Do I have to say the words?

前編


「ルウ゛ァ様、有り難うございました!」
 育成を終え、地の守護聖ルウ゛ァに一礼すると、アンジェリークは館を出た。
 まだ館に帰るのはもったいないぐらい、空は高いところにある。
「ん〜! ちょっとぐらい時間があるし、寄り道して行こうかな〜」
 アンジェリーク伸びをして、ふふと笑うと、そのまま心の赴くままに玻璃の森に向かう。
「綺麗なものでもみて、和んじゃお〜」
 最近、育成が順調で、さらには、自分のために転生してきてくれた恋人ともうまく行っているせいか、上機嫌な彼女である。
 玻璃の森は、まだ、アリオスデートをしたことのない場所で、次の日の曜日にでも誘おうと思っていた。

 アリオスと見る森は素敵だろうな…。
 下見、下見!!

 心はもう日の曜日に飛んでいるアンジェリークである。



 玻璃の森では、早速、橋の上に行き、魚の様子を観察した。
「かわいい〜、凄く綺麗だわ!」
 ぴょんぴょんと身体を跳ねあげさせながら、アンジェリークは嬉しそうに川の魚を眺める。
「本当にガラス細工みたい・・・。今度は、アリオスと来たいな・・・」
 ぽつりと漏れるは、やはり恋人のこと。
 恋する乙女としては、こういった場所は、愛する男性と二人きりで行きたい。
「アリオス・・・」
 言いかけて、彼女ははっとする。
 耳につくのは、聞き覚えのある、艶やかな低い声。

 アリオス・・・!

 ときめいたのも束の間で、一緒に可愛らしい少女の声がしてくる。

 え・・・?

 声が聞こえる方に視線を凝らせば、そこには、愛しいアリオスと、アンジェリークとは歳が同じぐらいの、まるで人形のような美少女が、仲睦まじく肩を並べて歩いている。
「アリオス…」
 大きな瞳に涙をいっぱい溜めて、真っ青な顔をして呆然と見ているアンジェリークに、アリオスはようやく気が付いた。
「アンジェ・…!!!!」
 傷ついた小動物のような眼差しで彼を一瞥すると、彼女はそのまま駆けて行く。
「アンジェリーク!!!!」
 全速力で走る彼女を、アリオスは追う。
 大切でたまらない存在だから、ヘンな誤解はさせたくない。

 バカバカバカバカ!!
 アリオスの浮気者!!!

