"天使の入り江"は美しいリゾート地として知られている。 美しいビーチは白い砂で、海は透き通るように美しい。 女の子なら誰もが憧れる、リゾート地だ。 「本当に、綺麗ね〜!!」 アンジェリークは美しい空を見つめながら、潮の香りをめいいっぱい吸い込む。 「ホント!! 連れてきてくれたエルンストに感謝しなきゃね?」 レイチェルも本当に満足そうに笑っている。 「そうね! 私も、あなたたちにくっついて着てよかった!! ----だけど、本当に良かったの?」 気を使う親友に、レイチェルはさらに笑顔を送る。 「いいって! やっぱり多いほうが楽しいし! エルンストと一緒にだったら、中々女の子っぽいことも出来ないしね〜。アンジェが来てくれて嬉しいよ!!」 「有難う!」 レイチェルの優しさがとても心地いい。 アンジェリークは精一杯笑顔で返して、この時間を楽しもうと思った。 アンジェリークは、親友のレイチェルとエルンストのカップルに誘われて、この"天使の入り江"に来ていた 最初は、二人に邪魔になるので断ろうと思っていたのだが、レイチェルに強く誘われて、ここに来ることにしたのだ。 「レイチェル! アンジェリーク!」 エルンストがビーチへと歩いてきた。 それに反応するように、レイチェルの白い頬は嬉しそうに染め上げられる。 「エルンスト!!」 レイチェルは、本当に嬉しそうに立ち上がると、彼に駆け寄ってゆく。 その後姿をゆっくりと追いながら、アンジェリークは羨望の眼差しを二人に向けた。 いいなあ・・・、二人とも・・・。 凄くお似合い・・・。 「アンジェ! 早く、早く!」 「は〜い」 すっかりエルンストに甘えているレイチェルをほほえましく思いながら、アンジェリークは二人の下に駆けて行った。 「お二人とも、楽しんでいる様子ですね?」 「凄く楽しいわよ? エルンスト」 ご機嫌にレイチェルは恋人に説明をする。 レイチェルの話に一生懸命耳を傾けているエルンストを見ていると、こちらまで幸せな気分になるのを、アンジェリークは感じていた。 少し二人きりにしてあげたいな・・・ 「ねえ、暑いからさあ、カキ氷食べない?」 「そうですね。やはり折角ここにきたところだし。ここのカキ氷屋は随分繁盛しているようですよ? 何でも、店主が若くてハンサムらしくて」 アンジェリークは、これは使えるとばかりに、閃いた。 「じゃあ・・・、私が買ってくるわ! そのお兄さんも見たいし・・・」 ニコリと微笑む親友に、レイチェルはその心遣いに心の中で感謝する。 「ありがと。じゃあ、ワタシはレモン」 「私もレモンで」 「判った! 行ってくるね〜!」 アンジェリークは水着のままで、ミニバッグを片手に、海の家に駆けて行く。 有難う・・・アンジェ・・! レイチェルは温かな眼差しを向けていた。 ---------------------------------------- 海の家の”カキ氷コーナー"は予想通りに凄い人で、いつもなら並ぶのにうんザうぃするところだが、今日は親友のために、この行列には感謝をしていた。 これで・・・、少しは二人っきりでいられるかしら・・・ そんな事をぼんやりと考えてみる。 周りを見渡すと、それこそたくさんの女の子ばかりで、前のほうからは黄色い声すら聞こえてくる。 相当男前なのかしらね・・・。 カキ氷のお兄さん・・・ アンジェリークは時間を紛らわすかのように、ずっとカキ氷売りの男への想像を膨らませる。 やっぱり声はテノールなのかな・・・。 で、少しぶっきらぼうな話し方で・・・、私に囁いてくれるの・・・ 「おい、あんた」 想像通りの、魅力的な声が響いて、アンジェリークは驚いて体を跳ね上げさせた。 「きゃっ!」 「ったく・・・、驚くのはこっちの方だって・・・」 言いかけて、青年はアンジェリークを見てはっとする。 栗色の髪をポニーテールにして、大きな青緑の瞳でこちらを見つめている。 傾げた首が、酷く可愛らしく。 その上、あどけない顔に、豊かな胸のあるあまやかな肢体。 スタイルのよさが強調される、ブルーのビキニもとても似合っている。 可愛い・・・!!! 可愛すぎる・・・!! 青年は彼女の暫し見惚れてしまう。 そして、アンジェリークも・・・・。 カキ氷売りの青年は、噂通りのかなりの容姿をしていた。 翡翠と黄金の瞳を持つ不思議な端整な顔立ち。 