いよいよ明日が、温泉旅行・・・ 嬉しいな・・・ アンジェリークは、カバンに着替えを詰め込み、それを愛しげに抱きしめる。 アリオスと初めての旅行・・・。 凄く嬉しいな・・・。 パパとママが海外にいるからこそ出来るんだけどな・・・ 明日着ていく取って置きのワンピースを眺めながら、彼女は幸せな気分になり、目を閉じた。 「おやすみ、アリオス…」 不意に、窓を明かりが照らされた気がした。 「・・・!?」 それと同時に、窓がコツンと叩かれる。 石のようなものが弾いてるのを感じて、アンジェリークはカーテンを開けた。 「あ・・・」 窓の外に見えた、見慣れた車に、アンジェリークは慌てて窓を開ける。 胸が高まり、甘く逸るような気分に支配される。 窓を開け、アリオスの艶やかな銀の髪が闇に浮かぶのを、アンジェリークはうっとりと見惚れた。 手を彼が上げると、堪らなくなり、アンジェリークは部屋から出て、外へと向かう。 「アリオスっ!!」 そのまま玄関のドアを開け、アリオスに向かって飛びついてゆく。 白いネグリジェを纏う彼女が闇に浮かび、まるで妖精のように見える。 ふんわりと白い彼だけの天使。 アリオスは、しっかりとアンジェリークをその腕の中に閉じ込めると、しっかりと抱きしめる。 誰もが寝静まった深夜。 空気が澄んでいて、体が清らかになるのを感じる。 「アンジェ・・・」 「んっ…」 二人は唇を重ねあわせ、お互いの”逢いたかった想い”を伝え合う。 「アリオス・・・」 唇が離されると、アンジェリークはアリオスの胸のなかに顔を埋めた。 「逢いたかったの・・・」 「タイミングが良かっただろ?」 「うん…」 彼の腕の温もりが直ぐ近くにあるのが嬉しい。 アンジェリークは、彼に身体を摺り寄せ、その温もりを心の中に刻み付ける。 「ね、このまま朝まで傍にいて・・・? そのまま旅行に行きましょう・・・」 「ああ。そう言ってくれると思って、ちゃんと、荷物は積んできた」 「有難う。だから好き!」 アリオスはフッと笑うと、アンジェリークの栗色の髪を優しく撫で付けた。 アリオスの車を、アンジェリークの父親の車の横に入れると、二人は彼女の部屋に向かう。 「今夜は寝なくちゃな? 明日は6時に出るからな? 昼間からゆっくりしてえもんな」 「うん…」 アリオスに抱き上げてもらって部屋に向かいながら、アンジェリークははにかんだように頷く。 「アリオス、私のベッドは狭いわ? お布団敷く?」 「いいや、おまえのベッドで寝る」 「もう・・・」 恥ずかしそうにアンジェリークはアリオスの胸に顔を埋めながら、嬉しそうに頷いた。 彼女の小さなベッド。 今夜はここで二人はともに眠る。 アリオスは、アンジェリークをベッドの上に寝かせると、その隣に体を滑り込ませる。 「たっぷり甘えちゃうからね?」 「あまり甘えると眠れなくなるぞ?」 「え!?」 声を上げた時にはもう遅くて、アリオスにネグリジェをまさぐられ始める。 「あ、やだんっ・・・・!」 ネグリジェの下は、キャミソールと白いとりでしかつけていないせいか、直ぐにじかに胸を触られててしまう。 「あっ!」 「やっぱり目の前に美味そうなものがあったら我慢出来ねえよな?」 「もう、バカなんだから・・・」 そのままアリオスの刻む旋律に、アンジェリークは溺れていく。 いつもにも増して敏感になった肌にシーツはひんやりと冷たかった。 明日の朝のことも考えて、一度だけしっかりと愛し合った後、二人は眠りにつく。 アンジェリークは、先ほど中々寝付けなかったのがうそのように、愛する男性の温もりに包まれながら、安らかな眠りに入る。 「明日は寝かせねえからな?」 甘い声で耳元で囁きながら、アリオスも眠りに落ちていった------ 許せない恋? 人はそういうかもしれないけれど、私は幸せよ・・・。 アリオス」がこうして傍にいてるだけで幸せ。 禁断の恋じゃなくなったら・・・、直ぐにでも彼のお嫁さんになりたい・・・。 眠りながら、アンジェリークの口角が僅かに上がる。 そんなに遠くはないであろう日を夢見て----- |