 涙で視界が煙ってよく見えない。
「きゃっ!」
 流石は玻璃の森。
 足下が滑りやすい。
 勢い余って、アンジェリークはそのままバランスを崩す。
「アンジェ!!!」
 さっと手を延ばしたアリオスにアンジェリークは抱き留められた。
 甘美な感覚が全身を突き抜ける。
「もう! 離して!! 離して!! バカバカバカ!!!」
 興奮状態にあるアンジェリークは、アリオスの腕の中で、暴れまくった。
「こら、よせ! 誤解だ!」
 彼女が逃げていかないようにぎゅっと抱き締め離さないようにすると、耳に唇を寄せる。
「離して、離して、離して〜! アリオスのバカ、ちかん!!!」
「動くな!」
「なによ浮気者! あの子にも、へんな格好させてるんでしょう!」
「何!?」
 明らかに不機嫌な顔をし、アリオスは一瞬、腕の力を抜く。
 その隙を見て、アンジェリークは身動ぎをして逃げようとする。
「バカ! 俺の話を聞きやがれ!」
 さらに強く抱きすくめられて、彼女は喘いだ。
「バカ! 離してよ!! アリオスのロリコン! えっち! アホ!」
 その言葉はアリオスの忍耐を切った。
 彼の形相は冷たくなる。
「・・・何だと?」
 アンジェリークは肩で息をしながら、幼子のように泣きながらえずいている。
「ひっく、今度は、あの子に、その格好をさせればいいでしょ? 私なんか、もういらないでしょ!!」
 さらにアリオスの中で何かが弾ける。
「ちょっと来い!」
「きゃあああ!」
 そのままアリオスに有無言わせず抱き上げられて、森の奥へと連れていかれる。
「いや! 下ろしてよ! 私のことなんてほっておいてよ!」
「黙ってろ!」
 アリオスは低い声で、いまだに暴れる恋人を制する。
 歩いてゆくと、先程の美少女が微笑みながら立っている。
 アリオスは彼女の前で立ち止まった。
「前倒しで、”玻璃の館”を使わせてもらうぜ?」
「どうぞ! 月の曜日まではいいからね、アリオスお兄ちゃん」
「サンキュ、レイラ。」
「うん! じゃあね〜」
 二人の会話がいまいち読めずに、アンジェリークは頭の中でクエスチョンマークが飛んでいるのを感じた。
 親しげに話す二人に、彼女の嫉妬も燃え上がる。
「アリオス! 私なんか置いて、あの子と一緒に行けばいいでしょ!!」
 じたばたと暴れる彼女を、無表情で運んでいく。
「バカバカバカバカバカ!!」
 ポカスカと彼の胸を攻めるように叩くものだから、アリオスは片手で彼女の腕を掴んだ。
「おとなしくしろ、バカ!」
「バカとは何よ〜! アリオスなんか嫌い!! 私のことなんか、もう愛してないんでしょ〜! 私ももうメイドとか天使の格好はしないんだから〜!!」
 興奮状態のアンジェリークに、アリオスは鋭い視線を投げかける。
 それが余りにも怖くて、アンジェリークは身体をビクリとさせた。
「黙れ」
 冷たいアリオスの声に、アンジェリークは怯む。
 そのまま、彼は彼女を抱上げたまま、ずんずんと森の奥まで入り、瀟洒な館の前で止まった。
 硝子で出来た、御伽噺に出てきそうな美しい館。
 アンジェリークは、暫し、怒るのを止めて、見惚れてしまう。
 無言のまま、アリオスは館の鍵を開け、そのまま中に入ると、再び鍵をかけた。
 中も大変美しいつくりで、総鏡張りだ。
 勝手を知っているのか、アリオスは階段を上ってゆく。
「ちょっと、アリオス、どこに行くの〜!!!」
「いいから黙ってろ!」
 余りにも強い調子で言われるものだから、アンジェリークは黙りこくった。
 そのままアリオスは、大きな扉を開けて、その中に入ってゆく。
「…!!!」
 その部屋を見るなり、アンジェリークは息を飲んだ。

 ベッドルームじゃない〜!!!

 部屋は大きなベッドが中央に置いてあり、中にはシャワー室も完備されている。
 だが、アンジェリークの赤面を誘ったのは、その部屋も、やはり鏡張りだったからである。
 ここに連れてこられたということは、彼女にもこれから起ることはわかる。
「ヤダ!! アリオス!! 離して!!!」
 急に暴れだす彼女を、アリオスは力で押さえ込む。
「暴れるところを見ると、これから起ることを良くわかってんじゃねえか…、アンジェリーク…」
「あ…ヤダ…」
 アリオスの不思議な異色の眼差しが、野獣の煌きをまして彼女を捕らえる。
 そのままあり祖はアンジェリークをベッドに投げる。
「きゃあっ!」
 起き上がろうとした彼女を、アリオスは力ずくで覆い被さる。
「ん…くっ!!」
 そのまま唇を深く貪られ、たげだけしくも舌で犯されてゆく。
 舌で歯列を愛撫され、唇を強く吸われたり、噛まれたりして、アンジェリークは全身が粟立つのを感じた。
「ふああっ!」
 ようやく唇が離されたときに、アンジェリークの唇は晴れ上がり、血の味がした。
「アリオス…」
 見つめる彼の眼差しは濡れて艶やかだ。
「さっきおまえ、”俺がおまえを愛していない"と言いやがったな?
 充分に判らせてやるぜ? 身体でな?」
「いやああっ!」
 そのままアンジェリクはワンピースを力づくで脱がされ、身体を翻弄され始めた---- 

コメント

35000番を踏まれたLynne様のリクエストで、
「可愛い美少女といるアリオスに嫉妬したアンジェちゃんが、大喧嘩の末に…」
です。
次回が本番です!
お楽しみあれ!!