車が森の中に入ってしばらく経った。 アンジェリークは、自然の森の清々しい風景に、すっかり魅入ってしまっている。 「凄く素敵・・・」 「別荘はもっといい感じだぜ?」 「うん・・・」 太股を甘く撫で上げるアリオスに、アンジェリークは、頬を赤らめながら、肩に凭れて甘えた。 桜を見に、二人は郊外のアリオスの別荘までドライブ中だ。 「桜を見たい」そう言うと、彼は「良い場所があるから・・・」と、連れてきてくれたのだ。 「ほら、あれだ」 彼が指差すのを見ると、そこにはロマンティックな建物が見えてきた。 黒い屋根と白い壁。 桜に囲まれた瀟洒な家だ。 大きすぎることもなく、ふたりには丁度良い大きさだ。 「凄い素敵!!」 「奥さんに喜んでもらえて嬉しいぜ?」 彼は、楽しそうに笑うと、アンジェリークの頬に軽くキスをした。 車は、木で出来たシンプルな門の前まて来ると、アリオスはリモコンキーで門を開け、中に入り、すぐさま門を閉め、車庫に車を入れた。 「ほら奥さん、着いたぜ?」 「うん」 先にアリオスが車から出て、アンジェリークを抱き上げる。 「あっ、大丈夫だから・・・」 「一応儀式だからな、アンジェ。ここの別荘は”天使の館”だ。おまえをイメージして建てさせた。かなり遅れたが、結婚の贈り物だ」 「そんな、アリオス、贅沢だわ・・・」 少しと惑いを見せる彼女に、アリオスは宥めるようにキスをした。 「ここは、これから増築もしていくぜ? 子供のためにな」 「ん・・・」 玄関先も広めのスペースがあり、ドアを開けると、そこは、いきなり広いリビングがあり、寛げれようにと、ソファやクッションも選ばれている。 「冬は床は暖房になるし、暖炉もあるぜ? 奥はダイニングキッチン、風呂と、ゲストルームだ」 アリオスは、アンジェリークの身体の重さなど感じないとばかりに、軽がると歩く。 キッチンは対面式で、最新の機器が充実し、アンジェリークは目を見張る。 ゲストルームはカップルを想定してか、クイーンサイズのダブルベッドに、可愛いリネンが掛けられていた。 「レイチェルとエルンストさんを呼びましょうよ」 「だな。最初のゲストはな?」 アリオスは次とばかりに、今度はバスルームに案内する。 「今夜はここで一緒にお風呂だな?」 「うん、そうね・・・」 はにかんで俯く彼女がとても可愛いく、彼は思わず耳朶を噛んだ。 バスルームはとても素晴らしく、ここなら・・・、とアンジェリークは思ってしまう。 白い浅型の優美なデザインのバスタブはジャグジー風呂になっている。 全身を映すミラーまであるのだ。 「二人一緒に入れるのを選んだ」 「うん」 幸せな気分に浸りながら、アリオスはアンジェリークを連れて、二階へと向かう。 二階への階段はリビングにあり、吹き抜けになっている。 木の可愛い階段を上がり切るとパノラマになっている広いベランダと部屋が二つある。 「ひとつは俺たち寝室。もうひとつは、子供部屋だ」 「気が早いわよ」 くすくすと笑う彼女が、とても可愛い。 アリオスは、まず、子供部屋を見せた。 そこは、小さなベビーベッドがあり、子供らしい装飾が施されている。 「可愛いわ・・・」 「子供が増えてきたら、増築だぜ? 常にここは小さいのが使うようにするからな?」 「うん、嬉しい・・・」 彼が、至れり尽くせりで用意をしてくれるのが、凄く嬉しくて、アンジェリークは涙ぐんだ。 「有り難う、アリオス・・・」 「こら、泣くな?」 「だって…」 涙をみせ、泣き笑いをする彼女に、アリオスは、唇で涙を唇で拭った後、甘いキスを送った。 夕食の後、二人は、リビングで一息を吐く。 「やっぱりおまえの手料理は最高だな」 「もう、アリオスってば…」 アンジェリークは、彼の精悍な肩に身体を預けながら、甘えた。 「夜桜ってやっぱり幽玄ね」 「そうだな?」 二人は、窓から見えるさくらを見つめながら、その美しさに暫し見惚れる。 闇に浮かぶ自然のさくらは、申し分が無いほど美しい。 「凄く綺麗ね? 毎年ここに来ましょうね?」 「ああ。そうだな。来年は子供をつれているかも、しれねえな?」 「そうね?」 甘く笑いあうと、二人は、どちらからともなく唇を近づかせて、甘いキスをする。 「愛してる。さくらよりも何よりも、おまえは綺麗なんだからな?」 「アリオス…」 頬を染めて上目使いで見つめてくる彼女を、そのまま床に押し倒す。 「あっ、ダメ…」 「ダメじゃねえよ…。全部の部屋で”やりはじめ”だ?」 「もうバカ…」 そのまま彼女はアリオスがつむいでくれる甘い感覚に溺れ始めた----- |