背も高く、アロハシャツが肌蹴て見える胸が、彼の精悍さを物語っていた。 全く非の打ち所のない端麗な容姿である。 声もまた、テノールでとても心地がいい。 こんな人・・・、この世にいたんだ・・・ アンジェリークは吸い寄せられるように彼を見つめ、動くことは出来ない。 二人は互いに見つめあった。 「ちょっと、早くして!」 後ろから注意を促す声が聞こえて、二人はようやく、はっとした。 気がついた後もどこか照れくさい。 見つめ合っていたのは、ほんの少しだったかもしれないが、二人にとっては”永遠”のように感じられた時間でもあった。 「あ・・・、何する・・あんた・・・」 「あっ、レモン二つと・・・、いちごみるくひとつ・・・」 「はい」 青年はその注文で、少女が何を食べるのか、すぐ様判った。 ミルク増量だな・・・ 青年は、アンジェリークのカキ氷に凄くおまけをして作った後、彼女が持ちやすいようにと、ちゃんと固定して袋にまで入れてやった。 「はい」 「有難うございます」 彼女が本当に嬉しそうに微笑むものだから、彼まで幸せな気分になる。 「また来てくれ?」 「はい!」 ここでもまるでひまわりのような笑顔を彼女は彼に向け、青年の心を完全に捉えてしまった。 「おい、アリオス交代」 「ああ」 帰るときに聞こえた声に、アンジェリールは少し嬉しくなる。 そうか・・・。 アリオスさんって言うのか・・・ アンジェリークは、夢見ごこちになりながら、レイチェルたちのところに戻り、カキ氷を手渡した。 「私のおごりね?」 「有難う」 夢見ごこちで話し、カキ氷を幸せそうに食べる親友に、レイチェルは頭を傾げてしまう。 「このカキ氷今まで食べたカキ氷の中で一番美味しい!」 「そ・・そうね・・・」 笑いながら、レイチェルはエルンストに耳打ちをする。 「何のへんてつもない味だけどね・・・」 「そうですね・・・」 二人はくすりと笑いあう。 きっと、いいことがあったのね・・・、アンジェ・・・ -------------------------------------- 昼食も、ビーチのカフェテリアで済ませて、また昼から泳ぐことになった。 「ねえ、私、さっき人から聞いたんだけれど、どうしても行きたいところがあって、一人でゆっくり見たいんだけれど、ダメかな・・・?」 アンジェリークは、エルンストとレイチェルに懇願するように言う。 本当は、二人がゆっくりとくつろげるようにと、アンジェリークの配慮だった。 「・・・アンジェ・・・、気を使ってるんだったら・・・」 レイチェルはすまなそうにアンジェリークを見たもで、彼女は慌てて首を振る。 「そんなんじゃないの! 本当よ? ね、私本当に行きたくって!」 アンジェリークが必死に言うものだから、レイチェルは温かな気分になった。 「判った。ゆっくり行ってきて!」 「3時ぐらいにここに待ち合わせをいたしましょう・・・」 レイチェルとエルンストは、アンジェリークの折角の厚意を受け入れることにし、同意してくれる。 「うん! 二人とも有難う!」 そのままアンジェリークは嬉しそうに笑うと、鞄を二人に預け、浮き輪片手にビーチへとかけていった。 が・・・。 いざビーチにきても一人でつまらない。 泳げない彼女は、とりあえず浮き輪に掴まって、当てもなくゆっくりと泳ぎ始めた。 あれ・・・。 さっきの・・・? 午後から休憩のアリオスは、アンジェリークの姿を見つけるなり、彼女の近くまで泳いでゆく。 ヘンなヤローが近づいたら、ただじゃおかねえ・・・ アリオスは監視もかねて、彼女に近づいていった。 あれ・・・、アリオスさん? アンジェリークは、感嘆に泳いでくる青年に胸をときめかせながら、彼から視線を外せない。 え・・こっちへくる・・・!! 心臓が高まる。 その時---- 「きゃあっ!」 アリオスに気を取られていたアンジェリークは、そのまま身体を浮き輪から滑らせ、海の中に沈んでゆく。 私、泳げない・・・ 助けて!!! その姿をいち早く見つけたアリオスは、はっとして、泳ぐスピードを一気に上げる。 冷たいものが背中を伝う。 俺が助けてやる・・!!!! アリオスはそのまま、アンジェリーク目掛けて潜り始めた----- |
コメント
「メモワール2001」で成田さんが行った台詞・・・。
「カキ氷を売りに歩く」から、妄想で出来た裏です。
まだまだ続きます・・・。
私ってとことんエロや〜