happy bag!


 福袋の景品とも言うべき、アリオスが連れていってくれた部屋は、当然のごとく、スィートルーム。
 それも恐らくは一番良い部屋だと思われる。
 中の気品のある雰囲気に、アンジェリークは圧倒されそうになる。
「ほら、俺のお姫様、中に入れよ」
「う、うん・・・」
 アリオスに腰を抱かれながら、アンジェリークは部屋の中に一歩ずつ入っていく。
「もう、気付いちまっていると思うが、おまえには、わざと福袋を買わせた。俺には最高のアイディアだとおもうがな?」
「あっ、アリオス・・・」
 背後からしっかりと抱きすくめられて、息が出来ない。
 むき出しの首筋に唇をあてがわれて、アンジェリークは躰に震えを覚えた。
 男性らしいアリオスの香りに、彼女は胸が甘くかき乱された。
 住む世界が、まったく違うのは判っている。
 だが、切なくも甘い思いに溶け出したい気分だ。
「まだまだ福袋のお楽しみはこれからだぜ?」
「アリオス・・・」
 束ねられていたアンジェリークの艶やかな髪を解き、アリオスは唇を寄せる。
 そのまま華奢なアンジェリークを抱き上げて、ベッドに運んだ。
 ふわりとする感触が背中を覆い、いやがおうでも意識をせずにはいられない。
 ベッドの上で何をしていいかも判らなくて、アンジェリークは艶のある瞳をアリオスに向けた。
 彼は艶かしくもネクタイを外し、タキシードを乱雑に脱ぎ捨てていく。
 それが淫靡で麗しい。
 鍛えられひき締まった躰を向けられて、アンジェリークは熱い思いに躰を震わせた。
「今度はおまえの番だぜ? アンジェ」
「あっ・・・」
 恥ずかしそうにドレスを脱ごうとすると、アリオスに制される。
「俺がやる」
「アリオス・・・」
 彼は背中に手を入れると、ファスナーを下ろしにかかる。
 部屋に響く音が淫らだ。
 ドレスを取ってしまえば、残るのは下着だけ。
 アリオスはぎゅっとアンジェリークの躰を抱き締めると、唇を深く奪った。
 全てを奪う、甘くも淫らなキス。
 アリオスの舌はまるで生きているモノのように、彼女の馴れていない口腔内を滑っていく。
 丹念にしかも激しいキスは、いつしかぎこちないアンジェリークを大胆に変えた。
 甘い魔法は、アンジェリークの頭の芯までも蕩けさせる。
 アリオスの唇が離れると、アンジェリークは息を乱しながらもなおも求めた。
「アンジェ、そうだ・・・。おまえは俺の淫らな天使だ」
 唾液で濡れたお互いの唇を舐め合った後、彼の唇はほっそりとした首筋に下りていった。
「あっ・・・!」
 舌先での断続的な愛撫と、唇での薔薇色の刻印。
 躰の芯が熱くて止められなくなる。
「あっ! ああ」
 甘い吐息に、アンジェリークは揺れた。
 初めて自らが欲してアリオスを抱き締める。
「アンジェ」
 甘く乱れたアリオスの声と共に、彼の唇が下りてきた。
 鎖骨から胸元にかけてキスの雨が降り注ぐ。
 アリオスに彼色に染め上げられ、アンジェリークは大きく息を薔薇色に乱す。
 彼の手が優しく背中に回った。
 その瞬間、圧迫が解かれる。
「やだ・・・」
 アンジェリークは下着を外されたのが、余りにも恥ずかしくて、顔を隠し、子供のようにいやいやと頭を振った。
「ほら、顔を見せろ?」
「・・・恥ずかしいから」
「こんな綺麗なのにか?」
 そう言って、アリオスは柔らかな胸を下からすくうように持ち上げる。
「やっ、ああんっ!」
 柔らかで滑らかな肌触りのそれは、揉みしだくたびに、アリオスの胸から零れ落ちた。
「あっ、いやっ!!」
 揉みこまれればられるほど、気が遠くなるほど感じる。
 胸がきつく張り詰めてきた。
「んんっ!」
 アリオスはアンジェリークが覆う手を優しく解いていく。
「顔見せろよ。おまえの可愛い顔を見ていてえんだよ」
「アリ・・・」
 そっと顔を覗かせると、艶やかに光るアリオスの優しい瞳がある。
 その瞳に魅せられて、顔を完全に現せた。
「よし、いいこだ」
 頬にキスを受けて、アンジェリークはとろけそうにうっとりとする。
 アリオスは僅かに笑うと、白い胸に顔を埋めた。
「あっ・・・!!!」
 舌が白い丘にゆっくりと這う。その少し冷たい感触が、官能の痺れになってアンジェリークを覆う。
 摘むようにして白い肌を吸い上げられて、彼女は甘く輝く吐息を吐いた。
「あっ・・・!」
 アリオスを誘うように勃ちあがっていた乳首を、彼はゆっくりと含む。
「んんっ!」
 最初は優しく、徐々に甘く狂おしく吸い上げていく。
 全身の力が抜け、甘くて素晴らしい感覚が全身を襲った。
 アリオスの見事な銀髪に指を差し入れながら、小さな唇を僅かに開ける。
 そこにあるのは甘い感覚だけ。
「はあっ!」
 アリオスの舌が乳首に当たる。
 最初は、焦らすように動いていた舌が、徐々になぶるように転がすようになっていった。
「アリオス・・・っ!」
 左右の乳首に同じような刺激を受け、しっかりと揉みこまれる。
 感覚が麻痺をして、アリオスが与えてくれるものが全てになった。
「あっ、ああんっ!!」
 あまりにもの感覚に躰の奥のが熱く蕩けそうになり、アンジェリークは無意識に腰を振った。
「アンジェリーク・・・」
 アリオスの唇が甘く下へと下りていく。
 アンジェリークは最初、どこを目指しているかが判らなかった。
「あっ! いやっ!!」
 彼の手が強引に太股の間を割って入ってくる。
 指が襞を大きく開かせ、花芯を露わにする。
 指で擦られただけで、何かが溶け出すのを感じた。
「あっ、いやだっん!!」
 湿った音と共に、アンジェリークは無意識に腰を浮かせる。
 その姿はあまりにも淫らで美しかった。
「あっ、だめっ! そんなところは舐めないで・・・」
 彼に力づくで足を広げさせられて、閉じようとしてもがいても出来ない。
「やだ・・・」
 熱く固くなった花芯を、彼の舌がとらえる。
「あっ! ああああっ!!!」
 今までには知らなかった感覚が、アンジェリークの全身に、波となって押し寄せた。
 淫らな水音が耳を刺激し、舌先は宝石を刺激する。
 頭が白くなるような快感に、抵抗する力すらもなく、流されていった。
「あっ、ああっ!」
 アリオスの唇が花芯を吸い上げると、どうしようもなくなる。この熱の行き場はひとつしかないことを、アンジェリークは本能で知っていた。
「あっ、ああ・・・!」
 懇願する声がアンジェリークから漏れる。
 苦しくて堪らなくて、アンジェリークは全身を浮かせた。
「あっああっ!!!」
 そのまま、甘い声が響き渡り、アンジェリークは意識がふわりと浮き上がるのを感じる。
「はあっ・・・」
 ゆっくりと目を開けると、アリオスの欲望に光る瞳にぶつかる。
「おまえを俺のものにする。俺だけの女に・・・」
「アリオス・・・」
 熱くて固いもので、濡れた場所を撫でられているのが判った。
「あっ、いっ、いやっ!!!」
 熱くて固いものが、入り口からねじ込むように挿ってくる。
 アンジェリークのそこは、まだ熟していないせいか、アリオスを受け入れるのには狭すぎた。
 だが、彼は止められない。
 胎内に入った瞬間から、彼女が最高の快楽を導いてくれることを判ってくれる。
「あっ、いやっ!!」
 かなりの痛みが伴うせいか、アンジェリークはアリオスの背中に爪を食い込ませる。
 だが、止められなかった。どうしても止めたくなかった。
「アンジェ、アンジェリーク」
 声と顔中に甘いキスを降らせることで、慰めた。
 甘い彼の思いに答えるように、アンジェリークはアリオスに縋りつく。
「アリ…っ!!」
 アンジェリークの思いを感じ、アリオスは更に腰を進めた。
「ああっ!!」
 痛みが走っているのにもかかわらず、アンジェリークは彼のために決して痛いとは言わない。
「はあん・・・」
 アリオスが完全に入りきると、アンジェリークの吐息が大きくなる。
 そこにはどこか甘さが含まれており、アリオスは涙が滲んだ彼女の瞳をキスをした。
「一緒に感じよう…」
「あっ、あああっ!!」
 アリオスが動き始めると、アンジェリークは甘く喘ぐ。
 その声と、表情が可愛らしくて、アリオスは堪らなくなった。
「アンジェ…!」
 少し動くと、アンジェリークの蠢く内壁がアリオスを包み込むように締め付けていく。
 それがどうしようもないほどの快楽を彼にもたらした。

