誘拐されたんじゃ…」
「あ! あれ!」
 そういうなり、彼女はけらけらと笑い出す。
「ああ。あれならね、つかまってすぐに、ぶちのめして逃げてきたの。その後、監禁されていた場所が、リモージュ姉さまとオスカー兄様のおうちの近くで、そこで、ずっと遊んでたのよ!」
 笑いながら離すレイチェルに、アリオスとアンジェリークはお互いの顔を見合す。
 二人はしばらく考え込む。
 自分たちの苦悩は何だったんだろうと…。
 きっと、今まで連絡が来なかったのは、コレット側がどこかに消えてしまったレイチェルを必死に捕まえようとしていたからだろう…。
 全く豪快と言うか、無神経と言うか…。
 二人はそう思うと、なんだか可笑しくなり、お互いに笑い出す。
「ちょっとなんなのよ!」
「愛してるぜ? アンジェ」
「愛してるわ、アリオス」
 レイチェルの、この行動が、まさか二人のキューピットになろうとは。
 その二人の様子に、レイチェルも不敵な笑顔を浮かべる。
「だったら、アナタタチもちゃんとこうなった理由を教えてくれるわよね?」

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 こってりとレイチェルに絞られた後、ようやくアンジェリークの家へと向かう。
 メンバーは、アリオス、アンジェリーク、そしてレイチェル。
 だがこの訪問は彼女を家に送り届けるだけのものではない。
 そう、アリオスは彼女の父親に、申し出るつもりなのだ。
「アンジェリークをください」と----

 そう、甘い波乱は、もうすぐそこまで来ている-----

 THE END   

コメント

本館の16000番のキリ番を踏まれたゆかり様のリクエストで、アンジェリークを監禁するアリオスです。
次回はもっと凄いことになりますので、そういうのがお嫌いな方は見ないほうがいいかも…
と、書きましたが、全く、そうじゃないものになってしまいました!!。
ごめんなさい!! もう平謝り。
海より深く反省をするtinkでした。