 最高の女だ…。
 もう離せねえ…!!!

 アリオスは、最後の力を振り絞って、何度も突き上げ始める。
 今まで知らなかった快楽の窓を、アリオスの手によってアンジェリークは今花開く。
 無意識にアリオスの腰に自らの足を絡み付けて、貪る。
 ふたりはぴったりだった。
 だからこそ、お互いを束縛するように、貪りつくしていく。
「はあ、あああ、あああっ!!」
「アンジェ…っ!」
 ふたりはしっかりと抱き合って快楽に向かう。
 彼が腰を激しく揺らし、アンジェリークの最奥を力強く突き上げた------
「ああああっ、アリオス!!!」
「アンジェ…!!!」
 そのままふたりは深く抱き合い、言い表せないほどの高みへと舞い上がった-------


「アンジェ・・・」
「アリオス・・・」
 気がついたとき、アリオスが甘く抱きしめてくれるのが判る。
「気がついたか・・・」
「うん…」
 アリオスと目を合わせるのが恥ずかしくて、アンジェリークはむき出しの胸に顔を埋めた。
「おまえ、最高だったぜ?」
「アリオス…」
 恥ずかしすぎて、アンジェリークはアリオスに抱きつく。それが可愛くて堪らなかった。
「------おまえは、俺にとって最高の女だ。おまえこそが俺の”福袋”なんだぜ?」
「うん・・・。私も凄く幸せだった・・・。この福袋が買えて」
 少し切なそうにアンジェリークは言うと、俯く。
「…もうすぐ、夢が消えちゃうんだ…。凄く楽しかった、今日・・・」
「消えねえよ。あの福袋は一生有効だからな? 離さない」
 力強く抱きしめられて、アンジェリークは幸せの余り泣き出してしまう。
「愛してる…。一目ぼれだったんだからな? おまえを一生愛して、幸せにする」
「アリオス・・・、私も愛してます…」
 ふたりはしっかりと抱き合って、再び愛の嵐に向かう。

 私にとって、福袋は、本当に幸せを運んでくれました------


コメント

福袋ネタです。
ようやく完結しました。
やはり名前の通り、アンジェリークにとっては幸せが入っていたみたいです(笑)



マエ モドル